2012年12月28日金曜日

ソーシャルの仕掛け方_5

ソーシャルの仕掛け方_4より続く


ソーシャルメディアの活用方法として、ユーザーが見ている時間帯を想定して、そこに合わせて発信するのが有効だとする意見があります。でも見ている時間帯を想定できるものなのでしょうか。
いろいろ想定したところで、スマートフォンなどでアクセスする人も増える一方ですし、働いている時間帯も人それぞれです。
さらには、例えばTwitterであればフォローしてくれている人のほとんどに情報を届けようとすると、時間帯を特定した発信は意味があるとは思えません。Facebookなどでは、特定の時間帯に企業ページからの投稿が増えても、すべての投稿がニュースフィールドに表示されるわけではありませんし、ページフィールドを見てくれたところで、逆に多くの投稿に埋もれてしまうだけかもしれません。


じゃあ、どうするのがいいでしょうか。
ソーシャルの仕掛け方_4で、「12.解析ツールに頼らない」と書きましたが、複雑な解析は必要ないと考えています。でも簡単なツールで、大まかに把握してことは必要でしょう。
グラフィカルTwitter分析whotwiというものを使ってみました。無料で、とてもわかりやすいツールです。
これで様々な企業アカウントの動きを観察してみました。ある、同じ日に分析した結果の一部を抜粋させていただきました。




これは大手通販会社のカスタマーサポート的なアカウントです。
特徴的なのは、@率が96.5%。お問い合わせに返信しているのが、ほとんどです。1日の平均ツイート回数が50回ですから、たぶん複数の担当者での対応でしょう。
また時間帯が見事に、平日の10時から17時台に収まっています。これは多くのサポートアカウントに共通するのですが、対応する時間帯を決めておかないと、対応しきれません。

















こちらは大手アパレルグループのアカウントです。ECサイトもありますが、実店舗の方が扱いが大きいんだと思います。
特徴的なのはツイートしている時間帯。なんと、土日も含め朝の7時から深夜2時まで発信されています。ところがひとりごと率が99.7%というところが、残念です。調べてみると、同じことを何度もツイートする連呼型の情報発信だけ。ユーザーとコミュニケーションは、まったくと言っていいほどありません。

単独の発信で、同じことを繰り返すということは、ほとんどのフォロアーに届いているだろうと想像されますが、親しまれているとは思えません。











若者向け大手ファッションECサイトのアカウントです。
特徴的なのは、1日の平均ツイート回数が2.6回。どう考えても少な過ぎます。しかも販売の主力であるはずの土日には、ほとんど発信されてもいません。
リンク付き率が77%で、たぶん自社ECサイトの商品ページとのリンクだと考えられますが、ここは妥当なところでしょう。平均ツイート間隔が9時間ということは、「1.場をあたためる」なんてことは到底無理で、ECサイトオンリーの会社の使い方とは、とても思えません。
ちなみにこの企業の主力プロモーションツールは、メールです。楽天的な手法ですが、ファッションでどうなのかと、疑問です。











大手通販会社のアカウントです。ECにどんどんシフトされているようです。
特徴的なのは、@率が89%1日平均のツイート数が55回で、しかも月木金、なかでも金曜日に集中してツイートしているということは、メインとなる働く女性たちとのコミュニケーションを主目的にされていると思われます。たぶん、金曜日の夜からの注文が多いのではないでしょうか。月曜日は、そのフォローだと想像しています。
平均で1日55回。火土日はまったくツイートされていませんので、金曜日はすさまじい数のツイートだと思われます。きっと、関係ない人のTLには表示されないReply(頭に@+ユーザー名を付ける)でコミュニケートされているんでしょう。











大手家電メーカーの女性向けブランドのアカウントです。ここはもう、チェックして驚きました。1日平均のツイート数が0.2回。平均のツイートの間隔が5日。そして平日の昼間だけで、ひとりごと率が97.3%という一方的な発信のみ。 高齢者がターゲットであれば、それでもいいと思いますが、むしろ、情報収集をネットでする層にニーズが高い。店頭で試してネットで買うショールーミングというよりも、口コミでの評判を重要視されそうです。これだとアカウントを持たない方がいいという気がするのですが。















 中食デリバリーの大手のアカウントです。ECサイトへのシフトが著しいのではないかと思います。早朝をのぞき一日中ツイートされています。しかも@率が99.5%。どうなっているんだろうと調べてみました。単独の情報発信もされていますが、Twitter上で関連するワードでツイートされたものを検索し、そのツイートに対してReplyされたものが、数多く見受けられました。つまり積極的に絡んで、コミュニケーションされている。反感も持たれていないようです。これで売上にも密接につながっているなら、もう脱帽するしかありません。





そしてこれが、当社で運営させていただいているアカウントです。朝9時から深夜まで。そして@率71.7%とコミュニケーションを主体としながら、バランスのとれた運営が出来ているんじゃないかと思っています。
時間帯や曜日も、ほぼ均等に発信することによって、ユーザーが反応してくれやすい時間帯もわかってきますし、同じ内容を別の切り口から書いたりすることで、ほとんどのフォロワーに届けられ、また何度もツイートを見ている人にも、なるべく嫌がられない発信ができるのだと思います。








ソーシャルメディアを運営する上で、まず最初に考えておかなきゃいけないのは、運用のスタンス。理論を重要視するより、実際にやってみた反応で修正していくことも大切ではないでしょうか。 当社がソーシャルメディアを運営させていただいているクライアントから、単独発信ではないReplyが多過ぎるのではと指摘されたことがあります。一覧でチェックすると、そうなんですね。伝えたいことを言っているツイートの何倍もの、フォロワーとのやりとりが、ずらーっと出てくるのですから(笑) 
でも、そんなチェックの仕方をするのはクライアントと、あとは調査している人だけです。フォロワーとのやりとりがあるから、安心して絡んで来てもらえるし、いいバイラルが起こりやすい場を形成できるのだと思います。 もちろんソーシャルメディアを取り巻く環境や季節要因などによって、状況は日々変化しています。たとえば今日なら、仕事納め前後でアクセスする人、発信する人も少なくなっています。そこでどんな運用をしていくのが効果的か。反応を見ながら、変化させることが必要ですね。




2012年12月3日月曜日

見ているものが違う。

先日、仕事で使うバッグを買い替えた。使っていたものがヘタって来て、そろそろ新しくしなきゃあなぁと思って。
もちろん会社の周囲には、腐るほどバッグを扱っている店がある。でもあちこち見て歩くような時間はないので、ネットでちょくちょく検索するようになる。結果、いろんなEC、A社やB社、C社のサイトに辿り着く。すると当然のように、個人のブログに行った時でさえ、ABC社の広告が表示されるようになる。ネット関係者には当然すぎるほどの、行動ターゲティングやアドエクスチェンジというやつだ。これが効果的だという主張は、さんざん聞かされるけれども、そうなんだろうか。私がバッグを買ってしまった後も、けっこうな期間表示されていました。

もっともリコメンドの仕組みが優れていると言われるAmazonでさえ、私に送られてくる「おすすめ商品」のメールはスパムのようで、けっこう笑える。アフェリエイトで表示させるために検索した書籍や、あるいは仕事のために検索しただけの商品をすすめてくる。仮装やコスプレなんていう趣味はないですから(笑)

Yahoo! メールを利用するため、Yahoo! JAPAN IDに登録する。生年月日等を聞かれる。するともう、サントリーの精力剤的サプリばっかりが表示されるので、笑うのを通り越して、うんざりしてくる(笑)




本当に、こういう手法が効果あるんだろうか。そりゃあ、一定の効果はあるでしょう。楽天などは日本での先駆者で、効果をあげているんだから。ただ“誰にでも”効果があるわけじゃないということでしょう。あるアドエクスチェンジを検討していたクライアントは、2chまで追いかけてくるなんて、普通は気味が悪いと思うから、うちは使わないとおっしゃっていた。


ネットやITの世界は、パーソナライゼーションが異常なスピードですすんでいる。Googleは、個人に最適化した検索結果を表示させるために、どんどん進化している。ユーザーが過去に検索した言葉やログイン場所。ブラウザーなど57種類ものシグナルを利用して、検索結果を表示するようになった。
これが便利だと思ったことは、私はないんですが、パーソナライゼーションの結果どうなるか。
行動ターゲティングやアドエクスチェンジなら、結局は広告だから、多くの人が広告だと認識している。それを、しつこいと感じる人もいるし、なんだろうと思ってクリックする人もいるでしょう。だけど検索結果が、異常にパーソナライゼーションしていたら。







ブランド価値なんて、世間がどれだけ知っているか、どう感じているかをベースに、個人の価値観が形成されていることが多いんじゃないんだろうか。たとえばエミリオ・プッチというブランドは、女性ならセレブ向けで憧れの対象だという認識でしょう。でも多くの男性にとっては、エミリオ・プッチを着ている女性を見ても、ヘンな柄の服着てるなぁとしか思ってないかもしれません。若くても、おっさんでも、たぶん年齢を問わず。
それはまず、ブランド名の認知が低く、世界中のリッチな女性が着ているという情報を知らないからではないでしょうか。

情報が共有されている女性同士なら、とりあえず、まあステキねぇとなるからok。でもモテを考えている女性の選択肢からは、外れてしまうかもしれません。

女性向けファッション誌が根強く読まれていたとしても、ネットの無料情報がどんどん拡大していきます。そして「異常なパーソナライゼーション」の結果、むしろ共有されない情報の方が圧倒的になっている今、そしてこれからはどうでしょう。
もしかしたら情報化社会は、可視化というような言葉で表現されるようなオープン方向ではなくて、急速にクローズドに向かっているような気がします。


考えてみれば、これだけ政党が乱立しているのに、本当のところは何を約束しているのか、よく分からない。約束していることを信じている人は、ほとんどいないというカオスな政治状況が象徴しているかもしれません。
何かの購買行動を起こす時に、ネットの評判をチェックするという人が少なくありません。だけどきっと、出回っている評判が、仕掛けられたものだったり偏ったものだと疑っている人も増えていることでしょうね。