2015年6月23日火曜日

父の日の動画プロモーション7選プラス1



いままで仕事で母の日の制作物はさんざん作りましたが、父の日は関わったことがありません。父の日って、いつだっけというぐらいですが、今年は一般の人がTwitterで動画を投稿しているのを何度も見ました。やはり手作りのものは、なかなか感動的。

企業ものも、増えてきているようですよ。そんな中から、気になった7本と番外編を1本をセレクトしてご紹介します。
来年再来年と、少しずつ盛り上がりそうです。



◎トヨタ自動車 


クルマを舞台に繰り広げられる父と娘のストーリー

けっこうプロモーションしていたようで、目立っていました。クルマは家族の記憶と密接に関わっていると思いますが、今後もそんな存在であり続けたいということでしょうか。だけど私はこんな耐え続けるアッシーくん(古っ)みたいなお父さん、いやですねえ。偉そうなこと言われたら、歩いて行けと言います。言ったこと、ありませんが(笑)


◎サッポロビール


ヱビス「父の本音。娘の本音。」


ヱビスのウェブCM。なぜかYouTube以外で、ツイートしたりしていないようです。よくあるシチュエーションですけど、なんかホロっと来ますね。そろそろ親子で飲む設定では、息子との対話ものを期待したいところです。
テレビCMでは滝川クリステルさんが、父と飲む「いい娘です」ですから、ウェブCMとテレビCMで対象にする年齢層を変えているということでしょうね。


◎ワコール


父の日にパンツをおねだりしてください


大胆な試みです。もう泣かせの父の日より、こういうテイストが若いパパには合ってるし、うれしいのではと思います。ただ父の日にパンツをおねだりするなんて、とんでもないと感じる人は多いのではないでしょうか。私は絶対自分で買いますし。
それに父からねだらせるなんてハードル高過ぎ。娘から送りましょうよとメッセージした方が効果的なんじゃないのと思ったら、これはそんな感じかも。どうせ母と相談してプレゼントするでしょうから。




◎レノボ


YOGAタブレットがあれば


なかなか無理がある設定だと思いますが(笑) レノボは6月17/18日にTwitter動画を4本ツイートしていたようです。父の日とほとんど関係ないながらも、機能は伝わりました。


◎ラコステ


プレゼントは、大きな箱に入っているとは限らない


Vine動画です。ラコステのオードトワレ。父の日ギフトとしては、いいかもしれませんね。動画もあっさりしていて、爽やかです。


◎南三陸復興ダコの会


名刺入れレーザー加工の様子

なかなか難しい動画です(笑) 文字では名刺入れのレーザー加工の様子と書いてありますが、この動画では名刺入れとか、名入れとか、まったく分からないです。またオクトパス君のツイートは、動線がなくて、どうしていいのか迷います。そのあたりが何とかなれば、可能性が広がると思うのですが。


◎タワーレコード


『スティッキー・フィンガーズ』スーパーデラックス・エディション


スーパーデラックス・エディションの中身のバラエティさは、伝わってくるVine動画です。でもメッセージがもう何でもいいから買ってくれという、ただの父の日便乗ツイートですね(笑) 3枚のリマスターSHM-CDとDVD、7インチシングルと書籍という内容で、お値段19,980円! 間違いなくコレクターズアイテムなので、ローリングストーンズファンのお父さんが、自分でご褒美買いしかないですね。



◎オバマ大統領


父の日にあたって「父親の権利」について語る



これは2013年6月17日に行われた、オバマ大統領のビデオ演説の映像。児童支援関連法の改正を呼びかけたものですが、いいことおっしゃいますね。




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2015年6月12日金曜日

アジアの四大妖術と、すっぴんブームの交錯する関係






先月の終わりごろ、こんなツイートが拡散されていました。
さまざまなネットメディアでも取り上げられていましたが、 どこが最初の発信元なのかまでは探せませんでした。どうも中国の掲示板発のようです。



  • 中国のフォトショップ術
  • 韓国の整形術
  • 日本のメイク術
  • タイの性転換術
ああー、だよねと誰もが納得してしまう面白さ。中国だけではなく、韓国でも日本でも、多くの人が盛り上がったようです。
私は中国のフォトショップだけは、どうなんだろ。修正しましたどころじゃなく、福笑い的なコラージュに思えるものが多く、妖術というレベルかなぁと疑問です。

日本のメイク術は、それはもう。でもどんどん盛っていけば、メイクというより立体絵画みたいなもので(笑) そうだ、ざわちんさんの技術と感性は、妖術レベルかも。私は好きです。

ともかくアジアでは多くの人が「女性の顔は、素とかけ離れている」ものだ、と感じているのでしょうね。


特に写真は、造られたもので当たり前?


Instagramでは写真にフィルターをかけたり、様々な機能を使うことが簡単です。デジカメでも様々なテイストのフィルターで写した写真を、雰囲気のあるものに変えてしまう機能が入っていたりしますので、使っている人ならこんなに変わるんだと感じていることでしょう。

日本ではそれ以前に、プリクラがありますよね。現在の中国のフォトショップ術に近いかもしれません。
プリクラどころか、照明写真機だってとんでもなく高機能になっています。大日本印刷の証明写真機は、背景も選べて、美肌補正や肌色選択、ニキビやヒゲを目立たせなくする機能まであるそうです。



ソーシャルメディアでは、「雰囲気盛り」が主流かも


写真が造りものかどうか以前に、光や角度、それに表情でどうにでもなってしまうのですが。
今のポートレートの主流は、明るく、ふんわりした女性っぽいもの。こういう写真は、まさに人物が主体というよりも雰囲気・空気感で見せているので、メイクで盛っているといるのではなく、雰囲気を盛っていると言えるかもしれません。

ずいぶん前に『SNSで認められる写真力って、どんなの?』という記事で、「隙のない完成された写真は整形美人」「だけど水平がおかしかったり加工されていない“生写真”がいい」みたいなことを書きました。
その後、空前の自撮りブーム。『SNSで使える生写真の撮り方』で書いたのは、自然光をライティングとして使う。いい光の場所・角度に自分で移動するみたいなことですけど、自撮りテクはそれに近い。室内でも肌がキレイに見える光の場所に自分が移動し、かわいく見える角度や背景を探すということですから、被写体が風景やモノではなく自分だというだけで、同じことですよね。リアルに生というよりも、光や角度、場所で盛っているとことかもしれません。


海外セレブやタレントは、こぞってすっぴん写真を公開


日本では高須クリニック提供のTBSの番組『スッピン!』が始まったのが、2012年の春。そのころ、ママタレを中心に女性タレントがブログですっぴんを晒すことが、ちょっとしたブームになりました。

TBSの『スッピン!』は、メイクを落とすところから始まって、最後にすっぴんを見せるというもの。高須クリニックは、メイクを落とした顔を見せるには、やっぱり整形でしょうというメッセージを出していたのでしょうか。
タレントのすっぴんは、ブログのアクセス増を狙ったものと言われていました。ほとんどがアメーバブログですから、たぶんその可能性が大きいですね。タレントがブログですっぴんを出したとなれば、ネットニュースでもこぞって取り上げられます。
先駆けとなった小森純さんのケースでは、すっぴん掲載の翌日がほぼ250万アクセスになったそうです。
J-Castニュース

一時下火になったといわれたすっぴんブームですが、昨年は海外から大物たちのすっぴん写真が投稿されています。
「乳がん認知向上キャンペーン」では、すっぴんセルフィー「#nomakeupselfie」を付けてTwitterやInstagramでセレブたちが投稿。このムーブメントの影響が、一般人にも波及しているようです。




とはいえ、ミランダ・カーさんキャメロン・ディアスさんの投稿も、写真そのものはセルフィーといっても、たぶん誰かが撮影したのでしょうし、見事に「雰囲気盛り」です。

最近、話題になったのは元AKB48の秋元才加さんの投稿。
あまりのギャップにびっくりしますけど、見事に計算されたアングルと表情です。



ただ“すっぴんセルフィー”がこれだけ多くなって来ているのは、ソーシャルメディアの影響が強いのではないでしょうか。ソーシャルメディアに著名人がアカウントを持てば、ステージの向こうから、より日常に近いところにやってきます。
カジュアルな価値観に降りてこないと、ソーシャルメディアでは発信することがないのも事実でしょう。


毛穴そのものをなくす施術や毛穴を残した写真の加工も


整形や盛り過ぎメイク、フォトショップによる加工や合成が当たり前になっている一方で、世界的なすっぴんブーム。気分として、もう盛り過ぎでありのままの本人とはかけ離れていることより、ノーメイクで素に近い顔と日常的な表情が求められているのかもしれません。

かつて音楽の世界でも、デジタル化でクリアな音に対するローファイブームがありました。食品の世界でも、オーガニックや素材の良さを活かす日本料理が人気になったりと、揺り戻しのようなムーブメントはあります。
妖術 vs すっぴんも、そんな揺り戻しかもしれません。他のジャンルでの揺り戻しは、徐々にナチュラル勢力が強くなっているように思えますが、どうなるでしょう。

最近、美容皮膚科では毛穴をどんどん小さくするメスを入れない施術が流行しています。ヒゲをなくしたいおじさんまで、やっているそうです。タレントの写真の加工も、肌のところは毛穴をどう残すか、あるいは作るかがクオリティになってきているようです。

揺り戻しがあると、混ざっていくようですね。



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2015年6月3日水曜日

もうひとつの全仏オープン準々決勝[adidas|Y-3 vs ユニクロ]の戦い

毎回深夜の放送で寝不足になってしまいますが、昨日の錦織選手は残念でした。

プレイのことではないのですが、私には錦織選手とツォンガ選手の準々決勝が始まってすぐ、気になったことがありました。開始直後、ツォンガ選手がアップになることが多く、ウェアの袖や裾に[adidas|Y-3]のロゴが見えました。
これは、もしかしてadidasがツォンガ選手のスポンサーをしているんだろうか。それにしてはロゴが小さい。そう思っていたら、あれ、ボールボーイやガールもツォンガ選手と同じウェアを着ている! 

すぐに検索してみましました。


全仏オープンが、コレクションのデビューする舞台に


によるアディダスの3月末のニュースリリースによると、「アディダス」ローランギャロスコレクションY-3”」というコレクションで「今年5月にローラン・ギャロスで開催される全仏オープンテニスでデビューする予定で、ジョー=ウィルフリード・ツォンガとアナ・イバノビッチという2人の世界的なテニスプレイヤーのほか、大会のボールボーイとボールガールも着用します」と書いてありました。
アディダスとY-3が2015年の全仏オープンテニスに衝撃を与える


Y-3のスポーツスタイルの宇宙とアディダスTennisの技術力を融合する、アディダス傘下の2ブランドの新たなコラボレーションだということです。

Y-3とは、山本耀司さんが監修するスポーツブランドです。ただスポーツブランドといってもファッションブランドであって、スポーツウェアとしての機能性は持っていないように思います。adidasテニスの機能性とY-3のデザインを融合させるということなのでしょう。

しかし、全仏オープンでどれほど、アディダスの新機軸が認知されたでしょうか。錦織選手が着るユニクロのウェアの派手さ、ロゴの大きさ、そして徹底した宣伝活動と比較すると、比べる意味をなさないほど控えめです。


アディダスは、ソーシャルメディアでタイムリーに素早く発信


ところがです。Facebookを見てみると、Y-3のグローバルのアカウントでは5月末から発信していますし、なんといってもこちらの投稿。


昨日の3時ということですから、優勝が決まった直後ですね。オンラインショップにも誘導しています。ところがアディダスの日本のアカウントでは、サッカーがメインで、朝にTwitterと同様の投稿をしています。


そう、錦織選手もシューズはアディダスでした。シューズは後述するとして、Facebook投稿のリンク先はどんなものでしょうか。こちらのオンラインショップです。


ツォンガ選手はハイビスカス柄のシューズを履いていましたが、どうも同じデザインではないように思えます。もちろん本人が履くのは、選手に合わせた特注品なのでしょうけれども。
※ハイビスカス柄ハワイアンプリントは、Y-3のこの春夏のモチーフになっています。

錦織選手も足下がアップになった時に見えたのは、アディダスのロゴでした。私はツォンガ選手と柄が違うだけで、同じものだと思えました。
いずれにせよ、アディダスはふたりのフットワークを支えるのはアディダスのシューズだと発信しています。
昨年からアディダスは、バリケード8プラスというモデルが、錦織選手を支えていると出しています。

アディダスの公式ブログ

ここではスタンスミス“モデル”のことも語られていて、私は上手いなぁと思って読んでいました。
スタン・スミスは、60年代から70年代前半にかけて活躍したアメリカを代表するテニスプレイヤーで、1973年に彼に因んで作られたテニスシューズとしてデビュー。不朽の名作といわれ、アディダス史上最も売れたスニーカーだそうです。ところが2012年にひっそりと生産中止し、2014年に復刻されました。
昨年からかなり見かけますので、ヒットしているのだと思います。あくまでシンプルなファッションアイテムとして受けているのだと思いますが、そこに錦織圭選手が語ると、マニアックな層にまで響きそうです。たぶんテニスをやる人の間では、復刻したスタンスミスは、まだまだ知られていないのではないでしょうか。


アディダスはニッチな層にアピールし、異なるクラスタに火をつける戦略?


全仏オープンにまつわるアディダスのソーシャルメディアの発信を見ていて、あまり拡散していないな。タイムリーだけど、大きく仕掛けていないなと感じられました。
もちろん全仏オープンですから舞台は大きいですが、Y-3ファンには機能性を獲得したことを知らせ、熱心なテニスファンには他のウェアやシューズとはファッション性だって違うところを伝えたでしょう。もちろん、ファッションが好きな若者にだって届いたでしょう。Roland Y-3はZOZOTOWNによるギャロスコレクションでも売っています。

実は深いところに入って行って、ただ“認知される”ことを狙ったのではなく、確実にポジションを押さえているという気がします。


ユニクロは全米オープン時と比べると、かなりのトーンダウン


昨年『全米オープンテニスにみる、ユニクロの慧眼』で「ウェブサイトやソーシャルメディアで展開するスピードがすごい!」と書きました。
錦織選手の他のスポンサーは、ネットにおいては時期を逸したような対応をしているのに、ユニクロは本当にタイムリー。急上昇する錦織選手人気のカーブとシンクロするような見事さでした。
ところが今回は、こちらのFacebookでは投稿のみです。Twitterも同様です。これだけでも、かなり拡散しているのですが。


しかも投稿にもリンク先のオンラインショップにも、「※一部ストアとオンラインのみの限定販売 ※品薄のため欠品の場合もございます。ご了承ください」と書いてあります。
試合終了後には、まだ何もありませありません。



実際、テニスキャップやキャップ、リストバンドなど大量に作れそうなアイテムが売り切れになっています。これは売れ残ることを恐れているのかもしれません。
全米オープンテニスのときには、これらのアクセサリーはなかったと思いますので、商品の幅を広げたのですね。

もしかするとユニクロは、テニスをやっている人たちがどれぐらい買ってくれるだろうかと手探りの段階にあるのかもしれません。
これまでは大量に売れたけれども、アピールする対象はマス。テニスをやっている人で、買ってくれそうな人はすでに買っているでしょうし、これまでに十二分にアピールできたはずです。より狭い層に入って行くのはユニクロの本筋ではないのかもしれません。


ウェアに関しては、adidas|Y-3とユニクロでは、倍以上の価格差があるのですから、戦略の違いは当然でしょう。
選手が実際に着用しているものと、市販されているモデルとでは異なっているのも当然です。ただ中継の映像からは、ツォンガ選手が着ているウェアはY-3らしくない地味なデザインだけれども、ラインがぴったりしていて上質そうだ。
錦織選手の着ているウェアは、首から脇にかけてのシワが出来ていて、汗で張り付いているのか、もともとデザインが合っていないのかなと思いました。あれだと多少なりとも動きにストレスがあるのではと感じました。


試合の前後に売るという数字では、きっとユニクロの圧勝でしょう。しかし今後はどうするのか、打つ手が少ないのではと思います。
アディダスは、控えめなイメージ戦略が功を奏して、それなりにブランディングにも成功し、これからどうするんだろうというところが気になります。



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