2012年7月9日月曜日

時間を止めるセルフイメージ

この週末、合気道の昇段審査があった。三段の審査を受けた。
合気道にもいろいろあって、私が稽古しているのは養神館という流派。警視庁の中にも道場があって、女性警察官や要人稽古にあたる機動隊員が稽古しているそうです。そうですって、知らないような書き方してますけど、毎年開催されてる養神館の大会では、ピーポくんマーク入りの道着を着た女性警察官の華麗な演武を見ることができます。華麗なといっても、普通、男性はビビります(笑)


審査は、あらかじめ指定されている技や、その場で指定される技。あるいは後ろから両手を掴むとか短刀で突いてくるとかいう設定だけ決めて、さまざまな技を繰り出したりして、習熟度などが判断されます。三段審査は、最後に三人取りというものがあります。剣(木刀)で斬ってくる、短刀で突いてくる、拳で突いてくる三人を相手に、つぎつぎに繰り出される攻撃を、走り回りながら一挙動の技で倒していきます。


そんなに自信があったわけじゃないですが、最後の三人取りだけは、さんざん稽古したし、なんとかなるだろうと思いながら審査に挑みました。
ところがところが、その場で指定された技のところで頭が真っ白になる。あれ、なんだっけ。それでも身体が勝手に動いてしまうのですが、自信なさげ。
最後の三人取りをやる前には、湿度の高さと緊張とでエネルギー切れ寸前。なんとか気力で乗り切ったとは思うけど、退場してからはひっくり返って、ゼイゼイという荒い呼吸を繰り返してた。
内容はともかく、この体力のなさはどうしたこと? 

いやいや、考えてみれば自分の年齢からすれば当然だわ。いつもは稽古してて大学生より体力あるじゃんと思ったりして、完全に年齢を忘れてる。でもボクシングのチャンピオンだって、50歳にもなれば、全力で動いて1ラウンドも保つわけがない。
体力をさらに向上させるより、まず省エネで動くためにどうするかを、考えないと。




話はまったく変わって、先日、クライアントのところで十数年前に資生堂のやったキャンペーンのことが話題になった。『美しい50歳が増えると、日本は変わると思う。』という斬新なコピーで、業界内ではとても話題になった。ところがクライアントのところでも、その言葉が出たんだけど「大きなお世話よ」というのが、多くの女性の反応だったそう。
ひとつは年齢で切られること。そして美しいか美しくないかを、企業が線引きするような印象。また美しい美しくないが社会的な意味を持つようなメッセージ。
考えてみれば、とてもデンジャラスな領域に手を突っ込んだキャッチフレーズだったのかもしれない。

今はアンチエイジング化粧品を20代の女性が使ったり、60歳のエグゼクティブがフォトフェイシャルに出掛けるような時代。
自分がこうありたいというイメージに近づける努力をしているのか、
それとも今のままでキープして時間を止めてしまいたいと思っているのか。

たぶん、人から見られた時にどうかということが先ではなく、自分がこうありたいというようなセルフイメージが重要なんじゃないかという気がする。
ファッションが制服のようなスーツから、カジュアルへの移行が進んでるように、コードはどんどん自由になっている。基準があいまいで変化してるんだから、これが正解ですよとメッセージするのは、あまり効果的じゃない。きっと、どうしたいかを引き出すための手掛かりがバラまかれているところに人は惹かれてくる。
40から、50からの歳は、とらないものとしている女性は多いと聞く。ということは、アンチエイジングじゃなくて、ストップエイジング?


時間を止める、というと大げさだけど、進行をゆるやかにするための衣食住。
これって、大きなマーケットじゃないですか。
いわゆるエルダーマーケティングみたいなことって、一言でいえばジジクサい。調査してニーズを引き出しただけじゃあ、衰えたところを補ってもらうような発想で前向きな消費はなかなか出て来ない。歩くのがしんどいから、タクシーを使うという発想は、前向きにはなりにくい。ジョギングして足腰を鍛えるとか、姿勢や歩き方を正して痛まないようにするとか。もしかしたらEMSで筋肉を鍛えるみたいなことだってあるかもしれない。


そんなことを思ってたら、「American Apparel」が、ベーシックラインの新しい広告モデルに61歳のJackyを起用。同社の広告モデルとしては最高齢だというニュースが入ってきた。セクシー路線のAmerican Apparelだから、なおさら衝撃的だ。
アラ還ばかりか、もっと下の年齢層からも支持されるのでは、と思う。アラ還をナメていないところがいい。少なくとも生活者のセルフイメージの方が、マーケティングより先を行ってるはず。






コメントを投稿