2013年5月12日日曜日

エシカルとかフェアトレードという方向性

先週のことですが渋谷のDISELショップ内にあるDIESEL ART GALLERYで、コラボレーションプロジェクト「 DIESEL + EDUN 」を記念したエキシビション、「STUDIO AFRICA」というのをやっているということで、出かけたついでに行ってきました。

EDUNというのは、U2のボーカル、ボノが妻と立ち上げたファッションブランドです。「ハイファッション」と「新興国の安定雇用」を結びつけることを目的とし、商品は(厳密に検査・許可を受けた)アフリカ、南アメリカ、インドなどの現地工場を活用して作られているそうです。
アフリカの貧困撲滅運動や人道支援などで、ノーベル平和賞候補になったこともありますし、世界的な、人道支援のシンボリックな存在だと言えるかもしれません。
ただ日本でのEDUNの知名度は、ほとんどないように思えます。


そのEDUNにDIESELの創始者レンツォ・ロッソが加わって始まったのが、コラボレーションプロジェクト「 DIESEL + EDUN 」。そしてこのコラボを記念したエキシビジョンが「STUDIO AFRICA」です。はぁ、ややこし。

画像:DIESEL + EDUN   STUDIO AFRICAチラシ


「STUDIO AFRICA」のコンセプトを、サイトから抜粋すると
ファッション、映画、音楽、写真など様々なフィールドでアフリカの発展のために積極的な活動を続ける、才能溢れる9人の若手アーティストを紹介します。本エキシビションでは、「STUDIO AFRICA」のキャンペーンビジュアルや、キャンペーンに抜擢された南アフリカのフォトグラファートリオ、I SEE A DIFFERENT YOUの 作品を展示します。
http://www.diesel.co.jp/art/i-see-a-different-you/
※5月10日までのエキシビションなので、いつまでウェブページが残されているかどうか定かではありません。

チラシには、「このプロジェクトでは北部ウガンダにEDUNが設立したConservation Cotton Initiative Ugandaで生産された最高級の綿を使用しており、生産工程全てをアフリカで行なっています」と書いてあります。


DIESEL + EDUNの商品について私が予想してたのは、EDUNだけだとハイブランドの価格帯だけど、DIESELで扱うことで多少は安い方向へシフトするのかと思ったら、そんなことはまったくなかった。ジーンズが36,000円代でTシャツが14,000円もするから、お手頃なものがないDIESELという感じでしょうか。
最高綿を使って、アフリカで持続可能なビジネスモデルを創出するというのですから、しょうがないのかもしれませんが、それにしても、というお値段。


そもそも私はDIESELって、値段は高いけれども、それに品質が見合っているという印象はあまり持っていません。デザイン性は、さすがにイタリアだと思いますけど。
それはさておき、やはりDIESEL + EDUNのコラボになっても、基本は富裕層がターゲットだということなんでしょうか。

欧米は寄付の文化だといわれますが、寄付をするつもりで値段の張るものも買うということなんでしょうか。私自身は、応援するつもりで買うなら、間違いなくアフリカよりも、岡山デニムにするでしょうね。



3年ほど前に日経MJがエシカル消費についての記事を書いていました。それによると、“エシカルとは、「倫理的」「道徳上」という意味の形容詞。エシカルコンシューマリズムとは、環境や社会に配慮した工程・流通で製造された商品を選択し、そうでないものを選択しない消費活動”という定義でした。日本では、こういう解釈でエシカルが捉えられているのではないかと思います。

欧米では、それが、もうちょっと富裕層や指導者層の“たしなみ”的な解釈なのではないかと勝手に思っています。
グローバル企業が行なう、焼き畑農業的な安い賃金を追いかけて次々により後進国へと生産拠点を移していくビジネスモデルは、いずれ追いかける先がなくなります。アフリカ諸国では、輸出するための農作物を安い賃金でつくっていて、自国では食料危機が続いているという矛盾も指摘されています。
そういうことへの揺り戻しが、“たしなみ”的に起こっているのではないかという気がします。


ボノよりも先に、「エコ・エシカル・サステナブル」をやっていたのは、チャールズ皇太子です。チャールズ皇太子はすでに80年代に有機農業は始め、90年代には有機食品ブランドを作り、成功しています。食材だけじゃなくお菓子やシャンプーみたいなものまで販売してるんですね。

DUCHY ORIGINALS FROM WAITROSE 



かつては変人扱いされていたチャールズ皇太子が、2012年に英『GQ』誌からベスト・ドレスト・マンに選ばれるようになったのか。それは服装の背後にある皇太子の行動や考え方が、今の英国社会から支持されているということにほかなりません、と『モードとエロスと資本』の著者・中野香織さんがGQ JAPANのサイトに書かれています。

GQ JapanPeople



イギリスはエシカル的な意識が高いのか、高城剛さんの『オーガニック革命』という著書の中に、ロンドンでは「パンクスが自分で栽培したオーガニック野菜を売っている」と書かれていました。※2010年の出版です。
ということは、富裕層だけの傾向ではないのかもしれません。


イギリスでエシカルといえば、天然原料をベースにした化粧品ブランドTHE BODY SHOPが思い浮かびます。ボディショップは創業当初から、世界各地に伝わるハーブや木の実などの天然原料を使ったスキンケアの知恵に着目し、化粧品づくりをしていることで知られています。
そして1987年には「援助ではなく取引を!」をコンセプトに、独自のフェアトレードプログラムを始めています。それだけではなく、「私たちのバリューズ(価値観)」として打ち出し、エシカルに考えられることをフルラインナップじゃないのかというぐらいにやられています。


画像:THE BODY SHOP 私たちのバリューススクリーンショット


日本でボディショップの商品を買っている人の多くは、バリューズのことをそれなりに知っていて、利用しているように思えます。やはり長年、変わらぬスタンスが信用度高いですね。
資生堂も、一般化粧品での動物実験を廃止すると打ち出したそうです。これは動物実験を経た化粧品がこの春以降、EU域内で販売できなくなるのに対応するためだと言われています。一概に動物実験ダメだとなると、医薬品はどうするんだろうという疑問があります。医療かどうかの線引きは、国によって異なるそうですし。
もちろん原料の仕入れ先が動物実験をしていてもアウトですから、かなり厳しい。このことに関しては、日本は後進国。どうしたって排ガス規制と同様に、先を競って対応した方が勝ち、という状況になるかもしれません。かつて排ガス規制を先取りした研究開発が、日本車のアドバンテージを作ったように。

なぜだか日本ではほとんど報道されませんので、詳しい状況がわかりませんが、AFPBB Newsによると
EUでは「3月11日から、動物実験を用いて開発された化粧品の販売が全面禁止となった。EUでは1990年代以降、動物実験が段階的に取り締まられ、2009年には対象化粧品のほとんどが販売を禁じられたが、幾つかの毒性試験が例外となったままだった」
資生堂は「2011年に自社の研究所での動物実験を廃止しているが、今後はこれに加え、動物実験に頼る企業との原料取引や、外部の研究所への実験委託も行わない方針」
ということだそうです。他社はどうしているんでしょうね。

AFPBB News 
『動物実験化粧品の販売、EUで全面禁止に』




話を、もっと身近かなところにします。
よく飲食店などで、「チャイナフリー」と書いてあったりします。疑り深いのか、私はあまり信用していません(笑) そりゃあ塗料で色づけされたようなものや、ねずみで偽装とか、とんでもない食材は勘弁して欲しいですが、外食してたら中国産から逃れることは出来ないでしょう。
日本で禁止されている農薬を使うように教えたのは、日本人だという説がありますが、あながち外れてはいないだろうという気がします。また中国食材のすべてが、危険なわけではないでしょうし、これからどう推移していくんでしょうね。ただ気にする人が増えているのは、間違いないでしょう。



スターバックスコーヒーでは、ウェブサイト上でカロリー・アレルギー物質だけではなく、原料原産地情報も開示しています。ただ、原料事情などにより原産国が追加・変更される場合がありますとか、情報開示に対応していない店舗がございますと書いてあったりします。これはもうチェーン店である限り、しょうがないことだと思います。中国産も使っているようです。

そのスタバでは、フェアトレード認証コーヒー「フェアトレード イタリアン ロースト」という豆を売っています。うちの奥さんは、もうずーっとこの豆を買って来るんですが、当初私は「それなら、どうしてすべてのコーヒー豆をフェアトレードにしないんだろう」と思っていました。だけどフェアトレード認証を受けるということ、持続可能な調達モデルを作るというのは、とても難しそうです。詳しくは、下記のリンクを読んでみてください。スタバは「世界最大のフェアトレード認証コーヒーの購買者」なんだそうです。

またフェアトレード認証コーヒーは、コーヒー豆で売っているから意味があるんですよね。豆を買って、自宅で手間をかけて飲むから、まだ成立するのであって。これがお店で本日のコーヒーとして飲むということになると、払ったお金のほとんどが、人件費や家賃、空調や照明の電気代から、はてはWIFIなどの様々な設備代に化けてしまいます。つまり、代金のほとんどは場所代。そもそもコーヒー豆農家に渡る金としては、たぶん何円の世界なんでしょうね。

逆にコーヒー豆として、長年売り続けているからこそ、スターバックスコーヒーの姿勢はホンモノだろうと私は思っています。


ウェブサイト内に、こういうページはあるんですが、辿り着きやすいとはとても言えないんです。たぶん宣伝やPR的にフェアトレードを使っているのではなく、意識してフェアトレード豆を探す人だけに意図が伝わればいいと考えているんでしょう。イタリアンローストには、それ専用のポイントカードがありますし、小さいですが分厚いフェアトレードへの取り組みを書いた冊子を配っています。意識してフェアトレード豆を買う人数は、全体からすれば少ない割合でしょうけど、強固な固定客になっていると想像できます。



下の画像は、アイスクリームのBEN&JERRY'SのFacebookでの投稿です。そう、昨日5月11日は、世界フェアトレードデーだったんですね。BEN&JERRY'Sは、なんと全製品をフェアトレード認証の原料で作ることを公約しています。また元ホームレス、低所得者、公民権を奪われた人たちとその家族に職と支援サービスを行うことを使命としているベーカリーに、ブラウニーを発注していたり、平飼いのニワトリの卵を使っていたりしているそうです。





アメリカン・アパレルという比較的ベーシックなアイテムで、イメージとしてはセクシーさで売るブランドも、意外な顔を持っています。アメリカン・アパレルはロサンゼルスに巨大な自社工場があり、そこで染めから縫製までを行っていて、生産のほとんどを、この工場で行っているそうです。
サイトには、American Apparel garment workers are the highest paid garments workers in the world.と書いているぐらいですから、世界最高の給与をを誇りにしているんでしょう。
本当ならグローバル企業として、稀有な存在かもしれません。Made in Downtown LAと明記されていますので、歴史あるアメリカントラッドブランドより、アメリカ製であることにもこだわっている。それでいて価格帯としては、たぶんGAP等と同じぐらいですから、驚きです。アメリカン・アパレルは、スウェットショップ(低賃金、暴力や言葉による虐待、過酷な懲罰などの劣悪な労働環境)を廃止しようとアピールしています。

FACTORY TOURという動画を公開しています。
これは一階にあるストアの紹介動画ですが、20数本が公開されています。







私は支援に対する寄付だとか、そういう仕組みの商品プロモーションに複数回関わらせていただいたことがありますが、通常のプロモーションよりも、いずれも反応が鈍いという感触です。日本国内では、関心が薄いのか、あるいは戸惑ってしまうのか。
企業側だって期間限定でやっていますし、どれだけ本気なんだろう、ぐらいのスタンスです(笑) あるカフェに入って「このメニューの代金から、アフリカの○○支援活動に5円寄付されます」と書いてあったので注文したことがあります。でも食べながら、想像で期間中の売上や支援額をざっくり計算すると、あまりの少なさに笑ってしまったことがあります。これだと、送金などのための人件費や手数料で消えてしまうだろうと(笑)

3.11の復興支援で、多くの人が出した義援金。いつまで経っても必要なところに届かないグダグダぶりで、仕組み自体に疑問を持っている人だっているでしょう。


それでも企業が、エシカルという考え方を意識することはプラスなんじゃないかと思っています。利益を上げるためなら、なんでもあり。法令で禁止されていないことなら、何をやっていい。というような価値観に対して、どうなんだろう。日本でも、そろそろ歯止めが必要なんじゃないかと感じている生活者は少なくないでしょう。
もっと単純に、自分に害をなす商品はもちろん、知らない誰かに害をなして出来上がった商品は使いたくないという心情は、ほとんどの人にあるでしょう。

日本で大きなトレンドになるのは、まだまだ先でしょうけど、エシカルコンシューマリズムは、買ってもらえる理由にはなっていなくても、買ってもらえない理由になら、すでに現実化していると考えた方がいいではないでしょうか。






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