2016年11月7日月曜日

ソーシャルメディアに対応する組織と、対応しない組織




ひとり遅い昼を食べていたら、すぐ目の前でノートパソコンやタブレットを使いながら新商品のマーケティングについて語っている人たちがいました。渋谷周辺のカフェやファミリーレストランでは、こんな場面に遭遇することが珍しくありません。


実感がないのに、日経新聞的なとらえ方をする人たち


ユニークな商品だな。ネットで完結するし売れそうだと思いながら、聞くとはなしに聞いていたのですが、経営者らしき人が、広告はしない。ソーシャルメディアだけで売ろうと思うと発言していました。今どきです。
ところが「ユーザーの属性データなんかをグラフにして、毎日インスタに投稿するのをルーティンにするとか」と続けました。まわりの人もうなずいているのです。私は思わず顔をあげて、どんな人たちなのかじっくり見てしまいました。
インスタグラムを、自分自身ではやっていない人たちなのでしょうか。そのあと社内で、実際にインスタグラムを使っている人たちが意見するとは思いますが。

インスタグラムでも、たとえば文字中心で動画にしている「広告」はあります。でもよほどキャラクター化するならまだしも、グラフを「投稿する」のはないでしょう。しかも毎日だなんて。
日本経済新聞に恨みはありませんが、私は仕事でこういう話をされると「日経新聞の読者にアピールするのですか?」と、言ってしまいます。


投稿するものがない、何を投稿すればいいのかという依頼


先日、ソーシャルメディアで投稿するネタがない。何を投稿したらいいか、御社に運用を任せた場合の見積もりも欲しいという依頼がありました。
少しだけ取引させていただいている企業なので、おおよそは理解しているつもりです。BtoCだし、商品としてもSNS向きです。爆発的な効果をあげることは可能だと思います。ただ…

担当者の方にお会いし、提案をしました。現状では広告に使った写真とコピーを、FacebookやTwitter向けのサイズの画像にして投稿されています。これはもちろん必要なのですが、SNSでは公式発表を知りたがる見たがる人は、ほぼいません。中の人の個人的な実感や、個人的な視点のある写真の方がアピールできます。
なんども書いていますが、タレントの宣材写真よりも生写真、オンステージよりもオフステージ、日常のシーンの方が拡散します。
広告では伝えられない細かな情報、ニッチな視点だって好む人がいますし、アピールできるかもしれません。ファンならなおさらです。
アジアの四大妖術と、すっぴんブームの交錯する関係

またフォローしてくれている人とのコミュニケーションや、アクティブサポートもあります。具体的にその企業に商品について書いている人のツイートをお見せし、こういう情報を教えてあげることだって出来るじゃないですかと説明しました。


投稿するネタがないのではなく、組織が対応していないだけ


この企業では担当者のほか、各部署から代表が出て、SNSで何を投稿するかのミーティングがあるそうです。広告に使ったものを使うのはすぐ決済が出るけれども、それ以外は決済がなかなか出ない。というより何も返ってこないとおっしゃるのです。
ですよね。私も、知っているだけにたぶんそうだろうなと予想していました。
それだと何を提案しても、誰が運用しても、投稿できません。

SNSを仕事をしている会社に依頼しても、何も投稿できません。お金の無駄です。
多くの会社でSNSといえばFacebookが好まれますが、それは経営層の知るSNSがFacebookだからです。ところが企業や団体のFacebookページの投稿は、軒並みリーチを減らしています。簡単には個人のタイムラインに出て行かないのです。表示させることができる有利な投稿タイプは動画。
フェイスブックは動画を優遇してる! そう考えたのは妄想じゃなかった?

しかも今ならライブ動画を露骨に優遇しています。ところが動画の絵コンテを作って会議にかけ、修正・変更をし、決済をもらう。ライブじゃないなら、撮影し、編集して、また会議にかけ、修正・変更をし、決済をもらう。そんなプロセスに何日もかけるなら、CM並みの制作費がかかるかもしれません。

かなりのプロセスと費用をかけたのではと想像されるものも、あることはあります。
ウェンディーズ、Twitter「ライブ配信」で30万ビュー達成



話題やアルゴリズムが変化するスピードは、肌で知る


成功例はあるものの、ほとんどのSNSのアルゴリズムは頻繁に変わっています。またその日、その時の話題の流れで、拡散され方は大きく変化します。
拡散する大きさもスピードもだんとつのTwitterでは、まずその日の流れを考慮しないと、炎上のリスクさえあります。災害や事件などが発生した場合を考えれば、分かりやすいでしょう。その日その時のプラスの流れにうまく乗ることができれば、成果は莫大になります。
今日は新商品の発売日だ。社会的に大きな関心になっている出来事が発生しているけれども、どうしても投稿する必要があるのなら広告に使った写真とコピーをリメイクしたものでいいのです。後日、生写真的な、ニッチな、パーソナリティの見える投稿を追加し続けて行くのが効果的だと、私は考えます。ただ、その決定は即座にやらないと何も出来なくなってしまいます。

つまりはあらかじめ、オープンにできる範囲が明確になっていること。意思決定のプロセスを、出来る限り短すること。観察しているだけではなく、実感でSNSの面白さや反応を感じている人が担当者になることが必要不可欠です。
それが無理なら、SNSでは広告を使うしかないでしょう。
もっともその広告表現だって、SNS的でなければ効果がないのですが。


ちなみに、PPAP ペンパイナッポーアッポーペン/ 死神リュークfeat.ピコ太郎の動画、11月1日の公開ですから、決断から公開までのプロセスが速いですよね。
内容も面白いですが、PPAPカバーのキモはスピード。もし公開が1ヶ月先だったらどうでしょうか。11月7日の時点で再生1000万回突破してます。







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