2014年10月31日金曜日

仕掛けが次々と。日本でもSELFIE(セルフィー)ブームが来るかも

画像:#PJ_GIRLサイト



「SELFIE(セルフィー)」は、昨年オックスフォード英語辞典が選ぶ2013年のWORD OF THE YEARを獲得したほど、英語圏で流行しているようです。セルフィーとは、スマホなどによる自撮りのこと。
アメリカではSNSで自分の写真をプロフィール画像やアイコンにしたり、投稿したりするのが当たり前だといいます。確かに仕事で関係のあるアメリカ在住の経営者家族は、自分たちの写真をバンバン投稿しています。

東南アジアでも、若者を中心にセルフィー棒というものが売れているそうです。渋谷のスクランブル交差点でも、外国人観光客が使っているのを見たことがあります。
マレーシアで大人気の「自撮り棒」(セルフィー)



ただSELFIEという言葉がメジャーになったのは、もっとセレブたちのアピール全開の写真が注目されたからではないでしょうか。
セルフィーから派生して、ヒップラインを強調して撮る「ベルフィー」というスラングも誕生しています。ベルフィーをトレンドにまでしたのは、キム・カーダシアンにレディー・ガガ、ビヨンセやリアーナですから表現みたいなもの。

日本でソーシャルメディアに投稿されている自撮りは、アイドルの生写真やモデルの現場写真的なもの。
一般人でもリア充的なシチュエーションのものはありますが、自分自身をメインの被写体にした気合いの入ったものは少ないのではないでしょうか。一般の、日本での自撮りはtwitterで[#セルカ]で検索するとどっと出てきますが、かなり若く顔のアップがほとんどです。

ところが海外のブームから1年遅れで日本でも、もしかしたらトレンドになるかもという動きが出てきましたよ。



「PEACH JOHN」がAKB48小嶋陽菜さんで仕掛けるセクシー系SELFIE



PEACH JOHNは、10月29日からSELFIEにフォーカスしたプロジェクト「#PJ_GIRL ― #PJ_GIRLから、女の子のトクベツな瞬間がはじまる ―」を始めています。セクシー系SELFIEがそのままPEACH JOHNのイメージになるぐらいに盛り上がれば、大成功でしょう。
#PJ_GIRL


まず、プロモーション動画の公開。このあとも続々登場するようです。




そして、コンテスト。「毎日1名、WINNERを発表 & 10,000円(JCBギフトカード)をプレゼント!」ということですから、豪華です。
instagramかtwitterで投稿だということですが、Facebookを避けてinstagramというところが上手です。今のところコンテスト向けに撮りました、という演出の投稿は少ないようですが「小嶋陽菜・マギー・大屋夏南の3人のPJミューズと一緒にMOVIEに出演できるかも!?」ということなので、アメリカのようなセレブ的な投稿だって来るかもしれないですね。




スタートトゥデイの「WEAR」から、「Pachil(パチる!) WEAR LIMITED」登場


まずWEARって何?という方は、以前書いたこちら記事を。
WEARで買いものは、どう変わる? O2Oは、どう変わる?


コーディネート検索サービス「WEAR」ですが、自撮りではなかなか全身を撮るのが難しいとか、ポーズが限定されるというという声があったそうです。
そこで登場したのが、「Pachil(パチる!) WEAR LIMITED」。ZOZOTOWN PEOPLEでも驚くほどオシャレなファッションピープル、それも一般人の人たちが自撮りしていますから、全身コーデを自由なポーズで撮りたいという根強いニーズはあってもおかしくないですね。
自撮り棒より、はるかにオシャレですし(笑)

画像:WEAR Pachilサイト


WEAR Pachil





どちらも、高感度で自分自身を見せるセルフブランディングをしている人たちにアピールする動き。ここ数年のハロウィンの盛り上がりを考えても、ソーシャルメディアでのSELFIEブームが日本でも来るかもしれないですね。


バナー:ウェブ、グラフィック、そしてソーシャルなつながりをデザインする制作会社です


2014年10月17日金曜日

お手軽な「究極の質問」より、ショップジャパンの地道なインフルエンサー探しが確実かも


スレンダートーン エボリューションCM 


少し前の日曜日、家電が鳴りました。うちの奥様が電話に出て、笑いながらもなにかを断っているので、セールスの電話にしてはヘンだな。なんだろうと思っていたら、ショップジャパンからで「CMに出てくれませんか」という内容で、いままでに3度ほどかかってきたということでした。

初耳でしたし、第一どういう理由なんだろうというところが不可解です。理由を尋ねてみると「スレンダートーンを注文した人が、私から聞いて買うことにしたと言っている」と。

え、わざわざそんなことを言うのか?

「ショップジャパンに電話かけて注文すると、どこでスレンダートーンのことをお知りになりましたかと聞かれるそう」「何人から、私の名前を出したと聞いた」ということでした。

なるほど、そういうことか。



ショップジャパンは、電話注文客から購入動機ルートを探してる



想像でしかありませんが、ショップジャパンはもちろんネットからの注文も少なくないでしょう。でもテレビCMによる、電話注文が主力なんだと思います。
そのテレビCMとは無関係そうな日時にかかってきた電話注文に対して、買うキッカケを聞かなければ、どんな導線があるのか把握できない。そのルートを知るために「どこで知ったか」を聞いているのではないでしょうか。
きっとルートの多くは、リアルなつながりのある、信じるに足る評判。口コミの中心やハブになっているキーマンを探し出して、味方になってもらえば、ネット上のどんな施策より確実かもしれません。信用するベースが、メディアを通したものより、はるかに高いのですから。


つい最近も、健康診断で病院に行ったとき、問診で運動をしているかと聞かれ、テニスを週に1、2度やっていますと答えると、「テニスだけで、そんな体にはならない。筋トレ的なことをやってるでしょう」と尋ねられたそうです。
女医さん、それは問診じゃなくて、個人的興味でしょうと言いたくなりますが(笑) 

そんなことがけっこうあって、医師では3人、女性2人男性1人が確実に購入したそうです。直接聞かれて買ったのは、美容院やテニス友だちや近所の人など、少なくとも20人以上はいると本人が言っています。そこからさらに広がるでしょうから、並の影響力ではないですね。医者が知り合いやあるいは患者に勧めたとしたら、とんでもない数になりそうです。

そんなキーマンになる人は、ごく狭いジャンルの中なら、世の中に大勢いることでしょう。こういうキーマンをネットで探せるでしょうか。



スレンダートーンがいいかどうかは、本人にも確信がない



そもそも彼女が使い始めた理由は、腰痛の軽減。整形外科によると小さなころからの運動で、腰椎が分離していたんじゃないか。年齢とともに、症状が悪化してるのかもしれないということでした。こういう症状は10代からやっているスポーツ選手の1/3ほどが抱えているそうで、ポピュラーらしいです。大学生のときにある種目の全国大会で優勝していますので、選手だったことは間違いありません。

進行すれば手術しかないそうですが、腹筋背筋などを鍛えることによって筋肉のコルセットを強化し、腰への負担を軽減するのが有効な対策だと言われ、それで、たまたま良さそうだと買ったのがスレンダートーン。
電気信号によって、運動することなしに筋肉を動かすEMS。つまり腰に負担をかけることなしに筋肉を鍛えられるということですが、EMSの種類なんて、いくらでもあります。

たまたま買ったEMSが[スレンダートーン]だったというだけで、特別いいと思っているわけではなさそうです。他のEMSを試して比較検討したわけでもないし、運動科学などの専門家でもなく、自分にとっては良かった、合っていたというだけです。


こういう人を、SNSで探せるでしょうか? 本人がブログにでも書かない限り、なかなか難しいでしょう。ブログに書いたところで、どれだけ信用されるかどうか。ですよね。



身近にリアルな情報があると、比較検討せずに、すぐ注文するのかも



スタイル維持に何をしているんだと聞かれて、テニス以外でやってるのはEMSだと答える。EMSって何と聞く人の方が多く、スレンダートーンというもので、ショップジャパンで売ってると答える。
どれぐらいで効果が出るかと聞かれるから、それは分からない。痩せるために使ってるんじゃなくて、腰痛対策。腰痛はかなり軽減している。
そう答えるだけで、買うという人は多いらしい。

こんな人もいる。スレンダートーンじゃないEMSも扱っている会社の人で、どういう風に使ってるのかしつこく聞くから、強度レベルMax99の97でやってる。家にいるときは、食事のときでも付けてると答えると、「バケモノだ」と言われたとか。さらにCMでは一日30分2回を推奨と出てきますが、私は何時間でも使ってると言うと、自社取り扱い製品があるのにスレンダートーンを買ったそう(笑)

医者は腰痛からの説明をすると、とても納得して買うそうです。

そしてこの人たちの多くがショップジャパンに電話して買っているということは、ネットで価格や他の製品と比較検討もせずに、注文していると考えられるのではないでしょうか。会話だけで、確信している。
どういう違いがあるのか調べていませんが、ネットだとAmazonの方が安いですから。




ショップジャパンにとっては、口コミで電話で購入してくれる人は、直接的なプロモーションコストがゼロですから、そりゃあオイシイ。インフルエンスしてくれるキーマンは、ぜひとも囲い込みたいところでしょう。



顧客ロイヤリティを知る「究極の質問」は、どれほどの価値があるんだろう



以前、こんな記事を書きました。
推奨してくれる顧客「アンバサダー」を見つける「究極の質問」のされ方


あなたはどれほど「製品やサービスを知人や友人に薦めたいと思いますか」という質問をすることで、顧客ロイヤリティを知ることができ、強く進めたいというアンバサダー/推奨者を探して、より味方になってもらう仕組みを作りなさいというものです。
アメリカでは、そこに書いた「究極の質問」が、顧客ロイヤリティを知るための方法として主流になってきているそうです。
日本でも、私にさえ連続して届きましたよ、という記事です。

私に来た二通の「究極の質問」には二通とも[推奨者]レベルを回答したはずですが、それ以降なんのアプローチもありません。「強く薦めます」と答えているのに、放ったらかしだと、なんだったんだよと思います。仕組みを知っているだけに、不躾に聞きっぱなしかよと反感だって生まれてきます。

きっと「顧客ロイヤリティを知るために、究極の質問をしろ」という指示が下ったのでしょう。でも質問をした相手は、顧客だよということを忘れていませんか。「薦めます」と答えるのですから、それなりの責任感を感じて回答している人が少なくないでしょう。
仕組みを知らない人なら、「なにか、させられるのか」と少し身構えながらも「薦めます」と答えたかもしれません。



「アンバサダーマーケティング」という本では、取り込みましょうというスタンスで書かれていますが、そもそも「究極の質問」は、NPS(Net Promoter Score:推奨者の正味比率)を調べるためのもの。
NPSの上昇は、企業の成長率と関連性が高いので、指標として重要ですというだけです。もしかしたら統計として処理されているだけで、[誰が]は無視されているのかもしれません。
もしそうなら、いたずらに顧客に手間とプレッシャーをかけているだけです。


指標としてのNPSを上昇させる方向に、企業活動をシフトさせるという考え方なら有用です。ただ[推奨者]になった人に、どうアプローチするか。さらに[スーパー推奨者]になってもらうのか、あるいは反応してくれない[中立者]に引き戻してしまうかは、アプローチの内容にかかっています。



「CMに出てくれませんか」という電話は、腹を出して出演するわけないんですけど、でも本人は喜んでいる様子(笑) ショップジャパンは電話をかけるだけで、目的を達成しているのではないでしょうか。上策ですよね。






バナー:ウェブ、グラフィック、そしてソーシャルなつながりをデザインする制作会社です


2014年10月14日火曜日

無視されたくなかったら、『ソーシャルファースト』で考える

画像:スクランブル交差点を撮影している外人
10月1日、日本経済新聞の経営者ブログに、サイバーエージェント藤田社長の『私が退職希望者に「激怒」した理由』という記事が掲載されました。
NIKKEI

過激な内容なので、当然のように炎上します。BLOGOSやNews Picksでは、さまざまな立場の強力な論客から賛否両論。ツイッターなどでも、場外乱闘のような様相でした。





電子版とはいえ日経新聞ですし、これだけの内容なので私も驚きました。転職者は簡単に特定されるでしょうし、業界内での評判を悪くする危険性もあるでしょう。
ネットの時代になってから、多くの著名な経営者がマッチョな発言で失敗されていますが、それは経営者としての、ビジネス上の論理しか持たずに発信されているから。
ROMっているだけの人も多いですが、誰だって発言する手段と機会を持っているのですから、経営者の理屈はむしろマイノリティかもしれません。
でも藤田社長は、そんなにネット音痴なわけがない。サイバーエージェントの経営者としては、失敗ではない。きっと、ほぼ成功。すべてを計算できなくても、どんな風に拡散するか、リスクも含め、それなりの計算があって掲載されたはずだと思います。
その拡散させた狙いはどこにあるのかに、私は興味があります。



ソーシャルメディアで反応があれば、評判も可視化される



渋谷 - 原宿 - 新宿の明治通り周辺エリアでは、アーティストの新譜発売や求人サイトなどを宣伝するトラックが、けっこうな頻度で走っています。ところがスマホでパシャパシャ写真を撮られるものもあれば、どんなに大きな音量で曲を流していても誰も見向きもしないものもあります。

知名度の度合いによって左右されるかというと、そうでもない。韓流アイドルなどは写される確率がかなり高いようですし、世界的に大ヒットしているアーティストのビルボードカーだって、見られていることは少ないようです。
見向きもされないから、効果がないということではなさそうですし、街での注目度がそのまま売上と比例するわけではないでしょう。




テレビCMだと、強い反応があるものはツイッターなどでツイートされ、評判になったりすることがあります。これはシチュエーションとデバイスの組み合わせが、まずあると思いますが、とにかくソーシャルメディアでの反応がなければ、最大でも視聴率分のリーチだけになります。そのリーチだけで、認知度が向上したり視聴者の意識が変容するかというと、どうなんでしょう。そんな文脈で、CMをとらえる時代ではなくなっているのではと思います。
SNSで拡散していれば、フリークエンシー的な役割に考えられそうです。


ポスターや看板、パンフレットだって同じです。情報が大洪水のようにあふれている時代に、振り向いてもらえるかどうか、気に留めてもらえるかどうか。
そう書くと目立ち方の問題ねと思われそうですが、ちょっと違う。ソーシャルメディア上で共有されるかどうかという視点も、ちょっと違う。それだけなら、横行しているヤラセが効果を上げているはずです。もちろん共有が一番いい反応であることは、間違いないですが。


食事をする。洋服を買った。みたいな消費。
可愛いものを見つけた。この動画が面白い。という好奇心だって、そう。
個人の投稿と同列の文脈で、とらえてもらえるものなのかどうか。
上からでもなく、下からでもなく、同じ目線ですんなり見てもらえるものなのかどうか。瞬時に面白がられ、記憶に残ることかどうか。好奇心を刺激できるかどうか。
というところ。



リアルでも、ソーシャルメディア的文脈で考える



ソーシャルメディア的文脈で、どうなのか。ソーシャルメディアの運用そのものだけではなく、製品を、クリエイティブを、メディアを、コンテンツを、PRやIRだって、とらえなおすことが不可欠な時代になったのかもしれません。


多くの人がどんな反応をするのか、ソーシャルメディアでどんな投稿になりそうなのか、あらかじめ予測しておくことも必要です。

もちろんすべての人がポジティブに反応してくれるわけではないですから、程度の問題ですが、ネガティブな反応も許容するスタンスで。なんの反応もないと、どうでもいいということですから。




バナー:ウェブ、グラフィック、そしてソーシャルなつながりをデザインする制作会社です

2014年10月6日月曜日

災害時などのソーシャルメディア運用は、こうするべきじゃないのかと

画像:台風の渋谷駅前


台風18号が日本に上陸。自宅近くでは、水が15cmほど吹き上がってるマンホールがいくつもあったりして、ヤバいな〜、会社まで無事辿り着けるかなと、今朝はけっこう気を揉んでいました。
電車に乗ると、いつもより間引きで運転しているのに、むしろ空いていたり。渋谷駅周辺も人の数は、いつもの半分どころか、もっと少なかったかも。雨は強いですが、風はそれほどでもなく、少し拍子抜け。
ただ報道によると、関東でも土砂崩れ、浸水や冠水、停電の被害もありましたし、広い範囲で土砂災害警戒や竜巻注意情報が出ていました。


何のためにソーシャルメディアで発信するのか


先週から予定されていて、10月6日月曜日の朝イチでソーシャルメディアで発信してくれという案件がありました。今日です。
なぜ朝イチなのかというところは不明でしたが、その企業の上の方で決まっていたスケジュールだということだったので、準備だけはしていました。
ところが台風18号は朝早く、静岡県に上陸。関東を午前中に通過するという天気予報。伊豆大島では非難指示が出たり、御嶽山では土石流が心配されるということでした。


私としては当然、発信は少なくとも台風18号が日本列島から抜けた夕方以降、被害の状況などを調べながらにした方が望ましいですよと伝えました。
結果として、朝イチに発信することはなくなったのですが、上層部の承諾が取れるまで時間がかかりましたので、見切り発車ではなく見切り延期。
担当者の方に伝えたのは、台風上陸時にのんびり企業情報を見てくれる人は、ごくわずか。タイミング的に多くの人がソーシャルメディアを見ていないか、見ていても無視されるか、あるいは反感を持たれる可能性の方だって高いということでした。

ソーシャルメディアマーケティングは、ただ商品情報などを発信するというのではなく、公式アカウントのキャラクターが、フォロワーやファンからさらに好感を持ってもらって、コミュニケーションすることから始まると私は思っています。


自動投稿することの危険性


少し前に書いたことですが、ソーシャルメディアで予約投稿や自動投稿をする人が増えています。多用しているとBotと同じなので、相手にされない企業アカウントになってしまうと思いますが、それだけではありません。
以前の記事から引用します。

--------------------------------------------------------------------------------------------------------

ソーシャルネットワークにスケジュール投稿を行うBuffer、
月刊売り上げが10万ドルとなり、利用者数60万を達成


その中に、こんな記述があります。

ところで最近、ボストン・マラソンの事件の際に、TwitterやFacebookにブランド発の宣伝系メッセージが流れて、悪い意味で注目を集めてしまうというようなことがあった。そうした発言は予め定められたスケジュールに則って投稿されたものだった。もちろん大事件のおりに投稿されるスケジュール投稿は的外れで無神経なものとなってしまうことが多い。Buffer側もそうした状況に対して何らかの対策を練るべきだと考えているようだ。
ですよね。ボストンマラソンの事件とは、多数の死傷者が出た爆弾テロのこと。

「全予定実行停止スイッチのようなものを実装すべきかもしれないと考えているのです」とWidrich(共同ファウンダー)は述べている。


停止スイッチは人間が押すわけですから、予約投稿にしてバカンスに出かけて、あとはおまかせね、とはいかないですよね。

--------------------------------------------------------------------------------------------------------


企業アカウントという人格が、こんなタイミングで「買って買って」というのは信じられないというのが、一般的な反応ではないでしょうか。悪い意味で注目を集めたくなければ、広告でやった方がいいです。
それでもテレビCMなどと比較すると、ソーシャルメディアの広告は、はるかに厳しい視線にさらされているかもしれません。それだけ、今のところ無視されていないポジションではないでしょうか。



緊急時に企業アカウントがやるべきことは


役に立つ物資を提供できる場合などを除き、企業アカウントに出来ることはなにもありません。沈黙あるのみ、だと私は思います。


発信をしていいタイミングは


Yahoo!のリアルタイム検索では、ピークは朝の8時。13時ぐらいから急激に減少していますが、関東では土砂災害警戒や竜巻注意情報が出たままでした。

画像:Yahoo!リアルタイム検索での台風の注目度


地域によっても違うと思いますが、はやくて15時以降でしょうか。それもニュースに注意しながら必然性がある場合なら、だと思います。
特にイベントなど切迫したスケジュールがなければ、1日置くのが適切だと思います。







 ソーシャルメディアマーケティング、うまく行ってますか?



2014年10月1日水曜日

過去とつながるか、未来につながるか


『ツイッターとフェイスブック そしてホリエモンの時代は終わった』という本の価値


「うめけん」さんの名前を久々に見て、釣りっぽいあざといタイトルだなあと思いながらも、この本を買ったのは、もう夏前。
私は意外性がなにもなく、読み飛ばしていました。それでもデジタル・ネイティブの代表のような「うめけん」さんが、こんな内容を書いてくれたから、そうでしょう、やっぱりねと確認できる。



ところがこの本は話題にもなっていないし、書評などの評判もいいとは言えなさそう。
Amazonの商品説明を転載すると

SNSの時代は、もう終わった! そして、「ニューアナログ」の時代が来た!!
流行語大賞「~なう」を受賞し、高校時代に起業した「うめけん」は、フォロワーが3万人を超えたとき、ツイッターをやめた。人間が上手に「つながる」のは、LINEのように10人前後が限界であるからだ。そして、この真理から導き出されたのが「マツコ」というビジネス・モデル。これが日本のビジネスに激変をもたらす。
パソコンは、ITは、そして日本社会は、どのように変わるのか!? 徹底的に分析する!

SNSの時代は、もう終わったのか


うめけんさん、ツイッターやめてたんだ。もったいないと言えば、もったいないです。フォロワーが3万人もいれば強力なインフルエンサーなので、ご自分の本の宣伝だって有利に展開できるはず。続けていれば、「〜なう」を作り、ソフトバンクの孫正義社長に三番目にフォローされたツイッターのカリスマ高校生としてのイメージで、しばらくはマスコミやSNSやIT業界でも有利に仕事ができるのに。

だけどこの人にとっては、そんなことは過去のことなんでしょう。どうでもいい終わったこと。仕事上で、肩書き的に活用はしても。

ツイッターやフェイスブックが終わったんじゃなくて、モテはやされる時代は終わったんです。電話とかコンビニとか電車とかバスとかと同じで、ありふれたもの。特別なものじゃないし、という意味なのでしょう。コンピュータは、紙のような存在になると書かれているぐらいですし。


「ホリエモンの時代が終わった」も同じ。ふたりは、カラオケ友達なんだそうです。要するにライブドア事件前と後とでは、違いますよ。ホリエモンは、かつてのホリエモンではありませんということが趣旨だと思います。
私もこのところの堀江さんは、細かなことをコツコツとやられてるよなぁ、という印象をもっています。メルマガと連動したYoutubeのホリエモンチャンネルだって、実際にやることを想像するとかなりメンドクサそうですよ。チマチマと手間のかかることは嫌いだ、みたいな人だと思いますが、地道な努力を重ねられていますよね。

『ツイッターとフェイスブック そしてホリエモンの時代は終わった』という本は、うめけんさんの宣伝本ではありますけど、人気のSNSだってそのままあるわけじゃないよというニュアンスを、うめけん、ホリエモンという時代の寵児を題材に教えてくれているのだと思います。
「うめけん」の名前を見かけなくなったのも、時代が消費していくスピードは、それほど速いということですしね。


ツイッターが「なう」なら、フェイスブックは「過去」


 以前から私は、フェイスブックって過去とつながるものだよなと思っています。
プロフィールや友だち候補が出てくる仕組みもそうですが、好きな映画や音楽、テレビ番組などに[いいね!]させるのも、ほとんどが過去のこと。
個人として、そんなに過去とつながりたいかな、過去を表現したいかなと思ってしまいます。

個人が「あの頃、好きでした」と言われたら、そりゃあうれしいでしょう。
でも企業アカウントだと「昔、好きでした」とコメントされると、「今は違うのか!」と突っ込みたくなりますよね(笑)

もし過去とつながるアルゴリズムが強いなら、フェイスブックの寿命は短い気がします。多くの人がどう使うかで、左右されるのは当然ですけれども。


こんなも本があります。ITジャーナリストの佐々木俊尚さんが書かれた『自分でつくるセーフティネット 〜生存戦略としてのIT入門〜』という大きなテーマです。




ほとんど表紙で語られていますのであまり書きませんが、SNSはフェイスブック主体で、趣旨のポイントは「善い人が信頼されるネット人格の時代」というところ。

『ツイッターとフェイスブック そしてホリエモンの時代は終わった』では、「上手につながれるのは10人前後。これからは、ニューアナログの時代だ」と言っています。
『自分でつくるセーフティネット』では、ネット人格ですから、ほぼ真逆の発想です。さあ、どっちが的確に未来を見通しているのでしょう。



方程式や、あらゆる仕組みも長続きしない


『自分でつくるセーフティネット』には、こんなことが書かれています。
これこそが、すべてが丸見えになる総透明社会。悪意も嘲笑も、全部丸見えの透明になっちゃうんですね。
 たとえばあなたの近くにいる人、たとえば会社の上司が、仕事場では真面目で通っている人なのに、ある日その人のツイッタ―を覗いてみたら、誰かに対する呪いのことばみたいな悪口を延々と言い続けている。うひゃー、こんな人だったんだ! もうそれだけで、翌日からこの上司さんへの見方が変わっちゃうのでは。

だから「善い人」を目指しましょうということなんですが。確かにソーシャルメディアでは、ちょっとしたことで評判を落としやすい。
ただ現実はサイレント・マジョリティが、多数派どころか大多数だという気がします。サイレント・マジョリティは、透明じゃない。
総透明社会という言葉は、違和感があります。


それにSNSで「善い人」演出をしているうちに、本当に「善い人」になるならいいのですが、私の実体験では違います(笑)


仕事では、たとえば「Twitter広告が効果的だと思います。1年後は、わかりませんが」的な言い方をすることが多いです。今日お話するなら、「2ヵ月後には、わかりませんが」と言うでしょう(笑)

LINEが、あっという間にユーザーを失うことだって、あるかもしれません。Youtubeのアップロード数が、激減するかもしれません。スマホだって、急速に廃れるかもしれません。先日もこのブログで「これが実践的な使い方」だと書きましたが、半年後にはまったく効果がないかもしれませんし、無料のサービスですから見られなくなることだってあるかもしれません。

というぐらいに、思っておくのがいいのかもしれません。
この社会の変化するスピードは、過去とは比較になりません。歴史に学ぶことは必要でも、過去の経験に学ぶことが多いのなら、世の中もっと単純です。


ご紹介した二冊は、図らずも「過去のことは役立たないから」というところが同じ視点ですね。



バナー:ウェブ、グラフィック、そしてソーシャルなつながりをデザインする制作会社です