先週末、あちこちで「LOUIS VUITTON × 草間彌生のコラボコレクション」の情報が出てた。出ていたのは、新宿伊勢丹とドーバーストリートマーケット銀座、それにルイヴィトン表参道の情報。
ドーバーはコムデギャルソンなので、草間さんの強烈な水玉が占拠しても、それほど突拍子もない見た目ではないけれども、伊勢丹は明治通り側と新宿通り側のショーウィンドウは、すべてLOUIS VUITTON × 草間のディスプレイになっているようです。
新宿伊勢丹
ドーバーストリートマーケット銀座
伊勢丹の「LOUIS VUITTON × 草間彌生」一色の打ち出しには驚いたけど、考えてみればまぎれもなく“ファッション”のプレゼンテーション。価格もリーズナブルなリアルクローズなんてことは考えていないだろうし、バッグや小物だと飽和しているヴィトンものを、また買ってくれる(かもしれない)だけの訴求力を持っていると感じてしまいます。
セレブリティは喜ぶだろうし、高年齢の富裕層も飛びつくかもしれない。ほとんどが従来のモノグラムで、一部分だけど草間水玉になっているアイテムなどは、従来のヴィトンに価値を感じている人達を惹きつけそう。
きっとルイヴィトンにとっても、かつての村上隆コラボ以上の挑戦だと思うけど、こういうことが出来る度量って、マーク・ジェイコブスだけじゃなくて企業体が持っている勢いなんでしょうか。
このコラボ自体が万が一それなりの数字的な実績をあげなかったとしても、ルイヴィトンに興味のない人にまで強烈な印象を植え付けられ、トータルでは成功するんじゃないかという気がします。まったくルイヴィトンに興味のない私まで、スゴイなぁと思ってしまいました。
ワコールが草間彌生コラボブラを出したり、今朝の新聞に雑誌「SUPR」の全面広告が出ていて、そのビジュアルが完全に「LOUIS VUITTON × 草間彌生」になっていたり、裏の仕掛けの大きさを感じましたが、それにしても世界的にはリーマンショック後初のファッションらしい、大きな発信なんでしょうね。
一方、LOUIS VUITTONのような派手さはないけれども、確実にブランド価値を高めるコミュニケーションをしてるのがGUCCI。
7月14日(土)より、フラッグシップショップであるグッチ新宿で、ジミー大西の「ドリーム ワークス」展が開催されているそうです。
ジミー大西の代表作品約30点を展示していたり、スペシャルディスプレイを行なっていたり。なんで、グッチがジミー大西なんだと疑問を持ってしまいますが、一方でちゃんと作品のアート性を理解してやってる。分かってるブランドだなぁと評価する人もいるでしょう。
7月16日には東日本大震災で被災した子どもたちを招いてのワークショップも開催されたそうです。どちらかといえば社会的存在としてのブランド、エシカル的存在に近いような展開だという気がします。
さらに、グッチが今年の2月からやっているのが、『HAND』というブログ。
いろいろ勝手なことを書くより、オープニングメッセージを引用させていただきます。
1921年の創設以来、グッチにとって
フィレンツェに受け継がれる職人の技術や丁寧な手仕事はかけがえのない財産です。
昨年、世界遺産である京都金閣寺の「方丈」において、
グッチのアーカイブと日本の歴史的建造物を融合させた展覧会を開催。
京都とフィレンツェの職人技をつなぐグッチの活動ご存知でしたか?
伝統の職人技が創りだす、時代も国境も越えた普遍的価値を次世代へ守り継ぐ大切さ――。
その思いをこめて、グッチは来週2月22日(水)
「HAND」と題した新オフィシャルブログにリニューアルします。
このブログでは、グッチが日本で見つけた「手仕事」を
オリジナルで撮り下ろした動画で紹介していきます。
日本には伝統的かつ独創的で、クリエイティブな「手仕事」がたくさんあります。
でも、私たちが知っているのは、そのほんの一部に過ぎません。
「HAND」のタイトルにも込められた、大切で、丁寧な日本の「手仕事」。
モノづくりの“伝統”と“革新”を、グッチとともに旅してみませんか?
職人技が支えるブランドという、マーケティング以前の企業スタンスがストレートに伝わって来ます。特に感心してしまうのが、日本の「手仕事」を動画で紹介してしているところ。本来なら、日本の企業や公的な機関がやるべきだという気がします。
ビジネスだけをしに日本に来たわけじゃない。日本の手仕事に敬意を表しながら、私たちも職人の一員として活動しているんだよというメッセージが、てらいもなく伝わって来ませんか。
今まで明珍火箸の造られる過程が映像で紹介されてるのって、私は見たことがないです。
HAND 未来に受け継ぎたい手仕事
VUITTONとGUCCIという、ハイブランドがやっていること。こそれは一見、仕組みとしてのマーケティングを無視して、自らの価値を再構築するような挑戦ではないでしょうか。両ブランドとも関心も縁もなかったのですが、どうにも好感を持ってしまいます。
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