大きなトレンドではありませんが、1月22日は「カレーの日」でした。この動きが面白かったので、今回はまず「カレーの日」を題材に、Twitterを中心としたソーシャルメディアでトレンドに乗るということを考えてみたいと思います。
今回は大きく分けると、こんな三つの視点から書いています。
1. カレーの日の動きと、乗っかった勝者
2. トレンドに乗ると、どういうメリットがあるのか
3. メリットの指標としてのエンゲージメントの実例
カレーの日って、なに?
1982年全国学校栄養士協議会で、1月22日の給食をカレーにすることが決められ、全国の小中学校で一斉にカレーが出されたことが始まりだそうです。ハウス食品がバーモントカレーのCMで、そう告知したそうです。
ただTwitterでは「1月22日はカレーの日」が圧倒的に優勢です。
Yahoo!のリアルタイム検索で見てみました。
カレーの日で検索すると、圧倒的に1月22日にツイートされています。19日は100件ほどで、22日1万件程度のようです。
1月22日カレーの日に乗った企業アカウントは
まずカルピスのツイートです。これを見たとき、目を疑いました。
今日はカレーの日★
仕上げに、「カルピス」1/2カップ(4人分のカレーに対し)を入れると、ほのかな甘ずっぱさが隠し味の本格インド風カレーに♪
ぜひ、お試しくださいヽ(´∀`。)ノ
#カレーの日 pic.twitter.com/w8oL5NyHez
— カルピス水玉通信 (@calpis_mizutama) 2015, 1月 22
本当にインドカレー風になるのでしょうか(笑) ラッシーの代わりにカルピスというメッセージの方がファミリー受けするのではと思いましたが、けっこう斬新です。そしてキングジム。
きょうは「カレーの日」なので、余計なお世話的画像をTLに置いときますね。 pic.twitter.com/E87lBaSu2i
— キングジム (@kingjim) 2015, 1月 22
まったくカレーと関係がないのに、やや強引な割り込みです(笑) それでもこのリツイートとお気に入りの数。Twitterアナリティクスで調べると、エンゲージメントが凄いことになっているのではないでしょうか。
ウェブマガジン系もやっています。
まさかWIREDがカレーの日に合わせて記事を書いた!? と驚きました。
今日はカレーの日だったようですが…|「日本のカレーライス」を熱愛する米国人記者が語る『ゴーゴーカレーNY店』 « WIRED.jp http://t.co/rNeqZ0O4Va pic.twitter.com/WQE9zp9wcA
— WIRED.jp (@wired_jp) 2015, 1月 22
リンク先に行ってみると、なんとこれが2008年の記事でした(笑) だけどぜんぜんありだと思います。過去の記事を有効に使ってアクセスを増やしています。美容系のサイトも。
1月22日は「カレー」の日!美肌カレーを作る、3つのポイント http://t.co/qpFMafGOQW
— 美肌情報マガジン LBR (@lbr_japan) 2015, 1月 22
こちらは、カレーの日は朝カレーで冬太り撃退!?という記事と二本、タイムリーに記事を作っています。そして大ヒットを飛ばしていたアカウントは、なんと自衛隊宮城地方協力本部。
今日はカレーの日らしいので機密情報漏洩しておきますね!
http://t.co/n0YF6vgrDF
— 自衛隊宮城地方協力本部@公式ですよ☆ (@miyagipco) 2015, 1月 22
リンク先は、海上自衛隊のカレーレシピページ。ツイート自体が面白いし、リンク先はちゃんと関係あるし、天才的なセンスだと思います。さまざまなサイトで取り上げられていましたので、まだしばらくはエンゲージメントが増加するでしょう。
たぶん事前に準備していたツイートじゃなくて、アドリブじゃないかなと思います。
アドリブだとしたら、アカウント担当者に任せてるということでしょうから、太っ腹な組織です。
ここに取り上げたツイートをご覧になれば、どんなアカウントでもトレンドに乗ろうと思えば乗れるということが伝わりましたでしょうか。
もちろん多くのカレーを出しているお店も、乗っかったツイートをしていました。でも大手でも乗っていないアカウントも少なくありません。カレーを出していたり、カレー関連の商品を出してるのに乗っかっていないのは、機会損失とも言えますね。
ウェブサイトで1月22日カレーの日に乗ったコンテンツを作っているのに、ソーシャルメディアでの展開が上手くなく、あまり有効ではない施策もいくつか見かけました。一般のユーザーが、カレーの日を検索する確率はとても低いです。Googleトレンドで調べれば、前年までの検索傾向を調べることが出来ます。
トレンドに乗ることのメリットは
でも考えてみてください。キングジムさんは関係のないツイートでも、ここまでエンゲージメントするだけの存在になっているということです。もしこれがキングジムではなく、その競合社にポジションが入れ替わっていたらどうでしょう。
覚えてもらう手がかり、手段。好感を持ってもらう手がかり、手段。それがあるのとないのとでは、どれほどの差があるか。ECサイトなら、なおさらです。
自社の商品やサービスを買ってくれる人は、日々入れ替わっていますよね。それと同様にソーシャルメディア上のファンやファロワーも入れ替わっています。
『インフルエンサーって、誰?』 - ツイッターで、トレンドに乗るとはこういうこと (2)に書いたことと重なりますが、ユーザーは似た人たちとつながっていて、自らもフィルターバブルで覆っている。
同質的なクラスタの壁を飛び越え入っていくには、トルネード的な現象が必要。そしてトルネードが起こるのは、インフルエンサーの介在するか、あるいはトレンドに乗ることが必要だと考えています。
Facebookではアルゴリズムの変更で、普通にやっているだけでは[いいね!]してくれたファンのニュースフィールドにさえ、表示されにくくなっています。これからも、どんどん進むでしょう。従来からのファンを大切にしようとしても、そう上手くは行きません。
Twitterではフォローしてくれていても、スマホからならタイムラインで見てもらえる確率はそもそも低いです。それで今までは、インプレッション(ツイートを見られた回数)をメインに書いていたのですが、今回はエンゲージメントに着目してみたいと思います。
トレンドに乗ると、エンゲージメントが増加する傾向に?
Twitterの定義では、エンゲージメントはこうなります。
Twitterアナリティクスの画面から撮ったものですが、使い方はこちらを参照してみてください。
誰でも使える[Twitterアナリティクス]は、実践的に活用できる優れもの
簡単に書くと、ユーザーがそのツイートを見て何かのアクションをしたことがエンゲージメントですね。
こちらを見てください。あるトレンドに乗ったツイートの、Twitterアナリティクスの詳細です。
インプレッションが2万回を超えています。ひとつのツイートで、大きな数字です。
右の真ん中に[ユーザープロフィールのクリック数]が179回と出ています。複数回じゃなければ、179人がプロフィールページに来てくれたということですね。プロフィールページとは文字通りプロフィールや今までのツイートを見ることのできるページです。ということは、ほぼ今までTwitter上では接点のなかった人たちだと考えていいのではないでしょうか。
リツイートとお気に入り数は消しましたが、フォローを見てください。3人です。いや、このときは20名以上がフォローしてくれたと思います。この3という数字は、「ユーザーがツイートから直接フォローした回数」ということです。
つまり他のツイートも見てくれた後で、プロフィールページなどからフォローしてくれた回数は出てきません。
左下の方にTwitter広告に登録と書いてありますが、その上に[1843回のエンゲージメントを獲得しています]と書いてあります。ざっくりだと1843回の反応をしてくれているということです。
先ほどのフォローが、直接の数字だけですから、この数字もかなり低く出ています。というのもwitterがアナリティクスを無料で公開しているのは、Twitter広告を出してもらうため。反応が良かったツイートは、Twitter広告としてもそのまま使えますよ。いい反応があるはずです。ということだと思います。実はその広告が、不思議な課金システムになっているのです。
課金はインプレッションではなく、エンゲージメントの回数分。そしてそのエンゲージメントは、一次分だけだと書いてあります。
Yahoo!が代理店になっているTwitterプロモ商品の説明ページです。コスト・パー・エンゲージメント(CPE)方式の方には明記されています。
課金のタイミングは、最初にエンゲージメントが発生したときのみで、それ以降のエンゲージメントは課金されません(無料で拡散されます)。
ということですから、 Twitterアナリティクスに出てくる数字はたぶんこの最初のエンゲージメントだけの可能性が高いのではないでしょうか。
フォロワーのAさんがリツイートした。そのAさんのリツイートを見て、AさんのフォロワーのBさんがさらにリツイートした。Bさんのリツイートはカウントされないのだろうな。数字は実態よりもかなり控えめだろう、と私は判断しています。
トレンドに乗って、リツイートされたり検索されれば、インプレッションが上がりますし、それはそのままエンゲージメントの増加につながるというのは自然な流れです。
他のトレンドに乗ったツイートでも、同様の傾向です。
もちろん自分がやった範囲ですし、少ないサンプル数の定性的なものですから、必ずとは言えませんが。
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