今週、期限切れ鶏肉の事件の報道が、駆け抜けました。マスメディアのみならず、ソーシャルメディア上でもけっこうな騒動になっています。
私はマクドナルドのFacebookページでの対応を見ていて、どうしてこんなことをするのか不思議でした。そもそもマクドナルドは、ネットで叩かれやすい企業です。
外食産業の中で、売上規模はゼンショーHDの4000億円超に続き、約3000億円で二位に位置しています。ゼンショーは様々なブランドで展開していますが、マクドナルドはマクドナルドだけの売上のはずでしょう。
ファストフード業界では、独走状態の一位。二位の日本KFCの3倍以上の売上。
ハンバーガー業界としては、モスフードサービスの4倍以上だそうです。
これだけ強く、目立っていれば叩かれやすいのも当然かもしれません。
ただその一方で、特にソーシャルメディアの運用を見ていると、火に油をそそぐような対応をしているような気がします。また今回の事件での対応やネットでの反応は、多くの示唆に富んでいるいると思います。
私が今回の事件でマクドナルドの対応に注目することになったのは、あるツイートがキッカケでした。
◎事件に触れないメルマガと、ダウンロードできるナゲットクーポン
22日のツイートです。これって本当なのかと思いましたが、何も登録していませんので、メルマガもクーポンも見ることができません。
もしメルマガでまったく事件に触れずに、プロモーションだけしているなら、まさにここに書いたようなことになるので、割愛します。
ソーシャルメディアで予約投稿を使うぐらいなら、やらない方がいい
上のツイートが本当なら、当然22日の時点ではソーシャルメディアでもなにも対応していないのかなと思って調べてみました。
ツイッターでは宣伝的なツイートしかなく、Facebookでも同様でした。22日のFacebookでは、こんなふたつの投稿がありました。
左のマックフライポテトは、これを書いている時点で[いいね!- 5,523人 シェア146件]。右の夏のマックFes!は[いいね!- 3,081人 シェア30件]という、すさまじい反応。
しかし22日でこれだけポジティブな反応があるということは、ある仮説が浮かんできます。
Facebookユーザーでマクドナルドファンは、テレビも新聞もネットもあまり見ない人たち? 情報弱者が多いのだろうかと思ってしまいます。もしそうなら、今週末、土日あたりにはほとんどの人が知るでしょうから、反応が変わるかもしれません。
Twitterでは、かなりの騒ぎになっていました。22日の時点では、ブログに書こうとは思ってもいませんでしたので、数字等、何も残していませんが。
ただ22日の投稿に、こんなコメントが書かれています。
今日、24日に取ったスクリーンショットですが、23日から削除されたということが書かれています。少なくとも22日の時点では、事件に関するコメントは削除されていたのだろうと推察できます。
◎期限切れ鶏肉事件、報道の時系列
日本においては、いつからこの事件の報道が始まったのでしょうか。Google検索で、ニュースを日付順にすると最初は21日です。ブルームバークやウォールストリートジャーナルなど主にアメリカ国内での経済面の影響を懸念して、いち早く報道したということでしょうか。
読売新聞やNHKでも報道しています。
22日には民放各社でも放送され、Youtubeでは人気の動画として紹介されていました。
これによると21日の時点でナゲットの販売を中止したということですから、不都合なコメントを削除していたのは不思議な対応ですね。
◎TwitterでもFacebookでも、通常投稿は続く
Twitterでは22日のFacebookと同じ「マックフライポテト」のツイートが、まるで広告ツイートのように行なわれています。
Facebookには「夏の自由研究! 親子で“おいしい”特別合宿」という投稿がありました。おいしさの秘密を探るために、工場見学などをするということなのですが。
さすがにこれは、反感を買って当たり前ですね。ハンバーガースクールを開校するというプロモーションが中止できないのか、Facebookで予約投稿を使っていて、投稿をキャンセルしなかったミスなのか。
いずれにせよマクドナルドのソーシャルメディアの運用は、一方的な発信だけで、双方向のコミュニケーションはありません。運用ツールでも使われているのか、計画的にプログラムされ、自動で運用されているのか放ったらかしなのです。まるで、マス広告の出稿のようですね。
そういう中で、不都合なコメントの削除だけはされているので、反感は余計に高まっておかしくありません。
ところが[いいね!- 1,169人 シェア1件]というファンの反応。まったく事件を知らないようなコメントが数多くあります。
いったいFacebookのマクドナルドファンはどういう人たちなのか、想像を超えています。
Yahoo!のリアルタイム検索で調べると、こんなことになっていました。23日にはナゲットなどのワードが[トレンド]になっていました。
Yahoo!リアルタイム検索は、TwitterとFacebookからの検索結果です。マクドナルド全体だと22日の夕方がピークですので、たぶんテレビ報道ですね。
22日の18時から23日の18時までだと、ネガティブなツイート/投稿が28%、ポジティブなものが19%ということですから、世の中の反応はそれほど悪いわけではないのでしょうか。
確認しようと、ポジティブな[つぶやきを見る]をクリックしてみました。するとほとんどの人が騒動を知らないように思えました。
また「マクドナルド、もうナゲット販売再開してるのね……マクドでいちばんおいしいと思える商品だったので今回の事件はショックだった。……まあ、安全なものを食べるなら、ジャンクフードは食べるなということですね。生産地がわかるところならいいけれど。」というツイートまでポジティブに入っていました。
ワードの組み合わせで判定するアルゴリズムだと、今のところ、こんなものでしょう。
◎ファミリーマートは、22日の投稿以降はストップ
Facebookへ22日に投稿されています。それは通常の広告的内容。
こちらも[いいね!- 2,357人 シェア158件]という、すさまじい反応。コンビニコーヒーで、50円引きは大胆です。コメントも、好意的なもので占められています。ところがには23日の午後から、厳しい内容が書かれ始めます。
社長の記者会見後にヒートアップしている感じでしょうか。
Facebook上では23日から沈黙されていますが、こんなコメントがありました。
少なくとも発覚後に広告的な発信はNGですし、早く謝罪を投稿するのがセオリーだと私は思うのですが、リスク管理としてはセオリーではないのでしょうか。
もしかすると両社とも、それほどの問題ではないと考えられているのかもしれません。確かに、今のところのFacebookへのネガティブなコメントは、それほど多くはないかもしれませんが、食の安全安心はかなり根の深い問題だと私は思います。
そしてなにより、ファンや利用者に対しての対応。現実的にはどんな検査をしようとも、安全性が担保されるわけではなく、仕入れ先を信用するしかないことだとは思いますが、企業姿勢を見せた方がいいと思います。
これまでのコミュニケーションだと、仕入れ先に問題がありました。仕入れ先を替えたから大丈夫です。ということしか、伝わってきませんね。
◎マクドナルドは23日の夜、おわびを投稿
たぶんウェブサイトのトップページと同時に、同じ文面がFacebook、Twitterでも投稿されています。
Facebookでは[いいね!- 3,034人 シェア332件]という、またまた凄い反応。コメントは、332件。コメントは100%近く「二度と買いません」的なものなので、いいね!した人も、シェアした人もネガティブな意味合いだと理解していいはず。
21日のナゲットの販売中止から、丸二日たってのおわび。
すでに22日には、仕入れ先を替えての切れ目ないナゲットの販売継続。
その間には、ソーシャルメディアでの広告的発信やメルマガの配信など、通常とほぼ変わらないプロモーション活動。
24日もテレビCMは流していました。
一方的な発信だけの販促活動をしながら、利用者には自社からの説明はなにもせず、しかもFacebookでは不都合なコメントを削除していた疑い。
すべてが、チグハグですね。
ネットでもソーシャルメディア上でも、もっともユーザーを苛立たせるふるまいかもしれません。
もしかすると何年後かに、ソーシャルメディア運用の教科書が出版されたとしたら、もっともダメなケーススタディとして掲載されそうです。
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