2015年5月29日金曜日

【訪日外国人】Tax-freeと“おもてなし”と多言語化のスピードが、すごいことに

渋谷では、対応できるお店はぜんぶTax-free Shopになったんじゃないかと思えるほど、あちこちで表記を見るようになりました。
1月に『今年は、Japan Tax-free Shopの動向が注目されそうです』を書いたときには、控えめにしていたり、出していないアパレル店もTax-free / 免税を大きく打ち出すようになっています。

もうなりふり構ってられないというほどの、訪日外国人の多さと消費額になっているのでしょうね。もしかすると観光客だけではなく、住んでいる人も増えているのかもしれません。
それぐらいあらゆる国の人を見ることが出来ます。





2月以降のTax-freeの動きが急加速


1月に書いてからのTax-freeの全国での動きを、いくつかピックアップしてみます。


ユニクロは2月18日、全国31店舗で導入
ユニクロ、外国人観光客向け"消費税免税サービス"開始


4月1日からの法改正で、百貨店やSCでも免税カウンターの導入ができるようになりました。個別のお店ではなく、合算して一括の免税手続きが可能になったそうです。

イオンモールは、成田と沖縄から開始。
イオンモール/免税手続カウンターを設置
5月中には45店舗になり、一般免税店も含めると、ぜんぶで70店舗を超えたそうです。
イオンモール/免税手続きカウンターを45店へ拡大

ルミネは、5月11日からサービス開始。
ルミネ、免税手続き一括カウンター

4月10日ヤマダ電機が新橋に免税専門店。2015年秋以降に三越銀座店8階に「JAPAN DUTY FREE GINZA」がオープン。
過熱する一方の銀座「免税店」戦争 ヤマダ電機も参戦、狙いは中国人の「爆買い」

なんと5月28日、岡山市のロマンチック通り商店街が導入。
経済産業省の肝いりのようです。
商店街として全国初の免税手続一括カウンターがオープンします


Tax-free Shopになれない業種の対応は?


日本人は日本で買いものしても免税にならないのですから、これだけTax-free Shopが増えてくると、なにか損したような気分になってきます。
だけどそれ以上に、免税店になれない業種の人たちは釈然としないものがあるでしょう。外国人観光客が訪れても安くなるわけじゃないし、アピールするものがないというジレンマ。
マクドナルド渋谷店が、最近こんなポスターを貼り出しています。その場で消費される飲食店はTax-free Shopなれません。



訪日外国人が増加しているのだから、その取り込みをしたい店は多いのが当然。確か4、5年前だと思うのですが、109の店員さんたちは中国語を話せる人が増えているという記事を読んだことがあります。
少なくとも英語や中国語に対応しているよ、歓迎ですというところは分かるように打ち出さないと。それがあった上での“おもてなし”ですよね。

表に貼り出す、メニューを多言語にするというのは必要だとしても、お店の前まで来てくれないと意味がありません。
※ちなみに公共スペースでの多言語表記を「言語景観」と呼ぶそうです。首都大学東京の先生が研究されています。


その街を訪れる以前に探してもらえる、アピールできればいいんじゃないの。ポータルサイトがやればいいのにと思っていたら、とんでもないものに辿り着きました。


都が多言語メニューが無料で簡単に作れるというサイトを開設


凝ったデザインではないものの、そのまま印刷して無料で使えるというのですから、小規模なお店はこれで多いですよね。まったくもう、制作会社は泣いてます。


これは2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて開設されたということですが、ピクトグラムや12言語での指差し会話シートがダウンロードできるなど、至れり尽くせりです。

それだけじゃなく、「作成したメニューとお店の情報を、東京都公式の12言語に対応した飲食店検索サイトに無料掲載。外国人観光客の集客に役立ちます」というサイトまで作っています。ちゃんとモバイル対応だってしてます。



行政とは思えない対応です。逆に東京都がここまでやっていいんだろうかという疑問さえ感じましたが、でも民間がやっていたら、12言語対応にはならなさそうですね。


訪日外国人観光客向けおもてなしアプリも


地図の昭文社が以前から出しているDiGJAPAN!というアプリをアップデートし、買い物や食事に使えるクーポンを配信したり、対象エリアを東京だけではなく、京都・大阪エリアを加えたそうです。しかも2015年中には、国内の主な観光エリアをすべてカバーする予定だそうです。



訪日外国人向けおもてなし無料Wi-Fi競争も


昨年12月、KDDI子会社と、公共交通機関や京都市などの自治体17団体は、訪日外国人向けWi-Fi接続サービス「TRAVEL JAPAN Wi-Fi」をスタートさせ、今年7月以降に本格的な商用展開を始めるそうです。
アプリで全国20万カ所以上で無料でWi-Fiに接続で、旅行に役立つ情報やクーポンなどを配信するサービスで、5カ国語に対応。日本人や日本に定住している外国人などは利用できないそうですよ。


ソフトバンクも無料Wi-Fiサービス「FREE Wi-Fi PASSPORT」を、7月1日から開始するそうです。昨日発表されたばかりです。



FREE Wi-Fi PASSPORT
こちらは40万アクセスポイントをを誇っていますが、英語、中国語、韓国語の3カ国語対応。アプリをダウンロードしなくても、携帯電話から専用電話番号へ発信するだけで利用者登録が完了。来日してすぐに使えるという利便性の高さ。


他にも無料Wi-Fiサービス向けのサービスを始めているところがあり、今年の夏からは熾烈な競争が始まりそうですよ。
外国人観光客じゃなきゃ使えないので、個人的には無料Wi-Fiにまったく興味はないのですが(笑)

 株式会社イグジィット ウェブサイト



2015年5月26日火曜日

【Facebook】のインサイトは、まず競合をチェックすることから



Facebookのリーチが減少している理由


一時期、Facebookがあればホームページはいらない。そんなことを言う人が、ちらほらいるほど、盛り上がっていた企業のFacebook利用ですが、実際に運用している人たちからはリーチが減っているという声が出て、モチベーションが下がっているようです。

私はそもそもFacebookは名刺みたいなものだし、ウェブサイトとはまったく性質の異なるもの。関わっているアカウントでは特にリーチが減っているということもありませんし、全体でどれぐらい減少しているのか分かりません。
それでも減っているだろうという理由は、想像がつきます。

なによりエッジランクの導入と、広告の増加。
エッジランクをご存じない人のために、概要を書いておくとFacebookからの正式なアナウンスはないようですが、Affinity Score(親密度× Weight(重み× Time(時間経過)で変わってくる表示順位のアルゴリズムのことだと言われています。
親密度は、いいね!したりコメントを書いたり、どれぐらいコミュニケーションしているか。重みとは、その投稿自体の重要度でしょうか。多くの[いいね!]やコメントが付いている投稿は、重要度が高いようです。
時間経過は、投稿されたばかりか、古いものかということ。

このエッジランクが関係してくるのは、ニュースフィールドの[ハイライト]表示の場合。通常Facebookにアクセスすると、自分自身の、個人のニュースフィールドが開き、[ハイライト]の投稿が表示されます。[最新情報]では投稿時間の新しいものから表示されますが、デフォルトが[ハイライト]なので、ほとんどの人が[ハイライト]を見ているのではないでしょうか。

私などは[最新情報]に切り替えることはまずないので、あの人の投稿見かけないけどどうしちゃったんだろと[友達]から探すこともあります。
このエッジランクによる表示は、個人の投稿でも企業の[Facebookページ]の投稿でも同じです。


そして広告。4月22日に発表された2015年第1四半期(1月-3月)決算の数字
売上高は前年同期比42%増の35億4300万ドルだった。売上の94%に相当する33億1700万ドルが広告収入だった。そのうちモバイル広告の割合が前期の約69%から約73%に拡大
マイナビニュース

ポイントは広告の急増とモバイルシフト。モバイルデバイスからの利用が増えているというアナウンスは以前からありましたが、Facebook広告が増え、その中のモバイルの割合が増えているということは、純粋な投稿は表示されにくくなったと考えていいのではないでしょうか。モバイルで表示される/見られる投稿数は、PCよりはるかに少ないはずではないでしょうか。
もちろん広告が表示されるのは、ニュースフィールドだけではありません。それでもニュースフィールドに表示された[おすすめ投稿]は少なくともリーチが稼げるわけですから、想像するとエッジランクのWeight(重み)が増えそうです。


さて、それでは本題です。
Facebookで広告を使わな広告を使わなかったとしたら、どうやってFacebookページを運用して行けばいいか。どんな投稿をすればいいのかということですが、私はインサイトの中でも[競合ページ]を重要視すべきだと考えています。



Facebookインサイト[競合ページ]は、同業他社を調べるだけじゃない


私はB to B企業の場合、Facebookでなんとかしようとするなら、広告を使うしかないと考えています。もちろん社会的意義が大きい事業や際立った独自性がある場合は、その内容を細かく出して行くと方法もありますが、それならむしろ自社サイトやブログでやった方が蓄積効果があると思います。
今回書いているのはB to Cに関してです。

Facebookページに[いいね!]を100人以上がしてくれると、インサイトの[競合ページ]を使うことができます。下の画像を見てください。[インサイト]の中の概要に出てきます。

表示されるのは、累計の[いいね!]とその増加率、今週の投稿数とそのエンゲージメントです。ただそれだけなのですが、使い方によっては理解できることがかなりあります。
まず比較できる競合ページは、任意に選び追加することができます。


ところで、競合とはどんなページのことでしょうか。同業他社のことでしょうか。いまどき、同業他社を競合だとベンチマークするのは、かなり古びた考え方かもしれません。
それに同業他社が上手に、Facebookページを運用しているとは限りません。

とりあえず同業他社はチェックしておくとして、上手だな、効果を出しているなというところを重視して見て行くことが必要だと思います。競合のリストは、追加も削除も簡単です。

たとえばあるサイトによると、[いいね!]数が最も多いのは「楽天市場」。5位に「サッカー日本代表」が入りますが、これらも参考にするのは、なかなか難しいですよね。規模の問題というよりも、内容として。私はUniqloが凄いなぁと思いますが、到底参考にすることすら不可能な投稿もあります。
CMやチラシ、雑誌の記事の画像を使った投稿とともに、ジョコビッチ選手や国枝選手の活躍、もちろん錦織選手が出場する大会も追っています。テニス選手以外なら可能かというと、ユニクロキッズ「カメラでポン!」の告知で、バンビーノとサンリオのキャラクターに共演させて動画を出していたり、全方位で凄いです。


だから部分部分でも参考にすることが可能なアカウントを、数多く探すことが大切です。同規模の同業者だけ見ていたら、たぶん意味がありません。



[競合ページ]では、反面教師からも学ぶスタンスで


上で使った[競合ページ]の画像ではマクドナルドが一番上にきていますが、累計の[いいね!]が57万人と、桁違いなのです。順番に関しては[いいね!]数だけのようですが、マクドナルドはこの一週間、いいね!、コメント、シェアのエンゲージメントで約1万6千という驚異的な数字を獲得しています。Twitterなら可能ですが、お得な内容でもないのに、Facebookでは桁違いの数字だと思います。

ただそのコメントにはネガティブな内容も、数多くあります。一週間のエンゲージメント率の高さに驚いてチェックしたら、その中身は… 凄いけれども、それほど単純でもありませんでした。
マクドナルドの場合は、ファンの反応にも昨年からのバッシングが響いていると考えられますが、なにがマズイかも、1社のアカウントからだけではなく、いろいろと知っておくことが大切だと思います。
マクドナルドは、どうしてソーシャルメディアで叩かれるのか



私が上手だと思うアカウントはUniqloに限らず、広告写真だけではなく、それ以外にソーシャルメディア用に撮った写真や動画も使っています。もちろんその内容も、ソーシャルメディア以外ではお目にかからないテキストを使われています。






この画像は上の[いいね!]数の、2位3位を抜き出したものです。ただこの順位はあまり意味がなく、過去に“[いいね!]を押してキャンペーンに参加しよう”的なことをやっているかどうかで、大きく左右されます。※昨年、Facebookは「いいね!」しなければ参加できない懸賞やコンテストを禁止しました。

それよりも1週間の投稿数と、エンゲージメントを見てください。2位は6回の投稿で470回の反応。3位は4回の投稿で8600回の反応です。1投稿あたり、前者は78回で後者は2150回という大差が付いています。

前者はテレビCMを打っているような“お金のある企業”なのに、この低い反応はどういうことでしょうか。投稿を見ると、やはりテキストも画像も、広告そのまましか出していませんし、同じままの投稿を繰り返しています。これだとFacebookだけではなく、どんなソーシャルメディアでもやる意味が薄いでしょう。
後者は先に書いたようにソーシャルメディア用に撮った写真や動画も使っていますし、広告でもPRでもないような、会社の雰囲気を伝えるものも織り交ぜて投稿されています。


また、やはり、ですが、上手なアカウントは災害時などには投稿がストップしています。これなども[競合ページ]で今週の投稿数も知ることができるので、便利ですね。何かがあったときに、調べたい競合ページのリストに入れ替えればいいのですから。
災害時などのソーシャルメディア運用は、こうするべきじゃないのかと

そして意外なことに、ファンからのコメントに対して何も返していない。[いいね!]すらしていないところが多いのです。もっともこれは大手に関してですが。


細かな分析をするよりも、上手く行っているところの理由、ダメなところの原因にもインサイトの[競合ページ]を使えば、早くたどり着きますよ。



 株式会社イグジィット ウェブサイト

2015年5月22日金曜日

動画を使ったプロモーション その効果の一端が公開されていた




今週は、ドローンを飛ばす15歳少年のニュースが駆け巡りました。私が驚いたのは、少年がさまざまな動画プラットフォームで実況中継するなどして、収益化していたこと。
内容はともあれ、昨年は動画元年と呼ばれ、動画制作が一般化し、収益化を目指す人たちが増えてきたのは間違いないでしょう。
YouTubeばかりではなく、他のプラットフォームも盛り上がりを見せています。
Vineがそろそろブレイクしそうですけど、どうします?


収益化には、動画に広告を表示させる、企業とタイアップする、視聴者からの支持が“投げ銭”になる、あるいは制作者がタレントになるなどの方法があり、多様化しています。
[HIKAKIN]さんはエアロスミスと共演し、Vineでブレイクした[けみお]くんはタレントですね。



企業とタイアップについて、ユーチューバーマネジメント会社のUUUMが、その効果を検証しています。UUUMは、HIKAKINさんが設立に加わった会社で、最初から六本木ヒルズに入居するなど、設立自体がニュースになりました。

YouTuberを活用したタイアップ動画のプロモーション効果を検証

取り上げられているのはアプリ[Rumor]、丸亀製麺、ワコール[ブラ・リサイクル]の3つの動画。ネットでアプリを扱えば効果が高いのは当然なので、あとの2つについて、上のリンク元から引用させていただきながら、どうして効果が出たのかを私なりに考えてみました。


丸亀製麺は、釜揚げうどん6人前と全サイドメニューを大食い


UUUMの調査によると、調査したのは動画公開後2週間しか経っていなかったのにもかかわらず、動画を視聴した人の29%が丸亀製麺を食べたというのです。


ものすごい効果じゃないですか。しかし、いったいどれぐらいの人数が視聴したのでしょう。UUUMによると3月10日で35万回の再生ということですが、ひとりで何回も見た人もいるでしょうから、25万人が見たと仮定すると29%で72,500人!? 
現在の再生回数はどうでしょう。YouTubeの統計情報から見てみます。


5月19日までの累計で715,873回と出ています。同じ比率なら、20万人!? いやいや、そこまではないとしても、動画の再生が右肩上がりに伸び続けているのが脅威です。共有も1,777回されていますし。
説明のところには、丸亀製麺のURLも貼られていますが、丸亀製麺のウェブサイトには、この動画は貼られていません。ユーチューバー[木下ゆうか]さんのYouTubeチャンネルからや検索、ブログなどに貼付けられたところから再生されているということでしょうね。

この動画は、テレビでよくやっている大食いものですが、商品がこれだけ長い間出てくるのですから、見れば見るほど食べたくなってきます。


私も丸亀製麺好きで、この動画を見ていると食べたくなってきますが、はなまるうどんの方が近いので、昼時ならそちらに行きます(笑) それだけ、食欲をそそりますよね。ブランドの詳細を理解するより、まず食欲。
たぶん食に関するものなら、動画は強いはずです。なんといっても、木下ゆうかさんの食べっぷりがおいしそうです。


ワコールは、ブラジャーが地球を救う!?という社会的なテーマを訴求


こちらは、ユーチューバー[SasakiAsahi]さんです。去年もご紹介していますが、私も注目させていただいていました。以前はメイクアップものが中心だったのですが、GUとタイアップして佐々木さんがモデルになりLOOKBOOK動画を公開されていたので驚きました。
今はもう毎日更新されていて、恋愛相談からグミレポ、アイスレポ、旅と、メイクや美容系以外のテーマもやられています。やっぱりメイクものがすごいと思いますが、何ジャンルの人ではなく、ユーチューバーとしか言えなくなっています。
昨年のハロウィンでは亀の甲羅を作っていたと思ったら、ミュータントタートルズの仮装パーティをやられています。映画とのタイアップでした。
ミュータント・タートルズ!!ハロウィンパーティー☆ - 2014.11.4 

この動画の統計情報です。


ハロウィンが終わってからも、ゆるやかですが、右肩上がりに再生されています。
佐々木さんはタイアップものばかりではなく、個人的に興味があるものも含め、とにかくVlogとして更新されていますし、タイアップ然とした作りでもないので、見ている方も意識せず視聴できるのでしょう。ネイティブアドという言葉が流行していますが、佐々木さんという存在がネイティブアド化しているのかもしれません。

というぐらいを基礎知識として書いておきます。
それでは、ワコールとのタイアップ動画です。

7年目になるワコールの社会貢献事業ブラ・リサイクルの仕組みを、彼女が丁寧に淡々と説明しているだけです。それでもワコールのキャンペーンサイトより、詳しく安心感があります。
ワコールブラ・リサイクル2015

UUUMの調査によると、動画公開後1週間しか経っていない調査にもかかわらず、なんと動画を視聴した人の9%がブラ・リサイクルを利用したというのです。


SNSに投稿した人6%、ブラ・リサイクルのページを見た人19%、ワコールのホームページを見た人29%、そしてワコールの商品を購入した人8%と驚異的な数字です。

社会貢献事業として、いやワコールはCSRやCEV的な活動としてだけではなく、マーケティングとして「来店を促進すること」も狙っているのだと思います。
ワコールのお店でキチンとした採寸してくれる人が増えれば、実店舗でもオンラインでも自社の商品を買ってもらうことができるという仕組みでしょう。
先の動画の統計情報です。


ミュータントタートルズと似ていますが、最初の急上昇で1万回ほど多くなっています。
ブラ・リサイクルは視聴者にとって、不要になったブラジャーをゴミとして捨てずにリサイクルしてくれる。しかも安心感があるというメリットがありますが、「社会的に、いいこと」はネット上で広がりやすいのです。
SNSにだけ着目してみても、面白動画の丸亀製麺の倍をマークしています。



丸亀製麺もワコールのタイアップ動画も、ユーチューバーの存在が大きいのは間違いありませんが、そのキャラクターを生かして、宣伝なのか宣伝じゃないのか、PRなのかPRじゃないのか、番組なのか番組じゃないのか。そういう既存の軸ではなく、ユーザーに近いスタンスで作られている動画が、ますます視聴時間を奪って行きそうですよ。



 株式会社イグジィット ウェブサイト




2015年5月14日木曜日

行列メキシカン[タコベル/グズマン イー ゴメズ] その集客と話題拡散の流れ

4月21日、渋谷・道玄坂に[タコベル]がオープン。4月29日には、ラフォーレ原宿に[GYG(グズマン イー ゴメズ)]がオープンしました。
タコベルのオープンは、知らずに歩いていたらヤマダ電機LABI渋谷のあたりから行列が出来ていたので「あ、もしかしてタコベルのオープンかも」と気がついて行ってみるとこれが大変なことになっていました。

オープン日の店頭

タコベルのことはGoogle +に3度ほど投稿していますが、5月8日の閉店約1時間前の22時ごろでも、外に10人ほど並んでいました。行った知人によると、5月1日の10時のオープン前から、すでに行列が出来ていたそうです。今朝14日もオープン前から並んでいました。一番上の写真は、今朝の様子です。
GWを経て1ヶ月近く経っても行列があるのですから、とんでもない人気ですね。 とても並ぶような時間はなく、私はまだ未体験。タコベルは、メキシカンファストフードです。
タコベル



GYGは、オーストラリア発の行列のできるメキシカンダイナー。レジで注文して運ばれてくるスタイルなので、ファストカジュアルになるのでしょうか。12日の昼間に行ってきました。行列は出来ていませんでしたが、席は8割方、多くが若い女性で埋まっていました。レジもとんでもなく混む時もありますが、回転が早いです。運ばれてくるのも数分。1日の客数はけっこう多そうです。
量からすると価格は高めですが、かなり本格的です。





上の写真はワカモレというアボカドベースのディップソース。追加することができます。
グズマン イー ゴメズ


この春、他にも手軽なメキシカンが登場


4月4日に原宿・神宮前に[アロハ アミーゴ]がオープン。ハワイアンとメキシカンが融合したカフェ&ダイニング
アロハ アミーゴ

4月8日、六本木アークヒルズに[TACO RiCO]がオープンしています。こちらは日本人が始めたお店です。
TACO RiCO

一気にメキシカンブームがやってくるのでしょうか。
私は考えてみると、それほどメキシカンだというメニューを食べたという経験がないです。タコライスは好きですが、沖縄経由ですし。ウェンディーズのチリは好きですが、カリフォルニア経由のテックスメックスですし。
そうは言っても、タコベルにはタコライスがありますし、ブリトーはグズマン イー ゴメズの看板メニュー。ブリトーはアメリカで生まれたそうですので、メキシカンテイストが広がるかどうかというところですね。
タコベル、GYGともに立ち上がりは、大成功でしょう。


タコベル、GYGともに、意表を突いたYouTube動画を展開


タコベルの公式サイトでは、なかなか情報が出ませんでした。私は出店前からここに出来るんだなと知っていたのですが、それは工事現場のボードにロゴが貼ってあったから。
具体的な場所やメニューは公式に、ぎりぎりまで出さない戦略かと思いました。3月10日にComing Soon、4月2日にComing very Soon!という動画を出していましたが、ティーザーで同じ内容です。
そしてオープン1週間前に、この動画が公開されました。



まるで全国各地のご当地ラップのようなベタベタのダサさです(笑)
だけど考えてみればこれでいいんだな。目的に沿っているんだろうと思うようになりました。タコベル渋谷店は、渋谷駅から3〜4分程度の近さで便利なところにあるのですが、他の外資フードチェーンなら絶対に出ないだろうなという場所です。
というのも、目の前の地下はアダルトショップですぐ近くには風俗店が点在します。通り名は道玄坂小路。かつては脱法ハーブの店があったり、道玄坂側の入り口には大きな風俗案内所があり、かなりマイナスのハードルが高いところです。その分、テナント料は安いのだと思いますが、利便性を選んだのでしょうね。
ただ多くの人にとって、逆にそういう立地であることが、緊張せずに並べてしまうメリットになっているはずです。

それでも渋谷に詳しくない人はこの道でいいのかと思うかもしれませんし、場所を伝える手だてを工夫する必要があるでしょう。
タコベルの出店を放送したテレビ局のカメラマンは、どこもアングルを制限されていました。


その点、GYGはラフォーレ原宿の2階と伝えればいいのですから、かなり楽です。その分、テナント料は高いのでしょう。
こちらは、1月5日という早い段階から動画を公開していました。グローバルの公式チャンネルです。
めちゃめちゃハイテンションです。他の動画を見てもこれがGYGのスタイルのようですが、まるで高校生のVine動画のようです(笑)
でもこれも考えてみると、現実の客層にマッチしているかもしれません。GYG目当てにラフォーレに来る人もいるでしょうが、ラフォーレに洋服を買いにくる人たちがメインターゲットでしょうから。
タコベルには年齢性別問わず、様々な人たちが並んでいます。今では上の年齢層にシフトしている印象です。でもGYGではおじさんを見かけることは、ありませんでした。プレオープンのゴリラコーヒーと同様に、緊張しました(笑)


公式ではありませんが、こんなニュース動画もあります。店内の様子がよく分かります。



タコベルもニュース動画を。
これを見ると、タコベルはかなりボリューム感がありますね。GYGと比較しても、立ち上がりのブームが過ぎれば、なおのこと客層が明確に分かれてきそうです。


ところで公式動画の再生回数ですが、調べた時点(13日の夕方)では、タコベルのACCESS RAPが35,839回。GYGの上陸告知が1,417回になっています。
タコベルは大きな数字ですが、それだけではこれほどの行列にならないでしょう。


タコベルの集客のための導線は、こうなっていた


まず徹底したパブリシティが行われたようです。Googleでニュースで検索すると、期間を区切っていませんが、約19,800件と出てきます。以前書いているように、ネットメディアとそれを配信するポータルサイトという重複はありますが、硬軟取り混ぜて、多くのネットメディアが取り上げています。


ソーシャルメディアを中心とした拡散の方程式』でも書きましたが、ネットメディアへのアプローチは重要です。
タコベルは調べていて驚きました。たとえば上に貼付けたニュース動画は、丁寧に面白く作られていますよね。毎日YouTubeで動画を配信しているメディアだそうです。私は、まったく知りませんでした。
再生回数を見ても、ほとんど知られていないのだと思います。数の多さだけではなく、もしこんなYouTubeメディアまでタコベル側が調べてアプローチしたのなら驚異的です。知名度、話題性の高さから、逆にメディア側からアプローチがあったにしても、対応していること自体が驚きです。
通常、このようなお店でのプレスデーでは、物理的にも人的にも制限があるはずです。


また数多くのテレビ番組でも取り上げていました。テレビ東京の『ワールドビジネスサテライト』は、親会社ヤム・ブランズまで取材。その中でも驚いたのが、コマンドセンターの様子。壁一面がモニターになっていて、世界中のソーシャルメディアでの投稿を表示していました。リアルタイムで監視し、対応しているといいます。
調べてみると、基本はブランドの危機管理のようですが、口コミ数やその感情、話題の推移、インフルエンサーなど、世界中のカスタマーインサイトも表示されるようです。これを社長以下が見ているというのですが、本当に対応できるでしょうか。もちろん国別、エリア別に切り替えられるということなので、不可能ではないでしょうが。
Yum! Brands Uses NetBase to Build the Social Hive

もっとも現時点では、行列・待ち時間が長いということが一番の投稿トレンドでしょうから、何も出来ないかもしれません(笑)


それ以前にパブリシティによって再上陸が伝わると、ネット上ではとんでもないことになっていました。
特にオープン日の翌日は、凄まじいです。Yahoo!リアルタイム検索で調べてみました。


22日はTwitterとFacebookで8621件の投稿があったということですから、凄まじい話題性です。22日が高過ぎるので他の日が低く見えますが、5月12日でも300件弱あるのですから、かなり高い数字です。
マイナス感情は、待ち時間とアメリカに比べると高い価格設定に対するものです。


GYGの集客のための導線は、こうなっていた


GYGは、世界中でオープン初日にブリトーを無料で振る舞う「フリーブリトーデー」を開催しているそうです。ラフォーレ原宿店ではどうだったでしょうか。
GYGのFacebookページです。



ネットメディアやブログなどでもフリーブリトーデーのことは、数多く取り上げられています。
Yahoo!リアルタイム検索でも調べてみました。グズマン イー ゴメズとGYGを合わせてみます。


実際には「GYG-グズマン イー ゴメズ」と書いている人もいるでしょうから、オープン日翌日には200件以上の投稿があった、ぐらいに考えればいいのではないでしょうか。

タコベルと比較すると小さな広がりですが、フリーブリトーデーで一気に認知度が高くなったはずです。
神宮前の交差点付近にこれだけ人が溢れれば、どうしたって注目されますよね。お店自体、ラフォーレの2階なのに明治通りから見てもとても目立っています。


表記やネット戦略では、なんでしょこれと思うところも


タコベルもGYGも、立地が大きな要因で、オープニングに関しては大成功だと思うのですが、それ以外では疑問を感じるところもあります。


上で書いた通り、Yahoo!リアルタイム検索で調べる時に、GYGをどう表記されているのかあれこれ試してみたのですが、人によって様々。GYGもあればグズマン イー ゴメズもゴメズもGYG-Guzman y Gomezもあります。
単純になんて呼べばいいか定まっていないと、人はけっこう迷います。検索で混乱するだけではなく、人に話したり、ソーシャルメディアで投稿しようとするときに考えて迷うようなら困りもの。
お店はどう使っているかというと、公式サイトでは[GYG(グズマン・イー・ゴメズ)]。ところがTwitterでは[Guzman y Gomez Japan]、Facebookは[Guzman y Gomez -GYG- Japan]、同様に公式サイトからソーシャルボタンで飛ぶInstagramはグローバルですが[guzmanygomez]になっています。
英語表記で押し進めるにしても、略称だったり、略称がなかったり。これは、いくらなんでも、でしょう。


さらに名称以外でも、Twitterのプロフィールが「近日日本上陸!!」のままだったり、いっさい画像がなく、ほぼ同じ内容で画像もあるFacebookへのリンクを投稿しています。現在フォロワー173人ですが、これだと増えるわけもありません。いくらFacebookに流入させたところで、アクティブなFacebookユーザー層と現実の客層が乖離しているのではないでしょうか。
Facebookページのいいね!は、4,180件です。


タコベルは、多くの人がソーシャルメディアでは[タコベル]と書いていますが、公式の表記はTaco Bellあるいは、Taco Bell Japanで出しています。
これだけ行列が続いているのですから、何もしなくたっていいんじゃないと思います。

タコベルの特筆すべき点は、ウェブサイトで原材料の原産国やメニューのカロリーをはじめ、脂質、飽和脂肪酸、ナトリウム、食塩相当量などを表示しています。
ファストフードではなく、ファストカジュアルを標榜するチェーンでもなかなか表示していないので、さすがにソーシャルメディアを競合店も含めて傾聴しているだけのことはあると思います。
ただ、農林水産省から義務づけられているアレルギー物質7品目の表示がありません。日本のフードチェーンでは20品目を出している場合も多いように思いまので、スタンスが中途半端かもしれません。


タコベルもソーシャルメディアでは、Facebookに注力しているようです。Facebookページのいいね!は、7,847件です。客層は重なっていると思いますが、不思議なところもあります。
先に書いた世界中のソーシャルメディアでの投稿をリアルタイムで監視するシステムで、把握され実施した施策として、2011年ですがアナリストがDisrupting the Facebook Standardというタイトルを付けています。
勝手に意訳すると、こんなことのようです。
タコベルのソーシャルメディア・データは、タコベル関連の会話の80%-90%がTwitterで起こることを明らかにしました。 ドリトスロコスタコスの発売では、PRとデジタルのチームはTwitterに注力しました。
How Taco Bell Used Twitter to Sell 200m Tacos

翻訳サービスを使っている上に、私のつたない理解ですから間違っているかもしれません。(間違っていたら、ご指摘ください)
Twitterのフォロワーは、1,785人。利用者とコミュニケーションしていないようですが、行列の様子や投稿されている数の大きさからすると、似つかわしくないしょぼさ。4年も経てば、状況は大きく変わっているかもしれませんが、気になるところです。

 株式会社イグジィット ウェブサイト