2014年7月4日金曜日

メルマガが終了したとか、してないとか、そんな話はどうでもいいのに




画像:メールのイラスト




先日、あるクライアントのところで、メルマガの話が出ました。メルマガ自体は、うちの仕事とは直接関係ないし、個人的にもそれほど興味がないのです。
昨年あたりから、メルマガからのコンバージョン、購入につながる率が低下しているそうで「メルマガはもう効果ないんでしょうか。htmlメールにすれば改善すると思いますか」みたいな内容だったので、またこういう話かと思ってしまって、ため息が出そうになりました。

こういうメディアが、こういうツールが、こういうプラットフォームが効果的。あるいは効果がないなんて話は、ほとんどがいい加減なものです。
メルマガが終了したなんて風潮は、ソーシャルメディアの隆盛やLINEなどの通信アプリによって、メールによるアプローチの役割が低下するはず。開封率が低下した、という予想や傾向ではないでしょうか。



閉じこもりがちだからこそ、日常的な入口を増やす必要性


それを言い出したらマスメディアは、全般的に低下している。新聞は部数が激減し、いつ潰れてもおかしくないビッグネームが複数社あるし、雑誌はどんどん廃刊になってるし。


だからといってFacebookでダイレクトに売りにつながって、大成功なんていう事例は検索したって、なかなか出てきません。リーチが増大した。ファンとコミュニケーションが取れた。ウェブサイトに誘導して登録者数が増えた。ファンを巻き込んだ商品開発ができたというような事例ばかりです。
単純に考えると、ネットメディアはどれも狭い世界に閉じこもり気味。だからオウンドメディアも含めて、回遊してもらいながらファンになってもらうことが大切ではないでしょうか。
接点を多くして、日常的な入口を多く用意していないと、どうにもならないと考えています。もちろん爆発的にバズることも重要ですけれども。
『インフルエンサーって、誰?』- ツイッターで、トレンドに乗るとはこういうこと (2)




あなた向けのメルマガじゃなきゃ、積極的には読まれない


メルマガだって、日常的な入口のひとつです。話題が出た企業では、メルマガの登録者は実際にECサイトで買いものをしてくれた人ばかりという仕組みです。
であれば、購入金額や買いものの傾向から、いくつかのグルーピングをして、メルマガの内容を書き分けるということが必要でしょう。そこからリンクする先は、ECサイトの個別のページを用意するのが当然ではないでしょうかというお話をさせていただきました。
うちがかなりの部分、ウェブ制作をやらせていただいているので、作り分けしていないのは知っています。
たとえばもっとも購入金額の高いグループは特別扱いするのが当然ですし、購入の傾向とまったくそぐわないキャンペーンをメインでプッシュしても、嫌がられるだけかもしれません。
まず、タイトルで開封されないかもしれません。
もちろん高価な商品を扱っているなら、特別扱いするグループにはメルマガではなく、DMを作って送った方がいいでしょう。


ところがこの企業は、大手通販モールにも出ていて、そこのコンサルで、多くの情報を頻繁に出すという手法を取っています。それでもグルーピングで作り分けしていれば、効果的かもしれないのですが、面倒くさいようです。
確かに別々の内容を考えること自体が、面倒くさいです(笑) だけどウェブの特徴のひとつは、対象によって見せるものを変えられること。



顧客とのつながりを深める自社サイトと、モールではアプローチが違う


その大手通販モールも、アマゾンもですが、とにかく頻度に送りつけています。アマゾンは検索履歴、購入履歴からのリコメンドが飛躍的に良くなってきたと思いますが、それでも的外れな内容が圧倒的に多いです。
大手通販モールは、いわば焼き畑式。とにかく、他社の情報に接する機会を最少化させるように頻繁に送りつけて、買ってくれた人の購入頻度を最大化しようとしているのでしょう。程度の問題ですけど、ここは購入ポイントでレギュラーからダイヤモンドまで、会員を5つのランクに分けているそうですが、上位のランクの人たちまで嫌がるぐらいの頻度という噂です(笑)

もちろんG-mailなどではスパム判定が厳しくなっていますし、利用者が一度でも[迷惑メール]フォルダに入れてしまうと、その後はすべて[迷惑メール]になるようです。



自社サイトで販売するのは、顧客とのつながりを深め、ロイヤリティを高めるため。それがないならネット通販は、モールだけでやった方がいいのではないでしょうか。同じメルマガでも、かなり役割が違う気がします。



それにどんなメディアも、広告や販促PRなどのコミュニケーション媒体としてのピークを迎えるまでは、効果が高くて当たり前。参入者が多くなれば、利用者が減少すれば、効果も減少するのが当然でしょう。
今は、そのスピードがどんどん早くなっているけれども、終わってしまうわけじゃない。



『SNSを上回る、電子メールによるマーケティング効果』


昨年の記事で、アメリカの調査ですが、こんなことがWIRED.JPに出ています。


最も顧客の購買につながっていたのはオーガニック検索で、次がCPC方式の広告であったという(どちらもグーグルの得意分野)。
この調査で86の小売サイトを利用した7,200万人の顧客を分析。彼らの誘導元(Eメール、Twitter、グーグルなど)、購入した商品やその価格などを、サイトを訪れてから2年間にわたって追跡したという。
検索から訪れた顧客は、商品の購入数や購入額の点で平均より50%以上価値が高く、Eメールから訪れた顧客も11%高かったという。一方、Facebookからの顧客は平均並みで、Twitterからの顧客の価値は平均を23%下回っていた。

画像:WIRED記事のスクリーンショット


商品やサービスについてオーガニック検索するのは、そもそも買いたい・欲しいと思っている人が多いでしょうから。CPC方式の広告は、すでに飽和状態だという気がします。
Eメールから来た人がその次だというのも、うなづける気がします。登録しているという段階で、けっこうなハードルを越えているわけですし。そのあとは、嫌がられないか、期待してもらえるかということです。


それでも新しいサービスが続々誕生で、メルマガは消えてしまうのか?


7月1日から、ぐるなびの[SMART CHECK IN]というサービスが始まったそうです。

画像:SMART CHECK INのスクリーンショット

アプリをダンロードして使うもので、「チェックインした人だけが受け取れるお店の情報が盛りだくさん。さらに、クーポンがもらえたり、スタンプが貯まったり、おトクなチェックインイベントも続々登場!」と書かれています。


プッシュ型のクーポンサービスはありましたが、これはチェックインクーポン。さらにチェックインした人だけが受け取れるお店の情報があるということですが、やはりネックはチェックインした入店後というところ。クーポンと連動していないと、あまり意味はないでしょう。またお店の情報をお店側が書くのは、かなり大変です。

どれぐらい利用されるかは未知数ですが、上に書いたように「コミュニケーション媒体としてのピークを迎えるまでは、効果が高くて当たり前」だと思います。利用者にとっては、珍しく、お得である間は利用されるでしょうけれども、一度使ったらアプリを削除してしまうかもしれません。
効果があれば似たようなサービスが、いくらでも出てくるでしょう。


やはりメールのようなインフラとは、かなり異なるのではないでしょうか。





 株式会社イグジィット ウェブサイト


2014年6月26日木曜日

Facebookが、サッカーファンと交流しようと言うけれど

6月12日、Facebookからこんなメールが届きました。


画像:フェイスブックからのメール

ちょっと言ってることが、アヤシイです。だいたい区で分けてメールしてきているのが不思議です。なぜ、その区だけなんでしょうか。しかも下の[サッカーファン向けの投稿を作成する]をクリックしても、ただFacebookページに飛ぶだけで、アドバイスがあるわけじゃありません。

「大切なファン層」とは、すでに[いいね!]してくれた人のこと。その中のサッカーファンにリーチしよう、なら理解できますが。結局のところは「今まで興味を持ってくれなかった人たちを、ワールドカップに関連づけた投稿で惹きつけよう」です。
仮にワールドカップに関連づけた投稿をしたとして、新しいファンを獲得できるのでしょうか。Facebookページの投稿は、ファンではない人のニュースフィールドに表示されることすら、ありません。

ハッシュタグつけて(#‎WorldCup)投稿したとしても世界への発信ですから、あまり意味がないです。‬それに個人ではなく、オフィシャルスポンサーでもない企業アカウントが#‎WorldCupを付けるのはどうなんでしょう。インテレクチュアルプロパティ上の問題だけではなくて、またファン感情的にもプラスにはならない気がします。




◎Facebookがやっている、ワールドカップ盛り上げコンテンツ


Facebookは今回のワールドカップ2014に先駆けて、「ワールドカップトレンド」を発表しました。「ワールドカップトレンド」には最新スコアやチームや選手からの投稿が集約されています。最新スコアならTwitterもやっていますが、たぶんTwitterの方が便利なのではないでしょうか。
ワールドカップトレンド

画像:フェイスブック ワールドカップトレンドのスクリーンショット


ただこんな投稿まで集まっていますので、基準がわかりません。まさか文章中にWorld Cupが入っていれば、なんでも集めて生成しているのではないと思いますが… Brazil2014と書いてありますから、もしかしてこのアーティストは、FIFA World Cup2014の公式ソングを作ったのでしょうか。わかりません(笑)

画像:フェイスブック ワールドカップトレンドの投稿のスクリーンショット


それ以外には、著名な選手10人のファンマップがあります。これも、だから何?という気がします。日本選手は入っていません。国別と市町村別があって、メッシファンは日本にもけっこういるのに、市町村で表示するとゼロに見える不思議なものです。

画像:フェイスブック ワールドカップトレンドのファンマップ国別のスクリーンショット

画像:フェイスブック ワールドカップトレンドのファンマップ市町村別のスクリーンショット




◎ワールドカップがらみで、投稿してみました


私自身の考え方は、企業アカウントがその時のトレンドを無視してソーシャルメディアで投稿しても意味がない。Twitterでは特にそうだと考えています。
ツイッターで、トレンドに乗るとはこういうこと (1)

でも、だからといって、無理矢理トレンドにからんでいっても効果はないですし、ワールドカップがらみだと前述のように、知的財産権の問題がまず考えられます。だからこそ、Facebookは「サッカーファンと交流しよう」と書き、あえて「ワールドカップ」という言葉を使っていないのでしょう。

またサッカーファンにとっても、サッカーとなんの関係も企業が、とつぜんワールドカップのことを言い出したら、反感を持たれるかもしれません。
Twitterのアカウントはキャラクター色が強く出るので、日頃からサッカーのことをつぶやいている「サッカーファンの中の人」がワールドカップについてツイートしていても、おかしくはないかもしれません。それでも企業アカウントとしては、ほとんど意味はないと思いますが。

ところがFacebookだと、中の人個人のパーソナリティを出している企業アカウントは、まず見かけません。ソーシャルメディアとしての特性が違います。だから危険なんです。


今回、Facebookから来たメールのアカウント企業からは、ワールドカップに関して、なんの指示もありませんでした。上の方に、興味ある人がいないのかもしれません。
でも、ワールドカップ関連の商品も扱っているんです。
だから私からやりませんかと働きかけ、撮影等をして準備をしていました。



結局、具体的な商品以外のことも投稿しました。

15日日曜日、朝10:00からのコートジボワール戦の前日、ある情報を知りました。知ったのは夜の11時過ぎなので、投稿していいかどうか、連絡したところで返事を待っていられません。
これまでも商品やサービス以外の、関連するネタを投稿したことはありますので、やってしまうことにしました。深夜です。
そしたらこれが、3000人ほどにリーチ。シェアも複数あるだけではなく、それ以前の投稿にも[いいね!]が付き始めました。実は狙い通りです。普通、土曜の深夜なんて利用者が激減している時間帯だと言われますが、日曜朝からコートジボワール戦が放送されます。
ほとんどの人がまだ知らないネタの鮮度と、タイミングですね。他の企業アカウントはまず寝ています。


20日金曜日のギリシャ戦。その前日は、朝からワールドカップ関連の商品のことをFacebookほかで投稿しました。それなりの反応だと思っていたら、夜になって会社に電話がかかってきました。あるお店から苦情なのか心配なのか、これ以上投稿しないでくれ。前のも出来れば削除してくれという要望があったということでした。

お店は日曜日の渋谷の混乱の報道などを見て、サッカーファンが大挙して押し寄せたらどうするのか。なんの準備もしていないのにと、心配されているようです。
私はそんなことは、絶対に起こらない。サッカーファンが来るのは、パブリックビューイングをやっているような場所だけだし、それも渋谷、新宿や横浜などの駅周辺じゃないと集まるわけがない。
もし逆に大挙して来てもらおうとすれば、1ヵ月以上前から仕掛けても、ソーシャルメディアだけじゃ無理ですからと伝えてもらって、なんとか納得してもらった。
私にすれば笑い話のような内容なんですが、大変なやりとりでした。


コートジボワール戦終了後の渋谷のスクランブル交差点には、痴漢が出たとか、混乱ぶりがテレビやネットでさんざん流れていたので心配されるのも無理ないですが、日曜日だし渋谷だし、特異な条件が重なっています。
私は日曜日の午後、仕事で横浜駅東口に行っていましたが、サッカーファンが大勢いたものの混乱している様子はありませんでした。

画像:wc第一戦後の横浜駅周辺の様子



実際どうだったか。問題はありませんでした。
20日金曜日の朝、出勤時のスクランブル交差点ですら、警察による交通規制がありましたが、混乱というような状況はありませんでした。

画像:wc第二戦後の渋谷スクランブル交差点の様子




Facebookが薦めるようなサッカーファンとの交流は、難しいです。
それはもう公式スポンサーが、大金と手間ひまをかけて参入しているのですから。
安易に、乗っかろうとしない方がいいかと思われます。




画像:ソーシャル代行しますバナー

2014年6月13日金曜日

ワールドカップ2014 ビールの戦い編ほか

5月末に『ワールドカップ2014、渋谷では前哨戦が始まっている』という記事を書きましたが、さすがに開幕すると、さらに激しくなってきましたよ。

今朝、ざっと駅周辺から公園通りを上りながら撮ってきました。


◎JR 渋谷駅

画像:JR渋谷駅の看板

駅にはキリン、ソフトバンク、そして右上に少しだけ見えてますが東急東横店にはファミリーマートの広告。いずれもサッカーがらみです。


◎SHIBUYA 109

画像:109のアクエリアスの広告
アクエリアスは、FIFAワールドカップ2014の公式飲料なんですね。試合の速報が出るようになっています。


◎アディダスパフォーマンスセンター渋谷

画像:アディダスパフォーマンスセンター渋谷
前にも書いていますが、外は丸ごとサッカーイメージです。



◎西武百貨店 渋谷店

画像:西武百貨店 渋谷店のサッカーボール展の看板
日比野克彦さんによるサッカーボールアート展が開催されています。駅側A館のショーウィンドウにはサッカーボールがディスプレイされています。


◎マルイジャム

画像:マルイジャムのキリンの広告
渋谷駅と同じ、キリンビールの広告です。



◎マルイシティ 渋谷

画像:マルイシティ 渋谷のバドワイザーの広告とイベント
なんとバドワイザーが、FIFAワールドカップ2014の公式ビールなんですね。マルイシティ 渋谷の広場では、バドワイザーのさまざまなイベントが12日から行なわれています。ここで初めて、公式ビールであることを知りました。
だけど宣伝だけなのと思っていたら、渋谷でバドワイザーが飲める店を案内していました。

画像:マルイシティ 渋谷のバドワイザーのイベント


画像:マルイシティ 渋谷からマルイジャムを見る
位置関係をおわかりになる方には、面白い構図ですね。



◎パルコ Part 1

画像:パルコPart1の本田選手を使った広告_スペイン坂側

画像:パルコPart1の本田選手を使った広告_Part1側_1
画像:パルコPart1の本田選手を使った広告_Part1側_2
一番上がスペイン坂側。あとの2つが Part 2側の広告です。アディダスだけじゃなく、ミズノも攻めています。ただ大きなスポーツ店は、アディダスのビジュアルになっていますね。


◎キリン 一番搾りガーデン渋谷

画像:一番搾りガーデンの車両
前に記事を書いたあと、こんなコピーが出てきました。一番搾りガーデンだけじゃなく、代々木公園をビアガーデンにしようという企みですね(笑)


画像:一番搾りガーデンの公園通りのフラッグ
一番搾りガーデンのフラッグは、公園通りだけではなく、ファイヤー通りなども埋め尽くし、代々木公園まで続いています。
夜は、『ワールドカップ2014、渋谷では前哨戦が始まっている』の写真のように、イルミネーションが続いています。またプランターなどの花の費用も、キリンが負担しているのでしょうか。

画像:キリンの公園通りのプランター



◎ファミリーマート  公園通り店

画像:ファミリーマート公園通り店のワールドカップキャンペーン
ここ以外のファミリーマートはそれほどでもないですが、公園通り店は外に向けてワールドカップ一色です。




平日の朝なので人は少ないですが、
今週末は、けっこうスゴイことになりそうですね。

公式ビールであるバドのイベントは、日曜日までだそうです。マルイシティのイベントスペースで1日中やっていれば、かなり目立ちます。
キリンビールは、商店会と一緒になってやっている感じですし、夜、イルミネーションが点くと圧倒的に目立ちます。雨が降っていても、店内は混んでるみたいですよ。



個人的にはミズノに、がんばって欲しいところです。今回のワールドカップで本田選手の履いているサッカーシューズは、本人との共同開発。本田選手の縦回転キックを筑波大学と共同で分析し、縦回転キックが蹴りやすい構造になっているとか。
本田圭佑選手の想いを込めたゴールドのサッカーシューズについて


パルコでの広告を見ながら、広告だけじゃなぁと思いました。やっぱりアディダスのようなグローバル企業じゃないから多面的な展開は難しいだろうし、などど失礼なことも思いましたが、ファッションではなくサッカーをやっている人たちに届くコミュニケーションって、どんな方法があるんだろうと考えたり。

渋谷という街でのコミュニケーションだと、難しいですよね。
こういう動画をイメージだけじゃなく、実際的なものを、いっぱい作るのも手ですよね。


バナー:ウェブ、グラフィック、そしてソーシャルなつながりをデザインする制作会社です


2014年6月12日木曜日

Googleは見ている。あら、どこを見てる?

先に書いた「YouTubeと音楽プロモーションのトレンドと著作権」では、主題じゃないですけど、YouToube(= Google)は音を聴いていることが前提です。契約している音楽かどうかを、チェックして対処しているはずですから。
それでは画像はどうでしょうか。


◎Googleマップのストリートビューで、ぼかしているもの、いないもの


Googleは、Googleマップの[プライバシーとセキュリティ]で、「ストリートビューは一般的に立ち入れる場所で撮影しています」「顔やナンバープレートはぼかし処理されます」と書いています。


さらに、問題がある場合は、特定の画像の追加ぼかし処理を依頼する/公開に適さない画像を報告することができますと書いてあります。


ストリートビューカーで撮影された画像は、たぶん自動でつながれ、顔やナンバープレートも機械的に検出され、ぼかしがかけられているのでしょう。
そのアルゴリズムは、どうなっているのでしょうね。今のところ、それほど精度が高くないようですが、基準がわからなくて、なかなか面白いです。


渋谷駅前から、公園通りをストリートビューで上がってみました。
(いずれも昨年6月の撮影になっています。以下はすべて画面のスクリーンショットです。@Google Map)

ハチ公前スクランブル交差点


JR駅の看板、本田選手のミンティアの広告だと思いますが、ぼかしのかかっている本田選手と、かかっていない本田選手がいます。謎です(笑)
その上にソフトバンクの香川選手は、ぼかしがかかっています。
それにしても原寸では、巨大な顔。プライバシーの問題はないですよね。肖像権とかCM契約上の期限などへの配慮なんでしょうか。

それからもうひとつ。109MENSのビジョンに「問題」と書かれています。なんでしょう(笑)


ZARAのビルボード









KFC/カーネルサンダースのロゴ









韓国のバンドFTISLANDのビルボードカー









EXILEのビルボードカー

消されている人といない人の差が、わからないですよね。サングラスしているから、本人特定されない、プライバシーの配慮をする必要がないとか(笑) ふたりは完全に見えちゃってますし。


ユナイテッドアローズ BEAUTY & YOUTHのイラスト


これは処理されてないんですよね。カーネルサンダースとの差が不明です。






スターバックスコーヒーのロゴ

スタバは駅前Q-Frontのお店のロゴも、ぼかしが入っていました。お店からすれば、ロゴをぼかさないでくれと言いたいところでしょうけど、「ぼかすな」という申請はできないようです。


◎Google + で共有するときにも、画像をチェックしている


この「YouTubeと音楽プロモーションのトレンドと著作権」を、Google + で共有するときのこと。
こちらの画像なら、Google +にそのまま表示できました。


でも、この画像だと引用されません。



差はなんでしょうか。どちらもYouTube動画からのスクリーンショットです。
差は、YouTubeの再生ボタンが入っているかどうかでした。スクリーンショットを撮って使うこと自体、著作権上は微妙だと思いますが、引用元をはっきりさせていれば、メジャーなウェブマガジン等でも行なわれています。


Googleのロゴでやってみましょう。


この段階でいったん公開して、Google +に共有しようとすると、使った画像を選べるようになっていて、ページの上から画像を送りながら選択するのですが、一番最後がこちら。YouTubeの再生ボタンが入っているもの、そしてGoogleのロゴは弾かれてしまいます。




大したことじゃないですが、Google関連の画像をちゃんと識別しているのですね。関連の画像に関しては、かなりの精度かもしれません。
どなたかOGPタグを使って、ウェブページでやってみていただけると、発見があるかもしれません。


[Google使用許諾]というページがあり、そこにはこう書かれています。

Google では、Google ブランドの評判を守ることに力を注いでおり、Google の「ブランド」(商標、ロゴ、ウェブページ、スクリーンショット、および識別力を有するその他の要素を含む法律用語)がどのように使用されるかに多大な注意を払っています。いずれのブランドも改変、編集、または虚偽表示することは一切認められません。

またページ内の[Google のロゴまたはスクリーンショット]という項目があるのですが、ロゴに関してはホリデーロゴのことしか書いてありません。
さらに[その他のブランド]というタブがあり、YouTubeを調べようとクリックすると、ページが存在しません(笑)


使っていて不都合があるわけではありませんが、すでに大量の画像の中に含まれるものを検出する能力を持っているのだなというところが、今回の記事のポイントです。

これから検索に影響が出てくる可能性だって、なくはないかもです。




◎エリック・シュミット会長初の著書『第五の権力』には、こう書いてある


初の著書といっても共著ですし、書いてあることはGoogleが予測している未来について。しかも、つながりっぱなしの世界のリスクについての警告的にも受け取れる内容。




「アイデンティティ、報道、プライバシーの未来」という章の「“グーグルグラス”で安心を身につける!?」という節には、こんな恐ろしいことが書かれています。

宗教警察やおとり捜査官が公共の場を見回るような国では、周りの状況をすばやく察知し、正確に判断できるかが、市民に取っての死活問題になる。そこでウェアラブル技術の開発者は、目立たない腕時計を設計し、政府の工作員を発見した人が、周囲の人に警告のパルスを送れるようにする。

グーグルグラスは市民より、監視する国家の方が大量に買えるんだから、両者に買わせるつもりなのかもしれません(笑) 
顔認証技術と、そこからの検索技術は、すでに実用化寸前の精度だと言いたいのでしょう。現実には、すでにシカゴでは顔認証分析を使って列車強盗が逮捕され、裁判を受けているといいいますし。
顔認証分析、はじめて列車強盗を逮捕する


もしそうだとすれば、ストリートビューはますます不思議で、なかなか笑えます。




サブタイトルは「Googleには見えている未来」ということですが、こういうことが見えているなら、もう少しリスクを減らす方向に技術を使えないものかと思ってしまいます。
大方の未来学者にとっても、そんなに異論のない内容でしょうね。



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2014年6月3日火曜日

YouTubeと音楽プロモーションのトレンドと著作権




知り合いの女性から「友だちの披露宴でフラッシュモブをやることになってて、それで私も踊るから、毎晩練習してるけど大変」という話を聞きました。
それは、大変。なんでも言い出したのが新婦で、最後に本人も登場して踊るんだそうです(笑)

そう、フラッシュモブで踊る、披露宴でのサプライズが増えているみたいです。



◎披露宴サプライズは、One Direction 『What makes you beautiful』が定番?



こちらは下のリンクから、YouTubeに飛んでご覧ください。















これは新郎側からのウェディングソングということでしょうね。

突然こんなことが始まったら、驚きますよね。
披露宴でフラッシュモブの企画運営を請け負う会社も増えていて、リンクの動画もそういう会社が公開したものです。

だけど、著作権は大丈夫なんでしょうか。YouTubeにはけっこうあがっていますが、心配になります。実はブログに上の動画、One Direction の「What makes you beautiful」を使った披露宴の動画を貼付けて再生しようとすると、再生できないようになっています。YouTube上なら、見ることができる。そういうところで、回避しているんでしょうね。
ああ、メンドクサイ(笑)



◎『アナと雪の女王』から「とびら開けて」の口パクが流行中!



『アナと雪の女王』といえば映画は大ヒット、挿入歌では「Let It Go」が大ヒット中ですが、なぜだかYouTubeには、世界中から口パクの「とびら開けて」が続々と公開されています。




カップルや仲のいい夫婦ばかりで、少しムッとしますけれども(笑)

それにしてもディズニーは、いったいどうしたんでしょう。『アナと雪の女王』以前は、そんなにオープンにしていた印象がないのですが。
東京ディズニーランドは、地元の商店などの「ディズニーランドのお帰りは、○○へ」という看板やのぼりなども認めず、テキ屋の「ミツキーまんじゅう」さえ排除しました。
日本へ初めて、商標権や著作権、そしてイメージの徹底したマネジメントを持ち込んだ企業だと思います。

『アナと雪の女王』は、音楽に関してはかなりのオープン戦略。『アナと雪の女王』は、映画だけじゃなく、シンデレラ城のプロジェクションマッピングにまで登場するとか。周辺のコンテンツも含めて、これだけ大ヒットしている重要な要因のひとつでしょう。



◎ファレル・ウィリアムス 『happy』ダンスカバーは、日本でも流行の兆し


ヨーロッパから中東からアジアから、世界中から信じられないほどの本数のダンスカバー動画が公開されています。日本では10本、20本程度だったのですが、このところ急に増えてきたようです。これからも続々と登場するかもしれません。

最近海外では、学校がプロモーションのために作っていたりします。



貧困家庭の子供たちを救うための学校のようです。楽しげで力強い。
ただ踊りたいから踊ってみましたという作品がほとんどだったところから、観光目的やこんな風に学校のPRまで、多様化しています。



こちらは、日本もの。Happy from Harajukuです。



著名な方々が、大勢出ています。


そして最近出たのが、なんと阿波踊りバージョン。



5月14日の公開になっています。タイトルがTokushima Japanですし、出てくるメッセージからして海外向け。観光に来てくださいねということなんでしょうね。
最後に画面上にVisit JapanのURLが出てくるので、あ、観光庁がやっているんだなということが分かります。それにしてもリンクの導線がまったくなく、作っただけで放ったらかしのお役所仕事ですね。せめて、ここにリンクさせないと。
訪日観光の三つの価値イメージ映像

しかし観光庁が使っているぐらいだから『Happy』の関係権利者の許諾を得ているということなんでしょう。

追記 Tokushima Japanの動画は「国土交通省 観光庁から著作権侵害の申し立てがあったため、削除されました」と出るようになりました。もしかすると、誰かがVisit Japanの動画をダウンロードし、音だけ『Happy』に差し替えて公開したのかもしれません。
うかつなことにアカウントを確認していなかったので、今となっては確認のしようがありませんが。Tokushima Japanは、完全に「訪日観光の三つの価値イメージ映像」と同じで、それより長い素材を使っていました。Visit Japanにそんなに長い阿波踊りの映像は出てこないのですが…



Happy from Harajukuの制作会社のFacebookには、こんな投稿が出ていました。

画像:フェイスブックの投稿


何日かで解除されたようですが、著作権侵害ということはレコード会社かどこかの権利者が、YouTubeに抗議したのでしょうか。



ちなみにYouTubeでは[著作権センター]というページがあり、著作権侵害などの申し立て等がフォームから簡単に行なえるようになっています。
虚偽の通報をした場合、法的な問題だけではなく、アカウントが停止されるそうです。Googleのアカウントですから、停止されるとかなりのダメージです。

画像:YouTube著作権センターのスクリーンショット



『Happy』のレコード会社は、ソニー。YouTube(というよりGoogleでしょう)はソニーミュージック、ワーナーミュージック、ユニバーサルミュージックの3大メジャーレコード会社とは、ライセンス契約を結んでいて、YouTubeクリエーターがある楽曲のカバーをアップロードした場合、そこに広告を出せるとか、いろいろ権利者がマネタイズでき、クリエーターも潤う仕組みのようです。
ただ詳しいアナウンスはないようですし、3大メジャーの曲であればなんでも大丈夫かというとそんなことはないみたいです。

たとえば『Happy』の公式MVはYouTube上では見ることが出来ますが、ブログ会社やウェブマガジン等によって貼付けても再生できるものと、再生できないものを区別しているようです。BloggerはGoogleなので当然可能。

だと思ったらダメでした(笑) 実はOne Directionも、SMEソニーなんです。
どこのブログが良くて、どこのブログがダメなのか。そんなことどこにも書いてないですし、曲によっては、YouTube上でも「お住まいの国では再生が許可されていません」なんてメッセージが出ることもありますし、詳しいことはまったく不明です。

YouTubeがソニーなどとコンテンツ契約を結んだのは、Googleに買収される以前、2006年のことです。それ以降、私の知る限り、詳しい情報は出ていません。



◎ファレルは、カバーされることで大ヒットメーカーになった


たぶんファレルが世界的に知られるようになったのは、ダフトパンクの『Get Lucky ft. Pharrell Williams』。この『Get Lucky』が、ありとあらゆるジャンルのミュージシャンや一般からカバーされ、YouTubeで公開されていました。
私もこんな記事を書きました。
ダフトパンクの新譜を買うまでと、ソーシャルメディアの関係


カバーで最も知られたもののひとつが、これでしょう。なぜかロシアの警察が歌っています(笑) テレビに出演したものやスタジアムで歌っているものまであります。




サックスものも、いくつかあります。



歌なしなので、ファレルの知名度に貢献したかどうかは不明です。
だけど『Get Lucky』を有名にしたのは間違いないし、テクノ・エレクトロニカやファンクに興味のない人、普段情報さえ届かない人たちにまで広く知らしめる効果があったのは、間違いないと思います。



著作権でガチガチに縛るより、こうやっていろんな意味でのカバーが広がることでレコード会社もアーティストも潤う時代になっているのかもしれません。それに、カバーした映像をアップロードする人たちも大きなメリットがあるのは、間違いないでしょうね。
削除依頼を出すよりも、使ってもらえるネタ・素材を提供するというスタンスが良さそうです。


クリエイティブ・コモンズも知的所有権法や著作権法が障害になるような、法的問題を回避することが基本的な目的になっていますが、今回取り上げたようなダイナミズムはなさそうです。
今回取り上げているのは、面白がってカバーされることが原動力。ですよね、きっと。


逆に、無条件に使わせない、あるいは隠すということをすると逆効果かもです。
視点がちがいますけど、過去にこんな記事を書いています。
「OPEN」とストライサンド効果


あたらしく、こんな記事も書きました。
YouTube周辺の著作権をめぐる、やっかいで危険な徴候 2014年11月11日