2014年12月18日木曜日

驚くほど[クリスマス]という言葉が使われなくなっています

画像:渋谷東急本店ファサード

昨年の12月、『Happy Holidaysが、海外では一般的なんですか?』という記事を書きました。
ところが今年は、Christmasという言葉がどうしてこんなに使われなくなったのというぐらいに減っているようです。もっとも渋谷や表参道などの大きな店舗で、という条件付きの印象ですが。


渋谷の巨大なシンボルは、あくまでクリスマス


渋谷全体では、一般的にはクリスマスの印象が強いかもしれません。それはなにより東急グループが、クリスマスを全面に打ち出しているから。
最初の画像は東急本店です。ヒカリエも[Hikarie CHRISTMAS WONDERLAND]という打ち出し。109と109 MEN'Sは共通のビジュアルとコピーで大声で叫んでいます(笑)
画像:クリスマスの渋谷109



そして大きなクリスマスツリーで、パルコもクリスマスを打ち出しています。
これらは言うまでもなく日本企業です。
ところがグローバルブランドは、こぞってという言い方もおかしいですが、ほとんどクリスマスという言葉を使っていません。(日本での資本構成はどうであれ、世界中で展開しているという意味でのグローバルブランドです)

昨年書いていないところを中心にご紹介します。


ファストファッションは、まったくクリスマスを使わず


スウェーデンのH&Mは、Holiday Giftsの文字しかありません。レディ・ガガとトニー・ベネットのボードは、きっと世界共通のビジュアルなのでしょう。
画像:渋谷H&Mのショーウィンドウ


このおふたりですから、もちろんYouTube動画もあります。
この動画を見ると、クリスマスイメージにしているけれども、言葉としては使わない。犬にトナカイのツノを付けさせているところに、腐心のあとがうかがえます。


ユニクロ、GAP、FOREVER21も、まったくクリスマスを使っていません。
画像:渋谷ユニクロのファサード





ほぼすべてのハイブランドは、軒並みメッセージもなく


GUCCI、Dior、CHANEL、LouisVuitton、Armaniも先週の時点で店頭には何のメッセージも出していません。

見た中ではオーストラリアのUGGはツリーもあり、思いっきりクリスマスイメージですが、クリスマスという文字はなく、HOLIDAY GIFTでした。
画像:渋谷UGGのファサード

画像:表参道GUCCIのファサード




DiorやCHANELはプレゼントを意識した香水のテレビCMを打っていますが、ChristmasもHolidayという言葉も使っていません。ギフトのイメージだけです。



混在させているブランドもあり


イタリアのDIESELは、[HAVE A HARDCORE HOLIDAY]。でも小さくXMAS GIFTという表記もありますし、スタッズ付きの皮のライダースを着たサンタクロースのビジュアルもあります。
画像渋谷DIESELのファサード



不思議なのは、アメリカのディズニーストア。旗など目立つところではHappy Holidayなのですが、この窓にだけMerry Christmasと書いてあります。これはなにか、目立たせたくないけれども入れる必要が出てきたデザインのように思えます。
画像:渋谷ディスニーストアのファサード






ストレートにクリスマスを打ち出しているのは


私が見つけた中では、イギリスのLUSHだけでした。
画像:渋谷LUSHのファサード

同じくイギリスのコスメブランドTHE BODY SHOPにもクリスマスギフトという表記はありましたが、ギフトのコーナーだけで、外からは目立ちません。
アメリカでは宗教上の配慮からHappy Holidaysが使われだしたということですが、さまざまな人種が働いているグローバル企業では当たり前の流れなのかもしれません。
日本でもさまざまな国の人が働いているのがありふれた状況になってきていますし、海外からの観光客の多さを考えれば、それに東京オリンピックのことを考えると、この先クリスマスという言葉はさらに使われなくなりそうです。
昨年より顕著になってきているようですから、2014年がその転換期なのかも。


ところで当社にも先月、キラキライメージでHappy Holidaysを使う仕事がきました。グローバルブランドですが昨年はChristmasだったので、いよいよ変わったんだな。
そう思って、Happy Holidaysを使う理由を聞いてみました。
すると答えは「年明けも、そのまま使えるから」。

現実的です(笑)



バナー:ウェブ、グラフィック、そしてソーシャルなつながりをデザインする制作会社です


2014年12月9日火曜日

【Twitter】最大瞬間風速を記録したのは、ストーリーのある三連投でした




ソーシャルメディアの運用をする中で、どういう投稿内容や投稿の仕方が有効なのか、日々トライ&エラーを繰り返しています。
もちろん日々環境は変わっていきますし、普遍的な手法なんてないと思っています。その一方で確実だろうなと、自分なりの確信のある手法もいくつかあります。

目的によっても違いますが、ツイッターでトルネードのようにインプレッションを稼ぐなら、[ストーリー性のある三連投]だと考えています。
インプレッションとは、ツイッターによれば「ユーザーがTwitterでツイートを見た回数」です。単純に届いたかどうか、だけです。


連投するのは、基本的にNG


ツイッターで著名な方々からは、なんども繰り返しつぶやけという意見が主流のようです。でも前にも書きましたが、フォロワーのタイムラインを埋めてしまうような運用は、少なくとも企業アカウントでは間違っていると思います。
誰でも使える[Twitterアナリティクス]は、実践的に活用できる優れもの

かつて津田大介さんは、朝から公式RTしまくった結果、一気にフォロワーが500人も減り「そういう人は何を求めているのかね」とつぶやいていましたが、いくらファンでもタイムラインを完全に埋めてしまえばウザくて耐えられないと思う人が、それだけいるということでしょう。もちろん投稿方法な中身を参考にするために観察しているなんて人を排除し、熱心なファンだけを残すために連投するのはアリかもしれません。

そう思っている私が、なぜ三連投をいいと考えているのでしょう。
まず、実際にやった例をご紹介しましょう。


数分間で三連投し、4万インプレッションを超えました


ひとつ目の投稿は、新商品発売の告知。インプレッションは、最終的に3,491でした。このアカウントでは平均よりも2割ほどインプレッションです。


2つ目の投稿は、その商品の使い方シチュエーションみたいなことです。インプレッションは、15,837でした。急に跳ね上がりました。



3つ目の投稿は、意外な使い方。一般的には予想外になるような切り口です。インプレッションは、19,991でした。


3つの投稿の合計インプレッションは、39,319。返信への返信もしていて、トータルで43,188でした。返信への返信は、両者をフォローしているか、こちらのプロフィールページを見て読むしかないのですが、どうであれ、三連投から派生したものです。

3つ目がいちばんインパクトがあるように考えて、投稿をしています。この日の投稿はいわば、起・承・転。リアルタイムでTwitterアナリティクスをチェックしていると、やはり3つ目が最も拡散してから、2つ目、ひとつ目へと遡って見てくれているようです。それが狙いなのです。
ところが2つ目に遡って見てくれた人は1万人以上いそうですが、ひとつ目まではほとんど行ってくれていないようです。計画通りには、なかなか行きません。総合的には、狙ったぐらいのインプレッション回数以上でしたので成功ではあります。


あっという間に、タイムラインを流れていってしまうTwitterの投稿


もっとも拡散しやすく、すでにフォロワーになってくれている人以外にも広く届くSNSはTwitterだと思いますが、欠点はあっという間にタイムライン上から消えていってしまうこと。

Twitterの広告は常に上位に表示されますが、これはテレビCMと同じ考え方。費用をかければかけるほど、広く届きますし、認知も強化されます。でもノイズになっていてマイナスイメージになっていても、それを知ることは出来ません。悪印象を強化していることだって、あるでしょう。
ところが投稿なら、エンゲージメントで知ることができます。悪印象なら遡ってツイートを見てくれるのは少ないでしょうし、最初に書いたようにフォロワーが激減するかもしれません。

興味を持ってもらえて、しかもウザいと思われず、遡ってツイートを見てくれる。読んでくれる。そして一気にインプレッションを最大化する方法が、三連投です。
もちろん個人的な経験則ですし、普遍性があるとは思えません。四連投五連投ならもっと効果が上がるんじゃないかという意見だってあるでしょう。

連投して効果が上がる大原則は、面白いと興味を持ってもらえるストーリーになっているかどうか。フォロワーから見て、有意義で遡ってツイートを見たいと感じてもらえる内容かどうかと思うこと。
意味があるなら十連投だっていいかもしれませんが、10ツイートにストーリーも持たせることは著名な脚本家が挑んでも、よほどの費用をかけない限り、なかなか難しいでしょう。


三連投を使っていいタイミングは


上に貼付けた3番目の画像の、棒グラフを見てください。一時間単位のインプレッションの推移が表示されていますが、このツイートによるインプレッション数は19,991。
オンマウスしたところが濃いブルーになっていますが、最初の一時間のインプレッションは18,194。ほとんどのインプレッションが、最初の一時間で起こっています。悪く言えば、その後は消えてしまっている。
今まで何度も三連投を使っていますが、似たような傾向で、それでいいという最初からの狙いです。

つまり三連投をしているのは、店頭やその他のSNSやメディアとも連動したタイミングで、一気に認知を上げようという目的です。

下の画像では、28日間のインプレッションの推移を見ることができます。三連投したのは濃いブルーになっているところです。




この日の前後インプレッションが低いのは、ツイート数を少なくし、Twitterフォロワーに対して情報飢餓じゃないですけれども「大人しいな」という状態にしているからです。なによりメリハリをつけることが大切です。

Twitterだけで完結するわけではありませんし、例えばパブリシティは同タイミングで発信したとしても、ウェブメディアでさえ1日以上のタイムラグがあります。
(事前にパブリシティを行うようなキャンペーンであれば、連投の役割はあまりないと思います)


他の手法と比較すると


三連投をして、その後をどうするか。一時間程度の拡散で、ほとんどのフォロワーに届くわけがありません。見なかったフォロワーに向けて、その後も地道なツイートが必要です。
三連投のようなウザいと思われるかもしれない手法を、何度も使うわけにはいきません。これまでの経験上、拡散したツイートとまったく同じものでも1ヶ月経てば、ほぼ同じぐらいの拡散が期待できます。

[Twitterアナリティクス]のツイートの詳細では、インプレッションではなくエンゲージメントで、「これだけ反応してくれたツイートを、もっと多くの人に見せよう」というニュアンスでTwitter広告に誘導しています。
でも同じツイートを何度も何度も広告として出すのは、どうなのでしょう。確かにアクティブな全フォロワーに届くかもしれないですが。

それよりは多少内容を変えて、ツイートする方が効果的です。それにはフォロワーが反応してくれたポイントを想像して、ポイントは外さず、形容したり装飾する部分を変えます。
そうやって構成したのが、矢印で示した二日間のツイートです。





オンマウスで濃いブルーになっている日には、2〜3時間の間隔を空けて単独で5ツイートしています。翌日は同様に間隔を空けて単独だと3ツイートだけです。これで6万インプレッションに迫っています。
もちろん様々な返信もしていますので、ほぼツイッターに貼り付いた状態。他の仕事が出来ません。かなり面倒くさいですが、まっとうなやり方だと思います。インプレッションだけではなく、エンゲージメントも稼げる。トータルでは三連投より、ずっといい効果です。


三連投のメリット・デメリットをまとめると


投稿方法がどうあれ、いずれにせよフォロワーにとって有益だ、素敵、面白いと思ってもらえるツイートじゃなければ、投稿する意味がないという前提ですが、簡単にまとめると


三連投のメリット
  • 短時間でインプレッションが稼げる
  • どれかを見た人には、他のツイートも見てもらえやすい
  • 他のプロモーション手段と連動した設計がしやすい
  • 事前の準備以外には、あまり時間を取られない


三連投のデメリット
  • (ファンである)フォロワーのフォロワーには、マイナスイメージになる危険性も
  • その時に届かなかったフォロワーには、しばらくTwitter上で届けにくい


もっと簡単に言うなら、新商品の投入時などには試してみるべき手法です。




2014年12月4日木曜日

【スターウォーズ エピソード7】を見ていると、本当にディズニーは変わったんだなと



11月28日、【スターウォーズ エピソード7】の予告編が公開されました。
2012年にルーカスフィルムはウォルトディズニーに買収され、ルーカスの手を離れた初めてのスターウォーズです。

ご覧になっていない方は、こちら。公式の予告編です。




すぐさまパロディ動画が続々と公開されました


11月29日の公開です。


面白いですね〜 これってディズニーが作ったのかなと思い調べてみると、Darren Wallaceというオーストラリアのデジタルアーティストでした。フリーランスということですが、なにも関係がなければディズニーがすぐさま削除要請を出しそうです。


こちらも11月29日の公開。
ルーカスが監督していたら、という設定のようです。

マニアックなファン向けですね。


これはなんと11月28日公開。


私は爆笑しましたけど、さらに複雑なマニアックさです。もしメル・ブルックスが監督していたらという設定で、メル・ブルックス制作の『スペースボール』というそもそもスターウォーズのパロディ映画の映像を切り貼りし、音声は公式の予告編から取ったものを使っています。パロディのパロディ、そのまたパロディでしょうか(笑)


ディズニーが削除要請をしないのは、どうして?


他にもいろいろ作られていますが、今のところディズニーは削除要請をしていないようです。
今まで何度か書いていますが、ディズニーは著作権に関してそんなに甘い会社じゃなかったはずです。というか最も厳しいはず。長い間仕事をさせていただいていたので、けっこう詳しく知っています。
ところがどうも、アナと雪の女王あたりからですよね。大きく戦略が変わったように思えるのは。
YouTubeと音楽プロモーションのトレンドと著作権


実はその前にもこんな動画があります。ルーカスフィルムを買収した後の、2013年4月11日に公開されています。
ディズニーランドでも撮影してるし、いったいどういうことなんでしょう。


ルーカスフィルムは、マッシュアップの素材を提供していた


THE WALL STREET JOURNALアメリカ版、2007年5月の記事です。
Make-It-Yourself 'Star Wars'というタイトルで、ルーカスフィルムが30周年を記念して、スターウォーズのクリップを公式サイトで公開すると書いています。
ファンはカットを追加したり、マッシュアップしていいですよ。ブログやSNSに自分の作品を投稿することもできます。ということのようです。
英語ですので、正確にはこちらを読んでください。
Make-It-Yourself 'Star Wars'

どうもネット上では規制するより、マッシュアップを公式にバックアップした方が得策だと考えたようです。公式サイトへも集客できますし。
http://www.starwars.com/



2007年にこんなオープン戦略を採用していたなんて、かなり素晴らしいことだと思います。禁じたところで、いくらでも出てくる。それならちゃんと自由なクリエイティビティを支援した方が、ブランド管理上も広報上もいいですよね。


アメリカではルーカスフィルムがディズニー傘下になって、スターウォーズはどうなると心配しているファンが多いそうですが、どうやらポリシーを受け継いでいるようですよ。
ディズニーは、ソーシャルメディア時代も先端を走っているみたいです。




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