相変わらず、Q-FRONTのツタヤではコミックの作者によるサイン会に、朝早くから行列が出来ていたりする。タワーレコード渋谷は、「ライブ感」をテーマにリニューアル。どうもライブを見に来て、CDなどを買ってもらうというストーリーを描いているように思います。
先週、あるプロのミュージシャンから「最近は、ライブ会場でTシャツなどを販売していて、その売上がバカにならない」と聞いた。もちろん、ライブ会場でのグッズの販売が増えているという話はよく聞くけれども、ジャズの人なので、観客の年齢層は高い。それでもTシャツが売れるなんて。私はジャズの世界はまったく知らないので、ちょっとビックリ。
かなり以前から、音楽がタダで手に入るようになり、収益源がライブにシフトしていると言われたりする。あるロック雑誌は、雑誌では儲からないけれども、フェスで収益を上げているという。
オープンデータを調べてみた。社団法人コンサートツアー事業者協会というところが、有料の演奏会における「年別事業規模」を公開しています。
社団法人コンサートツアー事業者協会
2009年の数字までしか発表されていないけれども、トレンドとしてはコンサートに価値を感じる人が増加しているんでしょう。売上のうちグッズ等の物販がどれぐらいなのか、この数字からはわかりません。
音楽以外でも、読書会だったり、セミナーだったり、あるいは街コンみたいなことまで、体験する経験する生を見るということが、とても活気づいているように、私は感じています。どこにも、そんなデータは転がってないですが(笑)
セミナーは、企業から派遣されて受講するようなものではなく、個人が参加する怪しげな成功ものから、銀行や証券会社の実施する富裕層向けのものまで。どんどん増加しているような気がします。参加者数はわかりませんが、セミナー数はたぶん増えている。
セミナーが隆盛だということは、起業だったりネット関連ではなかば常識のように語られていて、そのことを「◯◯さんのサイトが面白いと言うより、◯◯さんの勉強会に出たとツイートする方が注目される」と自己顕示的な解釈をされることが多いように思います。
つまり、ソーシャルで発信するネタということですね。
それもあるかもしれません。ただ、ソーシャルでは何をしてきた見てきたと発信する人が、それほど多いとは思えません。むしろ自分の行動を逐一公開する人は少数で、せいぜい何を食べた。どこへ遊びに行ったという大雑把な情報を出しているぐらいではないでしょうか。
ちなみに、もちろん2012年の様々な調査データは出ていませんが、2011年の「スポーツ参加市場規模」について、マクロミルと三菱UFJリサーチ&コンサルティングが調査しています。それによれば、2010年と11年を比較して、「観戦」「用品購入」「施設利用・会費・スクール料」ともに減少していると出ています。市場規模は初の3兆円割れだそうです。
一見すると、なんだよ参加市場下がってるんじゃんとなるかもしれません。でも3.11があっての数字。特に施設利用・会費市場・スクール料に関しては、11.6%減。もしかすると、これは驚異的な根強さなのかもしれません。特にスポーツをすることに関しては、低下している参加市場の中でも変動が少ない。
これはソーシャルでの発信ネタ、なんていう弱い動機ではなくて、リアルで参加すること、さらには自分でやることへの価値観が拡大しているとは考えられないでしょうか。
スポーツなら、自分でやるようになれば、もちろん用品も購入する。
観戦しに行けば、そこでしか購入できないファングッズを手に入れる。より積極的な、体験への参加が喜ばれている。
今年行なわれた奥田民生さんのライブでは、その日演奏されたものを即座にマスタリングし、短時間で複製、会場で『お持ち帰りCD』として販売したという。即座に完売。
ファンのコレクションアイテムという考え方もあるけれども、いまやCD販売枚数よりもライブ動員人数の方が完全に上回るというアーティストが多いと言われる時代。『お持ち帰りCD』という希少性とともに、まるで参加したライブのテンションをそのままパッケージ化してくれるようなサービスが、積極的にサイフを開かせたのではないでしょうか。
参加すること、体験すること周辺のマーケティング。拡大しそうです。
TOWER RECORDS SHIBUYA -LIVE LIVEFUL!- CONCEPT MOVIE
TOWER RECORDS SHIBUYA -LIVE LIVEFUL!- INTERVIEW MOVIE DIGEST