3年ほど前から、ドヤリングとかドヤラーという言葉が出回っています。スタバでMacBook Airを広げて、ドヤ顔で仕事したりする人のことをドヤラーと呼ぶそうです。いや、スタバじゃなくてもMacBook Airじゃなくても、ドヤリングと言ったりするそうですよ。
私も家ではMacBook Airを使っていますが、外に持ち出すことはまずありません。スタバに行くこと自体がめったにないですし、カフェなどで仕事をしようという気にもならないです。
娘の結婚式で沖縄に行った時は、ホテルに持ち込んで、朝晩仕事をしていました。空港の手荷物検査でカバンから出さなきゃいけなくて、あわてました。いくらAirが軽くても、あまり持ち歩きたくないです。
ドヤリングなんて、ノマド有名人のセルフブランディングに毒されてる。そう思っていたら、現実につながりある人ふたりから「RetinaディスプレイのAir持ってドヤりたい」と聞かされたので、そういうものなのかと。ただスタバの前は毎日通るけど、Air広げてる人はそんなに多くないよなぁ。ドヤりたい人って、少ないんじゃないのというのが実感です。
ところが先日ふとスターバックスの二階を見上げると、ずらーっとMacBook Airが並んでいました。ウソみたいです。
6席のカウンターのうち、5人がノートパソコンを広げていて、そのうちなんと4人はMacBook Air。Airの市場シェアがどれぐらいなのかは不明ですが、Free Wi-FiでSNSアカウントで手軽にログインできるとしても、どうもスタバは特別な場所ですね。
帰りにQ-FRONTのスタバを見上げても、渋谷のスクランブル交差点を見下ろすカウンター席で、ノートパソコンを使っている人は3人程度でしたが、MacBook Air以外は見当たりませんでした。
もっともこのスタバは世界有数の売り上げを誇っているそうで、ドヤリングするよりも、交差点を見下ろしながら飲食するのが主目的でしょう。このときも、立ったまま交差点を見ている人が何人もいました。
Gigazine:世界有数の売上げの渋谷スクランブル交差点前のスタバに行ってみた
ドヤラーは、ドヤれているのでしょうか
この人たちは、ドヤっと周囲の人に見せているのでしょうか。どうも、そんな意識には思えません。誰かから羨ましいと思われなければ、ドヤっても意味がありませんよね。Twitterで探してみました。
画像も一緒にツイートしている人は、多くありませんでした。ですが、こんなツイートを見つけました。
ドヤリング界に新星あらわる?!
http://t.co/907oCqZPUQ
MacBookユーザーのみなさま!ドヤれるんです。ドヤれるガジェットがあるんです……そう、「mountie」ならね(ドヤッ。 pic.twitter.com/2TIudFZkOH
— ギズモード・ジャパン (@gizmodojapan) 2015, 3月 23
ディスプレイにiPhoneやiPadを固定して、サブディスプレイ化して使えるマウントアダプターだそうです。なるほど、仕事できそうな感じです。あっと仕事かどうかは不明ですが(笑)
何をしていようが、ともかく一見して違いがわかるツールだということですね。これなら、羨ましいと思われる確率も上がりそうです。スタバじゃなくても、会議でドヤリングしたら、注目を集めそうですね。
買う/使うのがドヤるためというより、ほぼ持っていることが目的という場合もありますよね。
iPhoneやiPadをお持ちになっている経営層の方は多いですが、使いこなすはるか以前だという話をよく耳にします。メールの設定を、部下にやらせたりとか。
それぐらいなのに買うのは、触れておきたい・持っておきたいということでしょうか。実際に「新しいのが出たら買うけど、ほとんど使わない」とおっしゃる方もいらっしゃいます。
そう考えると、前に「Apple Watchが、ゴールドを出す戦略性について」を書きましたが、Apple Watch Edition、しかもゴールドなら、持っているだけで誰からでも違いを認識してもらえるから買うという人がいても不思議じゃなさそうです。
かつてノートパソコンでDTM(音楽を作ること)が出来るようになったころ、キャバクラに持ち込んで作った音楽を聴かせる人がけっこういたなんて話があります。今年の春は高級クラブで、Apple Watch Editionのゴールドでドヤリングする人が出てくるでしょう(笑)
ファッションのトレンドを引っ張っているのは、ドヤリング消費
女性のブランドもののバッグや財布。そして長いツケマやヒールの高さなど、年齢を問わず、コンサバからギャルまでクラスタを問わず、昔からドヤリングが盛んです。マウンティングとまでは行かなくても、仲間意識と競い合いのバランスはなかなか不思議です。
それで毎年登場するあたらしいファッションが売れているのも、否めないところ。
男性だってかつては、スーツによる序列意識が強かったと思います。でもいまやスーツ市場はどんどん衰退し、お金をかけること自体がバカバカしいと感じている人たちも少なくないでしょう。
だけど小さいとはいえファッションでの流行がなくなったわけでもないですし、その中でもドヤリングは目立ってきている。いや、それしか強いトレンドにはならないんじゃないのと私は思います。
レディスではユニクロも出しているぐらいで、アンクル丈のパンツが多くなっています。それを受けるように、メンズでもくるぶし丈のパンツやデニムが増えています。
この冬もアパレル関係の人は、くるぶし丈で、しかもソックスを履いていないのか足首見せをしていました。おじさんまでやっていて、レザーシューズで足首見せをしていました。見ていて、ブルッと震えるほどです(笑)
やはりレディスからの流れで、スウェットパンツも一部で流行しています。スウェット地自体、数年前にジャケットが流行りましたが、それでもパンツは部屋着かパジャマにしか見えません。
私の知る範囲ではトム・ブラウンが出して以降、多くのブランドでスウェットパンツが出てきました。トム・ブラウンは、なぜだかいつもパクられまくりのブランドです。
部屋着ではないことをアピールするためか、多くがテーパードやリブ付きになっているのですが、それでも着る人を選び… ますよね。モデルのような容姿じゃないと、寝起きの格好のまま出かけているように見えがちです。
ところが六本木などでは、これに“レザーシューズで足首見せ”しているおじさん達を見かけます。20代ぐらいでしている人は多くがスニーカーで、白やカラフルなソックス見せですが、足首見せはまだまだ寒いはずです。
女性の3首見せは、若くても気合いで我慢しているそうですが、男性の場合はどうなんでしょうか。
している人は、アパレル関係ではない雰囲気。くるぶし丈でスウェットパンツで足首見せというトレンドのトリプルコンボなので、間違いなくドヤリング。
ファッション好きで自己満足というより、寒いけどトレンドで固めていますよというアピールでしょう。
ソーシャルメディアで投稿する誰もがドヤラー
自撮りした写真を投稿するのもそうでしょうし、ラーメン二郎でラーメンを撮ってツイートしたりブルーボトルコーヒーの店内を撮影してFacebookに上げるのも、何かのアピール。
それで誰に羨ましがられるかというと、同じ価値観を持つ人たち。
スウェットパンツと足首見せがトレンドだと知っている人にしか、トレンド性に気がついてもらえません。しかも「してみたい」と思っている人にしか、羨ましがられません。
ラーメン二郎のインパクトある写真は、ファンであるジロリアンに「くそー、こんなマシマシ食べたい!」と思ってもらえるでしょうし、羨ましがられるでしょう。
ブルーボトルコーヒーを「昔の日本の喫茶店じゃんか」と思ってる人には、行列さえもバカバカしく感じられるでしょう。
一時期Facebookのリア充ぶりが嫌だという意見が席巻し、退会者も増えたようですが、どんな投稿だって同じ価値観を持っている人にしか受け入れられないと考えた方がいいのではないでしょうか。
私はGoogle+で週に1度ほど、猫のコミュニティに投稿しています。その投稿の半分ぐらいは、一般公開で再共有しています。猫のコミュニティは人数が多いですし猫好きの人ばかりですので、当たり前ですけどとても反応がいい。
この時はコミュニティで+1が151人ですが、一般公開では4人。それぐらい差があります。
ところが私が猫の写真を投稿することを、ある知り合いが「モテ狙いだ」と言います。どうして猫の写真が、Google+内のモテにつながるのか理解に苦しみます。
これを言った人は、東大卒でニューヨーク在住のリア充もリア充。エリートですが勉強が出来過ぎて、ちょっと精神が病んでいるのだと思います(笑)
ともかくこの人には私の猫の投稿が、ドヤっていると思われたのですね。猫のコミュニティ内では、こんな面白い写真が撮れましたよというアピールではありますが。
こういう風に価値観を共有しない人にもアピールしてしまうケースも含めて、意識する・しないに関係なく、投稿すること自体が見ている人からすればアピールだし、ドヤリングかもしれません。
私だって個人のアカウントで投稿するときは、狙ったり考えたりするわけではありません。でも仕事で運用するときは、もちろん狙いまくり考えまくりです。今までに何度も書いている通りです。
就職に、仕事に、婚活に、モテに。ソーシャルメディアで発信することが重要だと言われ、この先も場所が変わったとしても重要度が減少することはないかもしれません。
他人からの評価が意識されればされるほど、意識するならするほど、ドヤリングによってモノ・コトも消費されるのが当たり前の流れのようですよ。
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