2012年11月26日月曜日

参加することの価値

以前、「行列までして、買ってくれることの価値」という記事を書いた。
相変わらず、Q-FRONTのツタヤではコミックの作者によるサイン会に、朝早くから行列が出来ていたりする。タワーレコード渋谷は、「ライブ感」をテーマにリニューアル。どうもライブを見に来て、CDなどを買ってもらうというストーリーを描いているように思います。




先週、あるプロのミュージシャンから「最近は、ライブ会場でTシャツなどを販売していて、その売上がバカにならない」と聞いた。もちろん、ライブ会場でのグッズの販売が増えているという話はよく聞くけれども、ジャズの人なので、観客の年齢層は高い。それでもTシャツが売れるなんて。私はジャズの世界はまったく知らないので、ちょっとビックリ。

かなり以前から、音楽がタダで手に入るようになり、収益源がライブにシフトしていると言われたりする。あるロック雑誌は、雑誌では儲からないけれども、フェスで収益を上げているという。
オープンデータを調べてみた。社団法人コンサートツアー事業者協会というところが、有料の演奏会における「年別事業規模」を公開しています。

社団法人コンサートツアー事業者協会


2009年の数字までしか発表されていないけれども、トレンドとしてはコンサートに価値を感じる人が増加しているんでしょう。売上のうちグッズ等の物販がどれぐらいなのか、この数字からはわかりません。




音楽以外でも、読書会だったり、セミナーだったり、あるいは街コンみたいなことまで、体験する経験する生を見るということが、とても活気づいているように、私は感じています。どこにも、そんなデータは転がってないですが(笑)
セミナーは、企業から派遣されて受講するようなものではなく、個人が参加する怪しげな成功ものから、銀行や証券会社の実施する富裕層向けのものまで。どんどん増加しているような気がします。参加者数はわかりませんが、セミナー数はたぶん増えている。


セミナーが隆盛だということは、起業だったりネット関連ではなかば常識のように語られていて、そのことを「◯◯さんのサイトが面白いと言うより、◯◯さんの勉強会に出たとツイートする方が注目される」と自己顕示的な解釈をされることが多いように思います。
つまり、ソーシャルで発信するネタということですね。
それもあるかもしれません。ただ、ソーシャルでは何をしてきた見てきたと発信する人が、それほど多いとは思えません。むしろ自分の行動を逐一公開する人は少数で、せいぜい何を食べた。どこへ遊びに行ったという大雑把な情報を出しているぐらいではないでしょうか。


ちなみに、もちろん2012年の様々な調査データは出ていませんが、2011年の「スポーツ参加市場規模」について、マクロミルと三菱UFJリサーチ&コンサルティングが調査しています。それによれば、2010年と11年を比較して、「観戦」「用品購入」「施設利用・会費・スクール料」ともに減少していると出ています。市場規模は初の3兆円割れだそうです。




一見すると、なんだよ参加市場下がってるんじゃんとなるかもしれません。でも3.11があっての数字。特に施設利用・会費市場・スクール料に関しては、11.6%減。もしかすると、これは驚異的な根強さなのかもしれません。特にスポーツをすることに関しては、低下している参加市場の中でも変動が少ない。


これはソーシャルでの発信ネタ、なんていう弱い動機ではなくて、リアルで参加すること、さらには自分でやることへの価値観が拡大しているとは考えられないでしょうか。
スポーツなら、自分でやるようになれば、もちろん用品も購入する。
観戦しに行けば、そこでしか購入できないファングッズを手に入れる。より積極的な、体験への参加が喜ばれている。



今年行なわれた奥田民生さんのライブでは、その日演奏されたものを即座にマスタリングし、短時間で複製、会場で『お持ち帰りCD』として販売したという。即座に完売。
ファンのコレクションアイテムという考え方もあるけれども、いまやCD販売枚数よりもライブ動員人数の方が完全に上回るというアーティストが多いと言われる時代。『お持ち帰りCD』という希少性とともに、まるで参加したライブのテンションをそのままパッケージ化してくれるようなサービスが、積極的にサイフを開かせたのではないでしょうか。


参加すること、体験すること周辺のマーケティング。拡大しそうです。




TOWER RECORDS SHIBUYA -LIVE LIVEFUL!- CONCEPT MOVIE




TOWER RECORDS SHIBUYA -LIVE LIVEFUL!- INTERVIEW MOVIE DIGEST


2012年11月7日水曜日

ソーシャルの仕掛け方_4

ソーシャルの仕掛け方_3より続く



事前に決めておくこと。ソーシャルに向き合うスタンス。

3までに書いたことは、実際に“中の人”をやった上での見解ですし、かなり具体性のある内容です。ただその前に、すべての企業にソーシャルメディアが必要か、ソーシャルマーケティングを同じように仕掛けられるかというと、そんなことはないでしょう。

事前に決めておくこと。ソーシャルに向き合うスタンス。















































あらゆる企業がソーシャルメディアでなんらかの発信した方がいい、と思います。でもそれは、ネット上に情報がなければ存在しないのと同じだという、消極的なエントリーレベルの話です。
B to B企業で著名なら、そこそこの情報発信をしておけばいいと思います。B to Bで無名なら、たぶんソーシャルメディアで自前で何かやるのは無駄でしょう。お金をかけて広告するなり、大々的なプロモーションを仕掛けるしかない気がします。


今回ブログに書いていることの対象は、フローの右下のケースです。
上のフローに書いていることを、違う言葉で言うと「B to Cの企業は、ソーシャルメディアでコミュニケーションする必要がある」「マーケティングしようとするなら、様々な役割をソーシャルメディアに担わせる、集約させる覚悟が必要だ」ということです。
よく企業のソーシャルメディアアカウントの紹介文に、「お問い合わせ等は、お客さま窓口までお願いいたします」というようなことを書いていて、公式サイトの該当するURLなど書いていることがありますが、そうするなら情報発信するだけ。新聞の文字だけの広告や、ウェブのリスティング広告とかわりはないでしょう。

コミュニケーションするなら、問い合わせやクレームにも、ネットならではのスピード感のある“1次対応”が不可欠です。それなしに、ブランディングだろうが販促だろうが、効果のあるソーシャルメディアマーケティングは成立しないのではないでしょうか。
むしろ、これからのマーケティングは、そこが重要になると思います。宣伝、販促、SP、PR、顧客対応、問い合わせなどなどの機能を集約した形でのウェブ化が必要だと考えています。

ソーシャルマーケティングの立ち位置

高額商品でもなく、コミュニケーションしない場合というのは、どういった企業に向くでしょうか。すでに強力なファンがついているブランドであれば、ありでしょう。また常におトク過ぎるほどおトクなクーポンや割引サービスでも可能ではないでしょうか。
大多数の企業は、そうではありませんので、双方向のコミュニケーションして行くことが必要だと思います。コミュニケートしていれば、当然、発信した情報への問い合わせがあるでしょう。それに答えないというのは考えられません。発信したことと無関係のクレームや難癖のような絡まれ方をすることも出てきますが、そこは相手が誰かを【8.相手が誰かを見極める】こと。お客さまであれば、丁寧な対応をすることが必要ですし、そうではなく、理不尽な内容なら無視してもいいかもしれません。
経験でいえば、後からわかったことですが、店頭での対応に腹を立て、金銭を要求された方に、ソーシャルメディア上では丁寧に対応していたため、穏便に解決することができました。

またすべての宣伝やユーザーサポートをソーシャル上で行なえるわけではありませんので、切り分けや役割分担をどうするか、事前に協議しておく必要があります。



ツイートや投稿の考え方

ツイートや投稿の考え方:A


2.の臨場感は、たとえば「買い付けに来ています」「◯◯◯の準備中です」「◯◯◯、入荷しました!」「明日から、始まります」「開店しました」などなど、ほぼリアルタイムな発信は、カウントダウンやティーザー的な要素もあり、オーディエンスの興味をそそります。また当社がやったような、ほぼ同時中継するようなやり方は、その場の興奮を伝えることができると思います。FacebookやG+では、事細かには出来ませんが、Twitterなら細かくやることも可能です。

3.のシズル感のシズルとは、ステーキの焼ける音を指していると言われます。音、温度、匂い、質感などが伝わるような写真は、言葉より、はるかに強く速く伝わります。工業製品は、シズル感を出せないかというと、プロならそんなことはありません。無機的な工場でさえ、静的に撮ってしまうと味気なくても、マシンの動いてる様子をダイナミックに見せることはできるでしょう。
また製品の製造工程、特に人が関わっているところなど、現場の“裏側見せ”でも、そそる画像になると思います。それもファン作りですよね。



4.5.6.7に関しては、「ソーシャルの仕掛け方_5」で実例をあげて、再度書きます。

8.は本当に大事。基本はすべての人に、対応するけれども、お客さまか、お客さまじゃないのかで、対応のスタンスを変えてもいいと思います。
また対話はないけれども、何度もリツイート等で広めようとしてくれている人などには感謝の気持ちを伝えるべきだと考えます。話しかけてくれる人、コメントをくれる人、いわば仲間内でのコミュニケーションだけで終わっているのは、本当にマズい。ファンを阻害しているようなものです。
著名なソーシャルマーケティングのコンサル的な人でも、狭いつながりの中でしかやりとりせず、旧態然としたマスマーケティングどころか、利権商売のように思えてしまいます。

ツイートや投稿の考え方:C

9.から12.は、とても難しいカテゴリーですので、簡単に追記できません。複数での役割分担か、あるいは豊富な経験を持つ人たちのバックアップが必要でしょう。



さらにディープなソーシャルマーケティングの考え方


2012年11月1日木曜日

仮装・コスプレの大ブレイク

昨日の夜は、会社を9時ちょっと前に出ました。
タワーレコード渋谷あたりから、ハチ公前のスクランブル交差点まで歩いてる間に、もうビックリで。若い、たぶん20代前半ぐらいまでの仮装した女の子たちが、どんどん歩いてきます。半分ぐらいは仮装してるんじゃないのという印象で。男前な女の子がビシッと、バットマンのジョーカーの扮装をしていて、あまりのカッコ良さに目が釘付けになったりしていました。
10月31日は、ハロウィン。だからって平日の夜なのに、これだけいるなんて、どれだけハロウィンの仮装が定着したんでしょう。

10月26日金曜日の夜も、けっこう仮装している人たちがいました。多くのお店では、たいがい27日の夜に、ハロウィン関連のプロモーションをしているようでした。
たぶん、ハロウィンの盛り上がりは、先週末がピーク。そんな風に思っていたら、案の定、ネット上ではいろんな画像が飛び交っていました。
もっとも多かったのは、たぶん渋谷のコスプレでしょう。アニメや戦隊もの、映画やディズニー、そしてファストフードまで、さまざまなヒーロー、ヒロイン、キャラクターのコスプレが出現。その目撃情報やセルフの情報発信。






ところがところが、31日はそんなもんじゃなかった。ネット上ではさほど出ていなかったように思いますが、若年層、特に女の子の仮装はとんでもなく多かったという印象です。

あ、コスプレと仮装の違いって、なんでしょう。コスプレは、キャラクターになりきること? 仮装は…、特定の何かではなく、過剰な非日常的な装いということでしょうか。ホントのところは、わかりません(笑)
考えてみれば結婚式だってハレの装いですが、儀式系のハレの場がなくなってしまった。どこかで責任のない、ハジケた変身をしたいということでしょうか。ディスコはクラブになって、お見合いパーティは街コンになって、ほぼ日常の延長線上でカジュアルな場になっているようですし。

理由はともかく、これだけ仮装やコスプレのパワーがすさまじいと、来年からのハロウィンの販促プロモーション、従来とはレベルの違う取り組みになりそうな気がします。




そう思い始めたのは、ハロウィンからじゃなくて、9月の下旬。真昼間の渋谷公会堂の前に、コスプレイヤーが集結してました。拡声器で「ゴールド会員の方はこちらです〜」と言ってたので、なんかアヤシイ。これはなんだろうと思って検索したら、しょこたんのギザ10 しょこ【生】ツアー---!! 2012」というライブでした。十二分に、アヤシイですけど(笑) 
でもその時に目の前を歩いてた、ドナルドダックの完成度が驚異的で。お尻の丸みをどうやって出して、どういう構造でキープしてるのか不思議で。テクスチャーは違うけど、TDLにいても違和感なさそうでした。日本のコスプレイヤーって、趣味のレベルじゃないだろという感じました。


その少し前には、ANAがIS JAPAN COOL?というキャンペーンサイトで、[COSPLAY]という世界的なコスプレイベントと連動したコンテンツをリリースしていました。それ以前のリリースは[TOKYO][OKINAWA]ですから、ストレートな海外向けの訪日促進。でもコスプレで集客できるのかと疑問ですよね。



サイトやYoutube動画を見ているうちに、これはANAのマーケティングは確かかもなと思えてきました。もちろんコスプレの聖地ニッポン的なポジションを使った、ある種のキラーコンテンツということもあるでしょう。
仮装やコスプレって、たぶん見てくれる人がいないと成立しなさそうです。聖地ニッポンでも、見せられるのはきっと、ライブやイベントなどでしかなく、さほどメジャーなものではないでしょう。そこにANAが人に見せられるプラットフォームを作ってしまえば、ネット上の聖地になるかもしれません。リアルでも聖地巡礼は、あるでしょう。アニメ・アイドルで秋葉原、ファッションで渋谷へは、世界中から聖地巡礼が少なからずあるわけですし。




話を戻すと、ハロウィンは、大勢のコスプレイヤー以外の人にも見せられるハレの日。特異日、特異週間になりつつあるという気がします。
原宿では、30年も前から親子で参加するハロウィンパレードが行われています。とりあえず今年は、渋谷、六本木あたりが、若者のリアルなプラットフォームになったということでしょう。たぶん、来年以降は東京都心のいろんな街に、その後は徐々に全国に広がって行き、秋の仮装イベントとして定着するかもしれません。

それだけ多くの人に、ちょっとした変身したい欲求が高まっているのかも。別人になるというような大げさなものではなく、テンションをグンと上げたいような衝動。

ただ男装はたいがいカッコイイですけど、どんなに衝動があっても、
お願いですから女装だけはヤメて欲しい(笑)


あ、もしかしたら、私にも欲求あるのかもしれません。
合気道では、黒い袴を。杖道では、白い袴を穿いて演武しますから。
これって、完全にコスプレです(笑)


2012年10月25日木曜日

Twitterの真実

ソーシャルの仕掛け方_4を書こうと思ってたら、とても興味深い出来事が起こったので、そちらについての話題を。
その前に、さっと、NEVERまとめの「電車で見てしまったTwitterユーザーの真実」を読んでみてください。ネタもあるだろうけど、大筋でこんな感じだわ、と私は思っています。ネットサーフィン的に見ているのは様々な年齢層でも、満員電車でツイートしてるのは、どう見ても年齢層高いです(笑) 

画像:ツイッターロゴのフレーム


興味深い出来事というのは10月20日に、ZOZOTOWNの前澤社長が、購入客のツイートに対して激怒。暴言をツイートしたという話題。これが、あちこちで取り上げられていました。
私のタイムラインにも、リツイートされて流れてきて、一読して驚いた。その相手はどんな人なのとチェックしてみたら、最終的にわかったのは高校生ということ。しかも前澤社長の暴言ツイートの後も、冷静なツイートをしてる。私にはどっちが大人で、どっちが子供なのかというぐらいの印象でした。
この高校生は、前澤社長宛にツイートしたわけではなく、ただ「1050円なくせに送料手数料入れたら1750円とかまじ詐欺やろ〜ゾゾタウン。」と“つぶやいた”。一方、前澤社長はTwitterの検索で、たぶんゾゾタウンと入れて入力されたんでしょう。このツイートを発見して、激怒した。






ツイート直後からTwitterで炎上。前澤社長は、上のツイートを削除し、高校生はアカウント自体を削除してしまったそうだ。様々なまとめサイトでも取り上げられた。翌々日にはBLOGOSという500人以上の執筆者を持つ「提言型ニュースサイト」で、賛否両論、複数の記事が掲載されていました。

概ね、擁護する意見では、口調は問題でも言っている内容は正論。送料手数料が明記してあるのだから、それが契約というもの。お客さまは神さま式に、なんでも受け入れていては経営は成り立たない。なんでも安ければいいという客の存在がおかしい。詐欺扱いするのは、行き過ぎ。
否定的な意見では、まずお客さまへの感謝が先だろ。上場企業の社長の発言にしては、あまりに品がない。エゴサーチして発見したものに、罵詈雑言を浴びせるのはどうなのか。3万人のフォロアーを持つ社長から、ケンカを売られるのがどれだけ怖いか。株価が大幅続落している中、企業運営の先行き不安につながる内容。といったところでしょうか。


それぞれ一理あると思いますし、どれが正しいというものではありませんが、ソーシャルメディアマーケティング的な視点からすれば、また違った教訓を得られたのではないでしょうか。




1.検索は、本音を聞ける。定性的なリサーチとして捉える。


「ソーシャルの仕掛け方_2」の最後に、【6.反応こそ、すべて】と書きましたが、Twitter上では、企業アカウントに話しかけてくれるのは、強く好意を持ってくれているか、そこまでではなくても比較的丁寧な内容になっていることが多いと思います。

エゴサーチで出てきたツイートは、グループインタビュールームで語られるより、はるかにリアルな意見を得ることができると思います。今回の件は、ミラールームの裏側で聞いていた社長が、ガラスを突き破って飛び出して行ったようなもの。これからは検索したところで、ゾゾタウンに対して本音で率直に語っている人は少なくなるでしょう。残っているのは、読ませることを目的にした、過剰に否定的なツイートだけかもしれません。


画像:ツイッター検索窓




2.相手を見極めて、対応を考える。


「ソーシャルの仕掛け方_3」に、【8.相手が誰かを見極める】と書きましたが、今回のツイート主は高校生。私はまず、検索したツイートに反応すること自体がどうなのかと思いますが、とりあえず反応するとして話を進めてみます。

相手のプロフィールを読むなり、過去のツイートを読めば、なんとなく属性を知ることはできるケースが多いと思います。高校生ということがわかれば、1050円、1750円が大きな金額だと想像はできます。現実に購入してくれたお客さまですし、丁寧に内訳をツイートして当然。逆に、好感を持ってもらえたかもしれません。10代のお客さんは、これからのZOZOTOWNにとっても、とても貴重ではないでしょうか。



3.言葉の意味を、単純に解釈しない。


今回使われた“詐欺”という言葉に、「法的に詐欺ではない」「送料手数料が明記されているのに、認識していないのが悪い」「詐欺は、言い過ぎ」という意見があります。でもツイートした高校生は、詐欺という言葉を、どんな意味で使ったのでしょうか。たぶん、そんなに重い意味ではないように思えます。

私も例えば消費税などの内税方式について、「詐欺だ」という言い方をします。お店に対してではなく、いくらの税金を支払っているか、見えにくくしている意図に対して詐欺的な手法だと思っています。もちろん、法律で決まっているので、詐欺ではありませんが。女性が化粧を取った顔や、スタイルに対して、似たようなことを思った男性は少なくないでしょうよ。って、違いますよね、スミマセン(笑) 
仲間内で使う言葉、特にクラスタ内で使われている言葉を、一般的な意味でとらえるのは間違いです。だってTwitter内では、自分で自分のことを「乞食だからさ」と言っているツイートを見かけますよ。辞書に載っている「乞食」とは、かなり違いますよね(笑) 




4.見られていることを意識する。

【6.反応こそ、すべて】と真逆のような内容ですが、「ソーシャルの仕掛け方_3」に、【11.見られていることを意識する】を書いています。前澤社長は、3万人のフォロワーを持つ人。どれだけROM専的な人が多かったとしても、万単位のフォロワーの持つパワーは計り知れません。

ZOZOTOWNは、アパレルメーカーでもセレクトショップでもありませんし、単純化して言えばネットでのマーケティング力とシステムで成功した企業。プラス方向のバズの連鎖で成功したのは、特に自分から発信はしないけれども評価してくれたサイレントマジョリティの存在。ソーシャルメディア上での会話がオープンであることは、高校生よりもはるかに意識する必要があったのではないでしょうか。



最初に書いているように、ツイッターでアクティブに発言しているのは、たぶん年齢層高い。若年層は、仲間内だけでの会話のつもりで使っていることが多いように思えます(だからこそ、LINEが流行るのでしょう)。ツイッター社自体は、SNSではなくミニブログだと定義しているようですが、バズマーケティングという点では、現在のところ最も強力なソーシャルメディアであると思います。普段は、仲間内以外の反応がほとんどないと、ソーシャルであることを忘れてしまうのかもしれません。


「電車で見てしまったTwitterユーザーの真実」を読んでいると、それを知っているからこそ、おっさんは仮装して、別人格になる人がいるのかもしれません(笑)






2012年10月12日金曜日

奥村靫正さんをインタビューしてきた

今月の頭、YMO関連のアートワークや中沢新一本の装幀などで有名な、アートディレクターの奥村靫正さんをインタビューしてきました。

奥村靫正さんの作品サムネ


どうしてそんな仕事が回ってきたかというと、あまりに大御所過ぎて、ふたりのインタビュアーから断られたという。私は、奥村さんと一時期、濃く仕事をさせていただいたので、ぜんぜん平気。もっとも20年以上も、昔のことなんですが(笑)
                                       
クライアント側としての立場で、若かったし、かなり無謀なお願いをしたと思います。
ちなみに株式会社イグジィットのロゴは、立花ハジメさんの作。こちらはそんなお願いをしていないのに、ADC最高賞を受賞されたタイポグラフィのシリーズでお作りいただきました。
奥村さんは、その立花ハジメさんの、グラフィックの師匠でもあるんです。


EXITロゴ



奥村さんとの出会いは、ウィリアム・ギブスン『ニューロマンサー』のカバーデザインや細野晴臣『SFX』のジャケットワークを見て、もうどうしてもこのコラージュの手法でやって欲しいと仕事を持ち込みました。コラージュでティーザーになるビジュアルを作って欲しいということだったんです。
『アルバイトニュース』が『an』にリニューアルする時の、ポスター制作でした。今考えると、よくまあ、そんな俗っぽい仕事を持ち込めたもんだと(笑)


奥村さんには、いろんなことを教えていただきました。雑談しているだけで、驚きの連続です。今回のインタビュー内容と被らないように、少し書いてみます。

当時は、MacやコンピュータでDTPという言葉が、出始めたころだったでしょうか。ただそれは、アメリカでエディトリアルのデザインワークがコンピュータで行なわれるようになったというもので、グラフィックデザインの世界では、しょせんデジタルでしょ。グリッドに合わせるだけだし、書体もちゃちいし、ぜんぜんダメ。ぐらいの扱いでした。
そんな時に、奥村さんのTHE STUDIO TOKYO. JAPANではMacからフィルム出力をしたりして、B倍ポスターを作っていました。当時、アメリカのAdobe本社のロビーには、奥村さんのポスターが何枚も貼られていたそうです。Adobeにとっても、イラストレータでこんな大きなポスターを作るなんて、事件だったのかもしれません。


奥村さんは、そもそも4歳で絵筆を握り始めたという絵師。日本画の中でも大和絵といわれる系譜だそうだ。今では大和絵の手法で描ける人は少なく、昭和天皇崩御の時の大嘗祭に起用されたほど。
当時奥村さんがおっしゃっていたのは、コンピュータでグラフィックをやるのと、日本画を描くのは、よく似ている。昔の日本画家は、家が火事になると失業すると言われていた。モチーフや文様などを写本にしたデータベースが焼けてしまうと、なにもできなくなる。それぞれデータベースから引っ張り出してきたものを、ひとつの絵として成立させられることを画力という。
コンピュータは、データベース。デジタルな線として使うばかりじゃなく、手書きの味が欲しければ、それをトレースするように描けばいいし。というようなことを、おっしゃっていたと思います。

写真:奥村靫正さん


そんなことを言うクリエイティブ関連の人は、最近でもあまりいない。もちろん、そのころは、聞いたことがなかった。近いのは、音楽の世界。サンプリングとリミックスみたいなことは一部で流行りだしていて、立花ハジメさんなんかは日本での先駆けだったと言っていいでしょう。


奥村さんは、絵を描く時でも、ここの文様はクリムトを持ってくるとか、和洋折衷に思えることをおっしゃるけど、たぶんコラージュ。デジタルもアナログも、和も洋も関係ないというか、縦横無尽。異なるジャンルのものを組み合わせて、破綻せずにひとつのビジュアルに定着させるんですから。


今回お聞きした話がどうだったか、書きたいところだけど、それはさすがにマズい。奥村さんのことはそれなりに知ってるつもりだけど、知らない話がいっぱい出てきたし、久々に色んな刺激を受けました。
どこの仕事かというと、一世を風靡した雑誌『Design Plex』。グラフィックやウェブというジャンルにとらわれず、デジタル系という切り口でクリエーターの必携マガジンだったけど、やがて休刊。それが、Design Plex Webとして帰ってきた。本格化されるのは、いつなのかわからないけど、今回の記事が出たら、ここにリンクを貼ります。
私はインタビューしただけで、書き手は違う人なので楽しみです。