2014年9月11日木曜日

全米オープンテニスにみる、ユニクロの慧眼


うちの奥様はテニスをしていますが、WOWOWには加入していません。うちも入ろうか、たぶん入れないだろうと、なんとなく見送っていたのですが、WOWOWの受付回線がパンクしたとかしないとか。
テニス友だちは、皆さんWOWOWに加入していて、録画せず深夜や早朝に見ていたそうです。
錦織圭選手の活躍は、テニスをしない私でも地上波で流された部分だけで十分に興奮させられました。

WOWOWは、ウハウハですね。
いや、それ以上にウハウハなのは、なんと言ってもユニクロでしょう。近所のおじさんから「ユニクロのテニスウェア持ってる? 中高と軟式テニスしてたんだけど、また始めたくなった。硬式テニスできるかな?」と話しかけられたそうです。ユニクロのテニス向けモデルに、そもそもレディスはないようですが(笑)




私はユニクロのウェブでの展開を、継続的にチェックしていました。もう大企業とは思えない速さです。


ウェブサイトやソーシャルメディアで展開するスピードがすごい!


8月24日のツイートです。
画像:ユニクロのツイート

ジョコビッチ、錦織、国枝各選手モデルの、8月25日からの販売を告知しています。もちろん先に生産し、販売できる体制を整えていたところが並じゃないですし、国枝選手モデルまで揃えているところが素晴らしいです。(国枝選手は車いすの部シングルスとダブルスで優勝!)
ただリツイート数は27、お気に入りに入れられたのが17ですから、拡散度合いとしては、寂しい限りです。


9月3日のツイートです。ジョコビッチ vs 錦織の準決勝は日本時間で7日です。
このあたりからがソーシャルメディアでも、凄まじいことになってきます。

画像:ユニクロのユニクロ対決ツイート

自ら「ユニクロ対決!」というフレーズを作って煽っていますし、ハッシュタグまで作っています。8月24日のツイートと比べると30倍近くバズっています。

同様の投稿がFacebookページでも行なわれていて、4,351人が[いいね!]して、シェアが207件という爆発ぶり。Facebookはそれだけじゃないんです。そのあともプロモーション的投稿はありますが、三選手の試合の写真をアルバムに投稿しています。
これがまたベストショットばかりで。買ったのかもしれません。新聞各社が一面や号外に使っている写真よりも、臨場感があります。しかも[いいね!]もシェアも、ユニクロ対決を上回ります。


9月8日国枝選手優勝おめでとう、そして錦織圭選手準優勝おめでとうのFacebookでの投稿です。

画像:ユニクロの国枝選手優勝のFACEBOOK投稿

画像:ユニクロの錦織選手準優勝のFACEBOOK投稿


国枝選手のものが、5,700人が[いいね!]でシェアが211件。錦織選手のものが14,722人の[いいね!]でシェアが271件。もう連続で大爆発しています。

選手のファンの人たち、そして試合に熱狂した人たちをソーシャルメディアでここまで惹き付ける展開は見事です。テレビなら世界大会で日本人が活躍すると、キラーコンテンツになりますが、ソーシャルメディアでこれだけの熱狂は、今までに例がないのではないでしょうか。
しかもマスメディア、特にテレビではほとんど取り上げられていない国枝選手をキチンと追っていますし、エンゲージメントしています。



ジョコビッチ、錦織、国枝各選手と契約したのは、いつ?



ユニクロは機能性ウェアに力を入れていますので、スポーツに目を付けるのは当然だと思いますが、三選手と契約したのはいつなんでしょうか。
三選手の活躍がなければ、ユニクロが何を投稿しようが、ここまでの爆発はあり得ないでしょう。


ノバク・ジョコビッチ

世界ランク1位のノバク・ジョコビッチ選手との契約は、2012年の5月。
当時、話題にしていたのはテニス関連の情報サイト。ジョコビッチ選手の日本での知名度は、一般的には低いでしょう。
テニスファンの間では話題になっていましたが、それまでがセルジオ・タッキーニというイタリアのスポーツウェアブランドと契約していたので、ユニクロになったことは衝撃的だったと思います。
他では、経済系としての話題ぐらいでしょうか。

きっとユニクロとしては日本国内ではテニスをする人たち以外への広がりは、それほど期待していなかったでしょう。それよりも世界戦略として、ということでしょうね。



錦織圭

錦織選手との契約は、その1年以上前。2011年1月。テニスファンの間では大きな話題になりましたが、一般的にはどうでしょうか。
2011年10月には、世界ランク30位になり、それまで日本人最高位の松岡修造さんの46位を抜き去ります。しかし契約の前年は、年初、怪我の影響でランキングを失います。復帰後は2010年の56位を回復したようです。


Googleトレンドで調べてみました。検索ボリュームがそのまま話題の大きさではありませんが。
画像:Googleトレンドで[ユニクロ 錦織]を調べた結果
2014年9月11日現在で9月の検索数を100とすると、2011年の1月は7しかありません。


このタイミングで錦織圭選手と契約を結ぶのは、ファストファッションとしてはかなり大胆です。
「これから世界に打って出るブランドのアンバサダーとして期待した」(柳井正・ファーストリテイリング会長兼社長)というユニクロは、錦織のためだけの特別チームを編成。契約金も「それなりに圭を評価してくれるだけのものを用意してくれた」と錦織の所属事務所のIMGは話す。
日本経済新聞

やはり日本国内でどうかということよりも、世界戦略としてということですね。テニス人口の多いヨーロッパで活躍が期待でき、好感度の高い日本人の錦織選手がアンバサダーということになれば、そのままユニクロのポジションとイメージ的にオーバラップさせられるということでしょう。



国枝慎吾

国枝選手は、世界ランキング1位。パラリンピックでもシングルスで2度ダブルスで1度、金メダルを獲得した超強豪選手です。
ユニクロと契約を結んだのは、2009年8月。同じアンバサダーという名称が使われていますが、国枝選手は所属契約。詳しい内容は明かされていませんが、一般的にはスポンサー契約より手厚いと考えて良さそうです(ちなみに錦織選手は、日清食品の所属)。

「世界中のあらゆる人々の生活をより良い方向に変えていく」という共通の価値観に基づき、ウェアの提供や共同開発にとどまらず、環境問題や教育問題、貧困などの社会的課題の解決に向けた活動を共同で推進しています。ユニクロでは、今後も高品質なウェアの提供を通じて、国枝選手をサポートするとともに、国枝選手と連携して、より良い社会の実現に向けた活動に取り組んでまいります。
ユニクロ プレスリリース 

なるほど、ユニクロの理念/社会的使命を体現する選手ということですね。




スポーツウェアとカジュアルな機能性ウェアの違い


今のところユニクロは、テニスウェアを販売しているのではなく、選手が着用したレプリカモデルを販売しているようです。ウェブサイトでも、錦織・国枝選手モデル、ジョコビッチ選手モデルの特集ページで、同じドライ機能を持ったウェアを販売しています。


「シーンを問わず着用していただける」と書かれているように、カジュアルウェアとしてきてもらえればいいというスタンスでしょう。それは成功しているように思えます。
そもそもレプリカモデルじゃなくても、機能性の高いウェアを作っているという評価が得られれば大成功ではないでしょうか。

スポーツ新聞のウェブ版に、ユニクロ担当者への取材が掲載されています。
最大のこだわりはウエアの重さにある。錦織の場合は「ほかの選手より上半身をひねるので軽すぎると体に巻きついちゃう」傾向があった。そこで最軽量化したウエアよりもやや重いものを着用。襟の部分で重さを調整したという。
錦織にウエアを選んでもらう際、複数のサンプルを用意するが「本当にグラムの違いが分かるんです。私たちは持っただけじゃ、どちらが重いか分からない。タグを見ながら説明していた。でも、本人は着ただけで分かる。体が繊細で(感覚が)研ぎ澄まされているんです」。数グラムのズレも錦織は見逃さなかった。続いての特徴は足元にあった。「滑るので、踏ん張るためにも靴下はしっかり作ってほしいと言われています」
東スポweb
信頼性の低い東スポですけど(笑)  それでもこういう要求に応えたウェアを提供していることは、信頼度が高いですよね。ノウハウを、カジュアルウェアにフィードバックできますし。

ナイキやアディダスなど専門メーカーは、イメージは高いですが、ユニクロには届かないスポーツウェアを作っているかというと、たぶんそんなことはないと私は思っています。シューズは別として、これはスポーツ用じゃないと思えるアイテムも数多くあります。個人的にタオル類などは、ナイキもアディダスもスポーツシーンで使うことを考えているのかと腹立たしくなるほどです。
デサントなど日本のメーカーの方が、相対的に良く出来ている気がします。でもユニクロが目指しているのは、そんなスポーツゴリゴリのシーンのウケではないでしょう。



他のスポンサーより、速くて巧みだったユニクロ


錦織圭選手のスポンサーは、Wikipediaによるとこうなっているそうです。


  • 日清食品(所属契約)
  • ウイルソン(ラケット)
  • アディダス(シューズ)
  • ユニクロ(ウェア)
  • ウイダーinゼリー(トレーニング・栄養)
  • カップヌードル(パッチスポンサー)
  • タグ・ホイヤー(時計)
  • ジャックス(クレジットカード)
  • デルタ航空(航空)

日清食品は、2008年9月にスポンサー契約を結び、2012年4月に所属契約に変更したそうです。ですが、ソーシャルメディアではカップヌードルでしか関連の投稿を行なっていないようです。
カップヌードルのFacebookページも、多くの[いいね!]を集め、シェアされていますが、ユニクロの1/3程度でしょうか。コメントも少なく、商品に直結するわけでもないので、なかなか辛いところです。ツイッターは、どうもないようですね。
ただ錦織選手が自主的に使っているというチキンラーメンのひよこちゃんバッグが、ツイッターでバズっています(笑)
画像:ひよこちゃんバッグに関するツイート

日清食品はボーナスについて公表しませんでした。ユニクロは会長のポケットマネーと会社から1億円出すと発表し、NHKまで取り上げたほどです。



タグ・ホイヤーは、読売新聞の出した号外に全5段の広告を出稿、それをツイートしていました。また急遽「錦織圭選手 応援キャンペーン」を開催。ハッシュタグを付け、応援メッセージをツイートしてくれた人へ抽選で5名様へ、錦織圭選手のサイン入りポスターをプレゼントとするというものなのですが、これがもう悲惨な結果のようでした。
Facebookページでは、カップヌードルと同等の反応を得るのですが… Facebookとツイッターを行き来させようとする試みは、内容的に無理があったように思えます。
またウェブサイトのトップでは、これを書いている時点で「決勝戦へ」となっていますので、ユニクロのような素早さはありません。


アディダスは、ツイッターの「アディダステニス」のアカウントでツイートした、これが最高の反応だったようです。
画像:アディダスのツイート

アディダスジャパンが、【錦織圭選手サイングッズプレゼントキャンペーン】として抽選でポスターをプレゼントとやっていますが、これもなかなか厳しい反応のようです。


今後スポンサー各社ではCM出演などが計画されていると思いますが、ソーシャルメディアを中心としたウェブ戦略、そして広報戦略としてもユニクロが際立って優れていたと私は思います。




最後にYahoo!のリアルタイム検索で、[錦織]を調べた結果です。錦織圭とか錦織選手と書いてる人もいるので、[錦織]にしました。
画像:Yahoo!のリアルタイムで[錦織]を調べた結果
試合のあった日に集中していますね。それにしても決勝戦が終わった後は、なんと76,000件です!

[ユニクロ 錦織]では、どうでしょうか。錦織選手の100分の1ほどの注目度ですが、けっこう持続しています。ユニクロの店舗やオンラインショップでの対応、ソーシャルメディアでの発信やその他でバズっていたり、様々なメディアで取り上げられていることが効いたのではないでしょうか。
画像:Yahoo!のリアルタイムで[ユニクロ 錦織]を調べた結果






バナー:ウェブ、グラフィック、そしてソーシャルなつながりをデザインする制作会社です

2014年9月4日木曜日

炎上する構造とダメージについて考えてみました


画像:炎上のイメージ


バズる方法は、あちこちで書かれています。反対に炎上論みたいなことも、あちこちで書かれています。
少し前に仕事の打ち合わせで、「Facebookは、炎上しないでしょう」みたいなことを聞かれました。実名制だから炎上しないという趣旨なんですが、実名制だって炎上しますよと説明しました。企業のFacebookページが炎上してないように見えるのは、単純にコメントを削除しているからではないでしょうか。


考えてみると私は、このところ年に数回ほど「そんなことすると炎上しますよ」と言っています。
ソーシャルメディアでは、炎上が可視化されやすい。でも私が言っているのは、ソーシャルメディア上だけじゃなくて、発言せず見ている人もいくらでもいますし、リアルなクチコミが広がったり、マスメディアも取り上げたり、現実的なダメージが出ますよという意味なんです。



◎炎上は必ずしも避けなきゃいけないことではない? 



ある外国の政府機関の人たちの前で、「そんなメッセージは、炎上しますよ」と言ったことがあります。最終的にメッセージの根本は変更されずに、ニュアンスだけ変えることになりました。
ソーシャルメディア上では、炎上とまでは行かないですが、ボヤってました。後日聞いたのは、「そんなことは折り込み済み」。つまりは選挙と同じで、反対意見が出ようと、多く票を獲得できれば当選する。当選することがゴールだということです。
そう聞くと確かに反対意見のないメッセージなんて、あるわけがない。ただ反射的にネガティブな反応が出て、それが連鎖して出てしまうようなアプローチがいいかというと、そうでもない。


ECの普及段階から、炎上マーケティングをしている企業もあります。ECサイトなら、どこで炎上しようと売上は伸びる。炎上させるのはタダだと言っている経営者もいますから(笑)
ブランドイメージはどうであれ、瞬間的に売上が向上すればいいとというモデル。これはいいとこ取りでパクリ合い、つぶし合いのバイラルメディアと似ています。PVを最大化して、広告収入を得られればいいという仕組み。



前置きが長くなりましたが、炎上って、そんなに単純ではないですよ。ソーシャルメディア上のことだけではないですし、ということを書いておきたかったんです。
それでは、この夏の炎上から。




LINEの乗っ取りは、どうして炎上しないのか




どんなに対策をしていても、LINEの乗っ取りが止まらないようです。[LINE 乗っ取り]でYahoo!のリアルタイム検索をしてみました。

画像:line乗っ取りのリアルタイム検索

8月1日には8000件に迫る勢い。その後、急落して落ち着いていますが継続して2000件前後ありますから、かなりの関心事です。ただ、感情分析はネガティブ・ポジティブがほぼ同じ。運営側の責任を問うもの、乗っ取られて落ち込んだ、腹が立つという投稿がネガティブ。ではポジティブはなんでしょう。おいしい、楽しいと書かれています。


もうすでに、多くのユーザーに[LINEは乗っ取られるもの]だと認識されているのでしょう。著名な人たちも、乗っ取られたとツイートしたり、ブログに書いていますから。そして今は、乗っ取り犯に対してどうやって遊ぶか。ネタにするかという段階に。
以前は「天安門」と返せば撃退できるということでしたが、すでに面白対処法が、あちこちでまとめられています。撃退じゃなくて、遊ぶ。

あるミュージシャンの人が乗っ取りにあって、落ち込んでいました。ところが友人のミュージシャンが、その乗っ取り犯と遊んでる様子が面白くて、「笑いにしてくれて、ありがとう。サイコー」だとツイートされています。

画像:line乗っ取り犯と遊んで笑いにしてくれたことを感謝するツイート

「愛で応えるという戦法」で遊んだ方が、以降の拡散の様子を書かれています。

まとめサイトや掲示板に書かれたのは、Yahoo!のリアルタイム検索では出てきません。リアルタイム検索やGoogleトレンドで調べられる何倍も何十倍も拡散していると考えていいのではないでしょうか。


一般的には[LINE 乗っ取り]は、とんでもない炎上をしているレベル。だけど、それを上回るほどの遊んでいる面白さの拡散があるし、訴求力がある。なので炎上しているようには、見えない。楽しいなら炎上ではなく、バズってる(笑)
たぶんユーザー数の増減という意味でも、トータルではダメージはない。と私は想像しています。




期限切れ鶏肉問題で、マクドナルドのダメージは



上海福喜食品の問題は、中国のテレビ局が潜入し告発報道したことから、ブルームバークやウォールストリートジャーナルなどがアメリカの経済メディアが先行して取り上げ、それを日本のマスメディアが追従したという流れのようです。
そんな中、日本のマクドナルドではFacebookでユーザーが書き込んだ不都合なコメントを削除していたように見受けられます。
マクドナルドは、どうしてソーシャルメディアで叩かれるのか

上に書いたように、報道後もなんの変化もなく発信されていましたし、テレビCMも流れていました。ところがテレビでの報道を見て、知る人が激増してくると非難するコメントは止まりませんし、Twitterなどでも非難がどんどん増えて行きます。私は初期の対応を、完全に間違っていたと思います。


その後です。7月29日になってカサノバ社長が記者会見し陳謝。
ところが陳謝のタイミングが遅過ぎることや、日本に入ってきたという証拠がないから返金は考えていない。マクドナルドも騙された。という発言などが反感を招き、あちこちのまとめサイトでまとめられ、謝罪会見の模様がYoutubeにあげられ、さらに非難の声を集めます。
タイミングに関しては、ロイターによるとアメリカでは22日に謝罪が行なわれたということですし、21日には日本でもナゲットの販売を中止していたそうですから、かなり不思議です。
カサノバ社長の発言内容は、法的には責任がない、法的瑕疵はないという立場から出たものだと思いますが、日本では逆PRにしかならない気がします。


Yahoo!のリアルタイム検索で、8月に入ってからの注目度を調べてみました。

画像:マクドナルドのリアルタイム検索結果

ポジティブな発言が65%! 凄いです。事件の影響なんて、まったくなさそうです。
しかし1ヵ月で消えるものでしょうか。
仮説として、どんなことが考えられるでしょうか。
・そもそもネガティブに騒いでいたのは、マックに行かない人たちだった
・日本人は忘れっぽい
・変わらぬキャンペーン攻勢。そして大量の広告宣伝、PRが功を奏している
そのすべてかもしれません。


日本フードサービス協会が8月25日に発表した外食産業214社の7月の売上は、前年同月比2.5%減と2カ月連続のマイナス。梅雨明けの遅れや台風による客足減などが原因だということですが、日本マクドナルドは18%減少。
マクドナルドの発表としては「今期の業績予想未定」だとしたそうです。

7月29日(ブルームバーグ):日本マクドナルドホールディングスは2014年12月期の業績予想を未定にすると発表した。取引先だった中国の上海福喜食品が使用期限切れの鶏肉を使用していた問題で、業績への影響が見通せないため。
(中略)
会見に同席した今村朗執行役員は「日々の売り上げ予測の15-20%くらい」を鶏肉問題の影響で失っていると述べた。

今後、輸入食品のトラブルが出たら、何年もの間、テレビでは上海福喜食品の映像が使われることでしょう。マクドナルドを連想する人も、確実にいる。ボディブローのように、マクドナルドの業績に影響はすると思います。
ただリアルタイム検索の感情分析によれば急回復していますから、従来からのファン層には、それほど影響がなさそうです。年間を通しての売上は、15%から20%減という現在の数字と比較すれば、もっと軽いダメージになるのではないでしょうか。




ランサーズのキャンセル提案が無断使用されていた件の炎上度



8月19日、沖縄のホームページ制作会社が「ランサーズで提案し、キャンセルになったデザインが無断で使われている」とブログで告発。
8月20日、ランサーズは自社のインフォメーションページに「ランサーズにおけるキャンセル時の提案の不正利用に関しまして」とのお知らせを掲載。とても素早い対応ですが、ツイッターを中心に炎上します。

画像:ランサーズのリアルタイム検索結果

20日終日のツイッターやフェイスブックの投稿件数は、1700件ほどになっていました。その後、続々とまとめサイトやブログなどで不正使用問題が取り上げられています。
ところが、Yahoo!のリアルタイム検索上では終息しているような、ほぼ通常の注目度に戻りました。これはいったいどういうことでしょうか。

ランサーズのお知らせには、以降の経緯、対応等がまとめられていますし、被害にあった沖縄のホームページ制作会社のブログでも、22日には和解に向かっていることが書かれ、無断使用した不動産会社の名前も出ています。
沖縄ホームページ制作工房「株式会社wEVA」社長日誌

22日には、こんな記事もバズっていました。
ランサーズ編集部がまるで仕事をしていない事が判明

ランサーズ広報の方へのインタビュー記事も出ています。これも偶然だと思いますが、22日です。

仕事はクラウドソーシングでどう変わりつつあるのか



3つのリンクを読めば、ランサーズ/クラウドソーソングの構造や問題点もだいたい理解できると思います。ランサーズは「時間と場所にとらわれない新しい働き方」だとしていますが、そうでしょうか。


仕事を出す側は、どんな企業なのでしょう。利用規約を読んでも、公序良俗に反する行為などが禁止されていますが、公序良俗に反する企業だって仕事の依頼を出せてしまいます。ランサーズも直接訪問して確認しているわけではないですから。
また契約違反があっても、トラブルの解決は当事者間で。ランサーズに損害を与えた場合は、賠償しなければならないとあるだけです。
これだと「新しい働き方」というよりも、悪意を持った発注者を引き寄せやすい仕組みだという気がします。2つめのリンクにあるような画像20本~30本集めて文章書いて記事作って100円という仕事は、パクってこいと言っているようなものですし。

と書いても、そもそもクラウドソーシングってどんなものかというイメージが湧きにくいでしょう。そうなんです。実際の利用者や、関連するような業種の人じゃないと、実感がない。関係もない。今回の炎上も、利用者以外には共有されにくい。だからすぐに沈静化しているように見える。でも、どこか目立たないところに潜行して、燃え続けているかもしれません。


ランサーズでは仕事の発注者にくらべて、圧倒的に供給過剰に思えますので、仕事をしてくれる人の動きは、業績的にはほとんど関係なさそうです。売上の増減は、発注者数とその単価。今回のような炎上は、グレーもしくはブラックな発注方法を広めているだけかもしれません。

いまや非正規雇用が4割近いと言いますし、デザイン関連の職種はそもそもフリーランスが多いですから、デザイン系クラウドソーソングはこの先も拡大すると思います。ただ法的・社会的なペナルティのないマッチングのプラットフォームは、どんなジャンルであっても基本的に出会い系の仕組みと同じですから、健全化は運営者次第で出来るはずです。




◎コントロールできないのが炎上




炎上マーケティングといわれるものは、花火大会で屋台の焼きそばが売れるのと同じです。人出が増えれば、焼きそばの売れ行きも増える。でもどの屋台か憶えているわけじゃないから、来年の花火大会でもやはり人出だけが頼り。
どれぐらいお客さんが来るかをコントロールしようとしても、なかなか難しい。天候にも左右されますし、仮に来場者数が倍増したとしても、屋台の前を通るお客さんが立ち止まれなくなるかもしれませんし。

炎上した後、さまざまな不自然な対応が目につくことがあります。IR/投資家対策なのか、特に経済メディアで、この取り上げ方は裏が透けて見えると思えるストーリーに仕上がっていることがあります。ソーシャルメディアでは、削除やステルス的なやらせが対応策だと考えているような企業もありそうです。初期対応さえすれば、延焼は防げると考えている専門の会社もあるそうです。


一番の誤解は、可視化できるところだけを問題だと考えていることではないでしょうか。潜行して、どこかで燃え続けているかもしれません。
投資家がユーザーであったり、発信や反応をせず観察しているだけの人だって少なくありません。ユーザーや顧客じゃなくても、就職したい、アルバイトしたいと考えて見ている人だっているはずです。


どうしたって炎上する場合はある。LINEのケースのように勝手に遊びに変えてくれればいいけれど、そうじゃなければどうするか。姿勢としては企業であっても、個人の人柄が見えるような対応をするしかないと私は思っています。





人と人がいつでも、瞬時に、地球上のどことでもつながり合う能力「ラディカル・コネクティビティ」が、世の中を劇的に変えている。テクノロジーによってパワーが個人化したことでBIGが崩壊し、小さな者同士がつながると言っている『ビッグの終焉』という本があります。

『ビッグの終焉』のラディカル・コネクティビティまで意味的に過激ではなくても、Google会長初の著書と言われる『第五の権力』でも「インターネットでつながった市民」に権力が移ったとしているのですから、同じですね。



炎上についてこの二冊を出すのはチグハグですが、炎上を一過性のものだと侮っている企業もあるので、あえて取り上げておきます。
ベースにあるのがマスマーケティング的な発想だと、どうにもならないですよね。







バナー:ウェブ、グラフィック、そしてソーシャルなつながりをデザインする制作会社です

2014年8月25日月曜日

お盆にSNSをやったら、こうだった




1月に『年末年始にSNSをやったら、こうだった』を、5月に『ゴールデンウィークにSNSをやったら、こうだった』を書いたので、お盆についても書いておきます。

夏休みって、社会人だと人それぞれのタイミング。夏休みのない人だって、大勢いらっしゃいます。だけどお盆ということになると、民族大移動のタイミング。ソーシャルメディア上では、一年のうち最もアクティブユーザーが減少する時期かもしれません。
8月の13日14日15日、そして土日の16日17日までを対象に、書ける範囲で書いてみます。

私のこれまでの理屈だと、「競争相手が少ないので、有利に展開できる」ということなんですが…

画像:足成からダウンロードさせてもらった盆踊りの写真



どうだったのか、最初にまとめてしまいます。

  • 企業アカウントは、ほぼ非アクティブ
  • それ以上にユーザーも非アクティブ
  • Facebookページのリーチが激減した
  • Twitterではアイドルが救世主
  • 過去の投稿にさかのぼって見てくれる確率が、高くなる


ということでした。



◎フェイスブックでは、こうだった


うちで運営させていただいているどちらのアカウントでも、13日〜17日の間は、投稿するネタがありませんでした。キャンペーン等もなく、つまりリアルな世界での、対応ができない期間だと言えると思います。

ですので、リーチが激減しても当然です。


[Facebookの競合ページ]で、わかったこと


競合社では、どうだったか。あまり[Facebookの競合ページ]について記事は少ないですが、Facebookページのインサイトでは、競合ページの動向をチェックし、比較することができます。

画像:Facebookインサイト[競合ページ]のスクリーンショット








調べることができるのは上の画像に書かれているように、[ページの合計いいね!][ページの新規いいね!][今週の投稿数][今週のエンゲージメント]のほか、[人気の投稿]などを表示することができます。

ここでチェックしているページのことだけですが、やはり13日〜17日の間は、ほとんどのアカウントが投稿をしていませんでした。
一方驚いたことに、毎日2件以上投稿されているアカウントもありました。ところが[ページの新規いいね!]がゼロで、[今週のエンゲージメント]も非常に低い数字が出ていました。チェックしながら、これは厳しい。運営してる人は、かなり可哀想…


もしかするとお盆の時期は、使い方が変化しているのかも


やはりアクティブなユーザーが少ないのでしょうか。
私の[友達]は仕事関係ばかりなので、ほとんど参考になりませんが、ログインしている人はかなりいて、普段と変わらないように思えました。しかし投稿は、ほとんどありませんでした。

一方、運営させていただいているアカウントでは、過去の投稿にさかのぼって[いいね!]してくれる人の割合が増加しているように思えました。リーチが激減しているので、仮にいつもと同じ数の、過去の投稿への[いいね!]があれば、割合からすると激増しているということになります。

あくまで想像ですが、ざっくり、こんなふたつのタイプに大別できるのではないかと。

◯普段と同じようにチェックはしている人 
中毒的にお盆もチェックは欠かさないが、投稿するまでの時間はない。もしかするとレジャーや帰省をしているが、投稿するのは家族の手前もはばかられる、ということなのかも。

◯普段はあまりログインしないが、休みだから気になる人やページをチェックする人
いつもスマホを手放さないというタイプではなく、休日にFacebook内をチェックし、お気に入りのところには重点的に見て行く、読んで行く。一度ログインすると、回遊している時間が長いのかも。

そして後者はFacebookの言う[いいね!]をしただけの[ファン]ではなく、もっと冷静なファンである可能性が高いのではないでしょうか。刹那的な[いいね!]だと、軽いですから。
Facebookは今月、[いいね!]を押すことを条件に、キャンペーンに参加させたり応募できたりする仕組みを禁止しました。

この仮説が正しいなら、冷静なファンに向けての事前の投稿、事前のアプローチを立案しておくと、有効かもしれません。私たちは[いいね!]の数やリーチに捕われていて、大切な本当のファンを見つける・対応することを疎かにしていたのかもしれません。




◎ツイッターでは、こうだった


Twitterでも、ツイート数は激減していました。毎日ツイートし、リプライしたりメンションしたりとコミュニケーションもしていましたが、拡散的にはけっこう辛いものがありました。ほぼ1対1のやりとりですから。

ところがエゴサーチしていると、あるアイドルの方がこちらのアカウントについて言及されていたので、どんな人なのか調べてからメンションしました。2回ずつのメンションでしたが、合計するとリツイートされたのが100回近く。お気に入りされたのが30ほど。言及しているツイートも、いくつかありました。
ほかにもモデルの人とのやりとりはありましたが、リツイートで数回ほどでした。


画像:Youtube『インフルエンサーって、誰?』のスクリーンショット


私の気持ち的には、アイドルは救世主です。いままでに絡んだことがないアイドルの方だったので、なおさら救われました。

ソーシャルメディアでのアイドルに対する考え方は、こちらに書いた通りです。
『インフルエンサーって、誰?』 





◎お盆という国民的イベントにも変化が


『年末年始にSNSをやったら、こうだった』に書いたのと同じですが、都心では飲食店も小売店も、ほとんどが通常営業しています。
ただ様変わりしてきているのは、お客さんはそれほど減るわけではないけれども、でも接客側は人手不足で大変なことになっているという実態があるそうです。もしかするとこの先、年中無休スタイルが変わって行く転換点なのかもしれません。


私自身は14日に会社に出てきて、仕事をしていました。
電車はガラガラ。渋谷の街は平日並の人出だったと思いますが、雨が降ったりして蒸し暑く、昼間も路面店のカフェチェーンやバーガーショップなどは、どこも混み合っていました。
それ以外の小売店では、やはり平日ほど。それほど人は入っていなさそうだと思っていました。

ところが夕方外に出たとき、予想もしなかった光景が広がっていました。

画像:小雨降る8/14の神南エリアの行列_1

画像:小雨降る8/14の神南エリアの行列_2

小雨降る中、少なく見ても300人程度が道の両サイドにぎっしり立っています。下の写真の左右にも、手前にも続いています。行列しているという感じではない。
セレクトショップ密集地ですから、異色のこの層は韓流スターのショップ目的だなと、一目瞭然です。それにしても、いったい何があるの?

検索してみると、代々木第一体育館でエイベックスのa-nation「Asia Progress」 が開催されたそうです。ツイッターによると、韓流スターのライブが終わると、ファンたちは大挙して会場から出て行ったということでした。
そうすると、この人たちは、入り待ちもしくは出待ちの期待? 


お盆には帰省ラッシュ。テレビや新聞では相変わらずそんな報道ですが、それだけじゃない。いるところには、いる。ソーシャルメディア上でも、あるはずです。
今のところ、間違いなく分かっているのは、アイドルは強い(笑) 




画像:ソーシャル代行しますバナー

2014年8月20日水曜日

ユーチューバーとGU、AKB48とトヨタのYoutubeコラボ




Youtubeを使った、あたらしい動きです。

画像:Youtube動画:SUMMER LOOKBOOK 2014 ♡10 Ways to Wear a Bra Cami♡GUブラフィールファッションのスクリーンショット


◎GUがユーチューバーでLOOKBOOKプロモーション


私もチャンネル登録して以前から注目していたのですが、sasakiasahiさんというユーチューバーがいらっしゃいます。(以前は[動ガール]と呼ばれていましたが、世界的にユーチューバーという名称になってきているようなので、ユーチューバーにしておきます)
三つのチャンネルを使い分けながら、基本メイクアップの動画をアップされています。ハロウィーンメイクアップチュートリアルから、アナ雪エルサ風メイク、古くはガングロメイクなどなど、さまざまなメイクをファッションから表情までトータルに、エンターテイメントのように見せています。

画像:sasakiasahiさんのYoutubeページスクリーンショット


その人がGUのブラフィールで動画を公開されていたので、ビックリしました。

[概要]にはGUブラフィールまとめ買いキャンペーンのページへのリンクがあり、最後には「この動画はguとのコラボレーションです。」と書いてあります。

GUが店頭にLOOKBOOKを置いているとは思えませんが、印刷物より、きっとこの動画の方がはるかに効果的でしょう。
sasakiasahiさんのチャンネル登録者数は277,600人(2014.8.19現在)を超えているので、GUにとっては、かなり有利なコラボだと思えます。

今回のGUは、3人のユーチューバーとコラボしたようです。


ユーチューバーという、あたらしい影響力のチャネル


日本でも、Youtubeに動画をアップして生計を立てる。そんな人がどんどん増えています。影響力でいえば、sasakiasahiさんはトップクラスでしょう。

ところが世界には、チャンネル登録者数が2700万人という桁違いのYouTuberもいるそうです。
ゲームで遊ぶだけで年収4億円を稼ぐ、スウェーデン人YouTuber
WIRED.jp



アメリカでは、「13~18歳の1500人を対象にした影響力のある人物に関する調査によるとトップ5をYouTuberが占め、トップ20の半分がYouTuber」という報告もあるそうです。
個人主義時代、米国の「YouTuber」10代にはハリウッドスター並みの人気と影響力
Weblog@


ジャンルに特化した世界では、日本でもユーチューバーの影響力がどんどん増して行きそうです。



◎トヨタは恋する充電プリウスで、地域展開


1年前にも取り上げていますが、AKB48の「恋するフォーチュンクッキー」カバー動画は現在も増え続けています。公式はもうストップしているのかもしれません。
そんな中、プリウスのCMで「恋する充電プリウス」が始まったと思ったら、8月12日にこんな動画が公開されていました。



他にも「北海道・東北」「関東」「中部」「中国・四国」「九州・沖縄」バージョンがあります。
出演は、トヨタの販売店と地元の皆さんということですが、販売店の人たちは喜んでいるでしょうね。そしてAKB48はTeam 8が出演。Team 8って何?と思って検索したら、今年の1月からメンバー募集していたんですね。「会いに行くアイドル」がTeam 8みたいです。



だけど「各都道府県47人」が選ばれてメンバーになったのなら、こんなに大きなくくりのエリアじゃなくて、各都道府県版を作らないと。
それぞれ方言を使った歌詞は面白いのですが、もっとご当地の言葉になった方が親近感がわきますよね。



一番気になるのは、AKB48 × TOYOTAはトヨタのYoutube公式チャンネルで公開しているところ。GUのユーチューバーコラボは、それぞれのユーチューバーチャンネルから。
AKB48ファンを誘導するという目的なら、選択ルートをミスっているのでは。ユーチューバーのファンを誘導しているGUが、とても柔軟に思えてきます。






2014年8月12日火曜日

渋谷スクランブル交差点の何に、外国人は興奮するのでしょう





以前からスクランブル交差点を撮影する外国人観光客は、やたらといます。あらゆる人種がスマートフォンやタブレットはもちろん、一眼レフやビデオカメラを構えて撮影しています。
昼間も夜も、やたらといます。

最近、複数のテレビ番組で、外国人観光客が「日本で行ってみたい場所1位」が渋谷のスクランブル交差点なんだと外国人が言っているのを見ました。なんか、ウソみたいですけど。Youtubeにも動画が数多くアップロードされています。
かつては、アリみたいだ。あんなに人が行き交っていて、ぶつからないのはミラクル。日本人はみんな忍者か。みたいな反応だったと思いますが、最近はCOOL!だと言われているらしいです。「スクランブル交差点を渡った」というのが、自慢になるそうです。

スクランブル交差点が観光名所…



この映像なんて、日本でのプロモーションのためというより、ただ海外向けに「渋谷のスクランブル交差点を渡ったKISS」という画が欲しかっただけなんじゃないのと思ってしまいます。いったい、どこがCOOL!なんだか。
もちろん目撃してたら、私も興奮しますが(笑)
KISSONLINEというYoutubeチャンネルですから、公式みたいです。





映画の中に登場するスクランブル交差点


なんといっても渋谷全体をメインの舞台として使った、2003年のソフィア・コッポラ「ロスト・イン・トランスレーション」。
スクランブル交差点も最後に出てきますが、この映画によって渋谷に行きたい、スクランブル交差点を渡ってみたい。カラオケに行きたいという外国人が増えたそうです。





もっとスクランブル交差点がクローズアップされているのが、2010年『バイオハザードIV アフターライフ』。冒頭が、雨のスクランブル交差点。T-ウィルスの日本初感染者役で、中島美嘉さんが渡っているシーンから始まります。そして交差点地下には、巨大なアンブレラ社の要塞が築かれていた… 
渋谷のダンジョンは、そんなものがもしかしたら隠されていても、おかしくないかも。
と思わせるほどの複雑さです(笑)

バイオハザードが観光に与える影響はなんともわかりませんが、かなり印象深い扱い。異質なものとして扱っているのは、バイオハザードぐらいかもしれません。2008年の『Junper』でもテレポテーションした先で一瞬だけスクランブル交差点が出てきますが、大都会の記号的な扱いです。


映画以上に頻繁に使われているのが、MVです。ONE DIRECTIONなど、メジャーどころも使っていますが、やはり記号的。人が行き交ってる中を、メンバーが歌いながら歩いて行くだけ。
そんな使い方で何が面白いのだろうと、私などは思ってしまいますが、もしかしたらそれが勘違いなのかもしれません。ニューヨークやロンドンの町並みを映像で見て、カッコイイと思ってしまう。ヴェネチアの大運河に魅了されたり、揚子江に圧倒されたりするのと似たような感覚なのかもしれません。

どう感じられているにしろ、世界中で映画やMVが露出することで認知が上がるのは、観光にはプラスですね。


日本人アーティストは、もっと異質に描いている


日本でも、MVで数多く使われています。特に宇多田ヒカルさんのこの作品では、246の池尻方面から渋谷の中心部のありとあらゆるところが使われています。



しかし無人の渋谷、無人のスクランブル交差点しかでてきません。SF的な乗り物より、そこが面白い視点です。もしかしたら、ただ早朝しか撮影できなかったという事情があったのかもしれませんが。


8月末に公開されるコミックが原作の映画『TOKYO TRIBE』では、渋谷はとんでもないことになっているようです。
園子温監督ですし(笑)



もっと異質に見せた作品もあります。
ショウダユキヒロさんという映像作家の作品なんですが、MVになっています。


店の中の映像は別ですが、よくまあこんな通路が、コインロッカーの場所が、こんな小道がこんな印象に変わるもんだと驚きます。



渋谷という土地が持っている記憶


渋谷西武A館とB館の間から東急ハンズへと向かう、宇田川通りの下には文字通り宇田川が流れている。1964年の東京オリンピックに向けて、暗渠化されたそうです。
現在は下水道として使われているとのことですが、再開発で解体されている東急東横店東館の横を通り、渋谷川に注がれていると、さまざまな本に書いてあります。

渋谷川自体も暗渠化されていますが、246号線の南から姿を現せています。これを2020年の東京オリンピックに向け、「春の小川化」しようというのが再開発計画のなかに入っているそうです。


また中沢新一さんの『アースダイバー』という本には、その昔、宮益坂には死体処理を生業とする人たちが住んでいた。神泉は古代から火葬場で、霊能者が住み着いていたと書かれています。
アースダイバーの手法には批判も少なくないようですが、渋谷の街を知っている人なら、あやしさを纏っているのは誰でも感じていますよね。古くからの繁華街は、どこでも、そうですけれども。

特に渋谷は、スクランブル交差点を谷底として、そこから放射線状に坂がのびている。下から見上げている風景は、少し坂を上るとまったく異なる風景になる。Y字が多く、斜めに進むと異なるカテゴリーの街並みが現れる。少し歩くだけで、知らなかった渋谷が姿を現す。

2020年の東京オリンピックに向けて、超近代的な渋谷駅周辺の再開発が始まっていますが、谷底から広がる街の構造は残るようです。
外国人観光客が、スクランブル交差点を渡ってみたいと感じるのは、きっと人の多い都市ということだけではなく、あやしさや多様な表情を見せる計算されていない面白さを、どこかしら感じているんじゃないかという気がします。




デザインする制作会社です