先日、あるクライアントのO2Oに関するブレストに呼ばれた。実質は意見交換的なもので、何かを導きだすとか、そういうものではありませんでした。
私は現状、グルーポンなどのフラッシュマーケティング以外のO2Oは、さほど効果が出ていないのではと思っています。そのフラッシュマーケティングにしても、採算性とかリピートにつながるかというと、かなり疑問ですし、もう終わったという声さえあります。華々しく登場したFacebookのチェックインクーポンも、あっという間にテストで終わったようですし。
それでもこれから先は、O2Oの重要性が急速に増すばかりだと考えています。
▷ O2Oとは
もちろん飲食サービスなどでは、ウェブサイトやSNSから、いかに実店舗に誘導するかが重要なテーマ。また小売業では、ショールーミングに対抗して、自社のECサイトで買ってもらうOffline to Onlineの動きも活発です。
品物を見た→買いたい→価格比較サイトで調べる→最安値のECサイトで買う
品物を見た→買いたい→Amazonで買う というパターンが多そうですが、これをいかに打ち破って、自社ECサイトで買ってもらうか。お店では躊躇しても、後から欲しくなった。その時に自社ECサイトですぐ買えるようになっているかということも含めてのO2O。 だからOnline to OfflineでもOffline to Onlineでも、どちらの方向だって融合ということですよね。
これからの背景にあるものは、スマートフォンの普及。スマホがなきゃ、ショールーミングだって容易ではありませんから。
▷ O2Oの現状
クライアントのところへは新しいサービスの様々な売り込みがあるけれども、ユーザー数を聞くと少なすぎて、まだ各社実験段階と言ってしまっていいかもしれない。ユーザー数が多いのは携帯キャリアのサービスですけど、これもアクティブユーザーで見ると、微妙な数字です。
Online → Offline方向だけを取り上げると、
1.クーポンによる誘導
2.来店ポイントの付与
3.エリア内に入った人へのプッシュ通知
などがある。
1のクーポンによる誘導は、最初に書いたフラッシュマーケティングも含めて、安いということを引きにした時に、採算性が合うのかどうか。また値段と時間のリミットで衝動的に利用してくれたとしても、リピートしてくれるかどうか。そこのところが、とても疑問。短期的な、新規顧客数増にしかならないかもしれません。
2の来店ポイントの付与は、オンラインが絡まなくても、すでにスーパーなどで実績がある。スーパーで実績があるのは日常的に利用される店だからで、そういう前提がなければ難しいそう。リピート客が、少々の値段の差で、他店に向かわないぐらいの効果かもしれない。
3のプッシュ通知ですが、GPSを利用しています。位置情報サービスを常にONにしている人って、どれぐらいいるんでしょうか。自分のいる場所を教えていいと考える人が、それほど多いとは思えません。今後、ターミナル駅周辺等でおトクな情報がいっぱい入って来るとなれば、そういう時だけONにする人は増えるかもしれませんが。
▷ O2Oが使われている店と利用者像
凸版印刷による主婦のスマホおよびO2Oサービスの利用に関する意識調査によると、「O2Oサービスをきっかけにお店へ行くことがありますか?」という問いに、あると答えたのは70.4%。この調査は、凸版印刷株式会社が運営する、20-40代の女性を中心に利用されている国内最大級の電子チラシサイト「Shufoo!(シュフー)」のユーザー5,031人を対象に調査。チラシをチェックするために利用している人たちですから、数字が高くて当然でしょう。逆にないと答えた29.6%が気になります。
そして使われているサービスを見ると、ほとんどが飲食とフラッシュマーケティングのクーポンサイト。それ以外になにがあるかというと、現状ではないですよね。
これらは割引サービスの変形。継続的に利用してもらえることを考えると、割引サービスを打ち続けるしかない。まるで、麻薬のようです(笑) 個人情報と紐づけたところで、桁違いのユーザー体験を提供していない限り、同程度か、それ以上の安さがともなわないと、反応してくれないでしょう。
「割引とポイントと囲い込みと」の下の方で書いていますが、通常のポイントカードだって、積極的に使おうというよりも、習慣的に使ってしまう方法じゃないと、Shufoo!のようなサービスを利用している主婦層以外への拡大は難しい気がします。
凸版印刷の調査によれば、利用経験の1位はマクドナルドアプリのクーポンで、実に半数近くが利用しています。マクドナルドのクーポンは打つタイミングが上手だと聞きますが、それだけではなく、なによりもどこにでもあるからが前提ではないでしょうか。
クーポンということなら、すさまじい実績を誇るのがLINE。有名なのが、ローソンが「Lチキ」のクーポンをプッシュ配信したところ、10万枚が店頭で使われたという。そして、ローソンのLINE公式アカウントの「友だち登録」数は645万人だそうです。
商品からして若年層中心だと思いますが、これもローソンがどこにでもあるから生まれた数字でしょう。
プラットフォームとしてLINEのパワーはだんとつのように思えますが、公式アカウントになるのは費用的に大企業に限定されるでしょう。スモールビジネス向けのアカウントも設定されていますが、無名のお店等が参入しても、そう「友だち登録」してもらえるとは思えません。急成長しているがゆえに、すでに名の知られた企業やブランドだけのものだという気がします。
▷ O2Oのこれから
日常的な買い物で使う。ポイントが溜まる。どこでも使える。
広範囲で使えるなら、ヴァーチャル通貨というより、あたらしい通貨ですね。
そんな風に思ったのは、O2Oの衝撃という本を読んでからです。
ああ、そう言えば、オフィス街のカフェ(オシャレな店じゃなくて、チェーン店の)などでは、楽天Edyの端末を見かけるなぁとか。Tポイントがスマホ対応になると、コンビニで使う人が激増するかもね、とか。ポイントに疎い私でも、この先の展開が凄いことになるだろうなという予感はあります。
この本では、アマゾン、楽天対Tポイント/ヤフー連合、リクルート、ドコモなどの動きが紹介されていますが、大きな勢力になりつつあるのが顕在化しているのは、楽天のOfflineでの展開。そしてTポイント/ヤフー連合だと思います。
楽天はクレジットカードを持ち、さらに誰でも持てるRカードを作り、楽天内のポイントをリアルでも使える共通ポイントとして使える提携先を急拡大させています。
Tポイント(カルチャー コンビニエンス クラブ)とヤフーが提携。ヤフーポイントをTポイントに切り替えることができるようになったそうです。
両者とも、これでネットとリアルのポイント連携が、シームレスになったと言えるでしょう。
楽天はスパムのようなメールの多さで、嫌っている人も多いですが、それ以上にポイントプログラムで楽天内へ囲い込まれているユーザーは多いでしょう。
Tポイントカードは、個人情報の取られ方使われ方で、私は敬遠して入っていません。
ただ、これまであちこちの店でも「Tポイントカードは、よろしいですか?」なんて聞かれてて、さらにネットとシームレスになって、スマホ対応になったら使ってしまうかもしれません。わざわざが減って、ポイントがどこでも使えるなら本当のお金と一緒ですから。TSUTAYAでDVDなどのレンタルをしているのに、コンビニでTポイントを付けないという人もいます。購入履歴を取られるのが嫌だ。あるいはカードを出すのが面倒くさいという理由で。でも現金と同じで、スマホで完結となればかなり状況は変わりそうです。
そうなるとOnline から Offline へ、あるいはその逆への誘導ではなく、ポイントによる一体化ですね。近未来像は、そんなところかと。
◎渋谷Q-FrontのTSUTAYA。Yahoo!のロゴのYが入っています。
考えてみれば細かく対応しなくても、使うお金のほとんどでポイントが溜まるようになれば、ノートパソコンだって1年ほどで交換できるかもですね。
ポイントも、要するに値引き。OnlineとOffline がシームレスになったら、値引き以外にどういうことがあるのか。O2Oではなく、一体化した世界では、なにが必要になるのか。
需要があれば、書いてみたいと思います。
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