4月21日、渋谷・道玄坂に[タコベル]がオープン。4月29日には、ラフォーレ原宿に[GYG(グズマン イー ゴメズ)]がオープンしました。
タコベルのオープンは、知らずに歩いていたらヤマダ電機LABI渋谷のあたりから行列が出来ていたので「あ、もしかしてタコベルのオープンかも」と気がついて行ってみるとこれが大変なことになっていました。
オープン日の店頭
タコベルのことはGoogle +に3度ほど投稿していますが、5月8日の閉店約1時間前の22時ごろでも、外に10人ほど並んでいました。行った知人によると、5月1日の10時のオープン前から、すでに行列が出来ていたそうです。今朝14日もオープン前から並んでいました。一番上の写真は、今朝の様子です。
GWを経て1ヶ月近く経っても行列があるのですから、とんでもない人気ですね。
とても並ぶような時間はなく、私はまだ未体験。タコベルは、メキシカンファストフードです。
タコベル
GYGは、オーストラリア発の行列のできるメキシカンダイナー。レジで注文して運ばれてくるスタイルなので、ファストカジュアルになるのでしょうか。12日の昼間に行ってきました。行列は出来ていませんでしたが、席は8割方、多くが若い女性で埋まっていました。レジもとんでもなく混む時もありますが、回転が早いです。運ばれてくるのも数分。1日の客数はけっこう多そうです。
量からすると価格は高めですが、かなり本格的です。
上の写真はワカモレというアボカドベースのディップソース。追加することができます。
グズマン イー ゴメズ
この春、他にも手軽なメキシカンが登場
4月4日に原宿・神宮前に[アロハ アミーゴ]がオープン。ハワイアンとメキシカンが融合したカフェ&ダイニング
アロハ アミーゴ
4月8日、六本木アークヒルズに[TACO RiCO]がオープンしています。こちらは日本人が始めたお店です。
TACO RiCO
一気にメキシカンブームがやってくるのでしょうか。
私は考えてみると、それほどメキシカンだというメニューを食べたという経験がないです。タコライスは好きですが、沖縄経由ですし。ウェンディーズのチリは好きですが、カリフォルニア経由のテックスメックスですし。
そうは言っても、タコベルにはタコライスがありますし、ブリトーはグズマン イー ゴメズの看板メニュー。ブリトーはアメリカで生まれたそうですので、メキシカンテイストが広がるかどうかというところですね。
タコベル、GYGともに立ち上がりは、大成功でしょう。
タコベル、GYGともに、意表を突いたYouTube動画を展開
タコベルの公式サイトでは、なかなか情報が出ませんでした。私は出店前からここに出来るんだなと知っていたのですが、それは工事現場のボードにロゴが貼ってあったから。
具体的な場所やメニューは公式に、ぎりぎりまで出さない戦略かと思いました。3月10日にComing Soon、4月2日にComing very Soon!という動画を出していましたが、ティーザーで同じ内容です。
そしてオープン1週間前に、この動画が公開されました。
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まるで全国各地のご当地ラップのようなベタベタのダサさです(笑)
だけど考えてみればこれでいいんだな。目的に沿っているんだろうと思うようになりました。タコベル渋谷店は、渋谷駅から3〜4分程度の近さで便利なところにあるのですが、他の外資フードチェーンなら絶対に出ないだろうなという場所です。
というのも、目の前の地下はアダルトショップですぐ近くには風俗店が点在します。通り名は道玄坂小路。かつては脱法ハーブの店があったり、道玄坂側の入り口には大きな風俗案内所があり、かなりマイナスのハードルが高いところです。その分、テナント料は安いのだと思いますが、利便性を選んだのでしょうね。
ただ多くの人にとって、逆にそういう立地であることが、緊張せずに並べてしまうメリットになっているはずです。
それでも渋谷に詳しくない人はこの道でいいのかと思うかもしれませんし、場所を伝える手だてを工夫する必要があるでしょう。
タコベルの出店を放送したテレビ局のカメラマンは、どこもアングルを制限されていました。
その点、GYGはラフォーレ原宿の2階と伝えればいいのですから、かなり楽です。その分、テナント料は高いのでしょう。
こちらは、1月5日という早い段階から動画を公開していました。グローバルの公式チャンネルです。
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めちゃめちゃハイテンションです。他の動画を見てもこれがGYGのスタイルのようですが、まるで高校生のVine動画のようです(笑)
でもこれも考えてみると、現実の客層にマッチしているかもしれません。GYG目当てにラフォーレに来る人もいるでしょうが、ラフォーレに洋服を買いにくる人たちがメインターゲットでしょうから。
タコベルには年齢性別問わず、様々な人たちが並んでいます。今では上の年齢層にシフトしている印象です。でもGYGではおじさんを見かけることは、ありませんでした。
プレオープンのゴリラコーヒー と同様に、緊張しました(笑)
公式ではありませんが、こんなニュース動画もあります。店内の様子がよく分かります。
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タコベルもニュース動画を。
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これを見ると、タコベルはかなりボリューム感がありますね。GYGと比較しても、立ち上がりのブームが過ぎれば、なおのこと客層が明確に分かれてきそうです。
ところで公式動画の再生回数ですが、調べた時点(13日の夕方)では、タコベルのACCESS RAPが35,839回。GYGの上陸告知が1,417回になっています。
タコベルは大きな数字ですが、それだけではこれほどの行列にならないでしょう。
タコベルの集客のための導線は、こうなっていた
まず徹底したパブリシティが行われたようです。Googleでニュースで検索すると、期間を区切っていませんが、約19,800件と出てきます。以前書いているように、ネットメディアとそれを配信するポータルサイトという重複はありますが、硬軟取り混ぜて、多くのネットメディアが取り上げています。
タコベルは調べていて驚きました。たとえば上に貼付けたニュース動画は、丁寧に面白く作られていますよね。毎日YouTubeで動画を配信しているメディアだそうです。私は、まったく知りませんでした。
再生回数を見ても、ほとんど知られていないのだと思います。数の多さだけではなく、もしこんなYouTubeメディアまでタコベル側が調べてアプローチしたのなら驚異的です。知名度、話題性の高さから、逆にメディア側からアプローチがあったにしても、対応していること自体が驚きです。
通常、このようなお店でのプレスデーでは、物理的にも人的にも制限があるはずです。
また数多くのテレビ番組でも取り上げていました。テレビ東京の『ワールドビジネスサテライト』は、親会社ヤム・ブランズまで取材。その中でも驚いたのが、コマンドセンターの様子。壁一面がモニターになっていて、世界中のソーシャルメディアでの投稿を表示していました。リアルタイムで監視し、対応しているといいます。
調べてみると、基本はブランドの危機管理のようですが、口コミ数やその感情、話題の推移、インフルエンサーなど、世界中のカスタマーインサイトも表示されるようです。これを社長以下が見ているというのですが、本当に対応できるでしょうか。もちろん国別、エリア別に切り替えられるということなので、不可能ではないでしょうが。
Yum! Brands Uses NetBase to Build the Social Hive
もっとも現時点では、行列・待ち時間が長いということが一番の投稿トレンドでしょうから、何も出来ないかもしれません(笑)
それ以前にパブリシティによって再上陸が伝わると、ネット上ではとんでもないことになっていました。
特にオープン日の翌日は、凄まじいです。Yahoo!リアルタイム検索で調べてみました。
22日はTwitterとFacebookで8621件の投稿があったということですから、凄まじい話題性です。22日が高過ぎるので他の日が低く見えますが、5月12日でも300件弱あるのですから、かなり高い数字です。
マイナス感情は、待ち時間とアメリカに比べると高い価格設定に対するものです。
GYGの集客のための導線は、こうなっていた
GYGは、世界中でオープン初日にブリトーを無料で振る舞う「フリーブリトーデー」を開催しているそうです。ラフォーレ原宿店ではどうだったでしょうか。
GYGのFacebookページです。
ネットメディアやブログなどでもフリーブリトーデーのことは、数多く取り上げられています。
Yahoo!リアルタイム検索でも調べてみました。グズマン イー ゴメズとGYGを合わせてみます。
実際には「GYG-グズマン イー ゴメズ」と書いている人もいるでしょうから、オープン日翌日には200件以上の投稿があった、ぐらいに考えればいいのではないでしょうか。
タコベルと比較すると小さな広がりですが、フリーブリトーデーで一気に認知度が高くなったはずです。
神宮前の交差点付近にこれだけ人が溢れれば、どうしたって注目されますよね。お店自体、ラフォーレの2階なのに明治通りから見てもとても目立っています。
表記やネット戦略では、なんでしょこれと思うところも
タコベルもGYGも、立地が大きな要因で、オープニングに関しては大成功だと思うのですが、それ以外では疑問を感じるところもあります。
上で書いた通り、Yahoo!リアルタイム検索で調べる時に、GYGをどう表記されているのかあれこれ試してみたのですが、人によって様々。GYGもあればグズマン イー ゴメズもゴメズもGYG-Guzman y Gomezもあります。
単純になんて呼べばいいか定まっていないと、人はけっこう迷います。検索で混乱するだけではなく、人に話したり、ソーシャルメディアで投稿しようとするときに考えて迷うようなら困りもの。
お店はどう使っているかというと、公式サイトでは[GYG(グズマン・イー・ゴメズ)]。ところがTwitterでは[Guzman y Gomez Japan]、Facebookは[Guzman y Gomez -GYG- Japan]、同様に公式サイトからソーシャルボタンで飛ぶInstagramはグローバルですが[guzmanygomez]になっています。
英語表記で押し進めるにしても、略称だったり、略称がなかったり。これは、いくらなんでも、でしょう。
さらに名称以外でも、Twitterのプロフィールが「近日日本上陸!!」のままだったり、いっさい画像がなく、ほぼ同じ内容で画像もあるFacebookへのリンクを投稿しています。現在フォロワー173人ですが、これだと増えるわけもありません。いくらFacebookに流入させたところで、アクティブなFacebookユーザー層と現実の客層が乖離しているのではないでしょうか。
Facebookページのいいね!は、4,180件です。
タコベルは、多くの人がソーシャルメディアでは[タコベル]と書いていますが、公式の表記はTaco Bellあるいは、Taco Bell Japanで出しています。
これだけ行列が続いているのですから、何もしなくたっていいんじゃないと思います。
タコベルの特筆すべき点は、ウェブサイトで原材料の原産国やメニューのカロリーをはじめ、脂質、飽和脂肪酸、ナトリウム、食塩相当量などを表示しています。
ファストフードではなく、ファストカジュアルを標榜するチェーンでもなかなか表示していないので、さすがにソーシャルメディアを競合店も含めて傾聴しているだけのことはあると思います。
ただ、農林水産省から義務づけられているアレルギー物質7品目の表示がありません。日本のフードチェーンでは20品目を出している場合も多いように思いまので、スタンスが中途半端かもしれません。
タコベルもソーシャルメディアでは、Facebookに注力しているようです。Facebookページのいいね!は、7,847件です。客層は重なっていると思いますが、不思議なところもあります。
先に書いた世界中のソーシャルメディアでの投稿をリアルタイムで監視するシステムで、把握され実施した施策として、2011年ですがアナリストがDisrupting the Facebook Standardというタイトルを付けています。
勝手に意訳すると、こんなことのようです。
タコベルのソーシャルメディア・データは、タコベル関連の会話の80%-90%がTwitterで起こることを明らかにしました。 ドリトスロコスタコスの発売では、PRとデジタルのチームはTwitterに注力しました。
How Taco Bell Used Twitter to Sell 200m Tacos
翻訳サービスを使っている上に、私のつたない理解ですから間違っているかもしれません。(間違っていたら、ご指摘ください)
Twitterのフォロワーは、1,785人。利用者とコミュニケーションしていないようですが、行列の様子や投稿されている数の大きさからすると、似つかわしくないしょぼさ。4年も経てば、状況は大きく変わっているかもしれませんが、気になるところです。