2012年11月26日月曜日

参加することの価値

以前、「行列までして、買ってくれることの価値」という記事を書いた。
相変わらず、Q-FRONTのツタヤではコミックの作者によるサイン会に、朝早くから行列が出来ていたりする。タワーレコード渋谷は、「ライブ感」をテーマにリニューアル。どうもライブを見に来て、CDなどを買ってもらうというストーリーを描いているように思います。




先週、あるプロのミュージシャンから「最近は、ライブ会場でTシャツなどを販売していて、その売上がバカにならない」と聞いた。もちろん、ライブ会場でのグッズの販売が増えているという話はよく聞くけれども、ジャズの人なので、観客の年齢層は高い。それでもTシャツが売れるなんて。私はジャズの世界はまったく知らないので、ちょっとビックリ。

かなり以前から、音楽がタダで手に入るようになり、収益源がライブにシフトしていると言われたりする。あるロック雑誌は、雑誌では儲からないけれども、フェスで収益を上げているという。
オープンデータを調べてみた。社団法人コンサートツアー事業者協会というところが、有料の演奏会における「年別事業規模」を公開しています。

社団法人コンサートツアー事業者協会


2009年の数字までしか発表されていないけれども、トレンドとしてはコンサートに価値を感じる人が増加しているんでしょう。売上のうちグッズ等の物販がどれぐらいなのか、この数字からはわかりません。




音楽以外でも、読書会だったり、セミナーだったり、あるいは街コンみたいなことまで、体験する経験する生を見るということが、とても活気づいているように、私は感じています。どこにも、そんなデータは転がってないですが(笑)
セミナーは、企業から派遣されて受講するようなものではなく、個人が参加する怪しげな成功ものから、銀行や証券会社の実施する富裕層向けのものまで。どんどん増加しているような気がします。参加者数はわかりませんが、セミナー数はたぶん増えている。


セミナーが隆盛だということは、起業だったりネット関連ではなかば常識のように語られていて、そのことを「◯◯さんのサイトが面白いと言うより、◯◯さんの勉強会に出たとツイートする方が注目される」と自己顕示的な解釈をされることが多いように思います。
つまり、ソーシャルで発信するネタということですね。
それもあるかもしれません。ただ、ソーシャルでは何をしてきた見てきたと発信する人が、それほど多いとは思えません。むしろ自分の行動を逐一公開する人は少数で、せいぜい何を食べた。どこへ遊びに行ったという大雑把な情報を出しているぐらいではないでしょうか。


ちなみに、もちろん2012年の様々な調査データは出ていませんが、2011年の「スポーツ参加市場規模」について、マクロミルと三菱UFJリサーチ&コンサルティングが調査しています。それによれば、2010年と11年を比較して、「観戦」「用品購入」「施設利用・会費・スクール料」ともに減少していると出ています。市場規模は初の3兆円割れだそうです。




一見すると、なんだよ参加市場下がってるんじゃんとなるかもしれません。でも3.11があっての数字。特に施設利用・会費市場・スクール料に関しては、11.6%減。もしかすると、これは驚異的な根強さなのかもしれません。特にスポーツをすることに関しては、低下している参加市場の中でも変動が少ない。


これはソーシャルでの発信ネタ、なんていう弱い動機ではなくて、リアルで参加すること、さらには自分でやることへの価値観が拡大しているとは考えられないでしょうか。
スポーツなら、自分でやるようになれば、もちろん用品も購入する。
観戦しに行けば、そこでしか購入できないファングッズを手に入れる。より積極的な、体験への参加が喜ばれている。



今年行なわれた奥田民生さんのライブでは、その日演奏されたものを即座にマスタリングし、短時間で複製、会場で『お持ち帰りCD』として販売したという。即座に完売。
ファンのコレクションアイテムという考え方もあるけれども、いまやCD販売枚数よりもライブ動員人数の方が完全に上回るというアーティストが多いと言われる時代。『お持ち帰りCD』という希少性とともに、まるで参加したライブのテンションをそのままパッケージ化してくれるようなサービスが、積極的にサイフを開かせたのではないでしょうか。


参加すること、体験すること周辺のマーケティング。拡大しそうです。




TOWER RECORDS SHIBUYA -LIVE LIVEFUL!- CONCEPT MOVIE




TOWER RECORDS SHIBUYA -LIVE LIVEFUL!- INTERVIEW MOVIE DIGEST


2012年11月7日水曜日

ソーシャルの仕掛け方_4

ソーシャルの仕掛け方_3より続く



事前に決めておくこと。ソーシャルに向き合うスタンス。

3までに書いたことは、実際に“中の人”をやった上での見解ですし、かなり具体性のある内容です。ただその前に、すべての企業にソーシャルメディアが必要か、ソーシャルマーケティングを同じように仕掛けられるかというと、そんなことはないでしょう。

事前に決めておくこと。ソーシャルに向き合うスタンス。















































あらゆる企業がソーシャルメディアでなんらかの発信した方がいい、と思います。でもそれは、ネット上に情報がなければ存在しないのと同じだという、消極的なエントリーレベルの話です。
B to B企業で著名なら、そこそこの情報発信をしておけばいいと思います。B to Bで無名なら、たぶんソーシャルメディアで自前で何かやるのは無駄でしょう。お金をかけて広告するなり、大々的なプロモーションを仕掛けるしかない気がします。


今回ブログに書いていることの対象は、フローの右下のケースです。
上のフローに書いていることを、違う言葉で言うと「B to Cの企業は、ソーシャルメディアでコミュニケーションする必要がある」「マーケティングしようとするなら、様々な役割をソーシャルメディアに担わせる、集約させる覚悟が必要だ」ということです。
よく企業のソーシャルメディアアカウントの紹介文に、「お問い合わせ等は、お客さま窓口までお願いいたします」というようなことを書いていて、公式サイトの該当するURLなど書いていることがありますが、そうするなら情報発信するだけ。新聞の文字だけの広告や、ウェブのリスティング広告とかわりはないでしょう。

コミュニケーションするなら、問い合わせやクレームにも、ネットならではのスピード感のある“1次対応”が不可欠です。それなしに、ブランディングだろうが販促だろうが、効果のあるソーシャルメディアマーケティングは成立しないのではないでしょうか。
むしろ、これからのマーケティングは、そこが重要になると思います。宣伝、販促、SP、PR、顧客対応、問い合わせなどなどの機能を集約した形でのウェブ化が必要だと考えています。

ソーシャルマーケティングの立ち位置

高額商品でもなく、コミュニケーションしない場合というのは、どういった企業に向くでしょうか。すでに強力なファンがついているブランドであれば、ありでしょう。また常におトク過ぎるほどおトクなクーポンや割引サービスでも可能ではないでしょうか。
大多数の企業は、そうではありませんので、双方向のコミュニケーションして行くことが必要だと思います。コミュニケートしていれば、当然、発信した情報への問い合わせがあるでしょう。それに答えないというのは考えられません。発信したことと無関係のクレームや難癖のような絡まれ方をすることも出てきますが、そこは相手が誰かを【8.相手が誰かを見極める】こと。お客さまであれば、丁寧な対応をすることが必要ですし、そうではなく、理不尽な内容なら無視してもいいかもしれません。
経験でいえば、後からわかったことですが、店頭での対応に腹を立て、金銭を要求された方に、ソーシャルメディア上では丁寧に対応していたため、穏便に解決することができました。

またすべての宣伝やユーザーサポートをソーシャル上で行なえるわけではありませんので、切り分けや役割分担をどうするか、事前に協議しておく必要があります。



ツイートや投稿の考え方

ツイートや投稿の考え方:A


2.の臨場感は、たとえば「買い付けに来ています」「◯◯◯の準備中です」「◯◯◯、入荷しました!」「明日から、始まります」「開店しました」などなど、ほぼリアルタイムな発信は、カウントダウンやティーザー的な要素もあり、オーディエンスの興味をそそります。また当社がやったような、ほぼ同時中継するようなやり方は、その場の興奮を伝えることができると思います。FacebookやG+では、事細かには出来ませんが、Twitterなら細かくやることも可能です。

3.のシズル感のシズルとは、ステーキの焼ける音を指していると言われます。音、温度、匂い、質感などが伝わるような写真は、言葉より、はるかに強く速く伝わります。工業製品は、シズル感を出せないかというと、プロならそんなことはありません。無機的な工場でさえ、静的に撮ってしまうと味気なくても、マシンの動いてる様子をダイナミックに見せることはできるでしょう。
また製品の製造工程、特に人が関わっているところなど、現場の“裏側見せ”でも、そそる画像になると思います。それもファン作りですよね。



4.5.6.7に関しては、「ソーシャルの仕掛け方_5」で実例をあげて、再度書きます。

8.は本当に大事。基本はすべての人に、対応するけれども、お客さまか、お客さまじゃないのかで、対応のスタンスを変えてもいいと思います。
また対話はないけれども、何度もリツイート等で広めようとしてくれている人などには感謝の気持ちを伝えるべきだと考えます。話しかけてくれる人、コメントをくれる人、いわば仲間内でのコミュニケーションだけで終わっているのは、本当にマズい。ファンを阻害しているようなものです。
著名なソーシャルマーケティングのコンサル的な人でも、狭いつながりの中でしかやりとりせず、旧態然としたマスマーケティングどころか、利権商売のように思えてしまいます。

ツイートや投稿の考え方:C

9.から12.は、とても難しいカテゴリーですので、簡単に追記できません。複数での役割分担か、あるいは豊富な経験を持つ人たちのバックアップが必要でしょう。



さらにディープなソーシャルマーケティングの考え方


2012年11月1日木曜日

仮装・コスプレの大ブレイク

昨日の夜は、会社を9時ちょっと前に出ました。
タワーレコード渋谷あたりから、ハチ公前のスクランブル交差点まで歩いてる間に、もうビックリで。若い、たぶん20代前半ぐらいまでの仮装した女の子たちが、どんどん歩いてきます。半分ぐらいは仮装してるんじゃないのという印象で。男前な女の子がビシッと、バットマンのジョーカーの扮装をしていて、あまりのカッコ良さに目が釘付けになったりしていました。
10月31日は、ハロウィン。だからって平日の夜なのに、これだけいるなんて、どれだけハロウィンの仮装が定着したんでしょう。

10月26日金曜日の夜も、けっこう仮装している人たちがいました。多くのお店では、たいがい27日の夜に、ハロウィン関連のプロモーションをしているようでした。
たぶん、ハロウィンの盛り上がりは、先週末がピーク。そんな風に思っていたら、案の定、ネット上ではいろんな画像が飛び交っていました。
もっとも多かったのは、たぶん渋谷のコスプレでしょう。アニメや戦隊もの、映画やディズニー、そしてファストフードまで、さまざまなヒーロー、ヒロイン、キャラクターのコスプレが出現。その目撃情報やセルフの情報発信。






ところがところが、31日はそんなもんじゃなかった。ネット上ではさほど出ていなかったように思いますが、若年層、特に女の子の仮装はとんでもなく多かったという印象です。

あ、コスプレと仮装の違いって、なんでしょう。コスプレは、キャラクターになりきること? 仮装は…、特定の何かではなく、過剰な非日常的な装いということでしょうか。ホントのところは、わかりません(笑)
考えてみれば結婚式だってハレの装いですが、儀式系のハレの場がなくなってしまった。どこかで責任のない、ハジケた変身をしたいということでしょうか。ディスコはクラブになって、お見合いパーティは街コンになって、ほぼ日常の延長線上でカジュアルな場になっているようですし。

理由はともかく、これだけ仮装やコスプレのパワーがすさまじいと、来年からのハロウィンの販促プロモーション、従来とはレベルの違う取り組みになりそうな気がします。




そう思い始めたのは、ハロウィンからじゃなくて、9月の下旬。真昼間の渋谷公会堂の前に、コスプレイヤーが集結してました。拡声器で「ゴールド会員の方はこちらです〜」と言ってたので、なんかアヤシイ。これはなんだろうと思って検索したら、しょこたんのギザ10 しょこ【生】ツアー---!! 2012」というライブでした。十二分に、アヤシイですけど(笑) 
でもその時に目の前を歩いてた、ドナルドダックの完成度が驚異的で。お尻の丸みをどうやって出して、どういう構造でキープしてるのか不思議で。テクスチャーは違うけど、TDLにいても違和感なさそうでした。日本のコスプレイヤーって、趣味のレベルじゃないだろという感じました。


その少し前には、ANAがIS JAPAN COOL?というキャンペーンサイトで、[COSPLAY]という世界的なコスプレイベントと連動したコンテンツをリリースしていました。それ以前のリリースは[TOKYO][OKINAWA]ですから、ストレートな海外向けの訪日促進。でもコスプレで集客できるのかと疑問ですよね。



サイトやYoutube動画を見ているうちに、これはANAのマーケティングは確かかもなと思えてきました。もちろんコスプレの聖地ニッポン的なポジションを使った、ある種のキラーコンテンツということもあるでしょう。
仮装やコスプレって、たぶん見てくれる人がいないと成立しなさそうです。聖地ニッポンでも、見せられるのはきっと、ライブやイベントなどでしかなく、さほどメジャーなものではないでしょう。そこにANAが人に見せられるプラットフォームを作ってしまえば、ネット上の聖地になるかもしれません。リアルでも聖地巡礼は、あるでしょう。アニメ・アイドルで秋葉原、ファッションで渋谷へは、世界中から聖地巡礼が少なからずあるわけですし。




話を戻すと、ハロウィンは、大勢のコスプレイヤー以外の人にも見せられるハレの日。特異日、特異週間になりつつあるという気がします。
原宿では、30年も前から親子で参加するハロウィンパレードが行われています。とりあえず今年は、渋谷、六本木あたりが、若者のリアルなプラットフォームになったということでしょう。たぶん、来年以降は東京都心のいろんな街に、その後は徐々に全国に広がって行き、秋の仮装イベントとして定着するかもしれません。

それだけ多くの人に、ちょっとした変身したい欲求が高まっているのかも。別人になるというような大げさなものではなく、テンションをグンと上げたいような衝動。

ただ男装はたいがいカッコイイですけど、どんなに衝動があっても、
お願いですから女装だけはヤメて欲しい(笑)


あ、もしかしたら、私にも欲求あるのかもしれません。
合気道では、黒い袴を。杖道では、白い袴を穿いて演武しますから。
これって、完全にコスプレです(笑)