2013年9月26日木曜日

行列までして、買ってくれる理由 -4


画像:アップルストア渋谷
先週の木曜日、19日は9時前ぐらいに会社を出た。公園通りに出て、ギョッとした。
な、なに、この座り込んでる人たちは。

ガードマンが後ろにいるし、[列の最後尾です]と書いた立て看もあるし。ってことは、20日販売開始のiPhone5s、5c待ちでアップルストアから並んでるってことね。今朝、開店前のアップルストアにはマイチェア持ち込んで座ってるのは、4人ぐらいだったのに。アルマーニA/Xのあたりだから、ざっと100人ぐらいか。
そのまま歩いて行くと、けっこう皆さん若い。20日が発売日だから、朝晩は冷え込むようになったし、外で徹夜するには若くないとね。

画像:新型iPhone発売前夜の行列


翌朝、どうなったのかと公園通りを登っていったら、アップルストア前はリンゴのロゴ入り黒いこうもり傘がいくつも咲いてた。日よけ用に、貸し出してる。
行列は信号をふたつ越えて伸びている。なんとDress Blackのあたりまで。Dress Blackというのは、渋谷区役所の真ん前。だいたい300人ぐらい? 
ツイートしてる人によると、徹夜組は400人〜500人という説も。本当なら、NHK横の代々木公園まで並んでたのかもしれません。

画像:新型iPhone発売日の行列


アップルは、「最新型iPhone」は20日の発売から3日で900万台を売り上げ、「iPhone 5」の最初の週末の売り上げ台数500万台の記録を更新したと発表したそうだから、世界中でこういう行列はあったんだろうか。





▶iPhoneのなにが、そんなに熱狂させる?


私はiPhone5ユーザーですが、いったい何人から「iPhone5sを買うか」、買わないなら「いつiOS 7にするんだ」とか、そんなことを聞かれたことか。聞いてる本人は買いたいから聞いてるんだろうけど、私は新しいデバイスに興奮するタイプじゃないし。家電だって、新しいものを買ったりしない。値落ちしてからで、ぜんぜんいい。
そんなどころか、仕事で使うからiPhoneにしてるけど、仕事で関係なければいまだにガラケーで十分だと思っているぐらいです。

会社を作った時は、まだほとんどのデザイン会社が手作業してる中、最初からMacを使ってるし、アップル好き、ジョブズ好きではあるけど。仕事を離れて考えると、あんまり…
Macを最初に見たのは、立花ハジメさん宅に行ったとき。ネコの毛が舞う中、当時フェラーリと言われてたアップルIIが置いてあった。フェラーリと言われたのは、値段と希少性。そんな時と比較してもしょうがないけど、いまやiPhoneはどこにでもある。通勤電車の中でも3割ぐらいの人が、iPhoneをいじってる感じだ。

今回、5sに関しては発売直後から、ゴールドないってよ。シルバーも入荷未定らしいなんていうツイートが飛び交ってた。指紋認証とか新機能じゃなくて、多くの人がメタルカラー目当てなの? アップルストア以外のキャリアの販売店や量販店には、ゴールドもシルバーも入荷されなかったのかもしれない。
しかし、そんなことで徹夜するか。
20日の販売開始後は、おじさん組もけっこう行列に混じってました。

ということは、メタルカラーの希少性幅広い年代で安心して話題にできるデバイスってことなんでしょう。
仕事上で安心してできる雑談ネタって、少ないですしね(笑)



▶ネットメディアが乗る話題


19日の夜、テレビを見てたら、銀座のドコモショップに並んでる人たちがいるという報道をしてた。一番乗りは、数日前から並んでるという内容。なんだ、それ。渋谷のドコモにはひとりも並んでないし。ドコモのパブリシティなんじゃないのと思いながら見てたら、あ、この人は! と気がついて笑っちゃって。
数日前から並んでたのは、ロケットニュースのライターの人だ(笑) 

画像:ロケットニュースのサイトから


これ、裏の仕掛けがあるのかどうなのか。ドコモの社長まで登場して、その後のパブリシティで使われていることを考えると、たぶん裏はなさそうな気もする。ロケットニュースが自前で取り上げる記事として、まったく違和感ないし。数日前から泊まり込みというバカっぽさも、長年のドコモユーザーがiPhoneに移行するという切り口もロケットニュースらしい。
ドコモとしては、ロケットニュースのライターが一番乗りだというのは、パブリシティの素材として、メリットはまったくないだろうし(笑)


だけど今や、有力なネットメディアに取り上げてもらうことができるかどうかというのは、PRとして、とても重要だ。テレビの影響は大きい。でもスマホ自体、ほぼウェアラブルにネットとつながるツールとしての価値がメインなんだし、ネットでバイラルに広がることが不可欠。

ネットメディアは、ネット関連の話題やガジェットを扱ったものが多い。たぶんほとんどのネットメディアが「最新型iPhone」の発売を取り上げてた。GIZMODOは、発表イベントから発売、製品や周辺商品のレビューまで入れると、100本以上の記事を公開しているかもしれないです。

需要があるから、そこまで追いかけてるのか。と考えると疑問ですが、発売後は、これから買おうかと考えている人にとっては、レビューの厚みは魅力のあるコンテンツですし。すでに買った人にとっても、便利な使い方や周辺商品の情報は貴重なはずです。発売前のフライング情報や発売をリアルタイムに追いかけることで、発売後のアクセスも確保できるということなんでしょう。もちろんGIZMODOにとってはアクセス増が、広告掲載をする媒体としての価値を増大させてくれるわけですから。
iPhoneは、イノベーターと呼ばれるような新しもの好きだけではなく、レイトマジョリティウケもする大衆商品のポジションなんでしょう。
そうだとすればどのネットメディアにとっても、新iPhoneは集客の読めるコンテンツ。どのネットメディアも趣向を凝らしたり、センセーショナルに取り上げるから、多くの人が煽られて注目する。



▶イノベーターは、メタルカラーが欲しい?


私に「iPhone5sを買うか」と聞いてきた人の中で、ふたり似たようなことをいう人がいました。それは、新しいAirが出たら買う。買って、スタバでMacBook Airを使いたいというのです。意味がわからない(笑) 
なんでですかと聞くと、ふたりとも「使ってみたいじゃないですか」という答え(笑) ますます意味がわからなくて。私、家ではMacBook Airを使ってますけど、持ち運びに便利なようにと11インチにしたので、小さいなんてもんじゃない。仕事でクライアントのところに持って行ってデザインのラフなどを見せたりすることも、たま〜にありますが、小さすぎて問題があります。来るんだったら、プリントアウトしてこいと言われます。だから失敗したと思っているんですが… 
スタバでAirを使ってるノマドがカッコイイとも思いませんし、ノマドっぽく見せたいならスタイルからなにから、それ風にしないと、ですよね。

画像:アップルストア渋谷

iPhone5sの話から、Airに移ってるんですけど、要するにスタバでAirを使うのは、まだまだ最先端っぽい、わかりやすいアイコンだということなんでしょう。そう思うのは、ネットの有名人のセルフブランディングに毒されてますよ(笑)

iPhoneブランドは、すでに最先端でもなんでもない。誰だって持ってる。5sは最先端だけど、買ってもパッと見で新機種だとわからない。でもメタルカラーなら「ふふん〜」と言いながら見せびらかすことが出来る、ということなのかもしれません。
あ、かわいい狙いのiPhone5cなら、ひと目でわかりますよね。5cは廉価版というより、ハード的にはほとんどiPhone5と同じらしいので、おトクさに加えてカラーリングと質感なので、女性の人気は高いかも。



iPhoneユーザーに新しもの好き、新機能好きのイノベーターが多いということは、たぶん間違いありません。あるクライアントがスマホの新しい機能を使ったiPhoneアプリとAndroidアプリをリリースしたところ、iPhoneアプリのダウンロードが圧倒的に多く、確か10倍近いとか。
前日から並んでた徹夜組は、そういう人が多かったのかもしれません。メタルカラーは手に入れられなかった人がほとんどでしょう。私の推測が当たっているなら、人前で指紋認証見せまくりですね(笑)




ドイツでは指紋認証を破ったというハッカー集団があらわれ、日本ではこんな人たちもいるようです(笑)



こういうとんでもないことをされるのも、ある意味、最先端の証でしょうし。
幅広い年代で安心して話題にできるデバイスであると同時に、世界的にいじれるネタなのかもしれません。


2013年9月10日火曜日

スマホシフトで、なにが起こってる?

ECサイトでも、スマホからのトラフィックがPCからのそれを上回ることが少なくないと聞きます。
もちろん、暇つぶしで見てるだけ。良さそうなものがあれば、後でPCからアクセスするとか、お店にチェックしに行くという逆O2Oもあるでしょう。ECサイトにとってみれば、良さそうと思ったらそのまま買ってくれるのが最も望ましい。でも、そんな話はあまり聞いたことがないですね。


▶ECのスマホサイトは、どうなってる?

現在最強のECといえば、Amazon。ここがどうなっているか、チェックしてみました。
ただアクセスしてみると、こんなです。


レゴのセットって関係ないし、どうしておむつ?(笑) 犬のおむつをAmazonで買ったことはありますけど、Amazonファミリーのカテゴリーだから関係ないはず。
サインインしようにも、一番下にありました。う〜、面倒くさい。

画像:スマホで見るamazon

ああ〜、炭酸水はかなり前に買ったことあります。※いまはLOHACOで買います。
以前に買ったものを買うならともかく、Amazon内で商品を検索して、それから買うのはハードル高そうです。これなら、アフィリエイト(このブログでも本を紹介しているときはAmazonのアフィリエイトです)からのリンクで買う方が、よほど楽ですね。
いまのところAmazonのインターフェイスもリコメンドの見せ方も、あまりスマホシフトしているようには思えません。


じゃあ、ZOZOTOWNはどうでしょう。日本最大の衣料品ECです。ほぼPCサイトの印象のままでキレイに整理されています。

画像:スマホで見るzozotown

ただ、こんなものが欲しいと決まっているならともかく、ZOZOのスマホサイト内で検索して買うのは大変そうです。PCと同様に[ジャケット・アウター]にタッチすると、すべてのジャケット・アウター、カバーオール、ダウンジャケット、テーラードジャケット、ライダースジャケットなどなど、ズラーっとナビゲーションが開きます。ナビゲーションも商品も選択肢が多すぎて、スマホにはどうなんでしょう。


あるところで、こんなことを聞きました。大手のアパレルはZOZO等の集積されたECよりも自社ECに力を入れていると。
それはそうでしょう。O2Oを強化しようにも、自社サイトじゃないとできない。それに集積されたサイトで売れるのは、流行とまではいかなくても、かなり出回っているアイテムやベーシックなものが中心。集積されたサイトでは、ディティールで差がつきにくく、価格の競争になりがちです。いわば楽天化していると言ってもいいかもしれません。実店舗なら、お店の世界感やコーディネートで差がつけるところですから、自社ECサイトの強化は必然でしょう。


つまりスマホでは、ECサイトも差がつきにくく、またサイト内で検索されることを期待しにくい。アフィリエイトなど外からのリンクや、Googleなどの検索エンジンから商品がある程度絞り込まれることが必要だと言えそうです。



▶ナビゲーションの混乱

前に少しだけ書きましたが、Googleは非PCデバイス、スマホやタブレットにも対応した、レスポンシブデザインを推奨しています。
でもレスポンシブデザインが、見る側利用する側にとって望ましいでしょうか。同じコンテンツをデバイスのサイズ、PCとタブレットとスマホで変えるだけで、中身が同じでいいでしょうか。少なくとも私自身、自分のこのブログをスマホで見たい、読みたいとは思いません。スマホで読むなら1/10ぐらいの文章量にしてくれないと、とてもとても。テキストリンクなんて冗談じゃなくて、リンクはぜんぶボタンにしないと。
そんな手間かけるつもりはないので、PCか大判のタブレットからお読みいただけますよう、切にお願いたします(笑)

Googleがやっているこの[Blogger]も、スマホで表示すると、こんな風になります。

画像:スマホで見る出口ありますけど

ヘッダの文字が読めないのは小さくしてる私が悪いんですが、サイト内検索もないし、右側のガジェット(Popular PostsもLabelsもBlog Archiveも)ないから、不親切な構造です。もちろんカスタマイズすればいいのですが、スマホ向けのコンテンツじゃないから、そこまでは…
デフォルトであるのはプロフィール表示で、Google+に飛ばすことだけ(笑)



企業サイトなら、ナビゲーションが使いにくいというのは致命的です。ECサイトなら、なおさら。よくASPを使っているから、自動的にスマホ向け、ガラパゴスケータイ向けに表示されるから便利だという意見がありますが、私はPC用のナビゲーションがそのまま表示されるようなものしか見たことがありません。
上に書いたAmazonの例でも、すでに買っているものがあって、それを再度注文するという人には問題なくても、それ以外の人にはどうでしょう。

それぞれの特性に合わせたサイトを作り、プログラムで振り分けた方がだんぜんいいと思います。日本のサイトは、振り分けが多いようですが、でもコンテンツとしては、同じものをデザインの再構成だけで使っているようです。
もっとも完全に作り分けができるのは、費用面で大企業に限られるかもしれませんが。通常は長い時間、企業サイトをチェックするとかお買い物をするということは考えにくいので、絞り込んだ商品だけを出すとか、やりようはいくらでもあると思います。

企業の立場としては、あらゆる商品や情報を出したいというところですが、すべての商品を均等に出すことで、使いづらい、うっとうしいスマホサイトになりがちなので、本末転倒です。


▶スマホに適したサイト、コンテンツとは

ちょうど2年前の防災の日にリリースされたウイダーinゼリーのスマホコンテンツですが、まだまだ使えそうです。

画像:極限の選択トップ

画像:極限の選択

【極限の選択】スマートフード ウイダーinゼリー 「防災の日」特別編


選択した防災アイテムでわかってしまうあなたの心理タイプは?という遊び。画面をフリックして右に右に進んで行って、最後に防災アイテムを選びます。ウイダーinゼリーが防災グッズとして必携だと言わなくても、ああ〜、そうだ。ウイダーinゼリーだったら水分もあるし、いいかもと思ってしまいます。暇つぶしの遊びにうまく絡めてます。これで2ダースぐらいのセットが、割引で買えるようになってればベストですよね。メーカーとしては、なかなか出来ないところでしょうけど。

コンテンツ自体のアイデアも操作もスマホ仕様という、好例だと思います。キャンペーンサイトだからこれだけ遊べるというのはありますけど、なにより考えずに操作できるところがいい。
スマホで何かするのに、論理的に使っている人は、たぶんまれ。だったら、直感的に使える必要がありますよね。




▶スマホサイトへのトラフィックと、スマホでの検索

Google Analyticsをチェックしても、端末によって振り分けているスマホサイトに、どこからアクセスする人がやってくるのか、そこまではわかりません。
スマホで森永の企業サイトに来た人が、【極限の選択】を見るのはあまり考えにくい。仕事関係か、就職を考えている人か、そんなところが中心でしょうから。【極限の選択】は、最後にSNSへ投稿できるようになっています。やっぱりこの手のコンテンツはソーシャルメディアでの拡散だし、そこからの集客でしょう。

またスマホサイト内で検索したり、ナビゲーション、リンクを次々に辿っていくことが考えにくければ、やはりソーシャルメディアからのリンク。ほかには、いつも書いてますがGoogleプレイス/ローカルの登録だし、Youtubeの活用でしょう。PC以上に、スマホでのGoogle検索は顕著だと思います。そりゃあ、スマホで検索結果を何ページも見るなんてしないでしょうから、Googleだって結果もより端的に返したいでしょうから。