提案をしてたら、じゃあ運用からやってくれと言われてしまい、内心焦りながらも、お引き受けしました。いつも制作会社という立場ながら、マーケティング的なことを喋っています。
こうやれば、こういう効果が出るはずだと提案をしているのですが、ことソーシャルマーケティングに関しては、その運用によって大きな差がついてしまうのは間違いありません。そのクライアントでは大手の会社が“中の人”まで請け負っていたのですが、遅い、ユーザーとのコミュニケーションが悪い、というところが最大の問題だったようです。
そりゃあ、理解出来る話です。“中の人”は、本当に中の人がやるのが原則。ソーシャルの運営は、宣伝・PRだけではなく、ユーザーサポートやお客さま相談室的な役割も求められます。
それぐらいの覚悟と、隣りに座ってるぐらいの意思の疎通がないと出来ない。というのが、外の人が中の人を請け負うことではないでしょうか。少なくとも、何かあれば、休日であっても担当者にケータイで電話できる、メールできるという関係も事前に作っておく必要があります。
詳しくは書けませんが、それなりに知られているブランドで、B to Cで、ECサイトではなく、実店舗への誘導が目的。うちが請け負って3週間後に、大きなイベントがあり、そこへの集客がまず最初のハードルです。
※うちがやらせていただく直前で、Twitterでは数千人のフォロアーが。Facebookでは1つの投稿につき、リーチで1000人程度、話題にしている人数で100人程度だということがインサイドに出ていました。
じゃあ具体的に、どう運営するか。当初、社内で分担しようと思ったのですが、とにかく時間がない。3週間で結果を出そうと思ったら、分担するより、自分がやってしまうのが一番いいだろうと。もちろん、通常の業務をやりながらだから危険なのは危険。
でも瞬間的に判断して返すんだから、そういうことに慣れていることが必要だし、短い期間でも蓄積することで経験値があがり、より上手に対応できるはず。そう考えて、ひとりでやることにしました。
※現在では、ある程度マニュアル化して分担しています。
結果は、ソーシャルからの誘導のすべてを数値化されるわけではありませんが、イベント時の集客という点では大成功だったと考えています。ソーシャルで発信する/コミュニケーションするということは、他の手段より圧倒的にコストパフォーマ数が高い。また、リスティング広告などの比ではないですし。
ソーシャルからの誘導がどれだけあったのかは数値化できませんが、今回はソーシャルと純粋なパブリシティでしか訴求していませんでした。
ソーシャル上の数字としては、3週間でTwitterのフォロワーが1万人を突破し、TOYOTAの広報アカウントに迫る人数へ。Facebookではリーチで4000人強までいき、話題にしている人が300数十人にまでなっています。
ただこれらの数字は、指標としてあまり役立つものではないと考えています。必要なのは、どれだけ拡散したかと、どれだけ行動を促したかということ。参考になるのは、Twitterなら、どれだけRTやリツイートされたか、お気に入りに登録してもらえたかです。ほぼ三週間目の時点では、何をツイートしても、20人以上からRTやリツイートをしてもらえるようになり、10人以上にお気に入りに登録してもらえるようになりました。
ECサイトなら効果があるが、特定の実店舗への誘導で、どれだけの効果があるのか。全国、全世界に発信しても意味がない。ましてやソーシャル上で、アクティブな人がどれだけいるのか。とてもマスではないという議論がありますが、そもそもソーシャル上で活動していなければ、存在していないのと一緒です。
エリア内の人たちに訴求しようとすれば、新聞折り込みやポスティング、ビルボードカーなどが考えられますが、いずれもプッシュ型で、訴求する年齢層が限られたり、あるいはターゲットになりえない人たちにも訴求してしまい、コストもパフォーマンスもいいとはいえません。
ところで、ソーシャルメディアの登録者数って、どのくらいなんでしょうか。Facebookでは広告を出稿する前提で調べると、この6月に登録者数が1000万人を突破したようです。
ブログメディア「in the looop」より
視聴者数ということであれば、上の図のようなニールセンによるインターネット利用動向調査があります。でもこれが穴だらけで、リンク先によれば
- フィーチャーフォンやスマートフォンからの訪問者数を含んでいない。
- 非会員の訪問、すなわち各SNSトップページへの訪問者やオープンなページ(Facebookページ、mixiページ)への訪問者を含んでいる。したがってアクティブ会員数とは一致しない。
- PCはWindows PCのみであり、MACやタブレットPCなどは含まない。
- 視聴率測定しているのは家庭と職場のみであり、学校やネットカフェなどからのインターネット利用は含まれていない。
ということですので、あくまで目安にしかなりません。それでもFacebookが登録者数で1000万人だとすれば、Twitterでも近いレベルの人数だと考えて差し支えないように思います。各ソーシャルメディアの登録者が重なっていたとしても、ほとんどマスと考えていい数字です。
ではユーザー層をどう考えればいいでしょうか。
こんな面白い言い方がありましたので、引用します。
mixi、LINE = ロードサイド
mixiとLINEは郊外の幹線道路沿いにショッピングセンターのような存在で、みんながなんとなく集まってくる場所。
Twitter = 情報受信なう
Twitterは、情報発信というよりも実は人のツイートを見て情報を受信しているという側面のほうが強い。
Facebook = オヤジの新タバコ部屋
Facebookは、当初は20代、30代が主流だったが、今は50代前後の部長クラスも使うようになってきて、部下のほうが嫌がっている状態。
アメーバ = 109へようこそ
アメーバはとにかく10代の利用者が多い。
Blog = ウェブ論壇
ブログなどでは、自説を主張するような人が多い。
「Social Media Experience」よりFacebookが「オヤジの新タバコ部屋」というのは言い得て妙。私は、35歳ぐらいから団塊の世代ぐらいまでの中高年層で、よりアクティブなのはアラフォーの男女なのではという気がしています。いいね!というのが簡単な分だけ、アクティブに思えますが、積極的に投稿やコメントしているのは、中年男性という印象が強いです。
Twitterも情報受信主体でしょう。実際に周囲でも、情報収集のためという人が少なくありません。フォローしてタイムラインを眺めているだけで、情報通になった気がします。つぶやくなら、他愛もない内容じゃないと、リツイートされたりRTで意見されたりすることを怖がっているようにも見えます。年齢層的には20歳前後から50代真ん中ぐらいで、よりアクティブなのは、20歳から40歳ぐらいなのではと想像しています。
Blogはとにかく自己主張が強い。などなど、様々なことを考えたりしますが、前述の通りソーシャルのユーザー全般について、考察したり、詳しく調査・分析したってしょうがないと思っています。もっとも重要なのは、反応。反応してくれた人がどういう人で、どういう反応をしてくれたか。どういう風に拡散されたかを知ることが大切だと思います。
年齢性別や属性から広告を表示しているはずのFBなどを見ていると、いかに的外れか。最先端を行っているはずのAmazonのリコメンドが、どれだけ稚拙か。科学的分析にもとづくターゲティングが、どれだけ効果をあげているか。現実問題として、かなり疑問があります。
ユーザー層は、参考程度にざっくりと把握することは必要。でもFBで出したクーポンが、一向に使われない。使用率が低過ぎるなんていう話は、よくあります。ソーシャルでは得する情報が好まれると言われますが、それは反応するハードルが低いだけ。そこは反応の中身をちゃんと見ないと意味がないんじゃないのと考えています。
次回は、具体的にどういうことをやったのかを書いていこうと思います。
あくまで短期的な効果を考えてのことですし、ECサイトではないという前提ですが。
「ソーシャルの仕掛け方_2」に続く。
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