2012年9月25日火曜日

ソーシャルの仕掛け方_2

ソーシャルの仕掛け方_1より続く


ソーシャルメディアでは、まず共感が必要だということが常識のように語られています。1年ぐらいかけてユーザーとの関係性を高めていくのならともかく、企業のアカウントでどれだけ共感してもらえることが可能でしょうか。
もちろん、語られている「共感」というのは、面白いね!とか、いいね!というぐらいのことでしょうから、実際はかなり軽い共鳴みたいなものだと思います。それでもその共鳴は、製品やサービス、あるいはお店に対してのものでなければ意味がないでしょう。
企業アカウントが面白い人ねというキャラクターとしての評価を得ても、目的にはかなり遠いような気がします。Twitterで@NHK_PRが面白いと言われたりしますが、それはNHKだから意味あること。よく外食産業で、完全に動物もののキャラとしてツイートされているのを見かけますが、これは遠い。売りに結びつくには手間がかかりすぎで、遠回りすぎるような気がします。




ある個人のツイートで、興味深いものを見つけました。
「多くの企業アカが壊れたキャラを演じながら、目的を隠して仲良くしてくださいと迫ってくるのは、かなり奇妙」みたいな内容でした。
そりゃあ買ってください。発売しました、だけじゃ困りますけど、バランスですよね。

と、能書きはそれぐらいにしておいて、Twitterをメインに、FacebookやGoogle+にも多少ふれつつ、実際にやったことを、整理しながら書いていきたいと思います。




this is social networking?

                                

【1.場をあたためる】


テレビのバラエティ番組で、前説といわれる行為があります。まだテレビに出ることが出来ないお笑い芸人が、本番前にトークなどで、会場をアイドリングにすることです。

ソーシャルでもそれは同じで、毎日、毎回のように前説から入ることが必要だと思っています。あたためから入って、後はストーリーを持って、それぞれのツイートがつながっていることが多くの人に受け入れてもらえる条件でしょう。

完全に認知され、何人もから気軽にコミュニケートしてもらえる状態になれば、毎日は必要ありませんが、それはいわばスター扱いの状態。影響力を測定するサービスで解析すれば、「1000人にひとりの影響者」レベル以上の存在でしょう。

FacebookやGoogle+では、そもそも場が形成されている感じはないというか、いいね!や+1ぐらいのことなら、アイドリング状態にする必要はないでしょう。ただ、1つの投稿をする時に、導入部のテキストが伝えたいことではなくて、あたためる役割を持っていないと、企業ページでは事務的な感じか、押し付けがましい印象になってしまいます。



【2.臨場感を共有する】

今ではすっかり見かけなくなりましたが、Twitterといえば「〜なう!」でした。今、どこにいる。今、何してる。今、何を思った。ということを伝えるプラットフォームでした。これは現在もそんなに変わらない。

企業アカウントが、自分の都合で広報したいことを、自分のタイミングでツイートしていていいでしょうか。よほどおトクな情報ならともかく、そんなやり方で共感までしてもらおうなんて、ただの妄想です。

うちでは、こんなことをやりました。イベント前から人を行かせて、現場の様子を撮影。メールに現在の状況も書かせて送らせる。それを社内で加工して、次々にツイート。たぶん、現実の進行とTwitterでのタイムラグは10分程度。FacebookやGoogle+では、2時間程度でした。
もちろん現地から発信するということも考えられますが、写真には大勢の人が映っていますので、プライバシーに配慮した修正が必要です。USTREAMなどの放送では、その点をクリアすることが難しいでしょう。
この時のTwitterでは、2時間半ほどの疑似実況中継。現場の盛り上がり、興奮を、気軽に、伝染するように伝えられた。FacebookやGoogle+で後からご覧になっても、臨場感を感じてもらうことができたと思います。



【3.シズル感のある写真を多用する】

ソーシャルメディアでの一番の武器はテキストだという意見が多いですが、写真の方がはるかに訴求力がありそうです。

シズル感はなにも食品だけではなく、音や匂いや動きなどがリアルに伝わってきそうな写真なら、人物だって家電だって建築物だって何にだって通用するポイントだと思います。ただ印刷物に使用する写真とは、解像度だけではなく、ちょっと質が違うかもしれません。そういう画像を豊富に用意し、オーディエンスの反応を見ながら、撮影方法などを修正していくことが大事だと思います。
もちろん、準備できるのであれば、動画でもいいと思います。Google+は直接アップするのもYoutubeのリンクでも、大きく表示されるので効果的です。Twitterでも、Youtubeのリンクであれば有効ではないでしょうか。

うちではそれぞれのソーシャルメディアに合わせて、画像のサイズはもちろん、加工方法も変えて、投稿しました。ウェブサイトや印刷物に使うオフィシャルな画像以外にも、裏側を垣間見せるようなシチュエーションを撮影し、“シズル感”だけではなく、興味を深めてもらえるような仕掛けを考えました。
 



【4.確実に伝える】

実質的にはひまつぶしツールとして、利用されることの多いソーシャルメディア。その中で企業メッセージを伝え、ファンになってもらう、ブランドチェンジをしてもらう、購入行動を起こしてもらうなどなどの結果を出すには、まず届かなきゃ意味がない。


フェイスブックはそれほど刹那的に利用されているわけではないけれども、それでも投稿されてから1日たってしまうと、インサイドによれば見てもらえる確率は極端に低下するようです。たぶんGoogle+も同じようなものでしょう。
Twitterではピークは、せいぜい30分まで。リプライなどの反応ということでは、1日たってもあることはありますが、1時間もすると、ほとんどの人のタイムラインのファーストビューから外れてしまうと考えていいのではないでしょうか。

フォロワーが10万人いて、1日の中で、同じことをなんどもつぶやいたとしても、どれだけの人にも届くでしょうか。フォロワーの内訳は感覚的に、1割は競合や関連業界のチェック。3割は広い意味でのファン。2割は現実的な意味で顧客になる可能性がある人。2割が顧客。あと1割は、不明です(笑)
仮にこの見方が妥当だとして、10万人のフォロワーで購入や利用という結果に結びつく可能性があるのは、7万人。この中で毎日1時間弱でもTwitterを利用している人がどれだけいるでしょう。たぶん、半分もいない。また仮に3万人として、このうちつぶやいたツイートに出会ってくれるのは、いったい何人でしょう。たぶん、どう考えても、まったく足りない数字です。だからこそ、まず1日の中で同じことを表現を変えてツイートする必要がありますし、それを日々繰り返すことが必要でしょう。バイラルを狙うのは、その後です。




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【5.波を作る】

ということは、大量のツイートが必要です。実際イベントの当日前後2日半ぐらいは、1日に80本ぐらいの単独ツイート。200ぐらいのリプライ。30程度のリツイートをしました。一日に17時間ほど貼り付いていましたし、めちゃくちゃです(笑)

もちろん、こんなことをしたのは、この時だけ。【2.臨場感を共有する】で書いたことに追加すると、こちらに熱がなければ臨場感は伝わりません。また、ここをピークにして、注目度や存在感を上げることが必要ですし、フォローしてくれる人を爆発的に増やすことも出来ません。

ただ問題は、ここまでするとフォローしてくれている人のタイムラインを埋めてしまうことが多くなってくるので、リムーブされてしまうことも考える必要があります。ここをどう判断したかは後述しますが、10人程度しかフォローしていない人なら、TLは確実に埋まります。でも1000人フォローしている人なら埋まってしまうということは、まずないでしょう。またリプライの時に、先頭に相手の@を持ってくれば、その人のTLにしか表示されません。こういう配慮も混在させて、フォロワーのTLにどう表示されているかを想像しながら運営していく必要があります。

ピークが終わったあとは、通常は、毎日10数本の単独ツイートで、30ぐらいのリプライ、リツイートは状況に応じてという風にすれば、嫌がられずに興味を持続してもらえるのではないでしょうか。ダメなのは、いつもいる。あるいは定時にしかいないと思われてしまうことだと思います。
1日のうちでも1、2分で連投したりするんじゃないけれども、集中して対応するとき。まったく離れるときをつくりながら、できるだけ多くの人に伝えることが肝心です。






【6.反応こそ、すべて】

Facebookで「いいね!」の数、ましてや何人が見ましたというのは、単なる反応みたいなものなので、傾向としては参考になっても、あまり意味のあることだとは考えにくいと思います。もちろん、投稿内容を変えていく指標としては大切です。
ただ友だちが何に「いいね!」しているか気にしてチェックしている人もいるでしょうけど、慣れてきた多くの人にとっては「どうでもいいね!」に近いのではないでしょうか。
ところがコメントされると、注目度は、さらにあがりそうですし、仕掛ける側にとっても参考になります。どう好きなのか。なにが不満なのかが理解できます。

Twitterでも、リツイートは「いいね!」よりは積極的な好意だと考えられますし、バイラルとしてはとても貴重。そして、より積極的な好意や共感となると、はるかにリプライが重要になるのは言うまでもありませんし、会話することで、より好意が深まります。
リプライは[つながり]でチェックすることができますが、ただ企業アカウントに話しかけてきてくれるのは、強く好意を持ってくれているか、そこまでではなくても比較的丁寧な内容になっていることが多い。
もっと飾らない意見を知るには、社名やブランド名で検索し、赤裸々なツイートを読むことです。リプライ以上に本心からの好意的なツイートが多くて驚くこともありますが、批判もストレートに書かれています。マーケティング的にも、検索でのツイートを重要視すべきでしょう。
私は、前に書いてあるイベントの前後、検索してスパム化している、などの意見が2件以上出てきたら、そのタイミングでツイートをフェイドアウトするようにしました。



ソーシャルメディアの仕掛け方_3に続く


photo: flickrskampy,Mekkjp

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