2016年3月17日木曜日

Underworld/TOMATOが、ソーシャルメディアで渋谷を占拠した


2月の下旬から、音楽系サイトを中心に「アンダーワールドが地上波初パフォーマンス披露」というニュースが、6年ぶりに発売される最新アルバムやその他いろいろな情報とともに出回っていました。
地上波とは、3月11日放送のテレビ朝日系「ミュージックステーション(Mステ)」のこと。日本の歌番組に出るんだという驚きとともに、今回はいろいろプロモーションをするんだな。6年前とは情報の流通も音楽の状況もずいぶん違うし、発表されていたことを読むと、どういう風に拡散し話題になって行くんだろうと興味津々でした。




テレビの生放送までに、TwitterではUnderworldやBorn Slippy(大ヒット曲)がトレンド入りし、放送当日も入っていたので驚きました。


ざっくり時系列で追って行きます。
最後にプロモーション視点で、ユニークさをまとめました。



【3月11日 Mステ出演】


出演の発表時だけではなく、生パフォーマンスがBorn Slippyと新譜から1曲であることが発表されると、Twitterでトレンドに入ったのです。そんなにアンダーワールドのファンがTwitterにいて、ツイートしていることが驚きです。
私は予約録画しておきました。
帰宅してから見てみると、番組の冒頭でアイドルたちと一緒に並んで紹介されています。ちょっとした事件です。





【3月12日 限定ライブで渋谷の街をジャック】




渋谷の街をジャックと言ったのは、渋谷PARCO。Underworldが限定ライブを行うことは、渋谷PARCOのサイトのほか1ヵ月ほど前から様々な音楽サイトで告知されていました。抽選で200名限定とか。でも場所や詳細は公開されず、渋谷のどこかということしか書かれていません。
PARCO ART

当日になって、場所がなんとPARCOの屋上、しかもワイアレスヘッドホンをつけて踊るサイレントディスコなパフォーマンスだということがわかりました。
なるほど騒音対策。サイレントディスコは環境保護活動家が始めたとか。欧米で流行しているといいます。昨年から東京でも行われていますが、サイレントライブは聞いたことがありません。
でも映像を見ると、なかなかシュールです(笑)
撮影とSNSがOKだったということで、YouTubeやTwitterにも上がっています。





このツイートの画像は、貼付けると見えなくなっていると思いますが、クリックしてTwitterに飛んでみてください。曲名の日本語が面白いです。Two Months Offが「二ヶ月休暇」だなんて(笑)


この様子は、あちこちで中継されていたのです。
まずはスクランブル交差点にあるQ-Frontの大型モニター。



これ、音が出ていないんです。渋谷スクランブル交差点の大型モニターはどれも、いつもは大きな音を出しています。ライブの様子を映して、無音でどうするのでしょう。
どうしたかというと、4月から本放送が始まるコミュニティFM「渋谷のラジオ」が、開局直前特別番組としてライブを生放送していたのです。
PARCOの周辺から、センター街からその様子がツイートされています。


PARCOの屋上ではライブですが、6階では360度のVR体験ができるヘッドマウントディスプレイをつけての、ライブストリーミングが行われていたのです。



このライヴストリーミングはサムスン電子のスマホ、Galaxyプロデュース。面白いのは、サムスンからのパブリシティで、多くのスマホ関連やVR関連のネットメディアが招待されていたようで、続々と記事が公開されています。
使われたのがGear VRというスマホを装着して使うヘッドマウントディスプレイなので、Underworldの360度で生中継は、PRに最適ですね。


音楽関連とスマホ関連、付け加えるとファッション系のメディアもですが、それぞれ別角度から記事にして盛り上がるなんて、そうあることじゃありません。
共通している素材はUnderworldとTOMATOですから、アルバムのプロモーションとしても、きっと大成功でしょう。

順序が前後しますがTOMATOはデザイン集団で、Underworldのメンバーも所属しています。今回のライブは「Underworld Live;Shibuya Shibuya,we face a shining future」というタイトルですが、TOMATO結成25周年を記念したエキシビション「THE TOMATO PROJECT 25TH ANNIVERSARY EXHIBITION “O”」の初日に緊急来日し、パフォーマンスで華を添えたという形になっています。



【3月12日〜4月3日 THE TOMATO PROJECT EXHIBITION “O”開催】


渋谷PARCO Part1の3階、パルコミュージアムでは商業作品やチーム内で実験的に制作された作品、Underworldのために制作したレコードジャケット、グラフィック、映像、アートワークなどが展示されています。



多くの人が目にしているのは、テレビ朝日のロゴでしょう。モーションピクチャーもTOMATOが手がけたものです。

そして地下1階のGALLERY Xでは、カール・ハイドのTOKYO STREET POEM instillationが展示されています。段ボールにポエムが書かれているのですが、これを本人がペイントしたのと疑っていたら、公式アカウントで制作風景が投稿されていました。


Karl Hyde (Underworld)さん(@underworld)が投稿した写真 -


私はFacebookやG+にも投稿して、そのときにも書いたのですが、ライブ同様、撮影OKです。撮影していない人なんて、誰もいませんでした。あちこちのソーシャルメディアで投稿されています。

「村上隆の五百羅漢図展」でもそうでしたが、撮影をOKにすることによって、確実にソーシャルメディアでの投稿が増え、話題が広がります。
「村上隆の五百羅漢図展」森美術館のソーシャルメディア運用が、カンペキすぎて困る 


Underworldのライブは200人限定、ライブストリーミング会場には一般が50人程度みたいですから、撮影NG投稿NGにしていたら話題が広がるでしょうか。
音楽業界やアート関連業界だけではなく、あらゆる業種で取り組んだ方がいいのではと思います。イメージや情報をコントロールしようと、販促イベントなどでも撮影禁止にしている企業がありますが、もはや時代遅れでしょう。コントロールなんてできないし、プラスの話題も広がりません。


また「五百羅漢図展」の記事でもふれていますが、今回のパルコミュージアムでも、外国人たちは作品を背景にバックに自撮り、あるいは誰かが撮影してもらっているのです。
TOMATOの作品の前で、三人の外国人グループが順番にひとりずつ交代で撮影していました。もしかすると日本人のように美術作品だ、アートだと気負いがないのかもしれません。
そう思いながら検索してみると、日本人でもTOMATOの作品を背景にした自撮りがけっこうありました(笑) この新しい流れは、今年いっきに広まるのかもしれません。



【3月15日 Underworld新譜発売】


お昼に出たときに、タワーレコード渋谷店に入ってみると3月16日発売のはずの新譜『Barbara Barbara, we face a shining future』が並んでいました。
これがフライングゲットというやつなのねと思い、購入すると、いろいろ特典がついて来て驚きました。発売日前に買うのも、こんなに特典があるのも初めてです。
すぐ写真を撮って、あちこちに投稿しました。

もしかして1日早く入荷したり、いろいろ特典がつくのは渋谷店だけなのかと思っていたら、全国的だったようです。それもタワーレコードだけではありませんでした。HMVなど、各社が同じようなタイミングでツイートしていました。なんだよと、ちょっとガッカリ(笑)

しかも私と同じようにCDと特典を並べて写真を撮り、投稿している人もけっこういました。多くは、特典の多さに驚いているようです。






【3月18日〜21日 トレインスポッティング上映】


「Born Slippy Nuxx」がラストシーンに使われ、Underworldが世界的に注目されるきっかけになった映画『トレインスポッティング』が渋谷PARCO Part3の8階、シネクイントで上映されます。

『トレインスポッティング』は、今年1月に閉館した「シネマライズ」で超ロングランされ、ミニシネマブームのきっかけになった映画です。シネマライズはPARCOのすぐ横にあり、知っている人には感慨深いものがありそうです。


その他、渋谷PARCOではさまざまなスペースでインスタレーションがあったり、コラボウェアやグッズが販売されています。 3月12日だけのジャックでは、終わらないさそうです。





特筆すべきユニークなプロモーション


Underworldは、今年で結成30周年。1996年に公開された映画『トレインスポッティング』で世界的にブレイクしたのですから、ファンの多くはけっこうな年齢です。
今年はサマーソニックにヘッドライナーとして出演するということですから、間違いなく幅広い年齢層に支持されているはずです。

それだけ強力なコンテンツですが、シークレットライブに限定200名、VRライブストリーミングに50人程度で「3月12日 渋谷をジャックする」と打ち上げるのは大胆です。

Q-Frontの大型モニターで映像を流し、「渋谷のラジオ」で限定ライブの様子を生中継といっても、いったいどれだけの人が体験できたでしょうか。
でも一連のUnderworld/TOMATOのプロモーションは、大きく拡散し続けているし、まだまだ続くと思います。


ソーシャルメディアで疑似体験が拡散


3月12日前後は、なんといってもソーシャルメディアで、体験した人たちが発信したからです。限定ライブの抽選に外れた人も知らなかった人も、TwitterやInstagramで触れ、疑似体験できたでしょう。
「渋谷のラジオ」の生中継を聴いた人たちは、Twitterで発信しています。生中継はライブ会場に入れなかった人たちが、建物に耳をつけ、漏れてくるサウンドを必至に聴く姿を彷彿とさせます。発信された興奮は、Twitter上でファンに伝染します。

THE TOMATO PROJECT EXHIBITIONにしても、同じです。パルコミュージアムは大きくありませんし、GALLERY Xも狭いです。会期中、どれだけの来場者があるのか予想もつきませんが、あまり関係がありません。
ライブと同様に、撮影がOKで、見た人たちが拡散しまくっていると言っても大げさではないでしょう。実物を見なくて、ヴァーチャルな体験で伝わるアートというトレンドが始まったのかもしれません。


主宰者側は撮影がOKにした以外、特に仕掛けてはいません。PARCOのアカウントは、ほとんど発信していません。
レコード会社Beatinkのプロモーション用らしきTwitterアカウント@beataroundbushは、3月12日盛んにツイートしていましたし、一般の人のツイートをリツイートしています。渋谷のラジオは公式アカウントよりも、美化委員の野宮真貴さん@missmakinomiyaがライブの様子を実況していました。



異なるジャンルのネットメディアがこぞって書く最先端イベント


Mステの出演やニューアルバムの発売は音楽関連のウェブメディアが中心でしたが、イベント全体としては先に書いているようにスマホ関連、そしてファッション系、カルチャー系、テック系、ニュースサイトなども取り上げています。
それだけ注目すべき、多様なポイントがあるのです。

サイレントディスコ/ライブ、VRライブストリーミングという形式は、まだ流行し始めたばかり。でもUnderworldがやったことによって、広く認知されるスタイルになりました。
コミュニティFMでも生中継も含めて、なにか大きな箱での興行から転換する、エポックメイキングな事件になったのかもしれません。

ちなみに今年夏開催されるリオ五輪2016では、VRライブストリーミングが実施されるそうです。今回のVRライブストリーミングは、電通が技術面を手がけたそうです。

Underworldの一夜限りのスペシャル・ライブパフォーマンス「Underworld Live: Shibuya Shibuya, we face a shining future」を、4K画質の360度VR(バーチャルリアリティー)映像でライブストリーミングした。海外著名アーティストによる4Kの360度VR映 像がライブで配信されるのは世界初の試みで、VRによる新たな視聴体験を示唆するイベントとなった。
電通報

日本初で世界初だそうですから、今後この実績がさまざまなところで使われるでしょうし、取り上げられるでしょう。そのときにも「Underworldが」「渋谷で」と語られますよね。




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