2015年11月6日金曜日

渋谷から消えた行列は、どこへ行ったんだろう


iPhone 6sが発売になった9月25日の朝、アップルストア渋谷では恒例行事のようになっていた行列はありませんでした。9月上旬からの予約販売に切り替えたからですね。



iPhone 6発売の前夜や当日を見ていると、アップルストアだってもう行列を続けさせるわけにはいかないだろうと思いました。
そのときの様子を書いています。
行列までして、買ってくれる理由 - 6


渋谷では、行列を見かけることが少なくなりました。小さな行列は毎日のように見ることができますが、何が起こってるんだというような行列はセールや新規オープンを除き、ほとんどなくなってしまったようです。

いままで恒例行事のように行列があった店といえば、代表はSupremeとH&Mではないかと思います。行列は、どうなっているでしょうか。


Supremeは、コラボアイテムが出るたびに大行列



Supreme(シュプリーム)は、ニューヨークで生まれたスケーターのためのファッションブランドとされています。広告ではニール・ヤングやルー・リード、レディー・ガガやケイトモス、それにマイク・タイソンまで起用していますので、スケーター限定のイメージはありません。ストリート系のTOPブランドと言った方が、良さそうです。

昨年まではSupremeが新作を出すたび、なによりコラボアイテムが出るたびに、大変な行列というよりも、パニックに近いような状況になっていました。
昨年は、夜の10時ぐらいに渋谷店の前から公園通りにかけて、大勢の人たちが詰めかけている状況を目撃しました。これはさすがにマズイだろと思っていたら、そのあとに警察がやってきたそうです。

ところが今年、それほどの行列を見ないのです。今年は3月にアンダーカバーとコラボアイテムが出て、前日夜から行列がありましたが、比較的整然としていました。

先月にはマイケル・ジョーダンブランドとのコラボアイテムが出ました。Supreme x NIKE AirJordan 5はアンダーカバーどころじゃない話題性なので大変なことになるかもと思っていたのですが、発売前日の朝には公園通りに30人ほどが、ラインに沿って整然と並んでいる程度。しかも警備会社らしき人たちがついていました。そして午後には行列自体がなくなっていました。
あれ、どうして消えたんだろ。整理券を配ったのか、それとも代々木公園の方に並ばせたのかなと想像していました。

コラボのAirJordan 5は公式オンラインストアでも販売されましたが、直営店以外ではドーバーストリートマーケット ギンザでも販売されたそうです。コラボアイテムで行列といえばドーバーですが、どうも行列が予想されるときは整理券がウェブ抽選になって、当選者にはメールが届くという方式になったそうです。

ただTwitterでは、深夜に「予定人数を超えた為、現在お並び頂けません」と書かれたSupreme原宿店の貼紙を撮影した写真をツイートしている人もいますので、行列があったのかもしれません。


Supremeからの仕掛けは、ほとんど見当たらない


Supreme x NIKE AirJordan 5が発売されるという噂は、7月にリーク画像が出回ったことから始まり、日本ではその後、10月にファッション誌で記事広告らしきものが出ています。
Supremeからは、Instagramで次々と投稿されています。


でもそのぐらいで、後はブログやソーシャルメディアなどで出回っているだけです。


ところでSupremeの行列は、転売目的の人が多いから混乱するのだと、ずっと言われてきました。私は聞くたびに、そうなのかな。並んでる人たちの多くは、Supremeのロゴが入った服を着ているし、好きなんじゃないのと思っていました。

AirJordan 5はどうでしょう。ヤフオクで調べてみました。
「AIR JORDAN 5  Supreme」で検索すると、約756件と出てきました(11月6日夕方の時点で)。落札相場をクリックすると、59,000円 65,000円 70,000円という金額が出てきますので驚きますが、出品のすべてが日本国内の転売ではなさそうです。海外のSupremeから仕入れたというショップもあり、転売として多いのかどうか判断がつきません。
ただ落札価格や開始価格が、定価の倍以上となると… 転売目的の人が多いのでしょうか。

仕掛けがほとんどないのに、転売でもなんでもこれだけ人気になるなら、ソーシャルメディア上ではどうでしょう。

Yahoo! リアルタイム検索で調べてみました。
すべてと言っていいくらいTwitterですが、発売日の10月17日は492件、18日は653件というかなりの話題になっています。24時間並んで手に入れた。オンラインで幸運にも手に入れたというツイートもありました。



少なくとも行列は、Twitterに出来ていたんですね。


H&Mは、入店できる時間帯別のリストバンドを配布



H&Mも日本上陸以来、毎年コラボがあるたびに行列になります。Supremeは高い価格帯のままでのコラボですが、H&Mのコラボは、なによりハイブランドのデザインがH&M価格で買えるというのが魅力なんでしょう。
以前から整理券代わりのリストバンドを前日に配布していますが、それでも配布待ちの行列が目立ちます。
昨年の「ALEXANDER WANG x H&M」では、前日の23時過ぎからリストバンドの配布が始まり、朝の8時になくなったそうです。
アレキサンダー・ワン × H&M 発売ライブレポート

前日23時前はとんでもない人の多さですが、渋谷店は巨大なので他店や近隣住民の迷惑になるということはなさそうだと思われます。

昨日11月5日の午後、H&M渋谷店の前を通りがかると、黒地にゴールドでBALMAINと印刷された紙袋を持っている人たちが何人もいました。紙袋を掲げて自撮りしているカップルもいます。


なんだろうと思って検索してみると、BALMAINというフランスのブランドとH&Mがコラボしたアイテムの発売日でした。私はバルマンというブランド自体、聞いたことも見たこともありませんでした。

ファッション系のウェブメディアはどこも、この発売を書いています。早々と「発売まもなく売り切れ相次ぐ」と書いているところもありますが、やはり時間帯別に入れるリストバンドを、配布したそうです。


Yahoo! リアルタイム検索で調べてみました。バルマンで検索すると、11月5日が1535件、6日が1914件というすさまじいことに。
こちらはTwitterで行列というよりも、パニック状態かもしれません。


Supremeとジョーダンコラボの3倍ほどの話題があります。
しかしこちらはポジティブな感情とネガティブな感情のツイート数が近く、11月7日だけ見ると、ネガティブなツイートが上回っています。
どうしてかというと、やはり転売。売り場は戦場だったという人たちもいます。

となにかのんきな書き方をしていますが、H&M原宿店では阿鼻叫喚だったようです。二組目でTシャツすら買えないとか、什器が壊れ、怒号が飛び交う…




そもそもiPhoneだって、最初はAppleファンで新しもの好きのギークな人たちが楽しんで並んでた。
ファッションだって、そのブランドが好きでしょうがないという人たちが並んだはず。ドメスティックブランドは、希少性が高くて好きな人たちが並んだという現象だったと思いますが、ナショナルブランドからコラボアイテムが出てくると、広く興味を持たれる希少性で行列ができ、行列自体が話題になって、さらに知る人が増え、どんどん膨れ上がった。
それと平行して、転売で値が上がっても買う人が増え、さらに国境を越えて転売する人たちも増えていったのかもしれません。かつてのスニーカーブームや裏原宿ブームでも転売はありましたが、それはあくまでマニア内でのこと。


行列は、それ自体が拡散する話題で、宣伝としてもいいし、ブランド力も強化される現象だったと思うのですが、このところはお店側の想定している対策のレベルを超え、ネガティブな評判に振れてきているようです。

そして欲しいのに買えなかった人たちの評判は、ソーシャルメディアでつながっています。今のところは炎上マーケティングのように、売り上げとしてはプラスだと思いますが、そろそろ分水嶺かもしれないですね。



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