2015年12月7日月曜日

HMV & BOOKS TOKYOの売場編集は、リアルなレコメンドエンジンに挑戦している?



衝撃的だった2010年のHMV渋谷閉店。CDが売れなくなる象徴なのかと心配でした。
昨年、HMV record shopが出来たものの、マニアックな中古アナログ盤主体の専門店。そして今年前半から、ネットメディアでは「HMVが渋谷に帰ってくる。懐かしい」という趣旨の記事がいくつも出ていました。

これはHMV渋谷が完全復活?
私は懐かしいという感覚はないけれども、あたらしく出来る渋谷MODIに入るのか。大型店といっても規模ではタワーレコードに勝てないし、違いをどう作るんだろうと楽しみにしていました。

MODIは11月19日にオープンしたばかり。さっそくHMV & BOOKS に行ってみるとこれが肩すかしで、タワーレコードと競合している感じはほとんどありません。
だってオープン初日には、こんなツイートまであったんです。


タワーレコード渋谷店のアカウントからはツイートを返さず、タワーレコード セール&キャンペーン(@TOWER_Sale) から一緒に盛り上げて行きましょう的な趣旨の返信がありました。私はこれからどうなるんだろうと、ワクワクして注目していたのです(笑)
とりあえずTwitterでの情報発信は、タワーレコードもHMV & BOOKS TOKYOもかなり充実しています。



HMV & BOOKS TOKYOは、ネットを上回る興味の連鎖に挑戦?


特設のウェブページやリーフレットにも、また紹介したネットメディアでも、HMV & BOOKS TOKYOのコンセプトについて書かれていません。わかりにくいのではなく、売場を巡ってみれば理解できるのですが、一言でなかなか説明できません。

あえていうなら、「本を主体に、音楽や映像にも興味を広げる売場編集」ということになるでしょうか。タワーレコード渋谷にも書籍はありますが、本で競合しているのは渋谷パルコのPARCO BOOK CENTER。雑貨で競合しているのは、渋谷LOFT。売場コンセプトで被るのは、ヴィレッジヴァンガードかなという気がします。
そしてさらにいうなら、アマゾンなどネット書店のレコメンドエンジンにも負けないよう、客の興味の広がりの取り込みに挑戦しているように思えます。

書店として見た場合、通りを挟んで紀伊國屋書店がありますが、小説や学習参考書や絵本などジャンルにもよりますが、ほとんどの分野でHMV & BOOKSが圧勝しています。渋谷にある書店では東急本店のMARUZEN&ジュンク堂書店が最大規模で書籍数も圧倒していると思いますが、図書館的です。
個人的に私が好きなのはPARCO BOOK CENTERですが、すでにHMV & BOOKSで読むのにけっこうな期間かかるだろうというぐらい買い込んでしまいました。本だけでも、ちゃんと読んでいる人が仕入れているだろうと思える品揃えですし、好奇心をいざなっている感あります。
思いがけない出会い、発見があるのです。


コアターゲットは30代から40代の女性ということなので、[男と女]というギョっとするようなコーナーもあります。ここには恋愛小説やコミック、エッセイからスタイルブックまであるようです。じっくり見るのは、さすがに躊躇します。
[食]のコーナーには、レシピ本からビジュアルブックを多数取り揃え、さらに珍しい調理器具からスパイスまでが一体となってディスプレイされています。
[世界の旅と文学]のエリアで、たとえばロシアのコーナーならガイドブックはもちろんロシア文学、ロシア語通訳の米原万里さんのエッセー、ロシアアバンギャルドのデザイン本、さらにはロシアを舞台にした映画のDVDまで揃っています。
アマゾンのレコメンドエンジンだと、書籍なら書籍しか出てこないですよね。
ジャンル別ではなく、興味別の売場作りがどれだけアピールできるのかは未知数ですが、面白い試みです。



その日の旬が一目でわかるというA Day in the life




HMV & BOOKS TOKYOは渋谷MODIの5階から7階を占めていますが、エレベーターで5階に着いてすぐのところに[A Day in the life]という不思議なコーナーがあります。
フロアガイドには、こう書かれています。

新刊・新譜・話題作やその日にまつわる特集など、人生の中の「今日」という1日を切り取った最新情報を提供。
ゆっくり全てのフロアを回る時間がなくても、ここを見ればその日の旬が一目で分かります。

なんのことやら、さっぱり分かりませんね(笑) いや、それもそのはず。いままで書店でこんな切り口見たことがありません。
A Day in the lifeに並んでいるのは、その日その週の記念日、誕生日、あるいは命日や訃報などに関連した書籍やDVDなどです。ブルース・リーの誕生日には、映画のDVDや書籍が並んでいましたし、[OLの日]のところには「プラダを着た悪魔」などOLが主人公の映画のDVDが揃っていました。[OLの日]なんて、Twitterを見てないと知らない。というか、私はTwitterでしか見たことありません(笑)

11月30日の月曜日、お昼食べに出たついでにHMV & BOOKSに寄ったのですが、水木しげるさんの書籍が「ゲゲゲの鬼太郎」など漫画から戦争体験の対談ものまで、どっさり並んでいました。私が訃報を知ったのがその直前に見たTwitterだったので、いったいいつ揃えたんだと驚きました。ネット書店でもこれだけのスピードで、コーナーを作るのは難しいでしょう。

A Day in the lifeのコーナーは、HMV & BOOKS TOKYOのコンセプトを端的にあらわしているように思います。




InterFMのサテライトスタジオがあったり、トークイベントに大物を呼んだり、集客方法も多様なのですが、メインが書籍なので「本好き」をどれだけ呼べるかどうか。
本や雑誌に興味を持つ人が減り、出版というビジネスモデルが大きく変化している時代ですから、この売場編集力。リアルな本好きの私としては、とても期待して注目しています。




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