2015年9月25日金曜日

【Facebook】は、とりあえず[投稿の詳細]を毎日チェックしておく


Facebookインサイトを見ても、だからどうすればいいのか、というところがさっぱり理解できない。
そんな声をよく聞きます。
そりゃあ投稿が良くない。考え方自体が間違っていれば、インサイトを睨んだって何にもわかりません。もちろん業種や業態、規模によって、実名のつながりをベースにしたFacebookでは成果の出ないアカウントだってあるでしょう。
それもあって、前にこんな記事を書きました。
【Facebook】のインサイトは、まず競合をチェックすることから

インサイトの[競合ページ]を設定して、直接的な競合だと思えるところがどこも成果を上げていなければ、Facebookページの運用をあきらめてツイッターなど他のソーシャルメディアに注力するか、あるいはFacebook広告を使うしかないでしょう。
どこも成果を出していなければ、Facebook広告を使ったところで期待薄だとは思いますが。

成果を上げているところがあれば、そこを徹底的に調べて、取り入れられる要素があれば取り入れればいいのです。
もっともアカウントと関係のない面白投稿とかクイズとか、そんなことでエンゲージメントを稼いでいても意味はないです。


今回書くのは、その次のこと。[競合ページ]を調べて、運用を見直したら、どうやってチューニングしていけばいいか。
Facebookインサイトは一週間に一度程度のチェックにしておいて、できれば毎日、少なくとも投稿した翌日にチェックしておいた方がいいのは[投稿の詳細]です。


Facebook[投稿の詳細]は、ここで表示することができる


[投稿の詳細]は、Facebookページの各投稿の下に、リーチした人数が出ています。ここをクリックすると、投稿の上に出てきます。






簡単でしょう。これならパソコンからアクセスするたびにチェックしたって、ほとんど手間はかかりません。インサイトでも同様の内容は出てきますが、投稿ごとの反応を知るには、リーチ人数をクリックした方が早いです。


Facebook[投稿の詳細]の見方


[投稿の詳細]では、いいね!された数、コメント数、シェアされた回数が出てきます。それだけなら投稿のすぐ下にだって出ているのですが、数字が違っていませんか?
まず、下の画像を見てください。


このAのエリアの数字が、投稿の下に出ているものと同じです。Facebookページでいいね!、コメント、シェアされた数字が出ています。
そしてその右側のBのエリアに出ているのは、シェアされた先での反応です。


そしてAとBの合計が、Cのエリアのエリアに表示されています。
※Facebookにはこんな説明ありませんが、いくつもの[投稿の詳細]を見て、この解釈で間違いないと思います。


シェアされたところでの反応も、この投稿があったからこそ拡散して生まれたいいね!やコメントです。いいね!の数を重視するならここですし、私はシェアされた先で、さらにシェアされた回数は、同じ重みではないと思っています。


傾聴は、シェアされた先のコメントを重視する


個人的な実感でも、気軽にいいね!してくれる人、いいね!はしてくれなくても会うと詳しく覚えてくれていて、読んでくれているんだなと感じる人。さまざまです。
ソーシャルメディアでは、反応を知ることで様々なリサーチをすることが出来ますが、Facebookの場合、反応してくれるほとんどの人がファン。特に日本人の場合はそうなのだと思いますが、企業や団体の投稿に対して、直接ネガティブなコメントを書き込む人は稀です。辛辣な内容があって調べて行くと、私の経験ではファンではない人ばかりです。

ところがシェアされた先でのいいね!やコメントは、率直な意見であることが多いと感じます。どんな人が書いているんだろうと追跡して行くと、なるほどと背景を知ることができたりします。
多くのリサーチでは、どうしても素直に出てきた意見は少ないので貴重です。



リンクのクリックや、その他のクリック


ABCのエリアの下に、投稿のクリックとしてまとめられた、写真のクリック、リンクのクリック、その他のクリックがあります。
ウェブサイトなどへの誘導なら、リンクのクリックは重要な指標になるでしょう。私は「その他のクリック」に注目しています。その他のクリックとはオンマウスでこんな吹き出しが出てきます。


ここでは167回と表示されていますが、想像すると、この投稿によってファンが「見落としていたかもしれないから、他の投稿も見てみよう」とか、ファンではない人が「面白そうな投稿だから、Facebookページに行ってみよう」という行動が少なからずあるはずです。
内訳はどこにも出てこないので、想像でしかありませんが、積極的なアクションの指標であることは間違いないでしょう。


否定的な意見を、どうとらえるか


投稿のクリックの下に、投稿を非表示、全投稿を非表示、スパムとして報告、いいね!の取り消しなど、ネガティブな行動数が表示されています。
私は、これらは数次第だと考えています。



今回サンプルとして出している[投稿の詳細]は、リーチが4902人。その中で全投稿を非表示にした人が2人ですから、まったく問題がないと考えています。競合他社や運用の仕方を調べるために、ファンになった人だっているはずですから。
だから絶対数と割合次第だと考えておけばいいのではないでしょうか。


Facebookインサイトは主にトレンドとしてたまにチェックして、[投稿の詳細]は投稿ごとに頻繁にチェックしておく。そんな把握の仕方がいいのではと、私は考えています。




 株式会社イグジィット ウェブサイト

2015年9月10日木曜日

テイラー・スウィフトに、ソーシャルメディア マーケティングを学ぶ




土曜日の深夜、TBSの[CDTV]を見ていたら、レコチョク週間ダウンロードランキングで、テイラー・スウィフトの「シェイク・イット・オフ」が2位だと言っていました。
調べてみると、8月の月間シングルランキングでも2位。
レコチョク


アメリカでは、ビルボードシングルチャートでも、デジタルソングス・チャートでも初登場全米No.1になったのが昨年の8月。一年以上前に出た曲なのに、どうしてそんなに人気なんでしょう。
もしかしたら日本では、8月から家庭教師のトライのCMで使われはじめたからかも。
だけど、このCMがなくてもテイラー・スウィフト「シェイク・イット・オフ」の話題は、ずっと続いているのです。[話題]が続いていて、[評判]が良ければ、そりゃあ売れます。



警察官がパトカーで歌うYouTube動画に、テイラー・スイフトがLOLOLOLOL


ドーバー警察署の警察官ジェフ・デイビスさんが勤務中にパトカーの中で歌っている映像が、YouTubeにアップされたのが、今年の1月。
これは勤務中の警察官を監視する映像の中から、警察署が発見。楽しんでもらうためにシェアしたものなんだそうです。現在、オリジナルだけでも3600万回を突破しています。
公開されて3日間で1300万回を超えたということですが、実はテイラー・スウィフト自身がTwitterで拡散していたんですね。



LOLOLOLOLとは、調べてみるとlaughing out loudの頭文字を取ったらしいので、ゲラゲラゲラとかワロタワロタみたいな感じでしょうか。
テイラー・スウィフト自身がこんな感じでシェアすれば、あっという間に世界中に広がりますね。
彼女がツイートしたことで、曲を使って著作権的にも大丈夫なんだな、ともなるでしょうし。このあたり、ファレル・ウィリアムスにはない上手さです。

昨年6月、『YouTubeと音楽プロモーションのトレンドと著作権』の中で、ファレルの「Happy」が学校のプロモーションとして使われていることを書きました。「Happy」を使ったものは、ほとんどがプロが制作しているしっかりとした映像です。ところが「シェイク・イット・オフ」は、手作り感あふれる映像で学校の先生たちが踊っています。生徒たちによるものも多いです。
「Happy」は、いずれもみっちりダンスのトレーニングもして、専門家が撮影・編集をし、プロモーションを行っている印象。それに対して「シェイク・イット・オフ」は、誰かが言い出して1週間後には撮影した感のある、微笑ましいものです。このあたりのユルさ気軽さも、テイラー・スウィフトのSNS人気の大きなポイントだと思います。
※ちなみに警察官の動画をこのブログ上で再生しようとすると、UMGの制限がかかります。YouTubeで飛んでみると、CMが入るのでYouTubeとユニバーサルミュージックの契約。CM収入を得ることでOKしているということですね。



こういう口パク動画は、Lip Syncとか、Lip Dubとか呼ばれて、無数に上がっています。ちなみにアメリカでは「Lip Sync Battle」というケーブルテレビの番組ができるほど、人気だそうです。
あのロックが「シェイク・イット・オフ」を口パクしていて、爆笑しました。
The Rock danse et chante sur Shake it Off 


他にも大学生たちのLip Dubを「来年のコンサートに招待するわ」をツイートしています。この動画、何が面白いのか、私にはわかりませんが(笑) 


とにかくテイラー・スウィフトは、ツイートしまくってるんですね。
どれぐらいTwitterをやっているんでしょう。



テイラー・スウィフトは、365日24時間Twitterをやってる?


曜日・時間帯で見ると、やっていないのは、火曜から土曜日の19時台だけです。
グラフィカルTwitter分析whotwi



実際のところ、365日24時間なのかどうかは、わかりません。平均ツイート間隔は7時間なので、貼り付いてるわけではなさそうです。思ってたより、少なかったです。
でもこれだけバラけて、曜日時間帯を問わずやっていれば、いろんな層に届きやすい。拡散しなかったとしても、あらゆる層のフォロワーに届きやすいと言えます。
(フォロワーがアクティブな時間を狙って投稿しろと、よくセオリーのように言われますが、私はそんなことないと思っています)

また特筆すべきは、リプライとRTの多さ。リプライとは@が最初についたツイートで返信ですね。RTはリツイート。メディアやファン、友だちや仕事の仲間がツイートしたものを、テイラー・スウィフトが拡散しています。


インスタグラムの投稿は、Twitterと同じ。Twitterでリツイートされる回数もすごいですが、驚くべきことにインスタグラムでは軒並み1万以上のコメントがついています。
ちなみに一番上にインスタグラムに投稿されたばかりのスクリーンショット貼付けましたが、これが投稿3時間で2万2千以上もコメントされています。
「火災報知器が鳴ってる。どうしていいのか、わからない」という内容で、不安げな表情の動画と一緒に投稿されています。

ツアーやMV、アルバムや新曲のプロモーションばかりではなく、こういうステージ外の出来事をツイートしたり、ファンとのコミュニケーションに費やしている時間も膨大なのではと思います。
チームでやっていているはずだから、スタッフががんばっているのでしょうか。いや、コミュニケーションのところはけっこう本人でしょう。これを誰かが代わりになんて、難易度高そうです。

もちろんそれぞれの動画やVine、GIFアニメも多用していますので、写真も含め制作しているのはスタッフでしょうけれども。ファンだけじゃなくMVに出てくれた女優とか友だちとか、それをリプライするのは、センシティブなところがありそうです。アーティストとしてチームに任せているのであれば、かなり度胸があります。

実際がどうあれ、ファンからしたらテイラー・スウィフトがやっていると思える違和感のなさ。これだけコミュニケーションしているのですから。






ファンと、テイラー・スウィフトが用意した#Taylurkingでつながる


昨年発売されたアルバム『1989』には、ポラロイド写真が全部で65枚の中から、ひとつのCDにつき13枚入っていたそうです。
テイラー・スイフトは、ファンがこのポラロイドを持った写真を撮って投稿したものを、リツイーティングしていたそうです。

the day of the album’s release, Borchetta says Swift called to say she’d been retweeting fans’ pictures of the Polaroids. “She said, ‘Oh, my God! We’re just having so much fun!’ ” Borchetta says.
米Bloomberg


リツイーティングという意味が分かりませんが、テイラー・スウィフトはファンの投稿した写真を取って、自分でツイートしています。ファンはツイートにハッシュタグ#Taylurkingを付けていますので、これがお約束なんでしょうね。
ドッキリギフトや突然の自宅訪問、ツアーへ招待された人たちのツイートやインスタグラムの投稿にも、もちろん#Taylurkingがついていました。


それにしてもBloombergが取り上げるなんて、驚きですね。
実はウォールストリートジャーナルにも、取り上げられています。



iPhoneが登場してから、サインじゃなくて一緒にセルフィー


テイラー・スウィフト自身の寄稿のようです。昨年の7月にアメリカのウォールストリートジャーナルで公開されて、日本版に訳が出ていました。
「テイラー・スイフトにとって音楽の未来はラブストーリー」というタイトルなので、語られているのは音楽のことですが、ソーシャルメディアに関するところを抜粋します。



ユーチューブ時代のいま、昨年のスタジアムツアーではほぼすべてのファンがすでにショーをオンラインで視聴していることを念頭に置いて毎晩ステージに立った。彼らに今までに見たことのないものを示すために、私は十数人のスペシャルゲストを招いて彼らのヒット曲を一緒に歌った。私の世代は番組にあきたらチャンネルを変えることができる環境で育っており、気の短い時には本の最後のページだけを読む。われわれは予想外の事に喜び、驚くことを求めている。

過去数年で時代遅れになったものをいくつか目撃してきたが、まずサインが挙げられる。前面カメラ付きの「iPhone(アイフォーン)」の発明以来、サインを求められたことは一度もない。「今時のキッズ」が欲しがる唯一の記念物はセルフィーで、これは「インスタグラムに何人のフォロワーがいるか」という新しい価値観の一部のようだ。

友人の女優が教えてくれたのだが、最新の映画のキャスティングをめぐり女優2人が残った段階でキャスティング担当はツイッターのフォロワーが多い女優を選んだという。これは音楽業界でもトレンドになりつつある。 


テイラー・スウィフトは、25歳。彼女のファンも、10代20代のデジタルネイティブ世代が中心。日本のYouTubeをチェックすると、「シェイク・イット・オフ」を使ったLip Syncやダンスは、ほとんど高校生がやっています。

もうソーシャルメディアの使い方、うま過ぎでしょう。

※タイトル変えました。『グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ』を引用して最初に考えていました。でもカタカナが多くなるのでどうかと思ったのですが、よくよく考えてみると、グレイトフル・デッドの方法論は、デジタルネイティブより上の年代向けに素晴らしいと思いますが、ソーシャルメディアではない。
いまの時代のソーシャルメディア マーケティングなら、テイラー・スウィフトがキングです。




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2015年8月20日木曜日

お盆のSNS事情は、けっこう変わってきましたよ


昨年、お盆にFacebookやTwitterを運用してみてどうだったかを書きました。私は年末年始やゴールデンウィークを含め、「競争相手が少ないので、有利に展開できる」と考えています。でもお盆は少しばかり事情が違いました。

1年前に書いた内容をまとめると、こんなところでした。
  • 企業アカウントは、ほぼ非アクティブ
  • それ以上にユーザーも非アクティブ
  • Facebookページのリーチが激減した
  • Twitterではアイドルが救世主
  • 過去の投稿にさかのぼって見てくれる確率が、高くなる
『お盆にSNSをやったら、こうだった』

そんなお盆の状況が、今年はけっこう変わったなという印象です。参考になるデータを出しますので、具体的な日付をふせ、大雑把にお盆あたりの1週間ということにさせてください。
今でも朝夕の電車はそれほどのラッシュではありませんし、朝の渋谷駅前は混み合っていません。その分、午後から夜にかけての混雑は激しいです。お盆ではなくなりましたが、まだまだ夏休みモードですね。SNSも同様の印象です。



◎フェイスブックでは、こうだった


昨年は投稿する素材がなかったものですから、今年はクライアントと打ち合わせて、事前に写真を撮るなど、準備していました。


◯[Facebookの競合ページ]で、わかったこと

Facebookのインサイトでは、任意の競合するページを登録し、比較検討することができます。といっても[人気の投稿]、そして[今週の投稿数][今週のエンゲージメント]ぐらいですが。以前は[今週のいいね!]も表示されましたが、現在はなくなっています。

今年は多くのアカウントが休まず投稿している

昨年はお盆の間、ほとんどのアカウントが投稿のない状態でした。ところが今年は、参考にしよう、比較検討しようと登録していたアカウントはすべて、なんらかの投稿をしていました。大きな変化です。


もちろん参考にしようと登録しているぐらいですから、運用に学ぶべき点がある、あるいは注目していおきたいと考えているアカウント。運用に積極的だから、お盆もやっているのかもしれません。

インサイトの[競合ページ]に登録すると、どういうアルゴリズムなのか、順番がつきます。ヘルプにも書かれていませんのではっきりしませんが、投稿数とエンゲージメントの関係から、1投稿あたりの効率で出しているのではないかと思われます。
エンゲージメントは、いいね!、コメント、シェアの合計ですから、ここに出てこないリーチも含めて順位を付けているのではないでしょうか。
とりあえず「ページの合計いいね!」は累積で、かつて「いいね!」することを参加条件にしたキャンペーンを実施していれば膨大な数になりますので、参考になりません。現在は禁止されています。


やはりオリジナルで投稿頻度の多さが強い。予約投稿は残念な結果に

1のアカウントは、1回あたりの投稿で約254人のアクションがあったのですからかなり高効率です。知名度抜群の大企業で、そもそもファンの数が桁違いです。

3のアカウントは、うちが運用させていただいている企業です。1回あたりの投稿で約133人のアクションがあったのですから、悪くはありません。

2のアカウントは、1回あたりの投稿で約90人のアクションですから、よくはありません。ただ特筆すべきは、お盆の1週間で11投稿もしているという熱心さ。しかも、すべてSNS用の細かいネタで写真を撮り、テキストを作っています。もうチェックしながら労力に驚いていました。
たぶんエンゲージメントはいまひとつでも、リーチが高いのではないかと想像しています。

7のアカウントも、大企業で知名度は抜群です。お盆の1週間で9投稿されているのですが、約53人のアクションということですから、ファン数からすれば、無視に近い状態かもしれません。
見てみると、広告そのままの画像とテキストを使っています。コメントに対して何のリアクションもないので、どうも予約投稿を使っているようです。さらにまったく同じ投稿も使っているので、かなりまずいです。労力的な意味での効率は良くても、ファンに離反されかねません。わざわざページへの「いいね!」を取り消す人は少ないと思われますが、現在のFacebookのアルゴリズムだと、ファンのニュースフィールドに表示されなくなりそうです。

こういう見方が的確かどうかは、運営者がリーチをチェックすれば判明します。


週間合計リーチは38.0%上昇

Facebookから毎週メールで送られてくる「週間ページ情報」によると、3のアカウントは、その前週より週間の合計リーチは38.0%上昇し、アクションを実行した人は36.1%増加していました。




どこでもそんな傾向があるのかというと… 「週間ページ情報」で当社Facebookアカウントの合計リーチは89.8%上昇し、アクションを実行した人はマイナス42.9%になっています。母数が違いすぎるので、意味はありませんが(笑)


おおざっぱに言うと、昨年同様、利用しているアクティブなユーザーは激減するが、見てくれる人は増える。
また[競合ページ]に登録していないアカウントを見て回ったところでは、概ね非アクティブなので、これも昨年同様「競争相手が少ないので、有利に展開できる」と言えそうです。個人を含め、投稿数自体が激減するのですから、それだけ目立つのは当然です。

また仮に購入や来店など、最終的なゴールへの効果が不透明であったとしても、Facebookのアルゴリズムからすれば、見てもらえないと表示すらされなくなります。お盆など競争相手が少ないタイミングで見てもらうことは、とても重要なはずです。
とにかく準備が大事ですね。




◎ツイッターでは、こうだった


Twitterは昨年のまったく同じ印象です。Facebook以上に「競争相手が少ないので、有利に展開できる」です。
もちろん拡散力の点ではFacebookの比ではありませんので、お盆の時期にメッセージしたいことがあるアカウントには、大きなチャンスです。


◯Twitterアナリティクスで、わかったこと

インプレッションは、それほど変化がない


お盆の1週間で見ると、それまでとそれほど変化があるようには思えません。上の画像では、最大だった日のインプレッション(ユーザーがTwitterでツイートを見た回数)が55,395になっていますが、これを上回るインプレッション数になることはたびたびあります。

では何が違うのか。この日のツイート数が24になっています。それだけの新しいネタがあるわけでもないのに、20回以上もツイートすることはありません。翌日は30回以上、ツイートしています。
Twitterはストック的な効果はそれほど期待できませんし、ツイートし過ぎてフォロワーのタイムラインを埋めてしまうことは避けた方がいいと避けた方がいいと、私は考えています。もちろんほぼ同じツイートを繰り返す方法もありますが、それでも数時間は間隔を置いた方がいい。
ツイッターで、繰り返し、同じ投稿をする単純な方法

そう考えているのに何をツイートしていたかというと、フォロワーからの返信などに返しているのです。


コミュニケーションが多くなるタイミング

TwitterでもFacebookと同様、アクティブユーザーは激減しているかもしれませんが、ツイート数はやや減っているという印象です。
企業アカウントは、昨年同様ほぼ非アクティブです。

インプレッションは、それほど変化がないと書きましたが、当たり前にやっていれば下がるはず。ところが反応してくれる人は多いので、コミュニケーションしていればツイート数は多くなり、インプレッションも上昇します。
企業ツイートが少なく、時間的にも余裕があるのかもしれません。
下の画像は、この日のトップツイートです。



エンゲージメント率も高いですが、返信が6。Twitterアナリティクスは控えめです。このツイートから直接返信してくれた人の数ですから、実際にはもっと多いのです。

Twitterを積極的に運用するなら、お盆はどんどんお得なタイミングになっていきそうです。



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2015年8月17日月曜日

広告というコトバが終わったからって、ネイティブアドの時代でもないと思う



画像:apple musicのビルボード
去年の11月に「広告というコトバは、もう終わっている感じですね -1」を書いて、すぐに続きを書こうと思っていました。ところが2014年後半からネイティブアドが急にもてはやされるようになって、現在も流行中です。
ネイティブアドが、さらに拡大していくのでしょうか。

Googleトレンドで検索すると、このように2014年の2月から始まり、今年の5月がピークです。

実際にネットメディアでは、大小硬軟問わずどこでもやっていますし、トヨタなど大手企業も使っています。 私は広告という発想は、ほぼ終わりかけていると思っていますが、それは広く知らせる、広さの程度。大多数に繰り返し何度も訴求して、購買行動を変容させる。相互のコミュニケーションではなく、一方的な伝達によってイメージを作る。などなど、広告的なセオリーや文法についてです。
スマホを操作しながら歩く人が増えているとはいえ、看板など屋外の広告で知らせるのは有効でしょうし。それでもマスメディアを使った広告も含め、効果が見えないのと、効果が落ちているのではという実感が、ネイティブアドなどになだれ込んでいるような気がします。



ネイティブアドは錯誤を狙っている?


アメリカでは検索結果の上に出る連動広告(リスティング)も、ネイティブアドの定義内になるそうですが、ネイティブアドのほとんどはネットメディアの記事の体裁と同じフォーマットで作られたもの。
必ず提供やPRというワードが上部、あるいは下部に表示されているはずです。


海外でのネイティブアドの効果について、バナー広告と比較した2014年2013年の調査をまとめたものがあります。
バナー広告の1.5倍見られる!?ネイティブ広告に関する海外データまとめ

バナーの効果が落ちて行く一方で、ネイティブアドの効果が上昇しているということですね。


一方、日本ではスマートフォンでの広告に関しての、やはり2014年の調査があります。
ネイティブ広告で騙された気分に? ジャストシステムがスマホ広告印象調査

この調査によれば、ネイティブ広告は記事と区別しにくいと否定的な印象を、合計で77.3%もの人が持っているそうです。加えてつきまとう「行動ターゲティング広告に拒否感を覚える回答者が多い」とのことです。
スマートフォンに関してですから、当然の結果かと思います。

私はパソコンでもネイティブアドを見かけると、がっかりします。信用しているネットメディアが、広告であることをはっきり打ち出さずに記事を作っていると、そのメディアへの不信感が出てきますし、広告主に対してもいい印象は持ちません。
そう、どこのネットメディアでも広告であることの表記を、わかりにくくしているのです。どころかノンクレジットのものも少なくありません。



ネイティブアドはステマ?


ネイティブアドの定義や本来のあり方がどうであれ、ステマだと考える人が多ければ、逆効果しかありません。
私はノンクレジットであっても読んでいて、他の記事でこんな書き方はしていないとか、こんなに凝った写真なんて撮っていないとか、ピンと来るポイントはいくつもあります。
逆に素直に記事だと思って読んで、影響されてしまう人はどれぐらいいるのでしょうか。

もちろん内容に有意義な情報が含まれていれば、多くの人が影響されるでしょう。ところが流行しているとか効果があるとかオススメですということだけなら、影響される人はどんどん減っていくはずです。
まずそのネットメディア自体の、アクセス数や信用度が落ちて行く。評判を重視し、ちゃんとチェックしている広告主であれば、避けるようになってくるはずです。結果、売り逃げ的な広告主が多くなり、ネットメディアは怪しげな記事ばかりになっていくという負のスパイラルが起こりかねません。

いや、こんなまどろっこしい書き方をしなくても、こちらで山本一郎さんがかなりストレートに書かれています。
サイバーエージェントなど特定企業の社員が違法なネイティブアドビジネスにぶっこんでいる件で



それでもネイティブアドは、そろそろ終わりだと思う理由


山本一郎さんも書かれていますが、今年の3月一般社団法人インターネット広告推進協議会(JIAA)がネイティブ広告のガイドラインを策定。信頼性確立のための普及啓発を推進すると発表しています。
ただネットメディア、ニュースサイトもスマホシフトは否応無しに進行します。スマートフォンのサイトで大きく広告であることを表記するのであれば、記事のフォーマットを使う必要はそれほどないのでは、と私は想像します。

どうして記事と同じフォーマットにするかといえば、読む人にストレスを与えないためと言われています。それ以上に純広告のようにイメージ中心やワンメッセージではなく、多様なメリットや使い方など説明的な部分を多く扱うことができるので、本来は広い内容で深く訴求することができるところが大きな利点だったのではないでしょうか。
しかしスマホサイトでは、広く深くはなかなか難しい。しかも自社サイトなどオウンドメディアで作った方が、はるかに丁寧にできるはずです。


残るはネットメディアの持つ拡散力。
JIAAがどれだけがんばっても、ノンクレジットやわかりにくい表記が減らなければ、法的にどうであれステマだと思う人はどんどん増えて行くだけ。記事がステマなら、ソーシャルメディアでの拡散もステマだと位置づけられるでしょう。
五輪エンブレムが盗用かどうかの判断と、過去の仕事で盗用が発覚し、多くの人がどう感じたかの経緯と同じことかもしれません。

つまりは自前でやるしか、ない。
他にも、ネットでは純粋な広告もそろそろどうなのか。やっぱり自前でやるしかなさそうだと思わせるニュースがあります。



次期iOS9で、ブラウザ『Safari』に広告ブロック機能搭載予定


Adblockなど広告を非表示にできるツールは数多く開発されていますが、なんとAppleは次期iOS9のデベロッパー向け資料に、標準のブラウザ『Safari』で広告ブロック機能を搭載予定だと書いているそうです。
iPhoneとiPadが広告ブロック機能を搭載予定。iOS9の次期Safariから

あくまで予定ですし、機能拡張なのでiPhoneを使う人のほとんどが広告ブロックを使うわけではありませんが、実際に搭載されれば、広告ブロックへの流れが加速するのはまちがいないのではと思われます。
GoogleのAndroidが広告ブロック機能を搭載するのは難しいかもしれませんが、アプリではこれからも出てきそうです。
確かにスマホの小さい画面では、どんな種類の広告だって邪魔。Appleはユーザー体験を阻害するものだと考えているのでしょう。

そうなってくるとネットメディアはもちろん、ネットの広告に依存しているビジネスモデルは、大きく変貌しそうです。
たぶん広告ではなく、自前のコンテンツと拡散の手段が最重要。そんなタイミングは、すぐそこです。




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2015年8月6日木曜日

フード関連では、もうInstagramが必須ですね


画像:インスタグラムイメージ

4月に書いたこの記事では、気になるキャンペーン4本のうち、2本がインスタグラムを使ったものでした。
[ソーシャルメディアで投稿してくださいキャンペーン]をやったら、どうなるか


中目黒のピッツア店では「写真をおしゃれに撮って、シェアしよう」と呼びかけているだけでメリットは何もないのに、ユーザーが嬉々として投稿をしています。
中目で遊ぶおしゃれな人たちだから、アリなのかと思っていたら、なんと丸亀製麺が同じことをやっています。

そう、今回書きたいのは、インスタグラムは「おしゃれな写真好きの若い女性が中心」というところから、急速にユーザーが拡大しているようです。そして、フード関連では不可欠なソーシャルメディアになっていますよという2点。



鬼おろしと肉を高く盛れという丸亀製麺


画像:丸亀製麺「鬼おろしと肉を高く盛れ!」pop

テレビCMもやっていた[鬼おろし肉ぶっかけ]で、「あなたがつくった鬼おろし肉タワーをInstagramに今すぐアップ」と呼びかけています。ラーメン二郎じゃないし、丸亀製麺で盛った写真を撮って、おしゃれなインスタグラムにアップするかなと疑問でした。
しかも、投稿した人にメリットないし、大企業が厚かましいなぁと思っていました。
ところが調べてみると、けっこう投稿されているのです。


[鬼おろし肉ぶっかけ]はそれほど多くないものの、タワーにした投稿で一番人気は141件のいいね!を集めています。
投稿しているのは食べ物の写真は多いですが、普通の人。丸亀製麺は自ら投稿していないようですし、インスタグラム内でしか展開していないようです。

もう1店、おしゃれでもなんでもない例をご紹介します。



豚野郎のキャッチが強烈な、野郎ラーメンのインスタ


渋谷センター街の野郎ラーメンには、こんなボードがあります。

画像:野郎ラーメン店頭

ここから顔出して撮る人いる? 
観光客ならやりそうだと思っていたら、少数ですが投稿されています。





ラーメンの投稿が圧倒的ですが、野郎ラーメンは遊び心満点の店なんですね。センター街や道玄坂は、ファストフード以上にラーメン激戦区ですが、店舗の内外感や遊び心のある施策で、他店とは見事に差別化されています。
#野郎ラーメンで検索すると2514件投稿されています。なにもキャラクターのボードから顔を出した投稿をされなくても、野郎ラーメンがインスタグラムに存在していることが伝われば、目的は達しているのはないでしょうか。



丸亀製麺や野郎ラーメンが、POPやボードを作って投稿を促しているだけで、これだけ参加する人がいるのですから、インスタグラムは「おしゃれな写真好きの若い女性が中心」というところから、急速に利用者層が広がっていると考えた方が良さそうですよね。



インスタグラムは拡散性の低いSNS。投稿してもらわないと始まらない


インスタグラムで撮影した写真は、簡単に加工できるということと、そのままFacebookやTwitterに共有しやすい点がウケ、じわじわとユーザーが増えていました。
ところがチェックして行くと、インスタグラムだけで使っている人はとても多いように思えます。

また友だちがいいね!やコメントをしても、フィールドには表示されません。検索は#(ハッシュタグ)を正確に入力しないと、目的の投稿には辿り着きません。
それらの理由から、Twitterよりも拡散性ではかなり劣り、友だちの間での広がりもFacebookより低く思えます。
基本はハッシュタグで検索するので、目的が明確で、偶然性が少ない。その分、見てくれた人には、他のソーシャルメディアよりも強く伝わっていると考えられるのではないでしょうか。
また検索することが当たり前だから、他のソーシャルメディアのようにフローではなく、ストックの効果もかなり期待できます。

企業の利用もハッシュタグを付けて投稿してもらわないと、接点すらできません。
もっとも古着屋などでは、入荷したアイテムをおしゃれに撮り、インスタをアルバムとして見せるような使われ方が定番化しています。いずれにせよ、ユーザーが目的性を持って使っている珍しい大手ソーシャルメディアだと言えそうです。



海外の「シェフたちはInstagramを実にうまく利用している」というWIRED


WIREDが6月に公開したインスタとシェフたちの「複雑」な関係という記事には、こう書かれています。
新作料理の1枚を自分やレストランのInstagramアカウントに投稿すれば、たちまち予約が殺到する。素晴らしい出来栄えの料理、大胆な食材、意匠を凝らした演出が多くの人の目に触れて、誰もがますます自分のソーシャルメディアのアカウントに写真を投稿し続けるようになる。

ほんとにそこまでなんだろうかと思いつつも、実在のシェフたちの声が掲載されているので説得力があります。
せっかく出した料理に、まるで写真撮影会のように向き合って名シーンを撮ろうとしているお客の姿を、多くのシェフが嫌がっているとしながらも、こういう意見が。

「悪い意見には影響を受けます」 と、バンクーバーのフォーシーズンズホテルのシェフ、ネッド・ベルは言う。「わたしの料理を撮った写真があまりに下手だと腹が立ちます。だから、ソーシャルメディア上での写真映りをつい、考えてしまうのです」
「料理は芸術です。シェフはお皿の上に、料理をできる限り美しくつくり上げるのです」 とベルは言う。「料理をつくっている間、カメラのことが気になるか? いいえ。もし出来栄えが良かったなら、わたしがカメラで撮りたいくらいですよ」

著名人や企業がTwitterをやっていないと、なりすましのアカウントが作られてしまうジレンマと似ているなあと読んでいて思いました。それなら自分が、あるいはレストランがインスタを始めた方がいいというシェフが増えても不思議じゃありません。

Instagramはマーケティングに役立つが、また調査用のツールにもなる。著名なシェフ、ボビー・フレイをはじめ、多くのシェフがアカウントをもっており、ジェイミー・オリヴァーに至っては、なんと2,800万ユーザーにも上る。
ということだそうです。



プロとかアマチュアとか分けられないカメラマンの増殖


シェフたちが感じているように、ソーシャルメディアに投稿する多くの人が、食事・料理写真を撮ってアップしています。

それでも、いくら加工が簡単だとはいえ、インスタグラマーだって、みんなが上手に撮れるわけじゃないし。照明やアングル、食器やテーブル、カトラリーだって計算しないとね。知識だってセンスだって、楽にものにできないって。そんな風に、私は最近まで思っていました。
ところが、です。いったいどうなってるんだという写真の数々に、あるコンテストで遭遇しました。
InstagramersJapanという日本最大最古のinstagramers.com公認ユーザーグループと、Prime Chefというシェフの出張料理サービスがタイアップした、「わたしのスペシャリテ」とっておきの美味しい写真を大募集!という企画です。
そこに応募された数々の料理写真は、ちょっとした驚きでした。

最優秀作は、こちら



まずテーブルセッティング。食器やテーブル、小物などの充実度に驚きました。これは素人じゃないでしょと思うところからチェックして行くと、フードコーディネーターや写真集をネットで売っている人など、食が仕事になっている人がほとんどでした。
でも、専業主婦らしき人たちもいらっしゃいます。撮影してインスタグラムに投稿することに、これだけ凝ることの出来る人たちの数に圧倒されます。

他のソーシャルメディアだと、投稿にそこまで手間と時間と情熱をかける人たちは少ないでしょう。

料理を撮る人、撮ることや仕上げることに凝る人たちが増えてくれば、インスタグラムが食のトレンドを作るという海外のような状況がすぐ来てしまいそうですよ。



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