2013年1月30日水曜日

どころか、見られてもいない


先週、「人気の某面白botは広告商材だった」というツイートが駆け巡ってました。さらには人のツイートを無断でコピペしていることも問題になっていて。私は以前に、このbotではなく、別の人気botがどうなっているんだろうと観察したことがありました。
頻度といい、内容といい、何のためにこんなことをやっているんだと。3日分ぐらいを遡ってみると、3日間に2度、広告だろうなと思われるツイートをしていました。まあなんて巧妙なと思っていたのですが。


電通さんが打ち出されている、「SIPS」というソーシャルメディアでの消費者行動モデル。共感する(Sympathize) → 確認する(Identify) → 参加する(Participate) → 共有&拡散する(Share & Spread)というような流れは、現実的には、かなり少ないような気がします。

新聞読まない、テレビ見ないという人がどんどん増えている。50歳以上なら、新聞やテレビに接触はまだあるだろうけど、それでもどんどん低下しているはず。ソーシャルメディアだと、自分が見た時に自分のタイムラインやニュースフィールドに表示されていなければ存在しないのと同じ。その点、面白bot的なものはTwitterではリツイートされるし、ニュースフィールドに長く留まっている可能性も高い。
ちなみにFacebookのニュースフィールドに長く表示される基準は、Affinity(親密度) × Weight(ウエイト)× Time(時間経過)。Weightは「いいね!」やもらったコメントによって変わってくるそうです。まあFacebookの公式見解通りだとすると、現象としてはざっくりとリツイートされ続けている状態と似ている。面白bot的なものは、そこを楽々と飛び越えてるわけですね。

とりあえず、ほとんどの企業メッセージは共感や確認どころか、
それ以前の接点がなくなってきてるんです。


電車の中で、夕刊紙を読んでいるオジサンもめっきり少なくなり、中吊りさえも見ている人はごくわずか。雑誌だって、ほとんど見かけません。
あら? と思って会社の女の子に今聞いてみました。「美容院で雑誌読む?」と。そしたら、読んでるそうです(笑) もしかしたらソーシャルメディア以外でメディアに接するのは、そこぐらいなのかもです。




キャズム理論で知られるハイテク分野でのマーケティングの世界的権威、ジェフリー・ムーアが書いた『トルネード』という本があります。『キャズム』の続編なんですが、キャズムを超えたら、トルネードに乗って“超成長”を手に入れろと言っています。市場の各発達段階でこうしろということが書いてあって、オソロシイです。この本のカバーによれば、スティーブ・ジョブズは「トルネードに乗った企業はすべてを手に入れる」と言ったとか。15年以上も前の本ですが、たぶん今でもハイテク分野ならそれなりに通用する理論なんでしょう。ハイテクの普及を左右するギークたちの特性なのかどうか、投資の世界と同じで、勝ち馬に乗る傾向が強いのかもしれません。




こういう分野以外では、ライフサイクルのカーブ自体が成立しなくなっているという気がしますが、それはまた別な話で。
とにかく大量に情報発信されているのに届いていない。見られてもしない。接点がないという話に戻します。

届くところに情報がなかったら、どうすればいいんでしょうか。もっと大声で叫ぶ? 反感を持たれる危険性も高いので、ほどほどのところにしていくのがいいはずですが、これもかつてのこれだけのGRPなら認知度がこうなって、そうするとこれぐらい売れる、はず、というような方程式はありません。メルマガならタダでいくらでも訴求できるぞ、みたいな話も、とっくに企業メルマガがスパム扱いされるほどの量と頻度と内容のなさになっています。


じゃあ、どうするのか。


単純に考えて、すでに認知度の高い企業や製品なら、手段はいろいろあるでしょう。だけど知名度がそこそこだったり、なかったりする場合はどうでしょう。
私は、大きな意味での社会的なテーマに寄り添うことだと思います。検索を考えてもそうですが、例えば食べることなら、誰でも毎日している。でも今日のランチで食べるところを検索するとなると、けっこう少数派かもしれません。ただ遊びに行った先とか、仕事の訪問先周辺となると可能性は高まります。キーワードとして考えると、いちばんは「お好み焼き」みたいな料理名。そして値段だったり、グルメな食材だったり、安全性とかこだわりみたいなことも入って来るんじゃないでしょうか。
お好み焼きで検索している人に、ハンバーグ店が割り込むのはかなり遠いですから無視します。例えば「国産の食材を使っている」というこだわりなら、絶対的な検索数はビッグじゃなくても、来店してくれる可能性が高まります。
ディスプレイ広告などを仕掛けるにしても、こういう社会的なテーマに寄り添ったものなら、届きやすいはずです。


広告的手法以外に、ソーシャルメディアやオウンドメディアでの仕掛けはどうでしょう。ソーシャルだって、かつてはmixiがダントツでしたが、いまやオワコン扱いです。Google+はAKB絡みだけが元気で、Facebookも日本だけではなくアメリカでも伸びが止まり減少傾向にあるそうです。
そうなると、方程式がないわけですから、あらゆるソーシャルメディアからの導線をオウンドメディアという基地につなぐことが必要ではないでしょうか。オウンドメディアとは自社ホームページはもちろん、ショッピングサイトやランディングページ。名刺やパンフレットまで自社でパブリッシュするものは、すべて含むと考えた方がいいでしょう。とりあえずここでは、ネット上のオウンドメディアだけで話を進めます。

ソーシャルメディアは多種多様で、どこの導線から入って来てくれるか分からない。それぞれのメディアの特性に応じて使い分ける。ターゲットによってはPinterestやLINEをメインにした方がいいかもしれません。
そして核になるイメージは守りながらも、それぞれに合わせた断面のクリエイティブを、あちこちにバラまく。
自社ホームページに訪れてくれた人には、コモディティじゃなくブランディングされたイメージと、掘り下げればどこまでも深堀できる情報を提供することが必要なんだと思います。

とりあえず最初の段階は、バラまいて、どこがコンバージョンするかをチェックですね。




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