2013年7月18日木曜日

関係を作ることばと、リコメンド

今回は、広報のことばと、POPのことばについて書いてみます。同じような発想で考えるべきだと思いますが、前者は顔が見えることでリスクが増大し、後者は顔が見えそうなリアルな言葉で琴線に触れることができると言えそうです。
その繰り返しは、ボディブローのように効いて来そうです。




マッチョなことばで、迷走する広報。







プレスリリースは、メディアに取り上げてもらいやすくするための資料。核は言葉ですけど、ほんとうに広報として考えられているのかと疑問を持つことがあります。
テレビで企業トップが新商品の記者発表をされているのを聞いていても、ビジネスプレゼンテーションのようで、まるでIRかと思う時もあります。マッチョなビジネス上の論理やマーケティングで語られていると、ターゲットは誰なんだろうと首を傾げます。



具体的にどんな例があるのか取り上げたいと探してみたのですが、どうも差障りがありそうだよねと躊躇してしまいます。
先月、これだけ取り上げているから、多少はバランス取れていいんじゃないと、勝手に言い訳して書いてみます。マクドナルドの原田社長の会見は、いろんな経済紙・誌に出ていました。週刊ダイヤモンド7/6号によると、高価格帯クオーターパウンダーの連続投入で「新しい顧客を開拓したい」と発言されたようです。

画像:週刊ダイヤモンドの記事


まるで以前からお客さんたちは、高価格帯の対象ではないようなフレーズで、ちょっと不思議です。「お客さまに、新しい価値をご提供したい」でいいと思うのですが、あえて「新しい顧客」と言ってしまうのはどうしてでしょうか。たぶんセグメントしていくと、価格の安さと素早くバーガーを提供するというところに価値を感じるお客さんばかりだと、利益が出ない。だから、もっとお金を使ってくれる層を開拓したいということなんでしょう。

いつもは安いバーガーを食べている人でも、たまには数倍以上する高価格バーガーを食べてみたいと思ってくれるかもしれません。なのに、そこを切り捨てて考えられている。利用者をクラスターとして考えた経営発想なんでしょうけど、マーケティングとしても広報としても、私は配慮が足りないという気がします。

経済誌だから、ビジネス用語、ビジネスの論理で語ればいいのでしょうか。食べ物というエモーショナルなものを提供している業態だという認識が弱い方なのではという気がします。マクドナルドほどの規模になれば、社長がどこのメディアで語ろうとも、引っかかる言い方があれば、即座にネガティブな共有をされてしまいます。今回ぐらいのことは話題にもなっていないようですが、これまでにネット上で炎上してしまうような失敗を何度もされ、評判が悪いといっていいと思います。

ユニクロの柳井社長も、たびたび経営の論理一辺倒の発言で、反感を買っています。もしかすると確信犯かもしれませんが、ユニクロを買っている人たちは、大企業の経営層ではないので、矛盾したような発言が少なくありません。
マクドナルドもユニクロも、ネット上で炎上しても、さほど売上に影響していないのかもしれません。それほどの大きな規模の商いなので、左右するほどのダメージではないのでしょう。でも確実に影響があると思うのは、人の採用。両社に就職しようと考える人なら、検索して様々な情報を調べているはずです。



社内でたびたび怒るのですが、ウェブやIT系だと人のことを「リソース」とか「アサインする」という言い方が普通です。完全に数字化された部品とかパーツのように。私はとても違和感があって、社内では使うなと言います。自分がリソース扱いされたらとか、想像もしないのかもしれません。


ネット時代だからということだけではなく、「買いたくなる商品を売っている企業」と「働きたくなる企業」は、かなり重なって来ているはずです。



顔が見えるような、想いの注入されたことば







「全国書店員が選んだ いちばん!売りたい本」というキャッチフレーズの本屋大賞は、面白いに違いない!と思わせてくれる仕組みですよね。
本屋大賞以外でも、リコメンドの手書きPOPを書いている書店が多くなりましたが、残念ながら私は面白そうだと思ったことがありません。たいがい本の紹介文に近いもので、そんなことはカバーのどこかか、前書きを読めば似たようなことがあるじゃん、と思ってしまいます。手に取らせる効果があればいいのかもしれませんが、カバー周りや前書きを立ち読みしても伝わってこない、ピンポイントで「ここが面白い!」とか、深みや独自性みたいなことを教えてくれた方が、私なんかは買ってしまう確率が高くなります。一度書店に立ち寄れば、必ず何冊かは買うので、吟味している暇はなく、ほとんど直感なので、直感を後押ししてくれることばを求めています。
要約なんていらないから、本に詳しいあなたのことばを参考にしたいんです。

Amazonの、圧倒的な品揃えのロングテール。「この商品を買った人はこんな商品も買っています」などのリコメンドエンジンやカスタマーレビューに対抗して、リアル書店が生き残るためには、まずそこでしょう。ベストセラーや売れ筋なら、それだけ書いて、目立つ場所に置いておけば売れます。でも「本に詳しい書店員さん」ならではの声が聞きたいと思っている本読みは、少なくないはず。
私はAmazonのカスタマーレビューを参考にしたことは、まったくありません。その人がどんな人なのか分からないし、感覚を信用できるかどうかを判断するためには、その人の他のレビューまで読むはめになります。
口コミグルメサイトでもそうですが、安易な書き込みが営業的なダメージになったりします。操作されていたことを知ったり、匿名の集合知は信用されない方向に行くのではないでしょうか。



書店と同じようなことは、スーパーの成城石井などでも思います。普段は行きませんが、ひとりで行くことになると、珍しい商品が多くて、へーへーと驚きの連続です。
でも珍しい高めの商品を買うことは、まずありません。そういう商品に付いているPOPには「久米島産の◯◯使用」みたいなことが書いてありますが、久米島だから空気も水も土壌もいいんだろうなと思いますが、「だから何?」というところがさっぱりです。「久米島産の◯◯を使っているから、たっぷりミネラルで繊細な自然の甘み。疲れたカラダに美味しいです!」みたいなことが書いてあれば、よーわからんなと思いながらも私は買うでしょう(笑)

産地が本当か、安全かどうかは、お店の信用度。それ以上の動機づけが、価格と対応するはずです。そんなことで納得してしまうのは、料理をしないおっさんだけかもしれませんが(笑)
だけど主婦だけをターゲットに考えるマーケティングなんて、もうあり得ないでしょう。メインターゲットじゃなくても、アップセルが可能なのであれば、とても重要です。




タワレコメン

詳しい人が、想いを込めて書いたPOPといえば、私の知る限り、タワーレコードが一番。でもこのPOPは書いたじゃなくて、「描いた」ですね。
え〜っと、文字として大したことが書いてあるわけじゃありません。勢いで、描いてる感じなんです。「レゲエ × HIP HOP × ブレイクビーツ × ハードロック! 元祖ブリティッシュミクスチャー」がどうしたこうしたとか、まあ普通に読むと意味不明なことが、勢い良く描いてあります。好きなジャンルが重なっていれば、なんとなく想像出来なくありません。ことばの正確さは、ほとんど関係ないですよね。
メジャーなCDではなく、バイヤーが自分が見つけて仕入れたものをプッシュするために、POPを描いているんだから意気込みが違います。
そんななかからタワーレコードでは<タワレコメン>として全店でプッシュしたり、お店単独のレコメンとして打ち出す場合もあります。

ニッチですし、CDというパッケージが、すでにイケテナイものになりつつあります。リアル店舗で先読みの「わかってる感」がなければ、ベストセラーやアイドルだって売れないでしょう。わざわざ実店舗まで足を運んでくれて買ってくれる意味は、「詳しくて、わかってる人がオススメしている感度の高さ」という付加価値。
欲しいものがハッキリしている時は、そんなの関係ないですが、良さそうなのはないかなと探している人には、詳しい人がオススメしてるのが一番ですよね。
え、そんなのごく一部だろって? それが店頭での賑やかしですし、チャートなどにランクインしてる、どこでも買えるCDを買う人にとっても、ブランディングになっているんだと思いますよ。



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