2017年2月10日金曜日

[復活した?]マクドナルドのSNS運用は、なにが変わったんだろう


画像:マクドナルド渋谷東口店の看板

「マクドナルドが復活できた理由」を日経ビジネスが、2015年に入社されたマーケティング本部長にインタビューしています。
日経ビジネス

登録が必要な記事なので詳しくは読んでいただくとして、私が気になったのは幹部が語る「2015年までは、SNSで一方向のプロモーション発信しかしていなかった」という趣旨のところ。そう、確かにそうなんです。

2014年夏に起こった期限切れ鶏肉の事件への対応は、ひどかった。大騒動になっているのにプロモーション投稿を続け、Facebookページでは不都合なファンからのコメントを削除していました。私はこのブログに「マクドナルドは、どうしてソーシャルメディアで叩かれるのか」というタイトルで投稿しました。

日経ビジネスの一般公開されているところで、本部長がこう語られています。

チャンスを十分に生かしてないなと思いました。というのも、どんなに事件があって大変だとは言っても、それでも100万人、200万人のお客様が毎日来ているわけです。アプリも2000万近いダウンロードがあります。『Twitter』や『Facebook』のフォロワー数もすごい数があって、知名度も抜群だし消費者にはマクドナルドについて何かしらの思い出があるんです。そんな資産があるわりには、あまり使っていない印象でした

あまり使っていないどころか、資産が裏返っていたのです。
ところが特に2016年の後半からでしょうか。私はSNS運用のあまりの変わり方に、驚いていました。



リツイートをはじめたマクドナルドのTwitterアカウント


正直Facebookの運用は、あまり変わっていないように思います。Facebookのさまざまな変更にも対応していないように思います。
ところがTwitterの運用は、大きく変更されました。まずひとつは、フォロワーが投稿した、それほどお得ではないようなツイートのリツイート。あまりハンバーガーとしておいしそうではない投稿まで、リツイートしていたのでどうしたんだと思いました。
特別やりとりをしているというわけではありませんが、ただ一方的なプロモーションツイートをするのではなく、ファンとのコミュニケーションを始めたのでしょう。

それからツイート数の多さ。Yahoo!リアルタイム検索で「マクドナルド」を調べてみました。



ほぼ毎日、3000超の「マクドナルド」ツイートですが、2月7日は130,297件もあります。いったいこれはなんでしょうか。一般の人が急にツイートしたのか、それともマクドナルド公式アカウントが発信したのか、その両方なのか。
正解は、増加したほとんどがマクドナルド公式ではなく、マクドナルドのタ◯タルーレットキャンペーン返信用アカウントからのツイート。2月6日から2月7日までのツイートを表示させてみると、こうなります。タ◯タルーレットキャンペーン参加者への、マクドナルドからの返信がどこまでも続くのです。




「タツタが先か?タルタが先か、タ◯タルーレットキャンペーン」とは


タ◯タルーレット自体は、今もマクドナルドのサイトにあります。2月8日から「チキンタツタ」と「チキンタルタ」が発売されているのです。

Twitterでのキャンペーンは2月3日から始まり、2月7日で終了しています。どういうキャンペーンだったかというと公式アカウント@McDonaldsJapanをフォロー。
公式アカウントのハッシュタグが付いたキャンペーン投稿を、公式リツイートすると抽選で100人にマックカード2000円分があたるというものです。



その抽選方法なのですが、マクドナルドの公式アカウントではなく、キャンペーン返信用アカウントからルーレット動画が届きます。動画の最後に、残念ハズレかアタッタヨが表示されます。
キャンペーン返信用アカウントの投稿数は、317,719となっています。数字のつじつまがあいませんが、最大で31万人強が応募したということでしょうか。
とにかくとんでもないツイート数ですが、公式アカウントのフォロワーのタイムラインには出てきません。通常これだけのツイートが、もしタイムラインに出てきたら、どんなにファンでもファローを外してしまうでしょう。

仮に最大で31万人強が応募したなら、マクドナルド公式のキャンペーン投稿はとんでもなく拡散しています。何千万人もが見たのかもしれません。
そして応募した人たち宛に、ルーレット動画を返信したのですから、「チキンタツタ」「チキンタルタ」の発売認知は、繰り返し強化されたことでしょう。
プロモツイートはトレンドになっていましたし、ネットメディアへのパブリシティも強力に行われたようです。


これが上手かというと、超有名企業のプロモーションとしては、精度が高いものの、当たり前の手法です。ただマクドナルドほどの巨大な“資産”を持つブランドが、精度を上げると、それだけで破格の効果を上げられるはずです。



外へソーシャルメディアシフトしたマクドナルド


だからマクドナルドのSNS運用が、それほど巧妙になったのではない。Facebookの対応やTwitterでもリツイートの仕方は、ちょっと首をかしげます。
私はSNS運用自体よりも、むしろプロモーションの組み立て方や商品戦略、広報戦略などマーケティング全体が、ソーシャルメディアシフトしたところに注目すべきだと思います。

2016年以降の新商品のプロモーションや施策は、SNSに乗っかりやすい。SNS利用者が話題にしやすいものを次々に打ち出しています。パブリシティかどうかよりも、ネットメディアも記事にしやすいネタになっています。

タ◯タルーレットや第一回マクドナルド総選挙、裏メニュー、名前募集バーガーなどは言うまでもありませんが、他にも随所に変化が感じられます。
たぶん自然発生的だと思いますが、昨年3月に映画とのタイアップで出したハッピーセットのオマケの中にあった「鳴るよ!ドラえもんの鈴」を猫につけ、Twitterやインスタグラムに投稿する人が多くいたのです。
ちょうど1年ほど前からマクドナルドもインスタを始めていますが、それほど積極的ではないというか、試行錯誤されていたのだと思います。ところがこの「ドラえもんの鈴」投稿をRepostしているのです。

日本マクドナルド公式アカウントです。さん(@mcdonaldsjapan)が投稿した写真 -

公式アカウント自体の投稿がぜんぜん少ないのに、Repostするとは意外でした。インスタでは、ハンバーガーや商品そのものの広告的な写真を出すことはしないようです。
試行錯誤の段階だとしても、従来のマクドナルドのスタンスにはない、大きな転換に思えます。

その他にも、昨年11月29日にこんなクーポンを出しています。



マクドナルドが肉の日に何かしたことは、私の記憶ではですが、昨年以前はなかったと思います。もちろん2月9日も、投稿だけのようですが



変化を感じさせるところはいくらでもあるのですが、こんな細かなところにも見つけることができます。

SNS上でネット上で、ユーザーやメディアがどう反応してくれるか、話題になるかどうか。マクドナルドの目線は、ソーシャルメディアシフトしたのだと思います。





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