2014年12月18日木曜日

驚くほど[クリスマス]という言葉が使われなくなっています

画像:渋谷東急本店ファサード

昨年の12月、『Happy Holidaysが、海外では一般的なんですか?』という記事を書きました。
ところが今年は、Christmasという言葉がどうしてこんなに使われなくなったのというぐらいに減っているようです。もっとも渋谷や表参道などの大きな店舗で、という条件付きの印象ですが。


渋谷の巨大なシンボルは、あくまでクリスマス


渋谷全体では、一般的にはクリスマスの印象が強いかもしれません。それはなにより東急グループが、クリスマスを全面に打ち出しているから。
最初の画像は東急本店です。ヒカリエも[Hikarie CHRISTMAS WONDERLAND]という打ち出し。109と109 MEN'Sは共通のビジュアルとコピーで大声で叫んでいます(笑)
画像:クリスマスの渋谷109



そして大きなクリスマスツリーで、パルコもクリスマスを打ち出しています。
これらは言うまでもなく日本企業です。
ところがグローバルブランドは、こぞってという言い方もおかしいですが、ほとんどクリスマスという言葉を使っていません。(日本での資本構成はどうであれ、世界中で展開しているという意味でのグローバルブランドです)

昨年書いていないところを中心にご紹介します。


ファストファッションは、まったくクリスマスを使わず


スウェーデンのH&Mは、Holiday Giftsの文字しかありません。レディ・ガガとトニー・ベネットのボードは、きっと世界共通のビジュアルなのでしょう。
画像:渋谷H&Mのショーウィンドウ


このおふたりですから、もちろんYouTube動画もあります。
この動画を見ると、クリスマスイメージにしているけれども、言葉としては使わない。犬にトナカイのツノを付けさせているところに、腐心のあとがうかがえます。


ユニクロ、GAP、FOREVER21も、まったくクリスマスを使っていません。
画像:渋谷ユニクロのファサード





ほぼすべてのハイブランドは、軒並みメッセージもなく


GUCCI、Dior、CHANEL、LouisVuitton、Armaniも先週の時点で店頭には何のメッセージも出していません。

見た中ではオーストラリアのUGGはツリーもあり、思いっきりクリスマスイメージですが、クリスマスという文字はなく、HOLIDAY GIFTでした。
画像:渋谷UGGのファサード

画像:表参道GUCCIのファサード




DiorやCHANELはプレゼントを意識した香水のテレビCMを打っていますが、ChristmasもHolidayという言葉も使っていません。ギフトのイメージだけです。



混在させているブランドもあり


イタリアのDIESELは、[HAVE A HARDCORE HOLIDAY]。でも小さくXMAS GIFTという表記もありますし、スタッズ付きの皮のライダースを着たサンタクロースのビジュアルもあります。
画像渋谷DIESELのファサード



不思議なのは、アメリカのディズニーストア。旗など目立つところではHappy Holidayなのですが、この窓にだけMerry Christmasと書いてあります。これはなにか、目立たせたくないけれども入れる必要が出てきたデザインのように思えます。
画像:渋谷ディスニーストアのファサード






ストレートにクリスマスを打ち出しているのは


私が見つけた中では、イギリスのLUSHだけでした。
画像:渋谷LUSHのファサード

同じくイギリスのコスメブランドTHE BODY SHOPにもクリスマスギフトという表記はありましたが、ギフトのコーナーだけで、外からは目立ちません。
アメリカでは宗教上の配慮からHappy Holidaysが使われだしたということですが、さまざまな人種が働いているグローバル企業では当たり前の流れなのかもしれません。
日本でもさまざまな国の人が働いているのがありふれた状況になってきていますし、海外からの観光客の多さを考えれば、それに東京オリンピックのことを考えると、この先クリスマスという言葉はさらに使われなくなりそうです。
昨年より顕著になってきているようですから、2014年がその転換期なのかも。


ところで当社にも先月、キラキライメージでHappy Holidaysを使う仕事がきました。グローバルブランドですが昨年はChristmasだったので、いよいよ変わったんだな。
そう思って、Happy Holidaysを使う理由を聞いてみました。
すると答えは「年明けも、そのまま使えるから」。

現実的です(笑)



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2014年12月9日火曜日

【Twitter】最大瞬間風速を記録したのは、ストーリーのある三連投でした




ソーシャルメディアの運用をする中で、どういう投稿内容や投稿の仕方が有効なのか、日々トライ&エラーを繰り返しています。
もちろん日々環境は変わっていきますし、普遍的な手法なんてないと思っています。その一方で確実だろうなと、自分なりの確信のある手法もいくつかあります。

目的によっても違いますが、ツイッターでトルネードのようにインプレッションを稼ぐなら、[ストーリー性のある三連投]だと考えています。
インプレッションとは、ツイッターによれば「ユーザーがTwitterでツイートを見た回数」です。単純に届いたかどうか、だけです。


連投するのは、基本的にNG


ツイッターで著名な方々からは、なんども繰り返しつぶやけという意見が主流のようです。でも前にも書きましたが、フォロワーのタイムラインを埋めてしまうような運用は、少なくとも企業アカウントでは間違っていると思います。
誰でも使える[Twitterアナリティクス]は、実践的に活用できる優れもの

かつて津田大介さんは、朝から公式RTしまくった結果、一気にフォロワーが500人も減り「そういう人は何を求めているのかね」とつぶやいていましたが、いくらファンでもタイムラインを完全に埋めてしまえばウザくて耐えられないと思う人が、それだけいるということでしょう。もちろん投稿方法な中身を参考にするために観察しているなんて人を排除し、熱心なファンだけを残すために連投するのはアリかもしれません。

そう思っている私が、なぜ三連投をいいと考えているのでしょう。
まず、実際にやった例をご紹介しましょう。


数分間で三連投し、4万インプレッションを超えました


ひとつ目の投稿は、新商品発売の告知。インプレッションは、最終的に3,491でした。このアカウントでは平均よりも2割ほどインプレッションです。


2つ目の投稿は、その商品の使い方シチュエーションみたいなことです。インプレッションは、15,837でした。急に跳ね上がりました。



3つ目の投稿は、意外な使い方。一般的には予想外になるような切り口です。インプレッションは、19,991でした。


3つの投稿の合計インプレッションは、39,319。返信への返信もしていて、トータルで43,188でした。返信への返信は、両者をフォローしているか、こちらのプロフィールページを見て読むしかないのですが、どうであれ、三連投から派生したものです。

3つ目がいちばんインパクトがあるように考えて、投稿をしています。この日の投稿はいわば、起・承・転。リアルタイムでTwitterアナリティクスをチェックしていると、やはり3つ目が最も拡散してから、2つ目、ひとつ目へと遡って見てくれているようです。それが狙いなのです。
ところが2つ目に遡って見てくれた人は1万人以上いそうですが、ひとつ目まではほとんど行ってくれていないようです。計画通りには、なかなか行きません。総合的には、狙ったぐらいのインプレッション回数以上でしたので成功ではあります。


あっという間に、タイムラインを流れていってしまうTwitterの投稿


もっとも拡散しやすく、すでにフォロワーになってくれている人以外にも広く届くSNSはTwitterだと思いますが、欠点はあっという間にタイムライン上から消えていってしまうこと。

Twitterの広告は常に上位に表示されますが、これはテレビCMと同じ考え方。費用をかければかけるほど、広く届きますし、認知も強化されます。でもノイズになっていてマイナスイメージになっていても、それを知ることは出来ません。悪印象を強化していることだって、あるでしょう。
ところが投稿なら、エンゲージメントで知ることができます。悪印象なら遡ってツイートを見てくれるのは少ないでしょうし、最初に書いたようにフォロワーが激減するかもしれません。

興味を持ってもらえて、しかもウザいと思われず、遡ってツイートを見てくれる。読んでくれる。そして一気にインプレッションを最大化する方法が、三連投です。
もちろん個人的な経験則ですし、普遍性があるとは思えません。四連投五連投ならもっと効果が上がるんじゃないかという意見だってあるでしょう。

連投して効果が上がる大原則は、面白いと興味を持ってもらえるストーリーになっているかどうか。フォロワーから見て、有意義で遡ってツイートを見たいと感じてもらえる内容かどうかと思うこと。
意味があるなら十連投だっていいかもしれませんが、10ツイートにストーリーも持たせることは著名な脚本家が挑んでも、よほどの費用をかけない限り、なかなか難しいでしょう。


三連投を使っていいタイミングは


上に貼付けた3番目の画像の、棒グラフを見てください。一時間単位のインプレッションの推移が表示されていますが、このツイートによるインプレッション数は19,991。
オンマウスしたところが濃いブルーになっていますが、最初の一時間のインプレッションは18,194。ほとんどのインプレッションが、最初の一時間で起こっています。悪く言えば、その後は消えてしまっている。
今まで何度も三連投を使っていますが、似たような傾向で、それでいいという最初からの狙いです。

つまり三連投をしているのは、店頭やその他のSNSやメディアとも連動したタイミングで、一気に認知を上げようという目的です。

下の画像では、28日間のインプレッションの推移を見ることができます。三連投したのは濃いブルーになっているところです。




この日の前後インプレッションが低いのは、ツイート数を少なくし、Twitterフォロワーに対して情報飢餓じゃないですけれども「大人しいな」という状態にしているからです。なによりメリハリをつけることが大切です。

Twitterだけで完結するわけではありませんし、例えばパブリシティは同タイミングで発信したとしても、ウェブメディアでさえ1日以上のタイムラグがあります。
(事前にパブリシティを行うようなキャンペーンであれば、連投の役割はあまりないと思います)


他の手法と比較すると


三連投をして、その後をどうするか。一時間程度の拡散で、ほとんどのフォロワーに届くわけがありません。見なかったフォロワーに向けて、その後も地道なツイートが必要です。
三連投のようなウザいと思われるかもしれない手法を、何度も使うわけにはいきません。これまでの経験上、拡散したツイートとまったく同じものでも1ヶ月経てば、ほぼ同じぐらいの拡散が期待できます。

[Twitterアナリティクス]のツイートの詳細では、インプレッションではなくエンゲージメントで、「これだけ反応してくれたツイートを、もっと多くの人に見せよう」というニュアンスでTwitter広告に誘導しています。
でも同じツイートを何度も何度も広告として出すのは、どうなのでしょう。確かにアクティブな全フォロワーに届くかもしれないですが。

それよりは多少内容を変えて、ツイートする方が効果的です。それにはフォロワーが反応してくれたポイントを想像して、ポイントは外さず、形容したり装飾する部分を変えます。
そうやって構成したのが、矢印で示した二日間のツイートです。





オンマウスで濃いブルーになっている日には、2〜3時間の間隔を空けて単独で5ツイートしています。翌日は同様に間隔を空けて単独だと3ツイートだけです。これで6万インプレッションに迫っています。
もちろん様々な返信もしていますので、ほぼツイッターに貼り付いた状態。他の仕事が出来ません。かなり面倒くさいですが、まっとうなやり方だと思います。インプレッションだけではなく、エンゲージメントも稼げる。トータルでは三連投より、ずっといい効果です。


三連投のメリット・デメリットをまとめると


投稿方法がどうあれ、いずれにせよフォロワーにとって有益だ、素敵、面白いと思ってもらえるツイートじゃなければ、投稿する意味がないという前提ですが、簡単にまとめると


三連投のメリット
  • 短時間でインプレッションが稼げる
  • どれかを見た人には、他のツイートも見てもらえやすい
  • 他のプロモーション手段と連動した設計がしやすい
  • 事前の準備以外には、あまり時間を取られない


三連投のデメリット
  • (ファンである)フォロワーのフォロワーには、マイナスイメージになる危険性も
  • その時に届かなかったフォロワーには、しばらくTwitter上で届けにくい


もっと簡単に言うなら、新商品の投入時などには試してみるべき手法です。




2014年12月4日木曜日

【スターウォーズ エピソード7】を見ていると、本当にディズニーは変わったんだなと



11月28日、【スターウォーズ エピソード7】の予告編が公開されました。
2012年にルーカスフィルムはウォルトディズニーに買収され、ルーカスの手を離れた初めてのスターウォーズです。

ご覧になっていない方は、こちら。公式の予告編です。




すぐさまパロディ動画が続々と公開されました


11月29日の公開です。


面白いですね〜 これってディズニーが作ったのかなと思い調べてみると、Darren Wallaceというオーストラリアのデジタルアーティストでした。フリーランスということですが、なにも関係がなければディズニーがすぐさま削除要請を出しそうです。


こちらも11月29日の公開。
ルーカスが監督していたら、という設定のようです。

マニアックなファン向けですね。


これはなんと11月28日公開。


私は爆笑しましたけど、さらに複雑なマニアックさです。もしメル・ブルックスが監督していたらという設定で、メル・ブルックス制作の『スペースボール』というそもそもスターウォーズのパロディ映画の映像を切り貼りし、音声は公式の予告編から取ったものを使っています。パロディのパロディ、そのまたパロディでしょうか(笑)


ディズニーが削除要請をしないのは、どうして?


他にもいろいろ作られていますが、今のところディズニーは削除要請をしていないようです。
今まで何度か書いていますが、ディズニーは著作権に関してそんなに甘い会社じゃなかったはずです。というか最も厳しいはず。長い間仕事をさせていただいていたので、けっこう詳しく知っています。
ところがどうも、アナと雪の女王あたりからですよね。大きく戦略が変わったように思えるのは。
YouTubeと音楽プロモーションのトレンドと著作権


実はその前にもこんな動画があります。ルーカスフィルムを買収した後の、2013年4月11日に公開されています。
ディズニーランドでも撮影してるし、いったいどういうことなんでしょう。


ルーカスフィルムは、マッシュアップの素材を提供していた


THE WALL STREET JOURNALアメリカ版、2007年5月の記事です。
Make-It-Yourself 'Star Wars'というタイトルで、ルーカスフィルムが30周年を記念して、スターウォーズのクリップを公式サイトで公開すると書いています。
ファンはカットを追加したり、マッシュアップしていいですよ。ブログやSNSに自分の作品を投稿することもできます。ということのようです。
英語ですので、正確にはこちらを読んでください。
Make-It-Yourself 'Star Wars'

どうもネット上では規制するより、マッシュアップを公式にバックアップした方が得策だと考えたようです。公式サイトへも集客できますし。
http://www.starwars.com/



2007年にこんなオープン戦略を採用していたなんて、かなり素晴らしいことだと思います。禁じたところで、いくらでも出てくる。それならちゃんと自由なクリエイティビティを支援した方が、ブランド管理上も広報上もいいですよね。


アメリカではルーカスフィルムがディズニー傘下になって、スターウォーズはどうなると心配しているファンが多いそうですが、どうやらポリシーを受け継いでいるようですよ。
ディズニーは、ソーシャルメディア時代も先端を走っているみたいです。




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2014年11月20日木曜日

Googleの[モバイルフレンドリーテスト]をやりまくって理解したこと



昨日11月19日、Googleウェブマスター向け公式ブログで「検索ユーザーがモバイル フレンドリー ページを見つけやすくするために」という記事が公開されました。
読みはじめてすぐ、えっ!と思うことが書いてあります。

モバイル版の検索結果に [スマホ対応] というラベルを追加します。
この変更は、今後数週間で順次日本を含む世界中で公開する予定です。Googlebot によってクロールされ、以下の条件を満たしたページは、[スマホ対応] ラベルが適用される可能性があります。

適用された時の実装イメージは、こんな感じになるそうです。


検索ユーザーがモバイル フレンドリー ページを見つけやすくするために



[スマホ対応]ラベルが適用される条件とは


なんてことはない、今までGoogleが推奨していた内容の軽いところですし、ごく常識的なところだと言えると思います。下記の4つです。


しかし、どうしてこんな常識的なことを、あえて[スマホ対応]というラベルまで適用して推進するのでしょうか。



スマホでスマホ対応ではないページは、即直帰される?


スマートフォンで検索してページに行ってみるとPCサイトが表示されてしまうと、私はがっかりしてしまいます。ウェブマガジン系などは、まだまだスマホ対応していないところが多いようです。
想像でしかありませんが、スマホ対応していないページが表示されると、直帰してしまうユーザーが多いのではないでしょうか。想像通りだとしたら、Googleは「スマートフォンでのGoogle検索が意味のないもの」になってしまうという危機感を持っていても不思議ではありません。

そもそもスマートフォンで検索しようという人が、どれほどいるんだろうという疑問はあります。出先で目的の場所を検索するなど、強い目的意識があれば別ですが。
私は今回の[スマホ対応]ラベルなんて、どうってことないと思いながらも、気にする人は確実にいる。クライアントが[スマホ対応]ラベル適応を意識しはじめたら大変。帰りの電車で、調べるためにURLを打ち込んでいたのですが、次々に打ち込むのだって大変。バカらしいと思って、数サイトでやめてしまいました。



[モバイルフレンドリーテスト]で、チェックする


Googleウェブマスター向け公式ブログには、ページがモバイル フレンドリーの条件を満たしているかどうかを確認するには、[モバイルフレンドリーテスト]で調べろと、まず書いてあります。
モバイルフレンドリーテスト

今まで作らせていただいたウェブサイトを中心に、知っているところをパソコンで次々に打ち込んでチェックしました。ところが、なかなか問題ありが出てきません。
Chromeで翻訳した画面ですが、こんな風に出てきます。





ちょっと拍子抜けです。適応条件は4つですから、当然といえば当然ですが、もう少しサジェッションがあってもいいのにと思いました。



[モバイルフレンドリーテスト]は、かなりゆるい基準かも


今までGoogleが推奨してきたレスポンシブデザインか、振り分けかみたいなことも、まったく関係なさそうです。CMSでけっこう見た目のつらいスマホ用テンプレートを使っているところも、結果はモバイルフレンドリーでした。
驚いたのはトップページだけがスマホ対応で、それ以下のディレクトリーはPC用が表示される仕様も問題なしです。確かに4つの条件には当てはまっているのですが、でもモバイルフレンドリーという言葉を使う以上、しっくりきません。

※もちろんGoogleが検索順位にユーザーエクスペリエンスを組み込もうとしているのは前から言われていますし、「このモバイルフレンドリーをランキング要素として使用することも実験中」だと書かれているので、モバイルSEO的にはとても重要なのは、間違いありません。



「フレンドリーではない」と出るサイトは、問題あり?


私がチェックした中では、3社で×が出ました。割合としては、調べた中の数%で、まったく同じ結果でした。



問題をどうすればいいかは、右の方にリンクが出ています。
さらにGoogleの基準に適合するには、どうすればいいかを学ぶことができます。



更新はされているけれども「フレンドリーではない」と出ているサイトは、どれも3年ほど前に制作したもの。また意思決定する方々が、それほどスマートフォン適応を重要視されていない企業なのかもしれません。
ほとんどのサイトでモバイル端末からのアクセスが上回っているようになっていると思いますが、もちろんPCからアクセスしてもらうことを主眼においていても、ポリシーであれば問題ないと思います。

このブログも、パソコンから見てもらう読んでもらうことを前提にしています。なぜってスマホからを意識するなら、この20%30%ぐらいのボリュームが適正だと思いますが、とても書ききれない。そうじゃなくても書きなぐっているのに、さらに端折りまくったらどなたにも読んでもらえなさそうです(笑)



Googleのお墨付きをもらっても、モバイルフレンドリーじゃない



今のところGoogleの公開している基準は、仕組みだけのことです。4つの基準を満たしてさえいれば、これから順次、検索結果に[スマホ対応] ラベルが追加されるはずです。
もちろんスマホで検索された場合にはアドバンテージがあると思いますが、その程度でユーザーの利便性が向上するでしょうか。

何度も書いていますが場所を探しているのであれば、Googleマップ/Google+ローカルなどの対応がマストです。検索して何ページも移動することは、PC以上に厳しいものがあります。
Googleが推奨するレスポンシブデザインだって、PC向けなら興味のある人向けに、どれだけ深いコンテンツを用意しておいてもいいと思いますが、スマホに同じ量のコンテンツが必要でしょうか。むしろ邪魔で、ユーザービリティを損なう結果になると思います。スマホには、スマホに最適化したナビゲーションとコンテンツ。

スマートフォン時代になってGoogle検索は、どうも後手に回っている気がします。



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2014年11月11日火曜日

YouTube周辺の著作権をめぐる、やっかいで危険な徴候


うちの会社のYouTubeチャンネルのクリエーターツール(平たくいえば管理画面)の著作権情報に、[第三者のコンテンツと一致しました]という表示が出ていました。
またか。これで二度目です。

同じ会社かなと思ったら、違う会社が著作権侵害の申し立てをしたようです。調べてみると、以前と同じインディーズなどのアーティストの楽曲をiTunesなどで世界での配信を請け負う会社でした。違う会社だけど、以前と同業種。同じ仕組みを使っているんじゃないかというぐらいで…


知らないうちに、iTunesへのリンクが貼られていた


YouTubeから、著作権侵害の申し立てがあったというメールが来たわけではありません。あくまでも管理ページに[第三者のコンテンツと一致しました]という表示が出ていただけです。そしてYouTube動画には、音楽としてiTunesへのリンクが貼られていました。





上の画像の、一番下のところですね。
どうして、こんなことが起こるのでしょう。順を追ってご説明します。



GarageBandで作った曲はオリジナル、ではない?


自社のYouTube動画の音楽は、Macに最初から入っているGarageBandというDTMソフトで作ったもの。数あるDTMソフトの中でも、飛び抜けて簡単です。


著作権侵害の申し立てがあったBGMを作った者に聞いてみると、やはりGarageBandだけで曲を作っていて、最初から入っているサウンドライブラリのMIXプラス多少の打ち込みだということでした。
DTMをご存じない方にはピンと来ないかもしれませんが、ドラムパターンやギターのフレーズが数多く入っていて、組み合わせるだけでも、それなりの曲が出来てしまうのです。
でもそれで著作権侵害ということは、Appleが他人が著作権を持っているものを勝手に使っていることになりますよね。そんなバカな…

自社のYouTube動画は、主に実験的な意味合いで作っていますので、完全に打ち込んで曲を作るということはありません。YouTubeでは広告を掲載することで収益化もできるのですが、それもしていません。
EXIT YouTubeチャンネル


今回申し立てのあったものは、すぐに動画ごと削除してしまいました。他には曲だけ削除するという方法もあります。


著作権侵害の申し立てができるのは、Content ID利用資格を持っている人だけ


Googleによると、YouTube にアップロードされた動画は、
Content ID ユーザーが提出したファイルのデータベースに照合され、スキャンされます。システムによって動画とデータベース内のファイルとの間の一致が検出されると、 コンテンツ所有者はどのような対処をするか決定できるようになります。この際、該当の動画に対しては Content ID に関する申し立てが行われます。
ということです。たぶん自動的にスキャンされ、アルゴリズムによって登録されている楽曲と一致していると判定されれば、Content ID利用資格者に通知が行くのでしょう。

Content IDの利用資格は、
一定の基準を満たすコンテンツ所有者のみに Content ID の利用資格を付与しています。コンテンツ所有者が承認を受けるには、YouTube ユーザー コミュニティによって頻繁にアップロードされるような大量コンテンツの独占的権利所有者である必要があります。
とのことですから、レコード会社や版権の管理会社などが主だと考えられます。もちろん、この基準ならインディーズなどアーティストの楽曲の配信を請け負う会社も該当して当然です。


権利所有者は、著作権侵害された動画に対して何ができるのか


Googleによると、この4つになっています。

・Content ID と一致する音声をミュートする
・閲覧できないよう動画全体をブロックする
・動画に広告が表示されるようにして収益化する
・その動画の再生に関する統計情報を追跡する

いままでうちに対してあったのは、3番目の広告が表示されるというオプションですね。広告の表示は、動画の前にCMを入れたり、下部にバナーが入っているのを思い浮かべますが、iTunesへのリンクが貼られていただけです。iTunesで楽曲が売れれば、侵害の申し立てをした会社に売上が入るということなのでしょう。
どんと広告が入るわけじゃないし、iTunesへのリンクがあるぐらいいいじゃないのとも思いますが、もしかしたら侵害の申し立てをした会社は、それが狙いなのかもしれません。
自社のことなら、どうってことないですが、仕事として動画を受注しているので、どういう流れなのか把握しておく必要があります。

安く簡単にBGMを作るなら、GarageBandが手っ取り早いですが、作ったクライアントの動画に侵害の申し立てをされたら、会社によっては大騒ぎになるかもしれません。


仮に著作権を主張している仕組みが、こういうことだったら


GarageBandに入っているフレーズなどは、パブリックドメインのものかAppleが著作権を持っているのだと思います。
バブリックドメインとは、知的創作物について、知的財産権が発生していない状態又は消滅した状態のこと。たとえばクラシック音楽にも膨大なパブリックドメイン楽曲が存在します。作曲者の死後50年が経過し、レコード化などをされてから50年を経過すると、演奏者やレコード会社などの権利も切れ、その音源は自由に使うことができます。
ポピュラーミュージックに関しても、同じはずです。

仮にGarageBandに入っているパブリックドメインのものフレーズを少しだけ変え、録音し、mp3化などして販売する。著作者は自分だと主張して、Content IDに登録すればどうでしょう。たぶんGoogleのContent IDには、既存の著作物やパブリックドメインもののデータは入っていないのではないでしょうか。
そのままのフレーズでも行けてしまいそうですね。


異議申し立てもできますが、誰が証明できるでしょう


[第三者のコンテンツと一致しました]という表示とともに、異議申し立てへのリンクもあります。


[異議申し立てを提出]をクリックすると、こんな画面に遷移します。


CDを持っているとか、販売していないというのは、即侵害していますとなって終了でしょう。でも自分のオリジナルコンテンツだというのを、どうやって証明するのでしょう。
私もGarageBandに入っているものを使ったのだから、「正当な権利所有者からこのコンテンツを使用するライセンスまたは書面による許可を得ている」と主張できるとも思ったのですが、Appleの利用許諾を再確認するだけ無駄だなと、異議申し立てするのをやめてしまいました。
きっと、公開することで被る不利益には関与しない。紛争が起こった場合は当事者同士でやれというお決まりのフレーズを発見して、ため息をつくことでしょう。

それにGarageBandのサウンドライブラリに入っているフレーズ的なものは、年々、バージョンが進むにつれ数が減っています。想像でしかありませんが、パブリックドメインの音源と、ほぼ似たようなものが著作物だと、どんどん主張されているのではないでしょうか。
クラシックのように世界中で知られているものなら、誰が聴いてもパブリックドメインだと主張することはできますが、ギターのリフなら証明するのは不可能でしょう。
もう今回は私も、インディーズで音楽発売しようかなと思いました(笑)


ここからは、さらにディープな内容です。


YouTubeに巣食う著作権詐欺団体があるという指摘


もう2年近く前のブログですが、元ロックバンドをやっていた方がこんなことを書かれています。

著作権詐欺団体とは、著作権違反をしていないYouTube動画に、さも自分が著作権を所有しているように偽って、発生する広告費を横取りする集団(個人)です。
以前こちらで「音楽みかじめ料詐欺集団リスト」ということで掲載したら、数人の方から同様のコメントが寄せられました。

3D CG Animation

YouTubeの仕組みからすれば、あってもおかしくない。私は読んで、そう思っていました。ユーチューバーの中には何億も稼ぐ人がいるのですから、無数の他人の動画を自分の広告媒体に出来てしまえばおいしいと考える人は、いくらだっているでしょう。


ところがそんなどころじゃない、仕組みを悪用した身の毛もよだつ事態も発生しています。


テロリストが著作権違反を主張して、YouTuberの個人情報を取得!?


最近掲載された記事です。
Gigazin

ドイツのニュースサイトFazによると、イスラム教を批判するチャンネル「Al-Hayat TV」が、「FirstCrist, Copyright」という団体からデジタルミレニアム著作権法違反の申し立てを受けてチャンネルが停止となったため、オンライン上に復帰するYouTubeの手続きに従って個人情報を申告。

「あなたの個人情報をありがとう。自宅に警察の保護をつけた方が良いですよ」という脅迫文が書かれた手紙が届いたとのこと。著作権違反の侵害申告の手続きでは、著作権保持者側へメールアドレスなどの情報がわたってしまうため、入手した情報からAl-Hayat TVの個人情報を特定したとみられています。 

唖然としませんか?
この文章を読むと、 Content IDが悪用された。つまりテロリスト集団が(記事の中ではアルカイダ系となっています)、Content ID利用資格者だということなんでしょうね。
しかも異議申し立てをすると、個人情報が渡るなんて!? そんなこと、異議申し立てのどこにも書いてないですから。本当にそんな仕組みだったとしたら、穴だらけ。異議申し立てすることが、とんでもなくリスキーになります。



安全に曲を使うには


先日私は猫転送装置というものを知って、やってみよう。でもこれは検証動画じゃないと、つまらないよなぁと思って、土曜の昼下がりに撮影してYouTube動画を作ってみました。もちろんもちろん個人的に、遊びです。
編集しているうちに、音楽欲しいなと思って最後の方にだけ入れてみました。



思い浮かんだのは、「ねこふんじゃった」でした(笑)
ベタですけど、これなら絶対に大丈夫だと考えました。「ねこふんじゃった」は諸説ありますけど作曲者不明。しかもどこの演奏とも似ていなければいいのだからと、メロディを手打ちして調子っパズレのアレンジにしてみました。

冗談みたいですけど、どこからも著作権侵害の申し立てをされないためには、こういう方法ならありかもしれません。

仕事ではメロディは入れずに、リズムだけのBGMを作るとか。どれだけ費用をかけてオリジナルを作っても、YouTubeの仕組みが変わらない限り、侵害の申し立ては続くでしょう。そう考えておいた方が、無難です。


もしかしたらYouTube動画を活用しようとするなら、詐欺的な著作権侵害の申し立てぐらい、どうってことないとドッシリ構えてくれる担当者やクライアントであることこそ、求められる時代なのかもしれないです。


いまのところ著作権まわりで、人が介在せず仕組みで解決しようとするGoogle式民主主義は、うまく機能していないようです。



過去には、こんな記事も書いています。ファレル・ウィリアムス 『happy』を使ったダンスカバー動画がふたつ、申し立てをされた事例も取り上げています。どうもファレルサイドからでは、なさそうです。
YouTubeと音楽プロモーションのトレンドと著作権 2014年6月3日



追記:2014/12/16
12月15日、INTERNET Watchに『YouTube、動画に使いたい楽曲の利用可否を確認できる機能を提供』という記事が公開されています。YouTubeがアップロードする前に確認できる機能を提供を開始したという内容。
ただ、どうもContent ID登録者側の問題は、解決されていないようですね。





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