2015年3月13日金曜日

Apple Watchが、ゴールドを出す戦略性について


来月下旬に発売が決まったというApple Watch。テック系ネットメディアでは、Apple Watchは優れものという評判から、どうもApple Watch Editionの値段やイエローゴールドやローズゴールドを出すことに納得いかない、大バカ発見器じゃないかといった、ネガティブな方向にシフトしているようです。
Techcrunch
18金のApple Watchは理想的な大馬鹿者発見器

私は長年のAppleファンですが、Apple Watchを買いたいとは、まったく思いません。時計的なものを手首に付けること自体、好きではありませんし、ウェアラブル端末としてのApple Watchにも興味がほとんど持てません。それに、いまだにiPhone5を使ってるぐらいですし。
でも、ゴールドを出すということを知ったときに、上手い戦略だなぁと思っていました。


あながち中国マーケットだけが、ターゲットじゃないと思う


Apple Watchは、価格帯順だと[Apple Watch Sport][Apple Watch][Apple Watch Edition]という3つのカテゴリーから、いくつものモデルが登場するといいます。ギークなら[Apple Watch]に飛びつきそうですし、RUNが趣味の人やウェルネスに関心がある人なら[Apple Watch Sport]に興味を持つでしょう。

じゃあ[Apple Watch Edition]は誰が買うのとなると、最安のモデルが128万円から最高額モデルは218万円ぐらいにもなるそうですし、出来ることは何も変わらないそうですから、そりゃあちょっと想像できません。 それで、大バカ発見器だのラグジュアリーを理解してないということになるのだと思います。中国市場がメインターゲットなんだという予想されるのも、ごく自然でしょう。


私も中国での販売がメインなんだろうなと思いますが、それ以外の国ではそれほど売れなくてもいいとAppleは考えてるんじゃないの。なんて想像しています。

iPhoneが登場した時は、ケータイ電話の代わりというよりも、それまでにない市場を創造しましたし、さまざまな秩序も組み替えてしまいました。今、電車の中でもどこでもゲームをする人をどこでも見ることが出来るのは、スマホがプラットフォームになっているから。任天堂が赤字になったのも専用機が売れないからだそうですが、だとすればその発端は、iPhoneの登場でしょう。

Apple WatchはiPhoneと連携して使うものなので、iPhoneより売れることは想像しにくい。でもスマートウォッチを売ること自体が目的ではなく、Apple Watchを出すことによってプラットフォームとしての幅を広げたい。今までに届かなかった層を取り込みたいと考えているのではないでしょうか。
そういうことなら、iPhone以外のスマホを使っている人や、Appleファンではない人たちを取り込むための戦略ツールだと思えます。特に世界の富裕層を取り込めたとしたら、とんでもないメリットがあるでしょう。


iPhone 5sで最も品薄だったゴールドモデル


出荷台数でどうかは分かりませんが、iPhone 5sの入荷待ち、発売から約1ヶ月の時点でゴールドモデルは、約1ヶ月だったんですよね。
Gizmode
auとドコモもiPhone 5sの入荷待ち日数を公開。ゴールドはどちらも約1ヶ月待ちみたい 

iPhone 5にはなかったゴールドが5sに登場した希少性が理由かもしれないですが、ゴールドが人気でした。

Appleが5sで最初に流したCM


廉価版iPhone 5cのcは、カラフルを意味しているそうです。カラーだけで見た場合、iPhone 5からs、そしてcへの展開は、Apple Watchとほぼ同じですよね。
そう、似たようなカラー展開は2年前に経験済みです。


Apple Watchのゴールドは、特許!?


WIREDが、Financial Timesの記事を引用して、“18金と比べて2~4倍硬く、3Dプリントに似た製法で複雑な部品をつくることができるという「金金属基複合材料」の特許”だと書いています。金とセラミックスからなる複合材料なんだそうです。
ほとんど理解できませんが、Apple Watchは特別な金を使っているということだけは分かりました。
WIRED
Apple Watchに採用された「アップルの黄金」特許とは

Appleは、Apple Watch Editionのゴールドをアピールする動画を公開しています。


他社は真似できないゴールドだってことですね。
だからってApple Watch Editionのゴールドモデルが、安いのか高いのか妥当なのかはまったく分かりませんが、プレミアム感は満点です。こういう話題もこれから広がっていきそうです。


日本では、Apple Watch Editionを特別な場所でしか販売しない?


同じゴールドといっても、iPhone 5sはシャンパンゴールド。白っぽくて、上品です。Apple Watch Editionはイエローゴールドやローズゴールドで、公開されている写真を見るとギラギラしています。中華圏ではともかく、日本では色としてどのぐらい受け入れられるでしょうか。

そんなことを思っていたら、DOVER STREET MARKET GINZAがこんなツイートをしていました。
ドーバーストリートマーケットとは、コムデギャルソンの川久保玲さんがプロデュースするセレクトショップで、ロンドンとニューヨークと銀座にしかありません(北京にもありますが、セレクトショップではないようです)。

銀座は六階建てで、コムデギャルソンの全ラインのほか、国内のブランドや海外のハイブランドが多数入っています。セレクトショップといっても、川久保玲さんをリスペクトするデザイナーたちが参加しているので、ドーバーにしかない限定商品が数多く並んでいます。
こんなショップはどこにもないので伝わらないと思いますが、私が数回入ってみた経験だと「いったいどんな人が買うんだろ?」という商品がほとんど。値段もデザインも日常的に着られる服ではありません。Appleより長くギャルソンファンをしている私が、転けそうになるほどの緊張感ですから(笑)



ウェブサイトでも、WHAT'S NEWに大きく出ています。
DOVER STREET MARKET GINZA

私はそうか、Apple Watch Editionはドーバーで売るんだな。そういうことなら、やっぱり、それほど数量を売るつもりはなさそうだと思いました。
きっとドーバーストリートマーケット銀座は、トム·ブラウンやルイ·ヴィトン、セリーヌ、サンローラン、ミュウミュウなどの巨大なハイブランドにとっても、従来の顧客とは異なる層にアピールする場所。通常のデザインや売り方とは異なるクリエイションを見せるショールーム的存在なのだと思います。銀座なので、ほど近いところに、直営店などがあるのですから。もちろんAppleだって、Apple Store銀座があります。

巨大なハイブランドは、ドーバーで飛んだデザインを見せてイメージを上げて、直営店などで売れ筋を売る。それが方程式なのだとすれば、Apple Watch Editionも似たことを狙っているのかもしれません。
ドーバーストリートマーケット銀座をショールームのように使い、他のカテゴリーのApple WatchをApple Storeやネットで販売するのがメインなのかも。あくまで、想像でしかないですが。

どこで売るのか、検索してみました。すると“高価な、Apple WATCHや、Apple EditionをApple Storeで青いTシャツで、立ちっぱなしで販売するという偉業は、さすがのAppleも敬遠した。”と書いているサイトがありました。
KandaNewsNetwork
2015年4月10日には、東京伊勢丹にApple WATCHを見に行こう!

こちらのサイトによると、「Apple Watchのお求めは世界の有名百貨店で!」ということのようです。日本では伊勢丹新宿本店以外に出てきません。
こんな風にも書いてあります。

Appleのライバルは、少なくともApple WATCHの場合は、GoogleやSAMSUNGやLGやSONYやMicrosoftではなく、TAG HEUERやOMEGA、BREITLING、ROLEXなどの時計ブランドなのである。そこの市場だけではなく、Appleが、テクノロジーをベースとした時計ブランドの戦略で考えれば、帽子のCHANELや旅行カバンのLOUIS VUITTONや馬具のHERMES、万年筆のMontblancが時計を販売するのと同様に、コンピュータや電話を作っていたAppleというブランドが時計をだしただけという解釈もできるのではないだろうか?
ブランド戦略なのは間違いないと思いますが、時計ブランドというよりも、従来の商品カテゴリーにとらわれない、むしろカテゴリーを破壊するための商品がApple Watch。
そしてその中でもApple Watch Editionは戦略商品なので、従来のファン層ではない人たちにアピールするために、特別な特許ゴールドを使っているのではないでしょうか。


そう、とても買えない私が想像してみました。
いやどうせセレブリティ以外に、売る気はなさそうです(笑)




 株式会社イグジィット ウェブサイト



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