2013年4月24日水曜日

『東京ディズニーリゾート30周年』の新しさ

今月15日に、東京ディズニーリゾートが30周年を迎えたということで、CMだったりテレビでのパブリシティが盛んです。
私はリゾートじゃなくて、ランドが30周年でしょう? とちょっとツッコミながらも、けっこう感慨深いものがあります。ディズニーランドの仕事は10年ほどやらせていただいて、かなり深いところを知っています。閉園中のアトラクションの中にも入っていますし、仕事している時は、毎年お食事券付きの招待券を家族分いただいてました。仕事をするにあたって、最初に従業員向けの「ディズニーのフィロソフィ」についての研修も受けています。キャラクターの撮影も何度もしてますから、いろいろ知ってます。仕事ではないところでも、うちの奥さんと子供は都市伝説のような「クラブ33」に行っています。

と、そんなプチ自慢みたいなことを書こうとしたんじゃないんです。ディズニーはジャニーズ並の様々な管理をしてますから、危ないです(笑)




30周年経っているんだけど、いまだにディズニーが先頭を走っているんじゃないかなと思うことが、いろいろあります。それを書きたかったんです。ええ、ステマじゃない賞賛記事です(笑)


画像:ディズニーストア渋谷


いつも渋谷のディズニーストアを見ていて、シーズンに合わせた演出が上手だなと思っています。それ以上に、このストアの環境デザインは、ディズニーランドと同様の思想なんだろうと思って見ています。
かつてアメリカの大学で環境デザインを学ぶ学生に、教授がディズニーランドを見て来るように言われていたそうです。環境デザインというと、恐ろしく広範なジャンルを含んでいるのですが、それをもっとも体現しているのがディズニーランドだということでした。環境デザインとは何だと聞かれたら、私なんかに分かるはずもありません。たぶん環境デザイナーの出身、例えば建築だったり、都市計画だったり、インテリアだったりによって、おっしゃることが違うでしょう。でもあらゆる関係の設計を含んでいるのは、間違いなさそうです。
今でも日本では、もしかすると商業施設のVMD的なこととか、あるいは造園的な発想のものが多いかもしれません。実際のところ、日本の環境デザインは、東京ディズニーランドが出来たことで、まずその概念を知ったのかもしれないです。
時代考証的に、ここの柵には矢じりのようなものが必要だとなった時には、ディズニーランドなら、その先端の部分をゴムににします。夜間に清掃をします。清掃が終わった地面はどういう状態を基準にしているかというと、「子供が舐めても大丈夫なように」ということだったと思います。
日本には行政が作る施設の“ディズニーランダゼイション”なんて言葉もあるけれども、それは奇妙なかわいい化を指してるだけで、ディズニーがやっている環境デザインとは似ても似つかない。JR舞浜駅に行かれたら、駅周辺をチェックしてみてください。ディズニーリゾート風に作っているように見えても、実はぜんぜん違う。角だらけなことだけとっても、すぐに分かるでしょう。
その他にも、遠近法を巧みに使った錯覚による奥行きの演出とか、施設の外どころか、それぞれのテーマゾーンから他のゾーンを見せないための仕掛けとか、感心することだらけです。


最近、東急電鉄がやっている渋谷駅やその周辺などは、なんかもう何から何まで…(泣) 最近のショッピングセンターなどでも、考えられてるなぁと思える施設に出会ったことがありません。他のことを忘れさせる、あるいは気にさせない商業施設って、ちょっと見当たらないです。




世界初のディズニーランドがオープンしたとき、ウォルト・ディズニーは「ディズニーランドは永遠に完成しない。世界に想像力がある限り、成長し続けるだろう」と語ったといいます。もちろんリピーターを増やすためでしょうけど、飽きられてしまうような“夢と魔法の王国”なんて成り立たないですから。
実際、東京ディズニーシーが出来て、ふたつのテーマパークになり、イクスピアリやホテルなどを合わせて東京ディズニーリゾートという滞在型テーマリゾートになったことが、オープン以来最大の拡張。

いや拡張ってだけじゃなく、新しい層をどんどん取り込んでいるように思います。
昨年からはシンデレラ城での結婚式が始まり、デフレ知らずのウェンディングとはいえ、50名の披露宴込みで750万円。しかも人前で、来園者が観客となって祝福してくれるし、来園者にとっても大きなイベントだから、従来からあるウェディングプランとは比較にならないはずです。そりゃあもちろん、かなりのディズニー好きには、という前提があってですけど。
さらに驚いたのは、法的には無効だということですが、女性同士の結婚式が行なわれたということ。ブライダル産業のことは、ほとんど知りませんが、そんなに柔軟な対応ができるでしょうか。性的マイノリティ(という訳でいいんでしょうか?)LGBTの市場規模は、電通総研によれば昨年調べで5兆7千億円。日本の人口の5.2%が該当するそうです。もちろん、結婚式の金額は含んでないでしょう。
LGBTに向き合っている企業姿勢は、だんぜんプラスイメージになると思います。


このところ、やっているCMは「ディズニーおとな旅」というもので、親子篇や女友達篇があります。また「三世代ディズニー」というのもあるのですが、“大切な記念日はパークでお祝い”を訴求しています。誕生日ならバースデーシールというのがあって、これを貼っておくと、ちょっとしたパーク内でお祝いのイベントが起こるようです。またディズニーホテルでも様々なシチュエーションのプログラムが用意されているそうですから、ビジネスとしても大きいです。 
これらも初期からのファンの中高年化や、日本人のライフスタイル変化を上手に取り込めるものだし、エンターテイメントから大きくビジネスのカテゴリーを広げているんでしょう。
※残念ながら、Youtubeで公開されているこれらのCMは貼付けられないようになっていました。このへんが、オープンなのかどうなのか、いまいち分からないところですが(笑)


アトラクションでは、「スター・ツアーズ」がリニューアルなのか、5月7日から「スター・ツアーズ:ザ・アドベンチャーズ・コンティニュー」という名称になるようです。体感3Dシアター「スター・ツアーズ」が登場した時もオドロキでしたけど、さらにパワーアップするんでしょうか。3Dといえば、マイケル・ジャクソンの「キャプテンEO」がありましたけど、観た時には、本当に驚きました。日本では筑波万博でキューブが飛んで来るような、単純なものばかりの時代。そこにコッポラが監督した、現在でも通用しそうな3Dエンターテイメント映像が登場したんですから。※2010年に復活。常設化。
「スター・ツアーズ」は、いわばその体感版なので、どう進化するんでしょう。ディズニーが手がけるテクノロジーとエンターテイメントの融合は、ちょっとレベルが違いますよね。
「スター・ツアーズ:ザ・アドベンチャーズ・コンティニュー」に関しては、公式のYoutubeチャンネルで仕掛けている動画があり、さすがにこれは貼ることができました。おばちゃんたちは、まるでお約束の仕込みのようにも思えますし、リアルにいそうな気もします(笑)







最近出た『のめりこませる技術  ─誰が物語を操るのか』という本があります。
Amazonの紹介文を引用すると、
映画、TV、広告、本、ゲーム、ネット、マーケティング…… メディアによるストーリーテリングの方法は、デジタル技術の普及により、大きく変わった。受け手は物語に参加し、自ら物語を語りはじめ、作品の中に役割を得ていっそう夢中になり、やがて、抜けられないほど深くのめりこむ。そんな世界を創出するために、アメリカのエンタテインメント業界や広告業界は、どのような戦略をとってきたのか。また、これからどのような戦略が有効であるか。『アバター』『スター・ウォーズ』『ダークナイト』『シムピープル』『メタルギアソリッド』などからディズニー帝国まで、数々の作品を例に“物語"の力に迫る。
となっています。

日本では早くから、漫画やアニメなどは、ゲームやおもちゃ等との複合的なミクスドメディア戦略が普通になっていました。ところがネットの時代になり、ユーザーが参加することによってストーリーが変わったり、主人公が実際にソーシャルメディアに登場することで、フィクションとノンフィクションが出入りするような“のめりこみ”を作ってたり、ちょっとレベルが違うことになっているようです。
 考えてみれば『24』が流行していた時に、大人までもがケータイの着信音をCTUの電話の呼び出し音にしていたり、スターウォーズのTシャツを着ていたりするのは、たぶん近年になってからのこと。 のめりこませることが必要なのは、それぞれのメディアの影響力が落ちているし、現実問題としてそれぞれの接触時間が分散化しているから、接点を増やさなきゃ忘れられてしまうという理由もあるでしょう。収益を増大させようとすれば“エンターテイメントソフト”を楽しんでもらう以外に、キャラクター化などによって生活のグッズにまで入り込もうとするのは当然のこと。でもそれは、“のめり込みやすい人”ばかりをターゲットにしていて、とても危険なこと。もうたぶん、限界に近づいているのではという気がします。 少なくともディズニーリゾートは、その空間の中で、のめり込ませている。日常の場を、ほとんど浸食しないエンターテイメントだから、ハレの場で、観光という概念に近くて、古くて新しい方法論であるのではないかと思います。







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